チ。-地球の運動について-のネタバレ(漫画)!試し読み情報も!

今回は「魚豊」先生の『チ。-地球の運動について-』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『チ。-地球の運動について-』はこんな漫画(あらすじ)

15世紀のヨーロッパでは天動説が信じられていました。

宇宙の中心に存在しているのが地球だということを誰もが疑わない時代に、異端とされる思想を持つ人々が現れます。

飛び級で大学進学を決めた神童のラファウは合理主義者のため、異端思想の持ち主たちを馬鹿にしながら生きてきました。

当時の世界で最も重要だとされていた神学を専攻することにしたラファウだったのですが、異端思想を研究する人物との出会いで運命が変わってしまうことになります。

天動説を真っ向から否定して自らの美学を貫こうとする主人公の運命とは・・・!?

歴史を変えた人々の情熱を表現した『チ。-地球の運動について-』

今回は胸が熱くなるヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

命よりも信念を大切にした人々のカッコ良さを興奮しながら読んでみてください。

 

『チ。-地球の運動について-』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

中世のヨーロッパでは硬貨を捧げればパンが得られ、税金を捧げれば権利を取得でき、労働に奉仕すれば報酬を得られました。

しかしこの世界の全てを知るために何を捧げれば良いのか分かっている人間は存在していません。

それでも好奇心が強い人間の中には世界の真理を把握したいと思う者が現れるものです。

15世紀のヨーロッパでは宇宙の中心が地球であるという天動説が信じられていました。

そんな世の中でも世界の真理を解明しようと考えた研究者の中に天動説を否定する人物が現れます。

彼らは天文学を研究することで自身の説を立証しようとするのですが、異端思想を許さない宗教団体に邪魔されていました。

この日も1人の学者が異端思想の疑いをかけられ拷問されています。

結局この学者は火あぶりの刑によって処刑されてしまいました。

異端思想が許されない世界でラファウは優等生として将来を期待されています。

いつものように授業を受けていると、先生から宇宙の中心にあるものが何か質問されました。

ラファウ
「宇宙の中心は勿論、地球です、根拠はいくつかありますが、アリストテレス曰く重い物体は下に落ちる、地上で物が常に落下するのは地球が宇宙で最も低い地点、中心にあるからです」

模範的な解答で義理の父親である先生から褒めてもらえます。

このように優秀なラファウは神童と呼ばれていて、すでに飛び級で大学進学を決めていました。

大学ではこの時代に学問の頂点だとされていた神学を専攻することにしています。

そのことを発表するとクラスメイト達が拍手で讃えてくれました。

ラファウ
「世界チョレー、大変申し訳ないがこの世はバカばっかだ、かく言う僕も孤児として産まれ我ながら貧困で惨めで不憫で脆弱と詰み要素満載だった、が、その前に生きるのが上手かった、それも凄く」

ラファウの信条は合理的に生きることです。

無為な感情や無駄な欲望に惑わされてしまえば人生を快適に過ごすことはできません。

そこでラファウは合理的に生きることで美しい人生を過ごすことにしたのです。

しかし優等生を演じるラファウは唯一この世界が許していない天文学に興味を持っていました。

星空を観測することが唯一の楽しみになっていたのですが、義父から天体観測を中止することを命じられます。

大学への進学が決まった今は神学の勉強に全てを捧げなければいけないため、天文学に時間を割いている訳にはいきません。

合理主義者のラファウは義父の命令に従うことにしました。

そんなラファウに義父が知人のフベルトという人物の身柄を引き取ってほしいとお願いしてきます。

フベルトは異端者として拘束されている研究者なので、ラファウは身柄を引き取って良いのか分かりません。

しかし義父によるとフベルトは改心したため釈放されたそうなのです。

身柄を引き受けることにしたラファウは帰宅すると神学の勉強を始めました。

義父の命令が当然だと感じながら勉強しようとするのですが、窓から差し込む月明りが気になりだします。

ラファウ
「いやいや空のことは忘れろ、あんなのどうでもいい、規則正しく決まって動く星に一時は合理的な美しさがあると思ったが、蓋を開ければ複雑な軌道計算とバラバラな星の集まり・・・天文を続けるのは合理的じゃない」

人間が宇宙の真理を解明するのはまだ先の話だと考えたラファウは、天文の研究を諦めることにしました。

ですがフベルトの身柄を引き取りに行ったことでラファウの運命は大きく変わってしまうことになるのです。

異端者として拘束されたフベルトはラファウにどのような影響を与えるのでしょうか!?

 

 

天動説と地動説の対立をテーマにした真新しい物語に仕上がっていますね。

その中で合理的な考え方を徹底しようとするラファウの姿が印象的でした。

自らの信念に従おうとする人々が世論と真っ向から対立していく『チ。-地球の運動について-』

現代では当たり前となっている常識を、過去の人間にどのような方法で説明するのかが見所になっています。

地球と宇宙の関係性と向き合う人々の強い意志を感じ取ってみてください。

後編

神学の勉強に全てを捧げろと命じられた翌日、ラファウは異端者として拘束されていたフベルトの身元を引き取りに行くことにしました。

その道中、街中で異端者の処刑が行われています。

ラファウは神に逆らった異端者のことを自業自得だと思いながら街中を通り過ぎて行きました。

そして城門前に到着すると兵士に自分の身分を伝えます。

ラファウ
「すいませーん、ボトツキの使いです、フベルトを引き取りに」

兵士はすぐにフベルトを連れて来てくれました。

いつも冷静なラファウなのですが大柄なフベルトの体格と、傷だらけの顔面に戸惑ってしまいます。

それでも作り笑顔で自己紹介をしました。

フベルト
「私は君に利益を与えない、好かれようと作り笑顔なんてしなくていいぞ」
ラファウ
「えっ、いや」

無表情のままフベルトが道案内を求めてきます。

どのような言葉をかけて良いのか分からないままラファウはフベルトを案内することにしました。

フベルト
「・・・聞いたぞ、大学へ行くんだって?」
ラファウ
「はい!光栄なことに!これも支えてくれた皆と神様のおかげで」

あくまでも周囲に支えられてきたおかげをアピールします。

しかしフベルトはラファウが天文学に興味を持っていることに気付いていました。

フベルト
「専攻は天文か?星を観るんだろ?アストロラーベを持ち歩くなんて」

ラファウは天体観測器具のアストロラーベを腰にぶら下げています。

そのことからフベルトはラファウが天文を専攻していると考えました。

ラファウ
「あっい、いやこれは、なんというかただの嗜みでそろそろやめようかと・・・大学では神学を」
フベルト
「ふん、不純だな」

神学の専攻を不純な動機からだと言い切ります。

本心を見抜かれてしまったラファウには返す言葉がありません。

そのため話題を変えようとします。

ラファウ
「フベルトさんは以前なんの研究を・・・」
フベルト
「そっちの蝋板、観測記録か?見せてくれ」

断ろうとするのですがフベルトに蠟板を奪われてしまいました。

ラファウの蠟板には六等星の姿が描かれています。

その完成度をフベルトが褒め称えてくれました。

ラファウ
「あ・・・で、でもソレ走り書きで・・・ウチにもっと正確に清書したものがありますよ!」
フベルト
「本当か!?是非見たい、これで研究が続けられる!」

もちろん清書を見せることは構いません。

しかし研究を続けるという言葉が気にかかります。

ラファウ
「え?研究?もう研究はやめたのですよね?」
フベルト
「私は学者だ、誰に何を言われても研究を棄てるつもりはない」

異端者として拘束されたフベルトは、拷問から解放されるため改心したフリをしていました。

元々、誰に何を言われても研究を続けるつもりだったのです。

ラファウ
「な、なんで今全部バカ正直に言うのですか?」
フベルト
「それは今から君を脅迫するからだ」
ラファウ
「えっ、えぇ!?」

ここでフベルトが被っていたフードを脱ぎました。

そのままラファウを壁まで追い詰めていきます。

フベルト
「いいか?研究には観測が必要だ、しかし私は目が弱ってしまった、だから君を利用する、異端者は2度捕まったら即死刑だ、次はない」

フベルトはやり残した研究があるため戻ってきました。

研究のためなら火の中に飛び込む覚悟も出来ています。

そんなフベルトは協力を拒んだり、研究の妨害をしたらラファウを殺すと言ってきました。

拒否できないラファウはフベルトが指定した観測地へ向かいます。

ラファウ
「す、凄い!来てよかった!こんなにクッキリ見えるなんて!」

本当はフベルトの命令を拒否するつもりでしたが、観測地から見える星空に魅了されました。

喜ぶラファウに対してフベルトは自らが進めている禁断の研究について説明していきます。

この世界では地球を中心に宇宙が回っていると考えられていました。

しかしフベルトこの真理を美しくないと考えていて、逆に地球が回っているという結論に達したのです。

フベルト
「私の宇宙では地球は2種もの運動をしている、そこでは太陽は静止しバラバラだった惑星は連鎖して動き、宇宙は一つの秩序に統合され常識は覆り美しさと理屈が落ち合う、これが私の研究だ、そうだなそれを地動説とでも呼ぼうか」

フベルトは地球が宇宙の中心ではないことを確信していました。

ラファウもこの地動説に納得してしまいます。

こうして新たな異端者が誕生してしまいました。

世界を敵に回した彼らは自分たちの真理を解明することができるのでしょうか!?

 

『チ。-地球の運動について-』はこんな人にオススメ

歴史ものとヒューマンドラマが好きな人にオススメの作品です。

世界を相手に常識を覆そうとする人々の情熱が見事に表現された物語になっていますよ。

弾劾されても自らの信念を曲げない人々の熱い姿を描写した『チ。-地球の運動について-』

異端者たちが宇宙の真理を解明しようとする様子をドキドキしながらご覧ください。

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