虫かぶり姫のネタバレ(漫画)!本が好きな令嬢の恋模様とは?

今回は「コミック 喜久田ゆい 原作 由唯」先生の『虫かぶり姫』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『虫かぶり姫』はこんな漫画(あらすじ)

侯爵令嬢のエリアーナ・ベルンシュタインは三度の飯より本が好きなことから、本の虫ならぬ虫かぶり姫と呼ばれています。

そんなエリアーナにサウズリンド王国第一位継承者のクリストファー殿下がプロポーズしてきました。

しかしクリストファーはエリアーナを愛しているわけではなく、どの派閥にも属していないベルンシュタイン家と婚約することにメリットを感じているだけです。

恋愛感情抜きの取り引きに対して、王宮書庫室への出入り自由という好条件にエリアーナは婚約を受け入れることにしました。

こうしてウィンウィンの関係を築いた2人なのですが、共に時間を過ごすうち思いもよらなかった感情が芽生えていきます。

本を愛する侯爵令嬢の純愛を描いていく『虫かぶり姫』

今回は王国を舞台にしたラブストーリーの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

勘違いから始まる恋愛模様をじっくりとお楽しみください。

 

『虫かぶり姫』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

エリアーナが書庫で本を探しているとクリストファーの笑い声が聞こえてきました。

エリアーナ
「ああ・・・その時が・・・来たのね」

エリアーナ・ベルンシュタインの容姿はぼんやりとした色合いの金髪に、はっきりとしない灰色の瞳です。

一般的にエリアーナの容姿はあまり好ましいものではありません。

それでも父親と兄は可愛いと言ってくれています。

ベルンシュタイン家の人間は三度の飯より本が好きという特徴があり、周囲からは変わり者と呼ばれるようになっていました。

エリアーナ
「かく言うわたしもその例にもれず、ついたあだ名が本の虫ならぬ虫かぶり姫」

子供の頃からエリアーナはドレスや宝石よりも本が大好きです。

そんなエリアーナに転機が訪れたのは4年前のことでした。

エリアーナの運命を変えたのはサウズリンド王国第一位継承者のクリストファー殿下です。

クリストファー
「エリアーナ嬢、あなたは私の隣で本を読んでいるだけでいいよ」

クリストファーの言いたいことが理解できないエリアーナは、殿下の朗読係にでも選ばれたのかと勘違いしました。

しかしクリストファーはエリアーナにプロポーズをしたのです。

エリアーナ
「ベルンシュタイン家はいちおう侯爵家ではありますが・・・内実は力ある伯爵家にも劣る末席中の末席ですよ」
クリストファー
「そこは利点だよ」

ベルンシュタイン家に力が無いことをクリストファーは全く気にしていません。

賢いエリアーナはすぐにクリストファーの真意に気がつきます。

エリアーナ
「なるほど・・・我が家は宮廷内のどの派閥にも属さず、親戚筋にもやっかいな権力者はおりません、そして父も兄も権力ごとには興味を抱かない」

クリストファーは母親からすぐに婚約者を見つけろと迫られていました。

エリアーナも社交界デビューした年頃の令嬢なので、貴族の義務から逃れることは出来ません。

クリストファー
「私の婚約者になれば伴侶探しの茶会や舞踏会を断れるし、その分読書の時間が増えるよ」

最低限の公式行事や王家が主催する行事には付き合う必要があります。

つまりクリストファーは恋愛感情抜きの取り引きを申し出てきました。

ただし破格の条件であることは間違いありません。

エリアーナ
「どのみち王族からの申し出を弱小貴族が断れるはずもありません」

エリアーナは読書の時間とさよならすることを覚悟します。

落ち込むエリアーナにクリストファーはさらに好条件を提示してきました。

クリストファー
「それに私の婚約者という肩書があれば・・・王宮書庫室への出入りはもちろん、閲覧、貸出しも自由だよ」

ベルンシュタイン家の血は活字でできています。

そんなエリアーナにとって限られた者しか出入りが許されていない王宮書庫室は聖地のような場所でした。

王家の秘蔵所が収められている本好きには垂涎ものの聖地にエリアーナの心が大きく揺れ動かされます。

エリアーナ
「お父さまとお兄さまがしぶしぶながらも王宮勤めをしている理由、そこに自由に行ける・・・?」

光悦の表情を浮かべたことでクリストファーはエリアーナの気持ちを察しました。

こうして2人の婚約が成立したのです。

クリストファー
「私は婚約者探しというわずらわしさから解放され、あなたは貴族令嬢の縛りから解放される、私は・・・私の婚約者という責務をあなたに背負わせるかわりにあなたの自由の時間を守ってみせよう、必ず」

クリストファーの宣言にエリアーナはドキッとさせられました。

しかし残念ながら世の女性が喜ぶようなロマンスは存在していません。

エリアーナ
「ご令嬢方の憧れの的である王太子殿下の婚約者に選ばれた理由、それは・・・わたしがただ単に都合が良かったのです」

エリアーナは自由と幸せを手に入れられるのでしょうか!?

 

 

侯爵令嬢という立場を見透かされてしまったため、エリアーナはクリストファーにとって都合の良い女性となってしまいました。

利用されることを分かっていながら婚約を受け入れたところにエリアーナの賢さが表現されていますね。

読書好きの令嬢と王太子のラブロマンスを描いた『虫かぶり姫』

始まりは偽装婚約ですが少しずつお互いの気持ちに変化が現れていきます。

揺れ動くエリアーナの乙女心が見所になっていますよ。

後編

婚約が成立してから4年間、エリアーナはクリストファーの執務室で読書する日々を送っていました。

ゆっくり読書できる執務室は最高の空間です。

エリアーナ
「人前にあまり出ない王太子婚約者をつつがなくできるとは思っていませんでした、さすが聡明で英邁な将来を嘱望される若き王太子様です」

現状を成立させているのはクリストファーのおかげでした。

本を読み終わるとクリストファーの側近にして右腕であるアレクセイ・シュトラッサーが訪ねてきます。

アレクセイ
「この書類をテオドールさまの所へ届けてはもらえませんでしょうか」
エリアーナ
「ええ、もちろん良いですわ」
アレクセイ
「まったく殿下ときたら・・・どこに行ったのか」

公爵家の令息であるアレクセイはどんな人とでも等しく冷淡な態度で接することから氷の貴公子と呼ばれていました。

アレクセイのためエリアーナはテオドールがいるであろう王宮書庫室へ向かうことにします。

すると近衛騎士のグレン・アイゼナッハがどこに向かっているのか尋ねてきました。

エリアーナ
「テオドールさまへこちらを届けに」
グレン
「ならば俺がお手伝い致しますよ、今日は何時頃お帰りになられますか?」
エリアーナ
「15時頃かと」
グレン
「ではその頃また伺いますね」

グレンはクリストファーの護衛を務める近衛騎士団所属の騎士で、明るくて男女問わず人気がある人物です。

エリアーナにもとても気さくに話しかけてくれていました。

一緒に王宮書庫室へ向かうと、想像していた通りテオドールが書物を整理しています。

エリアーナ
「テオドールさま」
テオドール
「エリアーナ嬢、グレン、今日も本を借りに?」
エリアーナ
「それもありますがアレクセイさまからこちらを預かりました」

テオドールは王宮書庫室の管理責任者を務めるようになっていました。

現国王陛下の弟気味でありますが、陛下とは年が離れているのでクリストファーと兄弟だと言われた方がしっくりきます。

テオドール
「そういえば先日きみがたのんでいた本届いたぞ」
エリアーナ
「まあ!今日お借りしていっていいですか?」
テオドール
「東方見聞書なんてきみが読んで楽しいのか?」
エリアーナ
「はい、もちろん」

テオドールは身内以外で唯一、書物の話題で話が合うので色々と頼みごとをするようになっていました。

頼んでいた本が届いていたことに喜んでいると、クリストファーが王宮書庫室に姿を現します。

クリストファー
「エリアーナ、やっぱりここにいた、エリアーナに渡したいものがあってね、捜したよ?」
エリアーナ
「それは申し訳ありません」
クリストファー
「いいんだ、今から執務室へ行けるかい?」
エリアーナ
「ハイ」

本来はグレンがエリアーナを送るはずでしたが、今日はクリストファーが送ることにしました。

しかしここでクリストファーを探していたアレクセイがやって来ます。

アレクセイに残っている確認作業を頼まれたので、クリストファーはエリアーナを執務室に送っていくことができなくなりました。

クリストファー
「エリアーナ、待っていてくれるかい?」
エリアーナ
「はい、執務室でお待ちしております」

取引から始まった婚約者の立場ですが、エリアーナは4年間をとても暖かい時間だと感じていました。

クリストファーだけでなくテオドールやグレンたちはエリアーナの声にいつも耳を傾けてくれています。

そんな人間関係と時間にエリアーナは愛着を抱くようになっていました。

ただしサウズリンド王国では男女が18歳になると成人とみなされるのですが、クリストファーはエリアーナが成人を迎えた現在も成婚を引き延ばしにしています。

エリアーナ
「けれどそれも仕方がない事です、わたしく殿下が交わしたのはあくまで婚約時代の双方の利点の合致、そもそも正妃教育をほどこしてもいないわたしを妃に迎える事はできない、わたしたちの間に恋愛感情はないのだから」

いずれこの関係には終わりが来ることをエリアーナは自覚していました。

それからしばらくしてクリストファーからの華美な宝飾品のプレゼントが少なくなっていきます。

もしかしたら見せかけの婚約者には必要ないと思われたのかもしれません。

その頃、アイリーン・バルカスという子爵令嬢が行儀見習いに後宮へ上がってきました。

アイリーンは物怖じせず会話ができるのでアレクセイやグレイとすぐに打ち解けています。

しかしそのため女性から嫉妬されていました。

アイリーンが周囲に溶け込む中、書庫に私物を放置するなどエリアーナが失敗を連続してしまいます。

失敗によって周囲の態度が豹変していきました。

エリアーナ
「近頃は失敗ばかり・・・グレンさまもわたしに失望を覚えられたのでしょうか・・・主君たるクリストファー殿下の婚約者としてふさわしくないと・・・」

このままエリアーナは婚約者失格という烙印を押されてしまうのでしょうか!?

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2024.06.07

 

『虫かぶり姫』を読んだ感想

婚約者を演じているうちにエリアーナの心境に変化が現れていますね。

純粋だからこそ心が揺れ動かされている気がしました。

本にだけ心を動かされていた令嬢の恋心が揺れ動いていく『虫かぶり姫』

切ない恋模様をロマンチックに描いた物語です。

エリアーナの心情に共感しながら物語の世界観をお楽しみください。

 

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