今回は「小手川ゆあ」先生の『死刑囚042』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『死刑囚042』はこんな漫画(あらすじ)
田嶋良平は立件できただけでも7人の命を奪った殺人犯です。
一切の感情を持っていない殺人鬼の彼は、死刑囚042号として収監されることになりました。
そんな中、日本の死刑制度と終身刑制度が廃止されることが決定します。
この決定を受けた法務省の椎名は、死刑囚に無償労働をさせる計画を立てました。
椎名はこの計画の臨床実験をするため、サンプルとして田嶋に白羽の矢を立てることにします。
興奮すると爆発するチップを脳に埋められた田嶋の壮絶な運命を描いていく『死刑囚042』！
今回は日常に潜む社会問題を題材にしたヒューマンドラマの魅力について、ネタバレを含みながらご紹介していきます。
人気漫画家の小手川ゆあ先生の世界観を夢中になってお楽しみください。
『死刑囚042』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
罪のない7人の命を奪った田嶋良平は、死刑囚として刑務所に収監されています。
光が差し込まない独房の中で、田嶋の聴覚は敏感になっていました。
そんな彼の体に刑務官がホースで水をかけていきます。
水の勢いで田嶋が咳き込んでも関係ありません。
ずぶ濡れになった田嶋の横に食事を置くと、刑務官が立ち去っていきます。
すると食事を終えた田嶋の元に再び刑務官が姿を現しました。
いつもはこの時間に来ることがないため、田嶋は戸惑っているようです。
刑務官たちは戸惑う田嶋を風呂に入れ、髭や髪の毛をキレイにしてくれました。
そのまま署長室に連れて行かれた田嶋は、いよいよ死刑が執行されると感じています。
ですが署長室で彼を待っていたのは死刑執行ではなく、法務省のエリート官僚でした。
彼らが存在する日本では刑法が改正されることになり、死刑制度と終身刑制度が廃止される予定となっています。
しかし田嶋のような死刑囚を簡単に一般社会へ解き放つ訳にはいきません。
そこで計画されたのが死刑囚に対して無償労働をさせる案だったのです。
しかし刑務所内での無償労働には限界がありました。
このチップは脳の破壊衝動を司る部分に埋めこまれ、脳が興奮していくとチップが爆発する仕組みになっています。
あくまでもまだ実験段階だと語る椎名は、この計画への参加を田嶋の意思に委ねました。
こうして田嶋は脳にチップを受ける手術を承諾したのです。
数日後、手術が無事に成功し田嶋が目を覚ましました。
手足を拘束されていた状況が続いたため、田嶋は1日でも早く外に出たくて仕方ありません。
しかしここで興奮する田嶋を椎名がなだめていきます。
椎名のことを気に食わないと思う田嶋なのですが、外に出るため彼の言うことを我慢して聞くことにしました。
果たして脳にチップを埋め込まれた田嶋には、この先どのような無償労働が待ち受けているのでしょうか！？
死刑制度が廃止されるという設定にはとてもリアリティーが感じられますね。
しかし脳にチップを埋め込んだ死刑囚に無償の労働をさせようとする計画は、とても奇抜で斬新なものだと思います。
この設定だけでも読んでみる価値のある『死刑囚042』！
いよいよここから殺人鬼の田嶋が一般社会で働き始めることになります。
彼の意外な一面と苦悩していく姿にご注目ください。
後編
退院することになった田嶋に、椎名から無償労働についての内容が説明されていきます。
田嶋に命じられた無償労働は、市立高校での事務員としての職務でした。
足首に心拍数などを測定するデータ送信機を装着され、椎名が率いるプロジェクトチームに連れられ念願だった外の世界に出られた田嶋。
田嶋は外に出ると嬉しさのあまり涙を流してしまいます。
護送車に乗せられ高校に向かうことになった田嶋なのですが、椎名たちによって常に厳しく監視されている状態でした。
するとようやく護送車が彼の勤務先である市立集英高等学校に到着します。
更衣室で作業着に着替え終わった田嶋に、椎名から仕事の内容が伝えられました。
刑務所と大して変わらない作業を、田嶋は淡々とこなしていきます。
ですが彼のことは生徒たちに伝えられていたため、校内が騒然となってしまいました。
周囲の視線を気にせず花壇の手入れを始めていきます。
すると彼が手入れをしている花壇に1人の女子が足を踏み入れてきました。
久しぶりに女子高生と接触した田嶋の心拍数が一気に上昇していきます。
その様子を椎名はデータを受信する特別な車の中で観察していました。
田嶋はその中で少しずつ冷静さを取り戻しながら、女子高生の様子を見ていきます。
すると女の子が白い杖を持っていることに気がつきました。
ここで視力に障害があるゆめという名前の女子高生が、田嶋の横にそっと腰を下ろします。
ゆめの話を少し頬を赤らめながら聞いている田嶋。
しかしすぐにゆめが危険な目に遭うかもしれないと感じた同級生が現れ、彼女を連れ去って行ってしまいました。
その様子を観察していた椎名は、ここで初日の実験を終了させようとしています。
すると研究チームの部下から、田嶋の8歳から14歳までの6年間のデータがないことを尋ねられました。
この誘拐事件について色々な憶測があったのですが、田嶋が何も語らなかったため真相は今も闇の中に埋もれているのです。
田嶋はこの誘拐事件から感情を失い、冷酷な殺人鬼へ姿を変えてしまいました。
そんな彼について興味津々な椎名は、わざわざ志願してこの実験に彼を選んだのです。
椎名はこの実験によって田嶋の本質に迫りたいと考えていました。
しかしこの実験は順調に進行していくわけにはいかなかったのです。
田嶋に悪ふざけを仕掛けてくる高校生などが現れるなど、様々な困難が2人には待ち受けていました。
そんな中、ゆめという女子高生の存在が田嶋の心を救うものとなっていきます。
果たしてこの実証実験は無事に成功するのでしょうか！？
その行方は実際にご自身の目で漫画を読んでお確かめください。
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『死刑囚042』を読んだ感想
とてもシリアスなストーリーだったので夢中になって読むことができました。
冷酷な殺人鬼でありながら悲しい過去を背負っている田嶋がとても魅力的なキャラクターですね。
そんな彼を実験体としながらも、温かく見守る椎名も素敵だと思いました。
この2人にゆめという女子高生が加わることで、物語の奥行きが広がっている『死刑囚042』！
小手川ゆあ先生のファンでなくとも必見の作品となっていますよ。
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