今回は「桜庭あさみ」先生の『丸山遊女~復讐の蕾~』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『丸山遊女~復讐の蕾~』はこんな漫画(あらすじ)
江戸時代、長崎県に花魁が男性を魅了する丸山遊郭という遊び場所が存在していました。
両親を早くに亡くした咲は妹のるりを育てるため、丸山遊郭の下働きに励んでいます。
るりは大好きな姉の結婚が決まり大喜びするのですが、急に咲が無残な姿で殺されてしまいました。
悲しみに暮れる中、姉を殺した下手人が見つからないためるりは丸山遊郭の花魁になることを決意します。
天涯孤独となったるりは事件の真相を突き止め、咲の仇を討つことができるのでしょうか!?
異人を相手にした遊郭を舞台に巻き起こる復讐劇を描いた『丸山遊女~復讐の蕾~』!
今回は姉妹の愛をテーマにしたヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
殺人事件の真相を予想しながら物語の世界観をご堪能ください。
『丸山遊女~復讐の蕾~』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
江戸時代の長崎県では1年に1度、秋に諏訪神社の祭礼として行われる長崎くんちが盛り上がりを見せていました。
長崎くんちでは各町が演目を諏訪神社に奉納することが恒例行事になっています。
この日は丸山遊郭の踊り手に選ばれたるりが舞いを奉納する準備を始めていました。
しっかりと舞いを披露しなければ丸山遊郭の遊女として認めてはもらえません。
そのためるりが気を引き締めていると、大勢の客が長崎くんちに集まってきました。
丸山遊郭から舞いを奉納するのは容姿端麗で将来有望な2名だけです。
踊り手は立派な舞いを披露しなければお客を取ることが許されていません。
さらに舞いが見事だと認められると、1443人在籍する遊女の頂点に立つことができます。
丸山遊郭の中で頂点の遊女は日本人だけを相手にすることが認められていました。
頂点の遊女以外は異人を相手に商売をすることになるのです。
るりが舞いを奉納しようとしている現在は、頂点に立つ遊女は存在していませんでした。
舞いを奉納しながらるりは大好きだった姉のことを思い出します。
優しかった姉の咲にるりは1度だけ遊女になりたいと言ったことがありました。
すると姉は珍しく語気を荒らげながらるりに説教をしてきます。
ただ奇麗な着物を着たかっただけなのですが、るりは咲が怒ったことに衝撃を受けました。
それでも現在のるりが遊女を目指していることには特別な理由があるのです。
3年前、姉の咲は何者かに殺害されてしまいました。
しかし現在も下手人は捕まっていません。
るりは姉を殺した下手人を捕まえるため遊女になることを決意したのです。
遊女になることができれば出島や異人の屋敷に出入りができるかもしれません。
そうすれば下手人を見つけ出して復讐することが可能だと思ったのです。
絶対に復讐を果たすという強い気持ちを抱いたるりは、長崎くんちで見事な舞いを奉納することができました。
その成果を認めてくれた大問屋がるりを遊女として認め、碧羽という名で遊女となったるりを可愛がってくれることになります。
るりはここで初めて男性と肉体関係を結ぶことになりました。
苦痛に顔を歪ませるのですが姉を殺した下手人への復讐のため、るりはどんなことでもすると誓ったのです。
るりが絶対に下手人を捕まえるという強い決意を抱いた理由は、姉の咲が亡くなった両親の代わりに自分を育ててくれたためでした。
いつも自分よりも妹のことを気にかけてくれた優しい姉は何故殺されてしまったのでしょうか!?
その謎を解き明かすため丸山遊郭で働くことを決意したるり。
果たして彼女は姉の無念を晴らすことができるのでしょうか!?
異人を相手にした丸山遊郭という歴史的な場所を上手に利用した物語になっていますね。
日本人だけでなく外国人が利用する場所だからこそミステリアスね展開になっていると思いました。
鎖国していた日本で起こった事件を描写していく『丸山遊女~復讐の蕾~』!
現代では考えられない設定だからこそ深まる謎を解く面白さが魅力的な作品です。
それでは事件が起きる前のるりと咲の仲睦まじい姿に注目しながら続きをご覧ください。
後編
るりが丸山遊郭で働き始めた3年前、姉の咲は丸山遊郭で下働きの仕事をしていました。
当時の日本は幕府の鎖国令によって長崎だけが海外との貿易を許されていた状況です。
海外との貿易で経済が潤った長崎では、幕府も巨大な利益を得るため丸山町に遊郭を建造しました。
この遊郭こそが異人の相手をするため多くの遊女を集めた丸山遊郭だったのです。
両親を亡くした咲は丸山遊郭の下働きをしながら妹のるりを育てていました。
母親の治療で借金が残っているのですが、器量の良い咲には船問屋の若旦那から縁談の話が持ち掛けられています。
るりは少しでも姉のサポートをしたいと思い家事の手伝いを始めました。
しかし姉とは対照的に不器用なるりは姉の力になることができません。
夜の街で働く姉のため、るりはせめて朝食は自分で作りたいと思うのですが咲はそんなことを求めてはいませんでした。
必死に手伝おうとするのですが、優しい姉はるりの存在があるからこそ頑張れると言ってくれます。
このように姉の咲はまるで母親のようにるりのことを優しく包んでくれていました。
そんな姉に縁談話が持ち掛けられたことを知ったるりは、咲が誰よりも幸せになってほしいと思うようになります。
2人が力を合わせて生活していたある日、丸山遊郭の太夫が家の近所を通ることになりました。
ここでるりは初めて見た艶やかな太夫の姿に魅了されます。
丸山遊郭の太夫は江戸の吉原や京都の島原と並ぶほど有名でした。
その姿を目に焼き付けたるりは帰宅した姉に自分の想いを伝えることにします。
何も考えずにるりが太夫への憧れを伝えました。
するといつも優しい姉が急に怒り始めます。
太夫になるためには能や舞い、さらに三味線などもできなければなりません。
そのことを聞きながらるりは姉が本気で怒っていることに気がつきました。
姉が本気で怒ったことでるりは遊女になることが良くないことだと本能で理解したのです。
亡くなった父親と姉のためるりは遊女への憧れを捨てました。
数ヶ月後、咲の縁談話が本格化することになります。
お相手は油町の大問屋の若旦那で、咲もこの縁談話に前向きでした。
しかし大問屋の旦那様は咲が嫁にくることを良く思っていません。
その理由は咲が貧しい生活を送っているためでした。
結婚を反対された若旦那は咲が嫁入りする時に嫁盗人を頼むことにします。
嫁盗人は長崎で流行していた奇妙な風習で、どうしても結婚したい娘をさらうというものですが今回は結納金を盗まれることにしました。
こうすれば結納金を準備できなかったことを隠せるというのです。
るりの希望通り咲は幸せになれるはずでした。
ですが嫁入り当日、咲の行方が分からなくなってしまいます。
嫁盗人の計画も中止になったため、るりは街中を必死で探し回ることにしました。
その結果、白無垢姿で殺された姉の無残な姿を発見します。
さらに姉は殺されただけでなく密輸に関わったという罪を背負わされていました。
姉の無実を証明するため、るりは下手人を自分の手で摑まえることにします。
その手段として選んだのが丸山遊郭の遊女になることでした。
3年後、遊女になったるりの下手人探しがいよいよスタートすることになります。
果たして姉を殺した下手人の正体と罪を被せた目的は何なのでしょうか!?
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『丸山遊女~復讐の蕾~』を読んだ感想
江戸時代を舞台にしたヒューマンドラマとサスペンス漫画が融合したストーリーになっていますね。
吉原を題材にした物語は数多くあるのですが丸山遊郭が舞台の漫画はあまりないため、新鮮な気分を味わうことも出来ました。
大好きな姉を殺した犯人に復讐を遂げようとする妹の執念を表現した『丸山遊女~復讐の蕾~』!
現代の物語ではありませんが感情移入しやすい内容になっています。
るりの立場に身を寄せながら憎むべき犯人を予想してみてください。
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