今回は「漫画 浅見よう 原作 日向夏」先生の『聖女に嘘は通じない』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『聖女に嘘は通じない』はこんな漫画(あらすじ)
ミュトス王国はかつて魔女として追い立てられた者たちが行き着いた場所で、この国には魔法とは異なる特殊な能力を持つ者が時折生まれてきます。
祝福(ギフト)と呼ばれる能力を宿す者は圧倒的に女性が多くなっていました。
辺境の教会で神官見習いしているクロエは持ち前の優れた記憶力と洞察力で、夜な夜なカード賭博で荒稼ぎしています。
あまりにもカード賭博が強すぎるため、クロエはギフトを持った豪運の聖女と呼ばれるようになりました。
そんなクロエの前に聖騎士のエラルドが現れ、殺人事件の犯人を見つけてもらいたいと依頼してきます。
人気作家がタッグを組んでお届けする『聖女に嘘は通じない』
今回はファンタジーとミステリーを融合させた漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
謎解きの面白さを存分にご堪能ください。
『聖女に嘘は通じない』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
魔女として追い立てられた者たちが行き着いたミュトス王国には魔法と異なるギフトという力を持つ者が生まれます。

ギフトを持つ者は圧倒的に女性が多いと言われていました。
ミュトス王国辺境の教会で神官見習いのクロエが洗濯物を干しています。

にやけながら銀貨を数え始めました。
この銀貨は昨晩カード賭博で巻き上げたものです。

笑いが止まらないクロエにお客様が訪ねてきたことを伝えられました。
自分を訪ねてくる人は滅多にいないので、昨日の相手かもしれないと勘繰ってしまいます。

対話室に通されると思っていたのですが、クロエが連れて行かれたのは貴賓室でした。
着替えの必要があると思ったのですが、お客様は問題ないと仰っているそうです。
恐る恐る貴賓室に入ると神官長と見知らぬ青年がソファーに腰を掛けていました。


挨拶を済ませるとクロエはエラルドの格好をチェックします。
身に纏っている白い外套に蔦の留め具は教会に所属する聖騎士の証で間違いありません。

荒稼ぎはしましたが合法なので問題はないはずです。
ますます聖騎士の目的が分かりません。

試験の案内書を見せられた神官長とクロエはポカンとしてしまいます。
クロエはしっかり者ですが神子としての能力はありません。
この国ではギフトという神から与えられた超常的な力を持つ者が時折生まれ、十年に一度特殊なギフトを持った者の中から国の代表二人が選ばれます。
それが極めて特別な存在の神子で、毎回選ばれるのは美女が多く神秘的な力を使うことから聖女とも呼ばれていました。

クロエは美人だと言われますが聖女の器だとは思えません。
思わずエラルドが人買いだと疑ってしまいました。


いくらなんでも聖騎士にそこまでの力はありません。
神官長も初対面の聖騎士とクロエを二人きりにはできないと考えています。

エラルドがビルツ伯爵家の家紋が入った宝飾品を見せました。
ビルツ伯爵家はかつて王族相手にすら意見することができた歴史ある家です。

基本的には教会に伯爵家の権力は関係ありません。
しかしそれは表向きであってビルツ伯爵家の力は今も絶大なのです。




ここまでされては文句を言えません。
神官長が貴賓室から退室していきます。



エラルドの指示でイネスが袋を取り出しました。
袋を置いた時に聞こえた音は妙に愛着があります。

エラルドが袋を開けると百枚以上の金貨が入っていました。
金貨は一枚で銀貨二十枚分の価値があります。


ビルツ伯爵家の金と権力の前には個人情報など意味がありません。
一体エラルドはクロエについてどこまでの情報を持っているのでしょうか!?

心の声が表情に出てしまうクロエの姿が可愛らしかったです。
特に金貨を見た時の恍惚とした表情からクロエのお金への執着心が読み取れました。
大教会で起きた殺人事件の真相に迫っていく『聖女に嘘は通じない』
エラルドとクロエが高度な駆け引きでやり合っていきます。
豪運の聖女と呼ばれるクロエの優れた能力も明らかになりますよ。
後編
クロエを豪運の聖女と呼び始めたのが誰なのかは知りません。
ヴェールで顔を隠したクロエは夜な夜な酒場に通ってカード賭博を繰り返してきました。
負け知らずのクロエはいつしか豪運の聖女と呼ばれるようになったのです。
ミュトス王国に聖職者の賭博を禁止する規範はありません。

エラルドの言葉を白々しく感じますが、確かに大負けした相手から恨まれることは減っていました。
それほど豪運の聖女という名前はミュトス王国に浸透しているのです。
クロエは金と権力で情報収集していそうなエラルドに隠し事をするのは無駄だと判断しました。

ミュトス王国では一度につき銀貨五枚以内、詐欺やイカサマを行わなければ賭博が違法とされることはありません。
集めた銀貨百枚はコツコツと積み上げてきたものです。
当然ですがイカサマも行っていません。
昨晩、隣町で行われた酒場でのカード賭博についてはイネスが調べ上げていました。
クロエは鉱山で働く鉱員たちから銀貨百二枚を巻き上げています。


エラルドは調査結果からクロエがギフトの持ち主だと判断しました。
ですが事実は違っていたのです。


証拠を見せるためにクロエがカードを裏返しにして机の上に並べました。
そしてめくる前にカードの数字を言い当てます。

場所を覚えておけばあとはどのカードが残っているのか、自分に必要なカードが来る確立を考えながら相手の動向を伺えば負けることはほとんどありません。
つまりクロエの能力はギフトなどという不可思議な神秘の力ではないのです。



カードをシャッフルしたエラルドは、自分が引いた一枚のカードを言い当てて欲しいとお願いしました。
クロエはエラルドのカードがハートの三であることを言い当てます。
しかしクロエが言い当てたのはギフトの力ではありません。



判別できるようになるためには訓練が必要です。
ただカードに慣れた人間なら相手の一挙一動を観察し些細な動きを見逃しません。
相手の癖を短時間で読みわずかな感情の変化を逃がさず、相手の行動の虚と実を見極めることが大切なのです。
もちろんカードなので運が関わってくるので絶対に勝てるわけではありません。


幼い頃からクロエは記憶力と洞察力を高めるための訓練を仕込まれてきました。
その結果、ギフトは持っていませんが豪運の聖女と呼ばれるようになったのです。



ギフトを持っていなければ聖女になることはできません。
納得できないクロエにエラルドは神子になる必要がないと説明します。


エラルドの目的は神子候補を殺害した犯人を捕まえることでした。
驚きながらクロエがエラルドの瞳を観察すると瞳孔は開いていません。
人間は嘘をつく時動揺を見せるので、本当のことを言っている瞳でした。



金貨に目がくらんだため依頼を引き受けてしまいます。
優れた洞察力と記憶力でクロエは犯人を見つけることができるのでしょうか!?
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『聖女に嘘は通じない』を読んだ感想
クロエとエラルドの駆け引きに見入ってしまいました。
どちらも自分の目的と利益を優先していますが、結局は金貨に目がないクロエがエラルドの依頼を引き受けてしまいましたね。
カード賭博で鍛えた洞察力と記憶力で殺人事件を解決していく『聖女に嘘は通じない』
事件の調査が始まる前から読み応え抜群のストーリーになっているので、第2話以降にとても期待が持てました。
幼い頃から訓練してきた能力で大活躍するクロエの姿がどのように描かれるのかワクワクしています。
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