『悪童』(ワルガキ)のネタバレ！漫画の魅力をお伝えします！

今回は「志名坂高次」先生の『悪童』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

『悪童』はこんな漫画

柿沢鉄男はケンカと麻雀が大好きな乱暴者です。

ヤクザも恐れないほど凶暴な彼は、周囲からワルガキと呼ばれていました。

しかしある日、ヤクザを本気で怒らせてしまい海の底に沈められてしまいます。

死にたくないと強く思いながら沈んでいく柿沢。

すると奇跡的に一命を取り留めるのですが、気がつくと彼の精神は片平海人という少年の身体に乗り移っていたのです。

海人の身体を使ってヤクザに復讐していく柿沢の姿を描いた『悪童』（ワルガキ）！

今回はこの復讐劇の魅力を、ネタバレを含みながらご紹介していきます。

迫力たっぷりのストーリーをじっくりとご堪能ください。

『悪童』の魅力紹介（ネタバレ含む）

前編

駐車場で遊んでいた男の子がヤクザが乗っている高級車にぶつかってしまいました。

幼い子供相手にもヤクザは容赦なく怒りをぶちまけています。

するとそこに柿沢鉄男が現れました。

柿沢はヤクザの髪の毛を掴み、顔面を車に打ち付けていきます。

「ここは車椅子用のスペースじゃねぇか、子供相手にイキってねぇでさっさと車どけろ、ほれボウズはもう帰んな」

ヤクザをも恐れない柿沢は、巷の人からワルガキというあだ名で呼ばれていました。

とにかく喧嘩っ早くギャンブルが大好きな柿沢。

しかしなぜか彼は子供が大好きだったのです。

そんな柿沢はヤクザを追い払うと、行きつけの雀荘へ向かいました。

「ツモ、2000、4000、ラストぉっ」

この日も調子よくツモっているようです。

普通の雀荘なら彼のようなガラが悪いお客は出入り禁止なのですが、この雀荘は柿沢をヤクザ除けとして利用していました。

しかし柿沢がいるにも関わらず、ヤクザがこの雀荘に入店してきます。

このヤクザは先ほど柿沢が追い払ったチンピラの兄貴分でした。

「ウチの若いのが世話になったようで探したよ、俺も面倒は嫌いだ、シンプルに行こう」

ヤクザは修理代と慰謝料として、合計400万円を要求してきます。

「ハハハッ、いいぜ面白い、払ってやらぁ、ただし麻雀で俺に勝ったらな」

「そっちが条件をつけるのか？本当にヤクザが怖くないんだな、いいぜ、ただしそちらが負けたら800万払ってもらう」

「OK、半荘1回勝負と行こうや」

こうして大金を賭けた麻雀が開始されることになりました。

東1局は柿沢のツモで始まっていきます。

しかしヤクザは携帯を見ながら余裕の表情を浮かべていました。

「携帯いじくりながら余裕ぶっこいてていいのか？」

「お前と違って俺ぁ忙しくてね、まぁ気にすんな」

その後はヤクザがたて続けに上がり始めていきます。

すると柿沢がヤクザのイカサマに気がつきました。

実は携帯を使いながら子分と合図を送り合っていたのです。

「なるほど手段を選ばず、実にヤクザらしいな」

「んー？何の事だ？」

「だがな、それじゃあワシには勝てんぞ！！」

ここから柿沢の反撃が始まりました。

次々とツモ上がりをしていく柿沢に、ヤクザは動揺の色を隠せません。

「何故だ・・・スマホを使ってリアルタイムで通しをしながら何故負ける、そうか・・・ガン牌だな！」

「アホ、これも勉強、授業料400万で特別に教えてやる、雀卓のクセだ」

柿沢は雀卓の性質を見抜きながら、自分に有利な展開を作り出していたのです。

こうして圧倒的な大差をつけてこの麻雀を制した柿沢。

「これが・・・ワシの麻雀よ、ワシはケンカは強いが麻雀はもっと強いぞ、分かったかクソヤクザ」

「ああ・・・勉強になったよ」

ついにヤクザを観念させてしまいました。

しかし次の瞬間、子分のチンピラがバットで柿沢の後頭部を強打します。

「約束通り400万は許してやる、だが俺をなめたのは許せねぇ、ヤクザはなめられたら終わりなんだよ、俺の名は竜、通称毒リュウ、おめえが最後に見る男だ」

竜は柿沢の手足を拘束すると、そのまま海の中へ沈めてしまいました。

海の中で意識を取り戻した柿沢は、自らの死を少しずつ実感していきます。

「死ぬ、なんでこんなことに、なんでこの俺が・・・ちくしょう、こんな海の底で・・・死んでたまるか」

次の日曜が宝塚記念ということや、行きつけのスナックのママの姿が走馬灯のように柿沢の頭を駆け巡ります。

「最後の晩餐は焼肉って決めてたのに、死んでたまるか、ちくしょう・・・死なん！ワシは死なんぞーっ」

海の底で必死にもがき続ける柿沢。

すると彼の脳裏にある人物の姿が浮かび上がります。

「え？誰だ？」

果たしてこの人物はいったい何者なのでしょうか！？

ヤクザすら恐れずやりたい放題の柿沢が印象的ですね。

子供好きという一面が彼の憎めないキャラクターの理由なのかもしれません。

しかしヤクザを甘く見た結果、海の底に沈められてしまいました。

ここからいよいよ柿沢と海人の復讐劇が、一つの身体に宿ることになります。

死に直面したはずの柿沢が世の中に報復していく姿を描いた『悪童』（ワルガキ）！

それではハラハラドキドキの展開を引き続きお楽しみください。

後編

海の底に沈みながら何者かの影が見えた気のする柿沢。

すると彼は奇跡的に意識を取り戻しました。

「どこだ・・・ここは・・・病・・・院？ワシは・・・生きてる！？」

慌ててベッドから飛び起きます。

しかしどこか体がおかしいことに気がつきました。

そのため机の上に置いてあった鏡を見てみます。

「誰！？」

自分の身体が見たこともない小学生に変わっていたのです。

状況が全く理解できず困惑していると、一人の女性が声をかけてきました。

「カイトくん？よかった・・・良かったーっ、バカバカ、ママ・・・心配したんだからーっ」

「ママ！？なんだこれは・・・夢？ワシはどうなったんだ・・・確かにワシは海の底に沈められて・・・そこで・・・そうだ、ワシはこいつと会った」

ようやく海の底で感じた人影が海人だったことを思い出します。

その後、柿沢の精神が乗り移った海人は、医者から多重人格と記憶喪失という診断を受けました。

身体には大きな外傷がなかったため、母親と家に帰ることになった海人。

「イエーッ、カイト君退院おめでとーっ、懐かしの我が家だねー、って覚えてないかあ・・・」

それでも母親の樹理は海人が元気になってくれたことを素直に喜んでいます。

「じゃあママごはん作るねーっ、今日はカイト君の好きなカレーだぞーっ」

樹理が台所に行くと柿沢は状況の整理を始めました。

「あれから3日・・・今日は日曜日、やっと状況が理解できてきた、まずこの体は片平海人11歳、母、樹理との2人暮らし」

父親がどこにいるのかは不明なのですが、29歳の樹理が女手一つで海人を育てていることが分かっています。

そして海人が3日前の夜に近くの川で溺れているところを、通りがかった若者に救われたことまで把握することができました。

「3日前の夜、ワシが海に沈められたあの時間、カイトも沈んでたワケだ、そこで入れ替わった」

しかし柿沢は入れ替わったという表現は適切ではないと思っています。

「正確にはカイトが捨てた身体にワシが入り込んだ、あの時ワシは確かに感じた、そんなに生きたいならこの身体をあげる・・・と」

樹理を含め周りの人間は海人が足を滑らせたため、川に落ちてしまったと考えていました。

ですが柿沢だけは海人が川に落ちた真の理由に気づいていたのです。

「カイトは身体を捨てたんだ、ワシにカイトの記憶はないがこの身体には刻まれている、怒り、悲しみ、無念、憎悪」

海人が自殺したことを確信していました。

柿沢は海人の無念を感じ、ある決意を胸に抱きます。

「どんなに悔しかったか、どんなに苦しかったか、この胸が張り裂けそうだぜ、どうせワシには親も兄弟も友達もおらん」

天涯孤独なため自分が死んでも問題はないと思っていました。

「この身体・・・ありがたく使わせてもらおう、そしておとしまえはワシがつける」

こうして柿沢は自分と海人が受けた二人分の無念を晴らすことにしたのです。

その後、樹理が仕事に向かうと柿沢は食事代として置いていってくれた千円札を握りしめました。

「しけてる、だがこれで行くしかねぇ、なにせ今日は日曜日・・・」

この日は柿沢が楽しみにしていた宝塚記念が開催される日だったのです。

そのため馬券売り場に向かうことにしました。

「許せカイト、仇討ちは明日からじゃ」

しかし柿沢は大事なことをすっかり忘れていました。

自分が子どもの姿をしていたため、警備員に止められてしまったのです。

このままでは馬券を買うことが出来ないため焦る柿沢。

「くそーっ、自分じゃ馬券は買えないのかーっ、ならば・・・おっちゃんワシの予想買わんか」

予想が外れた場合、代金はいらないと言うのですが相手にしてもらえません。

しかし一人だけ柿沢の話を聞いてくれる青年が現れました。

今日中にお金が必要だと言う青年は、柿沢の熱弁を食い入るように聞いていきます。

そして柿沢の予想を信じて馬券を購入することにしました。

レースが始まると柿沢の予想が見事に的中し、青年は万馬券を獲得します。

「ボンバーっ、500円買ったから・・・137万1500円！生まれ変わって良かった・・・初めて宝塚記念をとった・・・」

涙を流して大喜びする柿沢。

しかしふと横を見てみると青年の姿がありません。

「え？逃げられたーっ」

万馬券を持った青年を見失ってしまいました。

せっかくの幸運に逃げられた形になったのですが、小銭稼ぎをしようと入った雀荘で青年の姿を見つけます。

青年から自分の取り分を回収しようと作戦を練る柿沢。

果たしてお金を取り返し、報復劇につなげていくことができるのでしょうか！？

『悪童』はこんな人にオススメ

基本的にはギャンブル色の強い物語になっていますが、2人の人間ドラマも丁寧に描いている漫画です。

そのためヒューマンドラマが好きな人にもオススメできる作品になっていますよ。

柿沢のユニークな人間性と、海人の無念を晴らしていくストーリー性が魅力的な『悪童』（ワルガキ）！

ギャンブルに興味がある人なら見逃してはいけない傑作漫画です。

特に麻雀好きにはたまらない作品だと思いますよ。

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