今回は「東村アキコ」先生の『銀太郎さんお頼み申す』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『銀太郎さんお頼み申す』はこんな漫画(あらすじ)
カフェでアルバイトをしている25歳の岩下さとりは、着物がよく似合う美人と知り合いました。
美人の影響で着物に興味を持つようになりましたが、日本人なのに着物の知識が全くありません。
そこで着物美人の仕事を手伝う代わりに着物を着させてもらうことにします。
すると日本の伝統的な文化に魅了されました。
自分の知らない美しいものと言葉を知りたくなったさとりは着物美人に弟子入りを志願します。
古き良き日本の伝統文化を題材にした『銀太郎さんお頼み申す』
今回は教養が身につくヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
さとりが成長していく様子を見守ってください。
『銀太郎さんお頼み申す』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
カフェでアルバイト中のさとりを着物美人の師匠が訪ねてきました。
岩下さとりは新宿追分ビルの1階に入っているカフェでバイトしています。
25歳のさとりは趣味がTikTokで彼氏はいません。
着物美人の師匠とはこの前の冬に知り合いました。
師匠は器屋の仕事をしていて全国を飛び回っているらしいのですが、名前はまだ教えてもらっていません。
名前を教えないまま師匠が歩きだします。
師匠は着物だけでなく素敵な帯を締めていました。
師匠の口から出る言葉は日本語なのですがさとりの知らない日本語です。
紗も観世流水も前に聞いたことはありますが意味は分かりません。
そのまま着付けの先生を訪ねます。
8月になり暑くなってきたので着付けのヨシエ先生は食欲が無くスイカしか食べられていません。
さとりは観世流水を完全流水だと勘違いしています。
間違いを正さない師匠は観世流水はさとりには地味だと説明しました。
しかしさとりは顔が地味なので似合うと主張します。
若い時だからこそ華やかな色が似合うと思うので、師匠は残念だと感じてしまいました。
ヨシエ先生はさとりのために桐たんすから流水の小紋が入った着物を出してくれます。
引き出しが薄い桐たんすをさとりは見たことがありませんでした。
母親も着物を着ないし実家はマンションなので桐たんすは置いていません。
桐たんすの引き出しを開けるとどの段にも白い紙しか入っていませんでした。
師匠はさとりが聞き間違えしている日本語をメモに書いて渡してくれます。
調べたくてもヒアリングできていなかったので助かりました。
有り難いと感じながらさとりは改めて日本人なのに着物について何も知らないことを実感します。
今の若い子はさとりと同じで着物についての知識がないのかもしれません。
確かに自分が着ている洋服のことなら着物よりも知識は豊富です。
師匠も普段から着ているので着物について詳しくなっていました。
師匠にも首の後ろにさとりよりも小さな衣装ぼくろがあるそうです。
衣装ぼくろは一生着るものには困らない衣装持ちになるという言い伝えがありますが、お金には困るかもしれません。
着物を着るようになった時期も尋ねてみます。
ですがお師匠は答えてくれませんでした。
そのままヨシエ先生が着付けを終えるまで待つことになります。
待っている間もさとりは自分が師匠のように着物を美しく着られるのか考えていました。
どのくらい修行すれば師匠のように着物を着こなすことができるのでしょうか!?
知識がなくても直感で着物に魅了された岩下さとりがとても可愛らしかったです。
さとりに名前すら教えないお師匠はミステリアスなキャラクターですね。
着物に関する知識がふんだんに散りばめられている『銀太郎さんお頼み申す』
ここから少しずつお師匠の人物像が明かされていきます。
作品タイトルにどんな意味が込められているのかもハッキリしますよ。
後編
ヨシエ先生のおかげでさとりが着替え終わりました。
薄さに違いがあるわけではありません。
紗と絽では織り方が異なるのです。
詳しい説明を省いたままお師匠がさとりを“銀太郎ごのみ器展”の会場へ連れて行きました。
銀太郎っぽい男性が出迎えてくれます。
今日はお客さんが多いそうなので助かると言ってもらえました。
声を掛けてきたのは黒い着物の龍子という女性です。
お師匠と知り合いの龍子はさとりの帯が地味だと言ってきました。
さとりの目が真ん丸で大きなことをお師匠は気に入っているようです。
しかし龍子は納得していません。
会話についていけないさとりは頭がこんがらがってきました。
龍子の顔は怖いのですがお師匠が自分のことを庇ってくれていることは何となく分かります。
さとりは龍子のことを若い子に着物のダメ出しをする着物警察だと思っていました。
しかしお師匠と龍子は着物のことでやり合うのを楽しんでいるそうです。
ただお師匠と龍子は好みが違っていて、龍子は衿をあまり抜かずに帯も四角く平らにしていました。
龍子からするとお師匠の衿は抜き過ぎなのかもしれません。
またお太鼓は関西風なのでそもそも趣味が異なります。
謎めいている美人の師匠は自分のことをあまり話しません。
そんな師匠はSNSで自分のことを発信する時代とは逆行しています。
さとりにはそんな師匠がミステリアスで美しく感じました。
ですが名前くらいは知りたいと思っています。
器展に出迎えてくれた男性にさとりは声を掛けました。
しかし銀太郎の名前に反応したのはお師匠です。
銀太郎は芸妓時代の名前で、龍子によるとお師匠は京都で有名な美人芸妓だったそうなのですが本人は否定しました。
芸妓は男名前を使うのが一般的なのです。
銀太郎と龍子のやり取りを見ていたさとりは、お頼み申すという言葉が昔風でカッコイイと感じました。
髪を大きく結ってもらい薄くて少し透けた着物を着せてもらった今の自分は江戸時代にタイムスリップした気分になっています。
着物の柄が身体の上に流れて身も心も清まっている感覚も味わえていました。
知らないことばかりなのでさとりはワクワクしているのです。
そこで改めて弟子入りを希望しました。
こうしてさとりの修行が幕を開けたのです。
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『銀太郎さんお頼み申す』を読んだ感想
知らないものに美しさと魅力を感じられるさとりの感性が素晴らしいと思いました。
頭を下げられる素直な性格もさとりの魅力ですね。
ユーモアを交えながら和の文化を伝えていく『銀太郎さんお頼み申す』
現代っ子が着物文化に魅了されていきます。
さとりと一緒に日本の伝統文化に感動してください。
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