兄だったモノのネタバレ(漫画)!狂気に満ちた略奪愛の行方は?

今回は「マツダミノル」先生の『兄だったモノ』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『兄だったモノ』はこんな漫画(あらすじ)

女子高生の鹿ノ子(かのこ)は春先に病を患っていた兄を失いました。

噎せ返るような夏の日、鹿ノ子は兄の恋人だった男と兄の墓参りに来ています。

兄の騎一郎(きいちろう)は広島で恋人の聖(ひじり)と暮らしながら自宅療養していました。

騎一郎の両親は同性愛を認めず、聖が葬式会場に入ることを拒絶します。

しかし兄と聖が家族だったことを知っている鹿ノ子は、騎一郎の遺骨を聖に渡してあげることにしました。

ここから鹿ノ子と兄の恋人、そして兄だったモノの歪な恋愛が幕を開けるのです。

ファンタジーとホラーとラブストーリーをミックスさせた『兄だったモノ』

今回は略奪愛をテーマにしたSFファンタジー漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

不思議な三角関係に目を奪われてください。

 

『兄だったモノ』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

蒸し暑い夏の日、鹿ノ子が呆然と兄の墓を眺めています。

鹿ノ子
「兄がいた、奇妙な飾りが揺れる墓所の中に」

鹿ノ子が呆然としている中、目の前では聖が花を添えていました。

噎せ返るような夏の日に、鹿ノ子は兄の恋人だった男と墓参りに来ています。

「ごめんね鹿ノ子ちゃん、しんどいじゃろ、暑かったら木陰におってもええけえね」
鹿ノ子
「へ・・・っ平気です!私が無理を言って連れてきてもらってるし!」
「ほう?じゃあすぐ済ますね・・・と、あとは灯篭立てたら終わりじゃけえ」

兄の恋人だった聖が花を添え終わりました。

あとは灯篭を立てれば墓参りを始められます。

鹿ノ子
「灯篭って・・・あのお墓に立ってる?」
「そうそう、鹿ノ子ちゃんは東京の子じゃけえ知らんよね?ピカピカ綺麗じゃろ?盆灯籠ゆうて広島の盆はこれを供えるんよ・・・で騎一郎は初盆じゃけえ、灯篭の色は白」

灯篭を供えるとセミの鳴き声が聞こえてきました。

鹿ノ子と聖は何も言わず墓の前に立っています。

鹿ノ子
「・・・お兄ちゃん本当に死んじゃったんですね、ごめんなさい、病気って知ってから覚悟はしてたけど、まだ実感がなくて、何処か遠くで生きている気すらして」
「・・・そんなん俺もよ、鹿ノ子ちゃん、いろいろと突然じゃったし当たり前よ、ゆっくりゆっくり受け入れていこう」

聖が頭を撫でてくれました。

すると鹿ノ子が聖の胸にしがみついて泣き出します。

何も言わずに聖は鹿ノ子が泣き止むのを待つことにしました。

「よし!帰ろう!二人きりの墓参りっていけんわ、センチメンタルになる!西瓜冷やしとるけ帰って食べようや」
鹿ノ子
「だ・・・駄目ですって!私のことは気にせずお墓参りを・・・!」
「あー・・・ええよ別に気にせんで、俺はいつでも会えるけえ・・・行こうか、鹿ノ子ちゃん」
鹿ノ子
「・・・はい聖さん、今行きます」

聖の元へ駆け寄りながら少しだけ墓を振り返ります。

まだ少し名残惜しいのかもしれません。

それでも聖の家へ向かうことにします。

「冷たいもの持ってくるけえちょっと待っとって、お手洗いとか好きに使ってええけえね」
鹿ノ子
「ありがとうございます」

古い大きな家で騎一郎と聖は一緒に暮らしていました。

襖の感触を確かめていると背後から気配を感じます。

隣の襖を開けると机に遺影と遺骨、そして花が置かれていました。

「うん、それ騎一郎の骨」
鹿ノ子
「で・・・でもお墓・・・」
「・・・入れよう入れようって思ったんじゃけどねえ・・・結局入れられんかったんよ、情けない話じゃろ、ごめんね、いつでも会える言うたんはそういう理由、さっきは暑いのに悪かったね」

2人で冷えた西瓜を食べることにします。

しかし2人で一玉の西瓜は食べきれません。

まだ1人に慣れていないので聖は食べきれない量の夕食を作ってしまったり、冷蔵庫に入りきらない買い物をしてしまうそうです。

いつになったらこの状況に慣れるのかは聖にも分かりません。

「・・・そういえばあんときありがとうね、鹿ノ子ちゃん」
鹿ノ子
「・・・?あの時?私聖さんに何かしましたっけ?」
「したよ、したした・・・今年の春先騎一郎の葬式のとき、葬式会場に入れてもらえんかった俺をわざわざ新幹線の駅まで追いかけてきてくれて騎一郎の骨をくれたじゃろ」

聖は騎一郎の両親に葬式への参列を拒否されました。

しかし追いかけてくれた鹿ノ子のおかげで遺骨を手に入れられたのです。

鹿ノ子
「あんなの別にお礼を言われるようなことじゃないわ、お父さんもお母さんも酷いんだもの、男の人同士だからって聖さんをお葬式に入れてあげないなんて、お兄ちゃんと聖さんは家族だったのに」

鹿ノ子だけは兄と聖の関係を理解していました。

ですが聖には自分と騎一郎が家族だったのかよく分かっていません。

「そう・・・そうだったんかね・・・」

聖は騎一郎の死をまだ引きずっているようです。

もしかしたら鹿ノ子よりもショックが大きいのかもしれません。

鹿ノ子
「入れることができなかった骨、ひと玉の西瓜、余らせてしまう料理、まだ聖さんはあの黄金色の家の中にいるのだろうか」

喜一郎が生きていた頃の家は、太陽の光で黄金色に輝いていました。

幸せだったことを比喩するような家の中から、まだ聖は抜け出せていられないのかもしれません。

 

 

墓所の中に亡くなった兄がいたという鹿ノ子のセリフがとても印象的でした。

騎一郎と聖の関係を受け入れた鹿ノ子の柔軟な考え方も素敵ですね。

少しずつホラーの要素を見せ始めていく『兄だったモノ』

鹿ノ子が聖と兄の墓参りに行った理由も少しずつ明らかになっていきます。

騎一郎の遺した言葉が鹿ノ子に影響を与え始めますよ。

後編

騎一郎が自宅療養してることを知った鹿ノ子が、東京から広島にやって来ました。

鹿ノ子
「困ったな・・・誰もいないのかな・・・今日会いに行くってお兄ちゃんには連絡しておいたけど・・・どうしよう・・・」

鹿ノ子はスマホを持っていないので連絡する方法がありません。

インターホンを何回も押しているうちに不安が大きくなってきました。

「ああ、ごめんなさい、庭におったけえ、ピンポンの音がよう聞き取れんで・・・ありゃもしかして鹿ノ子ちゃんじゃろ」
鹿ノ子
「よくわかりましたね、妹って・・・」
「わかるわかる、騎一郎とよう似とるもん」
鹿ノ子
「え・・・そんなこと初めて言われました・・・なんかイヤです・・・」

似てると思ったのは顔ではなく雰囲気です。

思春期の鹿ノ子は雰囲気の方が嫌だと感じてしまいました。

そんな鹿ノ子を聖が騎一郎の元へ案内します。

騎一郎
「よォ!久しぶりだな鹿ノ子!東京から広島まで遠かったろ?」
鹿ノ子
「・・・呆れた、本当に入院してなかったんだ」
騎一郎
「お?珍しい、心配してくれんのか?」
鹿ノ子
「そう思うなら今からでも入院しなよ!なんで自宅療養なんて選んだの・・・!」

呆れてしまった鹿ノ子は大声を上げてしまいました。

さらに母親もすごく怒っていることを伝えます。

騎一郎
「鹿ノ子!やめてくれ」
鹿ノ子
「あ・・・ご・・・っごめんなさい私・・・っ!」

自宅療養を否定することは、聖との生活を拒絶していると思われても仕方ありません。

すぐに誤解を晴らすため聖に謝罪します。

騎一郎
「言っとくが入院はしねェぞ、あそこの病院禿げたおっさんの先生しかいねえし」
鹿ノ子
「はぁ!なにそのワガママ」

2人を落ち着かせるため聖は冷たいものを用意することにしました。

その間に鹿ノ子と騎一郎は2人きりで話をすることにします。

騎一郎
「鹿ノ子、俺が聖に頼んだんだ、この家で死にたいって、悪いな、母さんにもそう伝えといてくれ」
鹿ノ子
「・・・分かった」

騎一郎は自分の命がもう長くないことを理解しているので、味気のない病院で死ぬよりも最期まで好きな人と一緒にいることを選びました。

これまで騎一郎は女性と付き合ってばかりいたので、鹿ノ子は兄が男性を好きになったことが意外だと感じています。

騎一郎
「しょうがないだろ、好きになっちまったんだから、それに俺の恋愛観はロミオとジュリエットなんだ、障害があれば燃えるってね」
鹿ノ子
「・・・何それ、相変わらずテキトーなんだから」

騎一郎が聖と知り合ったのは大学の時でした。

現在の聖は小説家で記事を書いたりもしています。

騎一郎
「聖の書いた記事読むか?」
鹿ノ子
「大丈夫、私ちょっと聖さんにさっきのこと謝ってくる、お土産も渡したいし」
騎一郎
「鹿ノ子、お前もきっとあいつに惚れるよ、よく似ているんだよ、俺とお前は、容姿とか背格好じゃなくてもっと根本的な部分が、だからきっとお前も聖を好きになる」
鹿ノ子
「・・・なにそれ、牽制ってこと?」

騎一郎は鹿ノ子を牽制しているわけではありません。

このまま騎一郎が亡くなってしまうと聖は独りぼっちになってしまいます。

意外と寂しがり屋の聖を心配した騎一郎は、誰かに聖の傍にいてほしいと願っていました。

現在の鹿ノ子が聖と墓参りをしたのは兄のお願いを叶えたかったわけではありません。

「泊まっていけばいいのに、部屋も余っとるし・・・」
鹿ノ子
「そこまで甘えられませんよ、ホテルも取ってあるし、それに私一応女子高生なんで」
「確かに今のはセクハラじゃの」

墓参りを終えたので鹿ノ子はホテルへ戻ることにします。

しかしまだ聖に伝えたいことが残っていました。

鹿ノ子
「聖さん、またここに来てもいいですか?」
「え?そりゃ勿論構わんけど・・・でもええん?新幹線代とか掛かるけえ無理せんでも・・・」
鹿ノ子
「だ・・・大丈夫です!貯金もあるし迷惑は掛けません!約束したんです、死ぬ前に兄と、聖さんは寂しがりやだからって」

約束を知らなかった聖は恥ずかしくなってしまいます。

赤くなった聖の頬を見た鹿ノ子は他にも理由があると誤魔化しました。

「ありがとう、俺も鹿ノ子ちゃんが来てくれたら嬉しいよ、やっぱりね騎一郎の言うように寂しいんよ、この家アホみたいに広いし一人じゃとね・・・あっこれじゃあほんまにこまい子みたいじゃ、恥ずかしいわ・・・っ」
鹿ノ子
「ありがとうございます、聖さん、それじゃそろそろ時間なんで行きますね、今日はご馳走様!お言葉に甘えてまた来ます、さようなら聖さん!それとお兄ちゃん」

笑顔の鹿ノ子が聖に挨拶をします。

すると聖の背後に不気味な黒い怪物が出現しました。

モノ
「ト、トルナ、トトトトト、ト、トルナ、オレノダ」

鹿ノ子は怪物の様子を冷静に見つめながら家を出ていきます。

最初から鹿ノ子は怪物の正体に気付いていました。

鹿ノ子
「あーあ、怖かったあ・・・お兄ちゃんたらずーっと睨んでくるんだもの・・・まあ仕方ないか、骨を渡したのはあの人との繋がりが欲しかったからだ」

遺骨を渡した行動は聖のために取ったものではありません。

兄と聖の関係を両親が激しく拒絶していたことを知っていた鹿ノ子は、あえて理解ある妹を装って聖に近づいたのです。

鹿ノ子は兄の骨を抱き泣きじゃくる聖の姿に、生まれて初めて恋を自覚しました。

同時に兄をずるいと感じたのです。

振り返ると鹿ノ子を見送る聖の背中を、怪物は誰にも渡さないと言わんばかりに抱き締めていました。

鹿ノ子
「呆れた、何がロミオとジュリエットよ、今じゃもう緑の目をした怪物のくせに」

緑の目をした怪物が鹿ノ子を睨んでいます。

鹿ノ子は怪物となった兄を相手に、聖を巡って賭けをすると決めました。

期限は自分の通帳が空になるまでで、その時まで鹿ノ子は東京と広島を行き来し続けます。

もしも期限が過ぎて聖が鹿ノ子を女として見ないなら負けで、一瞬でも鹿ノ子を女として見たら怪物となった兄の負けとなります。

鹿ノ子
「昔から綺麗なものが好きだった、海を閉じ込めたように煌めくビー玉やお姫様のドレスによく似合うネックレス、それらは全てクッキーの空き缶に大切にしまわれ、時折取り出して眺めることが幼い私の贅沢だった」

東京と広島を往復した新幹線のチケットも空き缶の中に入れました。

鹿ノ子にとってこのチケットはまだ一枚目です。

一枚目のチケットは残高を考えずに買ってしまいました。

これからは残高と相談しながら購入しなければいけません。

しかし来年は受験を控えているので、両親からはフラフラしないで勉強しなさいと言われています。

ただ母親は騎一郎と鹿ノ子の個性がそれぞれ異なると考えていました。

厳しい母親ですが鹿ノ子が騎一郎と同じ道を進むとは思っていません。

鹿ノ子
「馬鹿な母さん、私とお兄ちゃんこんなにも似ているのにね」

兄と同じ人を好きになった鹿ノ子の運命とは・・・!?

 

『兄だったモノ』を読んだ感想

物語が進むにつれて鹿ノ子の本心が明らかになっていく展開は見事な演出だと感じました。

兄が緑の目をした怪物に生まれ変わっていたシーンもインパクト抜群ですね。

歪な恋愛感情が怪物を生み出していく『兄だったモノ』

ファンタジーとしても楽しめますし、ホラー漫画を読んだ時のスリルも味わえる作品に仕上がっています。

鹿ノ子が賭けに勝利するのか、それとも怪物になった兄の執念が勝つのか注目していきたいですね。

 

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