Shrink~精神科医ヨワイ~(月子)のネタバレ(漫画)!

今回は「原作 七海仁 漫画 月子」先生の『Shrink~精神科医ヨワイ~』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

Shrink~精神科医ヨワイ~』はこんな漫画(あらすじ)

現代の日本ではパニック障害やうつ病などの精神疾患で苦しむ人が多数存在していると言われています。

精神疾患者の数はアメリカに比べて少ないのですが、自殺率は先進国の中でも最悪のレベルとなっている日本。

実は精神科医のことをアメリカでは悩みをShrinkしてくれる(小さくる)というスラングと呼んでいて、アメリカ人にとって精神科医は身近な存在になっています。

しかし日本ではまだまだ精神科医の存在は認知されていません。

精神科医の弱井(ヨワイ)はこの状況を打開するため1人でも多くの患者を救いたいと尽力することにしました。

悩みを抱える人々に寄り添う優しい医師の奮闘を描いた『Shrink~精神科医ヨワイ~』

今回は本格派医療系漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

この作品を読んで精神疾患が特別な異変ではないことを実感してみてください。

 

Shrink~精神科医ヨワイ~』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

雑誌編集者をしている32歳の北野薫子が仕事の打ち合わせに向かうため電車に乗っています。

電車の中で薫子は本日の予定を確認することにしました。

薫子
「午後は企画会議と読み合わせ・・・16時取材、18時移動で19時青山で会食・・・その後会社に戻って・・・」

多忙なスケジュールを確認していると急に息ができなくなってしまいます。

死ぬかもしれないと思った薫子は周囲の乗客に助けを求めました。

乗客たちが車掌を呼んでいると電車が次の駅に到着します。

すると電車を待っていた弱井という男性が薫子の元へ駆け寄りました。

弱井
「どうしました?」
薫子
「心臓が苦しくなって・・・急に息が・・・」
弱井
「ちょっと失礼」

弱井が薫子の手を触ると、とても冷たくなっています。

その間も薫子の苦しさはどんどん酷くなっていきました。

薫子
「胸が・・・苦し・・・手が痺れて・・・」

弱井は冷静な態度で自分の手を擦り合わせて温めます。

そして温まった手で薫子の両手を握りました。

弱井
「一緒に呼吸してみましょうか、僕の目を見て、いーち、にーい、さーん、しー、ごーお、ろーく・・・」

最初は呼吸などできないと思っていた薫子なのですが、弱井の指示に従っているうちに呼吸が整っていきます。

不思議なことに弱井と一緒に呼吸をすることで薫子の体調が回復しました。

薫子
「あっ、あの・・・あなたは・・・!?」
弱井
「僕は精神科医です、御用の際はクリニックへどうぞ!」

名刺を渡した弱井はそのまま立ち去ってしまいます。

薫子を助けた弱井は自分の経営する小さなクリニックへ戻ることにしました。

すると看護師の雨宮有里が弱井のことを待ち構えています。

雨宮
「弱井先生遅い!」
弱井
「す、すみません・・・雨宮さん」
雨宮
「午後診療の30分前には戻ってくださいって言ってるじゃないですか!」
弱井
「すみません・・・どうしても南口のサワムラでコレ買いたくて」

お気に入りのパンを買ってきたため午後の診療に遅れてしまいました。

弱井はいつもこのように雨宮から注意されながら診療を行っています。

翌日、午前の診療が終わった弱井と雨宮が昼ごはんを食べていると、テレビから精神科医が起こした事件のニュースが流れてきました。

雨宮
「私、精神科で働くのは初めてなんです、他の科に比べて楽そうって言われてますけど意外と忙しいですよね」
弱井
「日本の精神病患者の数は約392万人です、多いと思います?少ないと思います?」

日本で精神病を患っている人は人口当たり30人に1人と言われています。

ちなみにアメリカでは3人に1人が精神疾患を持っているというデータが公表されました。

雨宮
「日本の10倍!?なーんだ日本はまだマシなんですね!もっと減るといいですね!」
弱井
「でもね雨宮さん、日本の自殺率は世界6位、先進国では最悪レベルなんですよ」
雨宮
「えっ」

精神病を患う人間が3人に1人いるアメリカの自殺率は世界20位です。

この数字のギャップに雨宮は言葉を失ってしまいました。

弱井
「精神病患者が多いけど自殺は少ない国、精神病患者は少ないけど自殺が多い国、雨宮さんはどちらがいいですか?」
雨宮
「・・・なぜそんな歪みが?」
弱井
「アメリカでは精神科医のことをShrinkと呼ぶんです、妄想で大きくなった患者の脳を小さく(Shrink)してくれる仕事だからだそうです」

アメリカではスラングで呼ばれるほど精神科医が身近な存在になっているのです。

例えばアメリカ人は失恋した時やテストの点が悪かった時など、少し落ち込んだ時に精神科医の予約を入れる人が少なくありません。

雨宮
「そんなことで精神科に?」
弱井
「そんなことで精神科にかかっちゃダメですか?」

日本人にとって精神科はまだまだ特別な存在です。

精神科に行っていることがバレると周囲から変な目で見られるかもしれません。

こうしたことから精神科が避けられているのが現状なのです。

しかしその一方で精神科に通わないため自殺する人は増加の一途をたどっていました。

この現状を弱井は日本が隠れ精神病大国だと感じています。

弱井
「僕はこの国にもっともっと精神病患者が増えればいいと思っています」

弱井の願い通り日本でも普通に精神科を受診できるような状況が確立される日はやって来るのでしょうか!?

 

 

精神科を受診している人数と自殺率の差に大きな隔たりがあることに驚きました。

日本には悩みを打ち明けることが恥ずかしいと思ってしまう慣習があるのかもしれませんね。

精神疾患が特別な病気ではないことを教えてくれる『Shrink~精神科医ヨワイ~』

ここから弱井の患者に優しく寄り添った治療を描いていきます。

弱井の独特な治療法に注目しながら続きをご覧ください。

後編

弱井と雨宮が日本における精神科医の現状を話しあっていた頃、薫子は再び身体に異変を感じていました。

このままでは仕事ができないと思った薫子は心療内科を受診することにします。

ですが心療内科では思ったような診療を受けることができません。

薫子
「あの医者・・・一度も私を見なかった・・・」

不安を抱いた薫子の症状はここからどんどん悪化していきます。

仕事に向かおうとしても怖くて電車に乗ることができません。

薫子が困り果てていると向かいのプラットホームに弱井の姿を見かけました。

他に頼る相手がいない薫子は弱井を頼ることにします。

薫子
「すいません、私を治してください、お願い・・・!」

弱井はすぐに自分のクリニックへ薫子を連れて行くことにしました。

そこで詳しい事情を聴いた弱井は薫子の症状を説明していきます。

弱井
「お話を伺う限り典型的なパニック障害の症状だと思います」
薫子
「パニック障害・・・?」
弱井
「自律神経って聞いたことありますよね?内蔵の働きをコントロールする神経のことです」

自律神経は血圧を上げる交感神経と、精神を安定させる副交感神経の2つによって保たれています。

2つのうちどちらかが優位になれば一方が弱くなる仕組みになっていて、激しい動悸や頻脈、息苦しさを引き起こす病気がパニック障害なのです。

薫子
「激しい動悸・・・息苦しさ・・・確かに・・・私、何度も発作があってから怖くて電車に乗れなくて・・・」
弱井
「はい、それも発作を繰り返すことで逃げられないと感じる場所に行けなくなることを広場恐怖、また発作が起きる気がして常に不安になることを予期不安と言います」

これらの症状はパニック障害の典型的な症状と言われています。

しかし薫子は自分がパニック障害になったことを理解できません。

薫子
「そうなんだ・・・でもなんで私が・・・?鉄のメンタルって言われるくらい強い女なんですよ?なのに・・・」
弱井
「パニック障害は心が弱いからなる病気ではありませんよ、脳の誤作動です」

パニック障害は心身が疲れすぎたことを危険に感じた脳が身体に信号を送ってくれているのです。

症状を抑えるためにはカフェインを控えて身体を温めることは重要だと言われています。

弱井はパニック障害の説明を終えると薬を処方してあげることにしました。

しかし薫子は心療内科で処方された薬を飲んだ後に具合が悪くなったため薬に抵抗があるようです。

抵抗があると言われた弱井がお薬手帳を見てみると、効果が強すぎる薬を処方されていました。

薫子
「でも・・・なぜそんな強い薬を出されたんでしょう?心療内科に行ったんです、精神科よりマシかと思っ・・・あ、ごめんなさい・・・」
弱井
「確かにその2つは違います、心療内科はストレスなどで身体に不調がある方を診るのが専門の病院です、一方、精神科は心の症状を診るための病院です」

精神科には精神医療を専門に学んだ医師しか存在していません。

ですが心療内科には様々な診療科出身の医師がいるのです。

そのため心療内科では心の病を治せる医師はあまり多く在籍していません。

あくまでも心の病を治せるのは精神科医だけなのです。

薫子
「先生、本当に私よくなりますか・・・?」
弱井
「北野さん、ひとつ約束します、今後たとえ何度発作が起きたとしてもパニック障害の発作で死ぬことは絶対にありません、それを知っただけでもう北野さんの症状は和らいでいくはずです」

薫子は自分の身体に何が起こっているか知れたことで安心することができました。

しかし日本には彼女のように精神を患っている人が大勢いるのです。

弱井は全ての患者を救うため奮闘していくことになるのでした。

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Shrink~精神科医ヨワイ~を読んだ感想

パニック障害やうつ病などの病名は知っていましたが、日本人の多くが精神疾患に悩まされていることは知りませんでした。

他人に悩みを打ち明けられず症状を悪化させてしまうのは日本人の国民性なのかもしれませんね。

精神疾患は専門医に打ち明けることで回復が見込めることを教えてくれる『Shrink~精神科医ヨワイ~』

シリアスなストーリーの中にクスッと笑えるシーンを取り入れた読み応えのある作品です。

読んでおかないともったいない素敵な漫画の世界観を存分に満喫してみてください。

 

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