今回は「西炯子」先生の『お父さん、チビがいなくなりました』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『お父さん、チビがいなくなりました』はこんな漫画(あらすじ)
菜穂子の両親である勝と有喜子は結婚44年目を迎えました。
3人の子どもが巣立った現在は東京の静かな街に建てた実家で平穏に暮らしています。
このまま晩年を過ごしていくと思われていたのですが、急に有喜子が離婚を考えていると菜穂子に打ち明けました。
そんな時飼い猫のチビが姿を消してしまいます。
老夫婦の姿を通して愛情の大切さを表現していく『お父さん、チビがいなくなりました』！
今回はこちらのヒューマンドラマについて、ネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。
数々の名作を世に送り出す西炯子先生の傑作漫画は映画にもなりました。
見応えのあるストーリーを夢中になって堪能してください。
『お父さん、チビがいなくなりました』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
東京の閑静な街の中にある菜穂子の実家は、今年で70歳になる父親が37歳の時に建てました。
現在は3人の子どもが巣立ったため両親が2人で暮らしています。
その実家から父親の勝が母親の有喜子を呼ぶ声が聞こえてきました。
仕方なく有喜子がバスタオルを持って浴室へ向かいます。
有喜子が茶の間に戻ると再び勝に呼ばれてしまいました。
世話のかかる勝は口数が多くありません。
そのため有喜子は少ない言葉から勝の求めていることを判別しているようです。
平穏に暮らしている2人は今月で結婚生活44年目を迎えました。
現在は飼い猫のチビと暮らしています。
勝は会社を退職後、嘱託の相談役として週2日で仕事を続けていました。
そんな勝に対して有喜子はそろそろ引退してもらいたいと考えています。
有喜子はゆっくりと時間を作ってもらい夫婦旅行に出かけたいと思っていました。
しかし勝は食事を終えると何も言わず茶の間を出て行ってしまいます。
いつもこのように勝は有喜子の言葉に反応をしてくれません。
仕方なく有喜子は晩ご飯の食材を買うため商店街へ行くことにします。
すると商店街で知り合いの夫婦に会いました。
この夫婦も有喜子たちと同年代なのですが、勝とは違って旦那が妻を優しくサポートしています。
さらに定年後は夫婦旅行を楽しんでいました。
有喜子にとってこの夫婦は理想の姿に映っているようです。
一方その頃、将棋会館に行っていた勝が自宅に戻りました。
郵便を受け取った勝だったのですが、有喜子が買い物に出かけているためどうすればよいのか分かりません。
するとようやく有喜子が帰宅してくれました。
有喜子は商店街で会った夫婦のことを話しながら晩ご飯の支度を始めます。
相変わらず無言の勝は有喜子に受け取った郵便を渡しました。
娘の心配をしているとチビが勝の足元にくっついてきます。
ここまでは昭和の亭主関白な夫婦として暮らしている勝と有喜子。
しかし有喜子の心には結婚生活に対しての不満が蓄積されていたのです。
勝はそのことに気づくことができるのでしょうか！？
どこにでもありそうな老夫婦の姿を丁寧に描いていますね。
無骨な夫と献身的な妻の日常生活が印象的でした。
老夫婦の間に入った小さな亀裂が物語を面白くさせていく『お父さん、チビがいなくなりました』！
ここから娘の菜穂子を交えながら家族の絆を表現していきます。
自分にも起こるかもしれないストーリーを感情移入しながら読んでみてください。
後編
有喜子が菜穂子の結婚を心配していた頃、当の本人は勤務先の飲料メーカーで課長への昇進が決まっていました。
しかし年上の同僚である彼氏は菜穂子の昇進を喜べないようです。
彼女の部下になることを受け入れられない彼氏は菜穂子に別れを告げてしまいました。
彼氏と別れた菜穂子は同窓会のお知らせを受け取るため実家へ戻ることにします。
菜穂子が実家へ戻る前日、勝と有喜子は相変わらずの夫婦生活を送っていました。
しかしいつものように勝は何も言わず寝てしまいます。
翌日、菜穂子が久しぶりに実家へ戻ってきました。
有喜子は同窓会のお知らせを渡しながら食生活の大切さを伝えます。
ですが菜穂子は忙しいため食生活を見直す気がありません。
チビと遊びながら父親の所在を聞くといつものように将棋会館へ出かけていました。
チビは雨の日に川で流されていたところを菜穂子が助けてあげた拾い猫です。
そんなチビが13歳になったことで菜穂子は時間の流れが早いことを実感していました。
兄や姉ともたまに連絡を取り合っていることを聞いて有喜子は安心したようです。
するとここで有喜子の口から衝撃的な言葉が飛び出しました。
菜穂子には母親の言葉が何を意味しているのか理解できません。
この時、勝と有喜子は結婚記念日を10日後に控えていました。
菜穂子はこれまで両親が離婚するなど考えたこともありません。
平穏に何事もなく夫婦と猫が老後を幸せに過ごしていくのだろうと考えていました。
しかし母親は熟年離婚を秘かに決意していたのです。
その決意を仕事と将棋以外に感心の無い勝は気づいていませんでした。
勝の会社は自宅から電車で1時間半かかります。
何十年間、勝は同じ時刻の電車に乗り終電までには帰宅するという行動パターンを繰り返してきました。
相談役になってからも夕食までには必ず帰宅しています。
そんな中、有喜子は小野さんの友達と旅行へ出かけることになりました。
勝は何も言わず旅行を許してくれます。
しかしこれが老夫婦が破綻する第1歩となってしまいました。
チビは何かを感じ取ってしまったのでしょうか！？
老夫婦の結婚生活とチビの行方は実際に漫画を読んで確かめてみてください。
西炯子先生の他の漫画に関する記事はこちらです↓↓↓
『お父さん、チビがいなくなりました』映画のキャストは？
結婚生活に幸せを感じなくなった妻と、それに気づき始めながら素直になれない夫婦の姿を読んで胸が切なくなりました。
多くの人が体験するかもしれない身近な社会問題にスポットを当てた『お父さん、チビがいなくなりました』！
この漫画は映画化されたこともあり話題を集めています。
映画では有喜子役に倍賞千恵子さん、勝役を藤竜也さん、そして菜穂子役には市川実日子さんがキャスティングされました。
映画でも漫画と同じように家族の絆や胸が締め付けられるシーンを丁寧に表現しています。
漫画を読んだ後は映画も見てみるとこの作品の面白さがより伝わると思いますよ。
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