今回は「菊池直恵」先生の『足掻く』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『足掻く』はこんな漫画(あらすじ)
女子大生の山中みわは一見すると貧困には見えないのですが、アルバイトで学費と生活費を捻出している苦学生です。
周囲の同級生がコンパなど大学生活を楽しむ様子を見ているうちにみわの心にはどす黒いものがくすぶり始めました。
しかし同じ境遇の恋人がみわの心を穏やかにしてくれます。
貧乏でも恋人との幸せな生活を満喫するみわだったのですが、すぐそばまで破綻へのカウントダウンが迫っていました。
隠れ貧困の先に待ち受ける残酷な現実とは・・・！？
くすぶった黒いものに心の中を支配されていく若者の運命を描いた『足掻く』！
今回は衝撃的なヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
菊池直恵先生の渾身作を見逃さないでください。
『足掻く』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
大学の構内を歩く山中みわの様子を男子学生がじーっと見つめています。
男子学生はみわと面識はないのですが、もうじき彼女が自殺すると呟きました。
しかし現状ではみわに自殺する気などありません。
果たして男子学生の言葉は現実味を帯びているのでしょうか。
世の中はお金が全てではないのですが、お金には確実に人間の人生を狂わせる力があります。
みわはお金の力によって破綻への道を歩み始めることになるのですが、まだ本人にはその自覚はありません。
そんなみわが大学の構内で休憩していると、同じゼミの同級生が声をかけてきました。
彼女たちの用件はコンパの数合わせとしてみわに参加してほしいというものです。
すぐにバイトへ行かなくてはならないため誘いを断りました。
すると同級生たちはサボることを提案してきます。
真面目だと言われるのですがみわはコンパに参加するつもりはありません。
同級生の誘いを断るとバイトへ行くことにします。
みわは学費と生活費を捻出するためコンビニでアルバイトをしていて、この日も夕方から20時までしっかりと働きました。
店長にお願いしたのは賞味期限切れ間近のお弁当を持って帰ることです。
基本的には許されていないのですが、優しい店長はいつもみわのお願いを聞いてくれていました。
明日もバイトがあるため真っ直ぐ家へ帰ることにします。
コンビニから帰っていると恋人のリョースケからメールが送られてきました。
家に到着するとすぐにリョースケがやって来ます。
リョースケは家に上がるとすぐにコタツの中へ足を入れました。
2人はコンビニから貰ってきたお弁当を食べることにします。
リョースケはみわをコタツに座らせるとお弁当をレンジで温め直しました。
そしてみわはパスタとサラダ、リョースケはマーボー丼を食べることにします。
先に食べ終えたリョースケが後ろから抱き締めてきました。
しかしみわはまだお弁当を食べている途中です。
お弁当を食べながらイチャイチャする2人は幸せな時間を満喫していました。
2人は貧乏なのですが一緒にいられることで心を穏やかにすることができるのです。
しかしみわはリョースケに知られてはいけない大きな秘密を抱えていました。
この秘密によって人生が破綻してしまうことをみわはまだ知る由もありません。
彼女が抱える誰にも言えない秘密の内容とは・・・！？
隠れ貧困をテーマにしているのですがまだ物語に暗い雰囲気は漂っていませんね。
この演出によって陽から陰へ移り変わっていくここから先の展開に大きな落差を感じられます。
巧みな仕掛けが張り巡らされている『足掻く』！
ここから貧困が生み出す負の連鎖を描いていきます。
みわが抱える秘密に注目しながら続きをご覧ください。
後編
食事を終えると2人はベッドに向かいます。
深夜から朝まで働いているリョースケはそろそろバイトへ行かなければなりません。
みわも明日と明後日は朝から晩までコンビニで働く予定になっています。
そのため2人が次に会えるのは月曜日まで待たなければいけません。
ここでリョースケの表情が険しくなります。
普通の大学生であればサボるという言葉に苛立つことなどありません。
しかし隠れ貧困のみわとリョースケには何気ない言葉が胸に突き刺さってしまうのです。
悲しそうな表情を浮かべるみわにリョースケがキスをしてきました。
そして優しく頬を触ってくれます。
見つめ合っているうちにリョースケが興奮してきました。
しかしアルバイトに向かうまでもう時間がありません。
アルバイトへ行くため服を着始めたリョースケをみわが見送ろうとします。
突然の告白に思わずみわは笑ってしまいました。
笑ってしまったのですがリョースケの気持ちを軽んじている訳ではありません。
みわは幸せな表情を浮かべながらリョースケを見送りました。
リョースケのおかげで笑いながら生活できることに感激するみわ。
しかし彼女は母親から学費は出せないと言われた時から秘密を抱えながら生きてきました。
自分で学費を稼ぎ始めたみわはリョースケの存在を心の支えにしながら生活しています。
ただコンビニのバイトだけでは生活費と学費を支払うことができません。
翌日、このような状況に陥ったみわがバイトに向かいます。
リョースケには夜までアルバイトだと言っていたのですが、この日のバイトは16時に終了しました。
そして16時にバイト先を出たみわは自宅に戻らずある場所へ足を運びます。
すると中年男性がみわに声をかけてきます。
みわは中年男性と待ち合わせをしていました。
もちろんこのことはリョースケには秘密にしています。
みわがリョースケを愛している気持ちに嘘などありません。
それでもお金を稼ぐためには身体を使わなければならない状況なのです。
売春することでお金を稼ごうとするみわはここから少しずつ破綻していくことになるのでした。
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『足掻く』を読んだ感想
貧困に苦しむヒロインが同級生の何気ない言葉によって傷ついたシーンが印象的でした。
働かなければ生きていない状況に陥った人は仕事を休むことなどできないことを上手く表現していますね。
それでもみわには違法な行為に及んでほしくなかったと思いました。
お金によって身を滅ぼしていくヒロインの苦悩を描写した『足掻く』！
読んでいくうちに胸が痛くなる悲しいストーリーになっています。
現代社会の裏側に潜む目を背けてはいけない問題と向き合うきっかけにしてみてください。
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