今回は「竹屋まり子」先生の『あくたの死に際』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『あくたの死に際』はこんな漫画(あらすじ)
大企業に就職して順調な人生を歩んでいたはずの黒田マコトは、自分でも気付かないうちに小さなストレスを積み重ねていました。
ストレスによって心を病んでしまったため会社を休職した黒田が散歩していると、学生時代に所属していた文芸部の後輩で人気小説家の黄泉野季郎(よみのきろう)と再会します。
黄泉野は黒田が心を病んだ理由について、書きたい小説を書いていないからと断言しました。
しかし黒田は自分に小説を書く才能があるとは思っていません。
それでも黄泉野の才能に嫉妬していることに気付かされた黒田は、久しぶりに小説を執筆することにします。
そんな黒田が進む道は想像以上の困難が山積していました。
生まれ変わるため必死にもがく男の人生を描写した『あくたの死に際』
今回は大人気ヒューマンドラマの第2話についてネタバレを含みながら面白さをご紹介していきます。
第2話からようやく黒田が本心を打ち明け始めますよ。
『あくたの死に際』の魅力紹介(ネタバレ含む)
第2話前編
小説を書いてみたくなった黒田マコトは、食事しながら彼女のミライに新人文芸大賞へ投稿することを伝えました。
ミライの否定的な言葉によって黒田は恥ずかしくなってきます。
せっかく黄泉野と再会したことで光を見つけられたのに、黒田は社会の歯車として常識的な考え方に戻されてしまいました。
休職中にも関わらず夢を追いかけようとするのは非常識なのかもしれません。
常識から外れたくない黒田は本気で小説を執筆したいことをミライに打ち明けられませんでした。
社会の歯車として生きてきた黒田は、ここでも自分に嘘をついてしまいます。
彼女の立場としては夢を語るよりも職場に復帰することを望んでいました。
本心を語れなかった黒田が原稿と向き合います。
ですが大人になって夢を追いかけようとする自分を否定する言葉が聞こえてきました。
文芸部部長だったからといって才能があるとは限りません。
後輩が人気小説家だから自分のデビューできるほど、文芸界が甘くないことはよく分かっています。
自分の中にある否定的な言葉を浴びてしまった黒田は、思ったような小説を書くことができませんでした。
一般社会では常識的で真面目な所は美点かもしれません。
しかし小説家のような社会不適合者には欠点になるのです。
黄泉野は続いて川端康成の名前を挙げました。
ですが川端康成も自殺しています。
暇なのでなんとなく小説を書いたと言い訳をしました。
文句を言われたくなかっただけなのですが、言い訳をしたことで黄泉野の表情が一変します。
いつになったら黒田は自分の正直な気持ちと向き合うことができるのでしょうか!?
年齢を言い訳にして夢を語れないのはカッコ悪いことだと気付かされました。
黄泉野のように他人の目を気にしない生き方は、自分の才能を信じているからできるのかもしれませんね。
もがきながら小説と向き合う青年の日常を綴っていく『あくたの死に際』
誰もが夢を叶えられるわけではありませんが、夢を追いかけることは自由だと思うことができました。
黒田にも周囲の目を気にせず小説を書いてもらいたいですね。
第2話後編
小説家はスポーツ選手ではないので年齢に制限はありません。
大学時代、黄泉野が文芸部の部室に来なくなった時期がありました。
黒田が仲間に理由を聞いてみると、文芸賞の〆切が近いためと言われます。
当時から既に黒田は自分に才能がないと感じていました。
対照的に黄泉野はこの頃から小説と真剣に向き合っていたのです。
有名な小説家の真似ばかりしていても小説を書くことはできません。
立ち去ろうとした黄泉野だったのですが、言い過ぎたことを謝ると映画に誘ってきました。
3Dメガネをかけてグロテスクな映画を鑑賞します。
さらに4DXモーションチェアが揺れるので、映画が観終えると黒田は酔ってしまいました。
黄泉野は映画館だけでなく近くで開催されている個展や、一風変わった自販機などに黒田を連れて行きます。
書店にも立ち寄ると黄泉野季郎の小説がオススメコーナーに陳列されていました。
コーナーの前では若者たちが黄泉野の作品にそれぞれの感想を述べています。
しかし黄泉野は若者の感想を全く気にしていません。
慣れてはきましたが怖い気持ちは一生続くと思っています。
小説家は怖さに慣れなければやっていけないことを黄泉野は理解していました。
橋の上から川を見下ろしていると、急に黒田が欄干に昇ってそのまま飛び降りてしまいます。
もしかしたら太宰と同じ気持ちを味わいたかったのかもしれません。
太宰は本当に死にたかったわけではなく、生まれ変わりたかったような気がしてきました。
ここから黒田は本気で小説を執筆していきます。
以前のように夢を否定する言葉が聞こえてくると、川の中に飛び込んだような感覚で無視するようにしました。
闇に潜ったような状態のまま2日をかけて小説の冒頭を書き直します。
冒頭の文章をメールで受け取った黄泉野は、一緒に飲んでいた知り合いの編集者に見せてみました。
天才の作品しか読みたくないと言っていた編集者は、冒頭の文章を書いた作家の名前が知りたくなります。
新人文芸大賞の〆切まであと13日と2時間しかありません。
黒田は怖さに打ち勝って自分を出した小説を創作できるのでしょうか!?
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『あくたの死に際』はこんな人にオススメ
胸が熱くなるヒューマンドラマを読みたい人にオススメの作品です。
常識から外れることを気にせず泥臭く夢を追いかける主人公の姿から大きな感動を味わえますよ。
自由に創作することの難しさを表現している『あくたの死に際』
信念を貫くことの大切さを学ぶことができました。
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