今回は「原作 佐藤ざくり 作画 吉田夢美」先生の『四畳半のいばら姫』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『四畳半のいばら姫』はこんな漫画(あらすじ)
16歳の小林しんらは貧乏で友達がいなく、男にだらしない母親はほとんど家に帰ってきません。
しんらは親ガチャに大失敗してしまったので、この世の中に神様なんていないと思うようになりました。
最低で最悪な人生をひっくり返すため、しんらは勉強を頑張って優秀な大学に入ることを目標にしています。
そんなある日、イケメンで人気者の佐々木雷(ささきらい)がしんらと友達になりたいと言ってきました。
しかし興味本位で距離を縮めようとすることが許せません。
神様に見捨てられている気がするしんらの人生を雷は変えることができるのでしょうか！？
人生詰んでしまったヒロインの恋模様を描いていく『四畳半のいばら姫』！
今回は社会のヒエラルキーを題材にした恋愛漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
不幸のどん底から這い上がろうとするヒロインを応援したくなりますよ。
『四畳半のいばら姫』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
小林しんらは毎日、神様なんてどこにもいないという気持ちで目を覚まします。
いつものように誰もいない部屋に行ってきますと行ってから学校へ向かいました。
学校に到着してもしんらは俯いています。
しんらはたまに帰ってくる母親が置いていくお金や、ごくまれに振り込まれるお金に頼って生きる最悪な人生を送っていました。
この環境を変えるためしんらは勉強を頑張っています。
良い成績を収めて優秀な大学に入れば一流企業に勤められるかもしれません。
今はこれがしんらの人生目標なのです。
保育園に通っていた頃、かれんという女の子の友達ができました。
仲良くなったかれんのクリスマスパーティーに呼ばれたしんらは、プレゼントに牛乳の紙パックで作った不気味な人形を渡してしまいます。
その代わりにプレゼント交換で素敵なシルバニアファミリーを当ててしまいました。
過去の経験から格差のある友達は必要ないと決めています。
そんなことを考えていると女子の悲鳴が聞こえてきました。
女子が悲鳴を上げている理由は学校の人気者の佐々木雷、中村加南、青山百景の3人組が廊下を歩いているためです。
しんらはルックスが抜群の3人組の人気が高いことには納得していました。
ですが髪を整えられたりオシャレできるのも全てはお金があるからです。
しんらには壊れているドライヤーを買い直す経済力すらありません。
高校生活を充実させる余裕などしんらにはないのです。
ただしんらが思っているほど佐々木雷は人生を楽しんでいるわけではありません。
モテモテな日々を過ごしているのに雷は退屈していました。
そんな雷が屋上から中庭を見ていると、しんらが嬉しそうにお弁当を持っています。
この日のしんらは激安スーパーで手に入れた80%オフの牛肉を使った焼肉弁当を持って来ていました。
1日1食のしんらにとって焼肉弁当は自分へのご褒美です。
ワクワクしながら食べようとしたのですが、小石につまずいて焼肉弁当を落としてしまいました。
地面にご飯が落ちた状態なのでしんらは牛肉を食べることにします。
その様子を見ていた雷はしんらに興味を持ち始めました。
しんらはこんな人生を嫌だと思いながらも必死に生き抜こうとしています。
放課後になると雷がしんらに声を掛けてきました。
人気者3人組のセンターに突然話しかけられたのでしんらは戸惑ってしまいます。
戸惑っていると雷がしんらと話してみたいと言ってきました。
雷はしんらの行動が予測不能だったので興味が湧いたようです。
もっと話してみたいのでスターバックスに誘ってきました。
しんらは自分がヒエラルキーの底辺であることを自覚しています。
それでも上から目線のイケメンたちの娯楽にされるつもりはありません。
しんらと雷の運命はここからどのように交錯していくのでしょうか！？
親に見放されているしんらが人生を変えようと努力している姿に感動できました。
貧しい環境を自覚しながらイケメンたちの娯楽になるつもりがないと宣言できる姿に精神的な強さを感じますね。
神様に見捨てられた少女の運命を描写していく『四畳半のいばら姫』！
しんらに拒絶された雷も一筋縄ではいかないキャラクターです。
少し変わり者の2人がゆっくりと距離を縮めていきますよ。
後編
雷を怒鳴りつけたしんらはコンビニでバイトをしていても怒りを抑えられません。
苛立ちながら商品を陳列していると馴れ馴れしい店長が声を掛けてきます。
店長は何故かバイト初日からしんらを下の名前で呼んできました。
シフトのために好感したLINEにもどう返していいか分からないメッセージが送られてくるので苦手だと感じています。
親目線で説教してくることもあれば、急に下ネタをぶっこんでくるので相手にしたくありません。
そんな店長にいきなり太腿を触られました。
バイトから帰宅したしんらは疲れと空腹で倒れ込んでしまいます。
せっかくの焼肉弁当も完食できませんでした。
そのことに興味を持った雷に改めてイライラしてきます。
電気やガスなどの光熱費をやりくりする四畳半の世界がしんらの全てになっていました。
数日後、三者面談が予定されているので母親にLINEを送ります。
しかしメッセージが返ってくることはありません。
先生に嘘をつくと母親が毎日帰ってきているのか確認されます。
もし留守が多いのなら育児放棄なので先生は児童相談所などに連絡しなければなりません。
困っているとようやくしんらの母親が学校へ姿を現しました。
看護師をしている母親は夜勤明けだったようです。
母親が帰って来たのは2か月半ぶりなので怒るしんらなのですが、彼氏と別れたのでこれからはしんらと一緒にいると言ってくれました。
久々に母親と一緒に居られたので安心することができます。
この日も生活費を稼ぐためアルバイトしていると、雷が偶然コンビニにやって来ました。
意外にも謝ってくれます。
その姿を見ているうちに許せる気分になってきました。
正直に話すと普段は母親が帰ってきていないことを見透かされてしまいます。
詳しい事情は話したくないし、雷がしんらの家庭事情について質問してくる理由が分かりません。
雷は本気でしんらと友達になりたいと思ってくれています。
その言葉は素直にしんらの胸に突き刺さりました。
顔がにやけてしまいます。
嬉しそうにしていると店長がしんらの身体を触ってきました。
その音が聞こえた雷が戻ってきます。
すぐに雷を連れて店を飛び出しました。
しかし雷は納得してくれません。
生きるためならしんらは賞味期限切れのものも平気で食べますし、道に落ちたものだって食べます。
日によっては水しか飲めないことだって珍しくありません。
裕福な雷の優しさは伝わってきます。
ですがしんらにとって優しさは残酷なものでした。
惨めな気持ちにはなりましたが家に帰ればママがいます。
しかし帰宅するとママの姿はありませんでした。
お金を持って再び男の元へ向かってしまったのです。
しんらは怒りの言葉すら出せません。
やはり人生はクソだと思っているうち、神様に見捨てられている気がしてきます。
努力しても頑張っても全部ムダになるので虚しくなってきました。
とっくに学校へ行く時間を過ぎているのに体が動きません。
このまま消えてしまいたくなっていると、窓ガラスに何かが当たりました。
窓を開けると中村加南と青山百景を連れた雷が立っています。
もしかするとまだ神様はしんらを見捨てていないのかもしれません。
本気で関わろうとする雷はどんな方法でしんらの人生を最高にする気なのでしょうか！？
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『四畳半のいばら姫』を読んだ感想
強く生きているように見えてもまだ16歳のしんらには耐えられなくなるほど苦しすぎる状況が続いていますね。
母親が帰ったことで安心した姿からは強がっていてもまだまだ子供なんだと感じました。
過酷な運命に抗う少女の奮闘を描いた『四畳半のいばら姫』！
雷の言葉通り人生を最高にしてもらいたいとしんらを応援したくなりました。
プライドが高いしんらに対して雷たち3人がどのような方法で距離を縮めていくのかも見所になっていますよ。
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