“文学少女”と死にたがりの道化のネタバレ!あらすじと感想も!

今回は「原作 野村美月 作画 高坂りと」先生の『”文学少女”と死にたがりの道化』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

“文学少女”と死にたがりの道化』はこんな漫画(あらすじ)

高校二年生の井上心葉(いのうえこのは)は平凡な中学時代を過ごしていた頃、謎の天才美少女作家として日本中の注目を集めました。

ペンネームを井上ミウという女の子の名前にしたため男性であることを明かせなくなった心葉。

しかし現在は平穏な高校生活を送りながら再び執筆活動を始めています。

心葉が執筆を再開させた理由は本物の文学少女・天野遠子先輩と出会ったためでした。

古今東西の物語や文学を食べてしまうほど愛している遠子先輩のため、心葉は次々と作品を執筆していくことになったのです。

名作文学をモチーフにしながら少年と少女の青春物語を綴っていく『”文学少女”と死にたがりの道化』

今回はミステリアスな学園サスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます!

チャーミングでユーモアあふれる物語をじっくりとお楽しみください。

 

“文学少女”と死にたがりの道化』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

この物語は太宰治の人間失格という作品の『恥の多い生涯を送ってきました』という文章から始まっていきます。

井上心葉
「恥の多い生涯を送ってきました、あれ?これって誰の言葉だっけ?」

作品の執筆をしている井上心葉は太宰治の作品だということに気がついていません。

しかしそのことはあまり気にしていないようです。

井上心葉
「高校二年生になったばかりで生涯なんて大袈裟かもしれないけど、十四歳のたった一年の間にぼくの人生は一旦終了してしまったような気さえするのだ」

14歳だった時、心葉は謎の天才美少女作家として日本中の注目を集めました。

当時の心葉は友達と好きな女の子がいるという至って平凡な中学生活を過ごしていて、その中で彼は生まれて初めて書いた小説を文芸雑誌の新人賞に応募したのです。

すると史上最年少で大賞を獲得してしまいました。

心葉が執筆したリアルな文体と瑞々しい感性が審査員に絶賛されたのですが、井上ミウというペンネームだったため美少女作家と勘違いされてしまいます。

出版社も女子の方がウケが良いという理由で美少女作家として井上ミウを売り出していきました。

井上心葉
「釈然としないまま受賞作が出版され、それがたちまちベストセラーになってしまい社会現象にまでなってしまった」

莫大な額の印税が入ってくる中、心葉は次第に罪の意識を感じていきます。

電車に乗れば学生たちが井上ミウのことを清楚で可憐な文学少女だと想像していました。

その様子を見るたびに心葉は申し訳ない気持ちで一杯になっていきます。

井上心葉
「スミマセン、もう勘弁してください、出来心だったんです、あんなの文学だなんてご立派なものではないんです」

心葉の作品は授業中に落書きしただけのものでした。

ノートに落書きしたものが新人賞を受賞するなんて思っていなかった心葉は、注目を集めたことを後悔していたのです。

井上心葉
「才能なんてありません、もうもう許してください」

罪の意識に苦しめられていく心葉はもう執筆する気になどなれません。

さらにストレスから過呼吸を起こしてしまい学校で倒れてしまいました。

その後は小説を書くことができず登校拒否になってしまいます。

家族に心配ばかりかけた恥さらしな1年を過ごした心葉。

井上心葉
「かくして謎の天才覆面美少女作家・井上ミウはたった一冊の本を残して消滅し、ぼくは普通に受験し合格し高校生になった」

平穏な日常を取り戻した心葉は現在、新たな作品を執筆しています。

彼が執筆を再開させたのは1年前の出会いがきっかけでした。

井上心葉
「シンと輝く真っ白な木蓮の下で本物の”文学少女”天野遠子先輩に出会ってしまったせいだった」

遠子先輩は今時珍しい長めの三つ編みをした大人っぽい女の子です。

彼女の姿に見惚れる心葉だったのですが、とても不思議な光景を目撃してしまいました。

小説を読んでいた遠子先輩が本のページをちぎって食べ始めたのです。

井上心葉
「え?えええ?」

満足そうな表情を浮かべながら本のページを食べてしまった遠子先輩。

いったい彼女はなぜ本を食べているのでしょうか!?

 

 

高校生でありながら人生を達観したような心葉のキャラクターにユーモアを感じました。

彼が中学生の時に美少女作家としてデビューした設定も愉快ですね。

様々な有名文学と高校生の青春をかけ合わせていく『”文学少女”と死にたがりの道化』

ここから心葉よりもチャーミングでコミカルな遠子先輩の正体が明らかになっていきます。

本を食べる道化の実体に注目しながら続きをご覧ください。

後編

本を食べた遠子先輩に見惚れていると心葉の視線に気がついたようです。

遠子先輩
「み、見たわね」
井上心葉
「えーと、えーと、ゴメンナサイ」

悪いことをした訳ではないのですが思わず謝ってしまいました。

遠子先輩
「きみ名前は?クラスは?」
井上心葉
「井上心葉、一年三組です」

心葉が1年生だと知った遠子先輩は自分が所属している文芸部に心葉を勧誘します。

遠子先輩
「きみが秘密をバラさないように側で見張ることにするわ、今日からきみは文芸部よ」

可愛い笑顔を浮かべながら強引に勧誘してきました。

しかし心葉は文芸部に入部する気などありません。

井上心葉
「ちょっ、ちょっと待って、ぼく文芸部は、だいたいあなた誰ですか」
遠子先輩
「わたしは二年八組、天野遠子、ご覧のとおりの”文学少女”よ」

これが心葉と遠子先輩の出会いだったのです。

その後、仕方なく文芸部に入部した心葉は日常的に遠子先輩と一緒に読書をする機会が増えました。

ただし遠子先輩の読書は普通ではありません。

彼女はお気に入りの本を読みながら当たり前のようにページを食べてしまうのです。

井上心葉
「ああ食べてる・・・食べてるよ、何度見てもシュールだ」
遠子先輩
「やっぱりギャリコは美味しいー!」

この日、遠子先輩が食べている本の作者はニューヨーク生まれの小説家ポール・ギャリコでした。

ギャリコは1980年代にデイリーニュースのスポーツコラムニストとして人気者となり、最も高給取りのスポーツライターと呼ばれるようになっていきます。

1930年代前半にはスポーツライターを辞め小説家になりました。

ギャリコの代表作である「スノーグース」は1941年に英語の優れた短編小説に贈られるオー・ヘンリー賞を受賞しています。

遠子先輩は数ある作品の中でも「スノーグース」がお気に入りとなっていました。

この作品は孤独な画家と少女が心を通わせる様子を描いていて、お互い想い合っていることを言葉にしない清らから恋模様が特徴です。

遠子先輩
「いい?心葉くん、べらべらしゃべっちゃダメなのよ?本当に大切な想いは墓場まで抱いてかなきゃあ、口を閉ざし耐えるところに切なさと美しさがただようのよ」

何度もラストシーンを読んで涙を流している遠子先輩は、ギャリコの作品が最上級のソルベの味がすると表現しました。

しかし小説がソルベの味をするということが心葉には理解することができません。

井上心葉
「ソルベの味って、遠子先輩は妖怪だから文学以外のものを食べても味がわからないんでしょう?」
遠子先輩
「いいのっ、そこは想像力でカバーするのっ、それに妖怪って差別用語よ、わたしはこの世のありとあらゆる物語や文学を食べてしまうほど深く激しく愛しているごくごく普通の可憐な高校生でただの文学少女です」

遠子先輩はあくまでも自分が普通の女子高生だと思っています。

井上心葉
「一般的な女子高生は本を食べたりしないと思いますけど、少なくともぼくの十六年の生涯でそんな珍妙な女子高生は遠子先輩以外見たことないし聞いたことないですよ」

珍妙と言われたことで遠子先輩が不機嫌になりました。

遠子先輩
「心葉くん、きみって家で薔薇の花にナンシーとかベティとか名前をつけて大事に育ててそうな優しい顔してるくせに先輩に対してデリカシーが足りないと思うわ」
井上心葉
「デリカシーが足りないのはどっちなんだか」
遠子先輩
「まぁいいわ、わたしの心はアンドロメダ星雲のように広いから生意気な後輩の失言くらい大目に見てあげる、それよりおやつできたー?」

遠子先輩がおやつと言っているのは心葉が執筆している三題噺のことです。

食べ物や水の代わりに物語を食べてしまう妖怪の遠子先輩。

井上心葉
「一年前ぼくはどういうわけかこの三つ編みの文学少女に文芸部に引っ張り込まれ、以来放課後になると”おなかすいたー、なんか書いてー”とねだられるまま詩やら作文やらを書き散らしているのだった」

心葉は遠子先輩の味覚を満足させるような傑作を生み出すことができるのでしょうか!?

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“文学少女”と死にたがりの道化はこんな人にオススメ

サスペンスとファンタジーがミックスされたストーリーになっています。

どちらのジャンルが好きな人も満足させる完成度の高い作品ですよ。

漫画選びで迷った人にオススメしたい『”文学少女”と死にたがりの道化』

小説などの文学作品を勉強できる一面も持った素晴らしい漫画です。

コミカルな展開と謎解きの伏線を楽しんでみてください。

 

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