『足掻く 道化師たち』のネタバレ(漫画)!感想とあらすじも!

今回は「菊池直恵」先生の『足掻く 道化師たち』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『足掻く 道化師たち』はこんな漫画(あらすじ)

高校生の太田幸人は他人の死が見える特殊な能力の持ち主です。

しかし幸人は他人が死ぬことなどどうでもいいと思っているので、この能力を快く思っていません。

死と触れ合ってしまうことから他人を遠ざけている幸人に、人気者の佐々木優花が距離を縮めてきました。

ただ幸人が相手にしないので、優花は意地になって振り向いてもらおうと努力をするのですが幸人は全く興味を示してくれません。

その中で幸人は残酷な未来を目撃してしまうのです。

死と超能力をテーマにした『足掻く 道化師たち』

今回は菊池直恵先生が表現するサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

未来の死が見えてしまうことで苦悩する主人公に共感しながら物語の世界観に寄り添ってみてください。

 

『足掻く 道化師たち』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

公園で母親と息子がペットの犬と遊んでいます。

しかし母親がペットに向かって投げたボールが明後日の方向に飛んでしまいました。

息子が仕方なくボールを探しに行くと女子高生がボールを拾ってくれます。

早川
「かわいい犬ね、でも別れなくちゃいけない時がくるわ、交通事故に気を付けて」

早川という女子高生の言葉を少年は理解することができません。

そのためお礼を言って母親の所へ戻っていきました。

少年の後ろ姿を早川は無表情で見つめています。

太田幸人
「気がすんだ?」
早川
「怖がられてしまったみたい、難しいわね」
太田幸人
「ほっとけばいいんだよ、言ったってしょうがないんだから」

意味深な会話をしている幸人と早川が見送った少年は、犬を抱き抱えながら歩いていました。

しかし暴れた犬が腕の中から飛び出してしまいます。

そのまま犬は交通事故に遭ってしまいました。

このように生命にはいずれ必ず平等に死が訪れます。

死がいつどんな形で訪れるのかは分かりません。

もしも死がどのような形で訪れるのかが分かった時、人は死を恐れなくなるのでしょうか!?

そんな悩みを抱えている幸人が通っている高校で、佐々木優花という女子がクラスメイト達に明るく声を掛けています。

佐々木優花
「今日もみんな嬉しそう、かわいい私と話せて、特に岡崎くん、それじゃ私のこと好きだってバレバレだよ、わかりやすいなぁ」

優花は中学時代から周囲に可愛いと言われてきました。

しかし他にも可愛い女子がいたので特別扱いされてきた訳ではありません。

あくまでも可愛い女子の内の1人だったのです。

ですが進学校に入学すると状況が一変しました。

佐々木優花
「みんな地味!規定のベスト着て規定のスカート丈で、メイクだってほとんどの子がしてないし、これじゃ私が目立つのもしょうがないわよね」

高校では一番目立つ存在になったのです。

この状況に優花はかなり浮かれていて、可愛いことは最強だと思うようになっていました。

ただし優花に全く関心を示さない生徒も存在していたのです。

太田幸人
「あのさ、邪魔、どいて」

クラスで優花のことを邪険に扱うのは幸人しかいません。

幸人は誰とも交わろうとせず、いつも1人で本を読んでいます。

また必要なことしか話さないので、クラスメイトは近寄りがたい理由で誰も幸人に声を掛けません。

そのためクラスメイト達は幸人だけが優花を特別扱いしていないことに気付いていません。

優花は特別扱いされていないことに納得がいかないので、幸人にも注目してもらいたいと考えていました。

佐々木優花
「太田くん、さっきはごめんね、それなに読んでるの?おもしろい?」
太田幸人
「誰だっけ、あんた」
佐々木優花
「優花、佐々木優花!この前も言ったでしょ?もう入学して2ヵ月もたつんだからクラスメイトの名前くらい覚えてよ!」

特別扱いどころか幸人は優花の名前すら覚えていません。

後ろの席に座るクラスメイトですら関心を持たれていないのです。

太田幸人
「そうだった、佐々木さん、この前も言ったよね、特に用がないなら話しかけないでって」

この日も優花は無視されてしまいました。

しかし幸人の冷たい態度が優花の負けず嫌いな性格を奮い立たせます。

佐々木優花
「なによその態度、私が何度も話しかけてあげてるのに!あったまきた!もっとかわいくなって無視できなくさせてやるんだから!」

髪型をもっと可愛くしメイクの研究も始めました。

足りないリップやマスカラは日曜日に原宿へ行って、母親に買ってもらえるようおねだりします。

優花は全く関心を示さない幸人に興味を持ってもらえるのでしょうか!?

 

 

他人の死が見えることで早川にだけ心を開いている姿が痛々しいですね。

そのことを知らない優花が幸人から興味を持ってもらいたいと思ったことが、この先の展開を面白くさせていきます。

人間の死と向き合わなければならない主人公の苦悩を表現した『足掻く 道化師たち』

死をテーマにしているからこそ残酷で悲しい物語になっています。

普通の高校生に巻き起こる衝撃的な結末を見逃さないでください。

後編

髪型を変えた優花が教室に入ると、クラスメイト達が変化に気付いてくれました。

しかし幸人はこちらを見ようともしません。

悔しくなった優花は放課後、帰ろうとしている幸人に声を掛けることにします。

佐々木優花
「太田くん!電車よね?私もだから駅まで一緒に帰ろうよ!」
太田幸人
「なんで?」
佐々木優花
「なんでって・・・クラスメイトなんだから普通でしょ?」
太田幸人
「一人で帰って、俺寄るとこあるから、さよなら」

断られた優花は本当に用事があるのか確かめるため、幸人を尾行し始めました。

すると駅に行く道からそれたので、本当に用事がありそうな気がしてきます。

もしも用事があるなら優花と一緒に帰りたくなかった訳ではないかもしれません。

そのまま尾行を続けると幸人が何もない場所へ向かっていきます。

目的の場所に到着すると、ベンチに座る早川が幸人のことを待っていました。

A組の早川は最初の定期テストで学年トップだったことから、優花とは別の意味で存在感を示しています。

しかし無表情で少し怖いと噂されていました。

そんな早川と幸人がベンチで会話を始めます。

佐々木優花
「え?なに!?どういうこと!?あの子とここで待ち合わせしてたの?わざわざこんな所で?てかなんであの二人?太田くんいつも一人で誰とも接点ないはず・・・なんで?」

2人が元々知り合いなのかは分かりません。

ただ幸人と早川が待ち合わせをしていたのは間違いないようです。

さらに幸人の姿が優花に衝撃を与えました。

佐々木優花
「・・・え・・・やだ・・・うそ・・・笑うんじゃん」

クラスでは見せたことのない笑顔で話しているのです。

次の瞬間、幸人が何かを感じ取りました。

そのまま周囲を見回します。

すると急に優花がいる方向に視線を送りました。

佐々木優花
「ヤバ・・・目が合った!バレた・・・!?ついてきたの・・・どうしよう、ヘンな奴だって思われちゃう・・・」

逃げるように慌てて家へ帰ります。

それでも明日からどのように幸人と接すれば良いのか不安が頭から離れません。

また早川と仲良くしている理由も気になってしまいます。

自分が話しかけても幸人が笑ってくれたことはありません。

それなのに早川とは楽しそうに話をしていました。

佐々木優花
「バカらしい!もういいや、太田くんなんて!他のみんなは私のこと大好きなんだから!一人ぐらいどうでもいいわよ!」

幸人のことを考えないようにしようと思ったのですが、翌日になると珍しく幸人が声を掛けてきます。

優花は昨日のことを質問されると思ったのですが違いました。

太田幸人
「別に昨日のことじゃないよ、ただここでは話せないから放課後、体育館裏に来てもらってもいい?」

放課後に呼び出された優花はもしかして告白されるかもしれないと勘繰ります。

ドキドキしてきた優花はメイクを直してから体育館裏に向かいました。

佐々木優花
「太田くん!ご・・・ごめんね、遅くなって・・・待った?・・・で・・・話ってなに・・・?」
太田幸人
「一回しか言わないからよく聞いて、今度の日曜日、原宿には行かない方がいい、行ったら死ぬよ」

いきなり死ぬと言われても訳が分かりません。

しかし用件を伝えた幸人は立ち去ろうとします。

佐々木優花
「え・・・ちょっ・・・ちょっと待って!話ってそれだけ!?他に何かないの!?」
太田幸人
「あ、もう一つあった、大事なこと、今俺が言ったことは内緒にして、他に知られるとめんどくさいから呼び出したんだから」

告白されることを期待していた優花は納得することができません。

そのため幸人に詰め寄ってしまいます。

佐々木優花
「・・・なに・・・なになになに、なによソレ、ワケわかんない!死ぬ?私が?てか、なんで日曜に原宿行くこと知ってんの!?こわいんですけど!」

信じてもらえなくても幸人は全く構いません。

なぜなら死の未来を伝えたことは幸人の意志ではないからです。

太田幸人
「俺は別にあんたが死のうが生きようがどうでもいい、でも見えたなら伝えてあげるべきだって言われたからそうしただけだ、いちいち騒ぐな」
佐々木優花
「言われたって・・・早川さんに・・・?あの人の言うことはきくの?どういう関係?学校では全然そんな素振りみせないのにわざわざ待ち合せちゃって・・・つき合ってるの?彼女なの!?」
太田幸人
「あんたには関係ない」

関係ないと言われたことで優花は初めて自分が幸人のことを好きだと気付きました。

ですが幸人は全く相手にしてくれません。

悔しさで胸が一杯の優花は改めて幸人を振り向かせる努力を始めました。

しかしその結果、原宿で居眠り運転の自動車に轢かれてしまったのです。

早川
「彼女どうして行ってしまったのかしら」
太田幸人
「俺が言ったこと信じなかったからでしょ、それにもし信じたとしても同じだよ、事故死なんだから、俺が見れるのは同じ高校に通ってる間だけだ、卒業してまで面倒みれない」

早川に言われなければ幸人は死の未来を優花に伝えるつもりはありませんでした。

幸人は他人に死に関心がありません。

それでも想いを寄せる早川の命は守りたいと思っています。

寄り添うことで幸人は大切な人の死を回避させることができるのでしょうか!?

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『足掻く 道化師たち』を読んだ感想

菊池直恵先生の作品らしく色々と考えさせられる物語に仕上がっていますね。

多くの死と向き合ってきた幸人が、大切な人だけを守りたいという結論に至った考え方には共感できました。

特殊な能力を持ったために他人との関わりを絶った男子高校生を主人公に設定した『足掻く 道化師たち』

ミステリアスで切ないサスペンス漫画です。

幸人の悩みに感情移入しながら物語の世界観をご堪能ください。

 

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