今回は「原作 綿引智也 作画 春夏冬画楽」先生の『バンオウ-盤王-』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『バンオウ-盤王-』はこんな漫画(あらすじ)
月山元四郎は永遠の命を持て余している吸血鬼です。
死なないことで暇を持て余した月山は偶然教えてもらった将棋の奥深さに魅了されました。
将棋の才能に恵まれたわけではありませんが、月山は300年という長い年月で莫大な敗北を乗り越え研鑽を積んでいきます。
そして現在、月山の棋力は常人の限界を超えた領域に達していました。
人間社会で正体を隠しながら将棋を楽しんでいた月山だったのですが、通っている将棋教室を存続させるため最高峰の竜王戦への挑戦を決意します。
凡才ですが経験豊かな吸血鬼と天才棋士たちの戦いを描いていく『バンオウ-盤王-』
今回は将棋界を舞台にした迫力満点の物語についてネタバレを含みながら面白さをご紹介していきます。
手に汗握る将棋バトルの行方から目が離せなくなりますよ。
『バンオウ-盤王-』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
竜王戦七番勝負の第一局が幕を開けました。
対局するのは通算6期のタイトル保持を誇っている絶対王者の新堂竜王と挑戦者の大川王将です。
竜王戦が始まった頃、東京の郊外にある和島将棋教室でも対局が行われていました。
対極に勝利したのはアマチュアの月山という人物です。
今のところ月山は大会に出ようとは考えていません。
先生はそのことをもったいないと言ってくれます。
老けていないとよく言われている月山はまた来ると伝えて将棋教室を後にしました。
家に帰ると月山はテレビで竜王戦の結果を鑑賞します。
この勝利で新堂竜王はタイトル戦五冠を獲得しました。
インタビューでは向かうところ敵なしと称賛されるのですが、新堂竜王は少しも慢心していません。
新堂竜王のインタビューを鑑賞していると、月山の部屋に宅配便が届きました。
サインをすると大喜びしながら宅配便を受け取ります。
喜ぶ月山とは対照的に新堂竜王が注目している棋士について質問されていました。
新堂竜王はGENという棋士のことを注目しているそうです。
GENという棋士に関するインタビューを見ずに豚の血を飲み干した月山は将棋盤と向き合い始めました。
吸血鬼の月山は眠ることなくただひたすら将棋を指す日々を300年間続けているのです。
そんな月山が通っている将棋教室には大人だけでなく子供も足を運ぶようになっていました。
負けてしまった子供に先生がアドバイスしています。
先生のアドバイス通りに指していれば、8六歩で飛車を追い返せるはずでした。
人気者の月山が現れると子供たちが勝負を挑んできます。
暇ではないと言いながら月山は子供たち全員と将棋を指し始めました。
大人気ない月山は子供たちを圧倒して勝負を終えます。
先生からは大会への出場を勧められたのですが、吸血鬼の月山は目立つことはできません。
本当は強い人と指してみたいのですが吸血鬼だとバレると一巻の終わりです。
贅沢を言える立場ではないことを理解しているので、月山はネットでの勝負で満足することにしていました。
ネットだけでなく和島将棋教室も月山にとって大切な場所です。
しかし将棋教室は吸血鬼のように永遠の存在ではありません。
和島将棋教室は閉鎖の危機を迎えていたのです。
吸血鬼が将棋に魅了されたという設定がとても斬新ですね。
凡才でも長い時間をかけることで将棋の実力が向上した姿からは勇気を貰えました。
大切な場所を守るため将棋界に挑戦する吸血鬼の活躍を描写した『バンオウ-盤王-』
将棋の魅力と奥深さを丁寧に表現しています。
複雑に絡み合う人間模様も楽しむことができますよ。
後編
嫌な噂を耳にした月山が先生の元へ向かいます。
まだまだ先生に隠居するつもりはありません。
それでも経営していくための資金が足りなくなってきているのです。
確かに月山の言う通りですが、会費をとれば来づらくなる子供が出るかもしれません。
先生は自由に好きなだけ将棋を指せる場所を多くの人に提供したいのです。
少しでも多くの人に将棋を好きになってもらいたいという想いで将棋教室を始めました。
改装工事に必要な4000万円が先生には用意できません。
そのため本意ではありませんが将棋教室を閉鎖するしかないのです。
昼は体力が持たないので働けない月山に蓄えはありません。
将棋教室を去ろうとしたのですが、下校中の子供たちから将棋を指そうと連れ戻されます。
月山は子供たちに将棋教室がなくなることを話すことができません。
そんな中、プロ棋士の岩本六段が動画の配信で“SHOGI ROYAL”というアプリでの対戦を投稿しました。
岩本六段の対戦相手は新堂竜王も注目している将棋ロイヤル最強の指し手と呼ばれているGENです。
ただしGENはアマチュアなので岩本六段はプロとして格の違いを見せるつもりでした。
大勢の人が注目する中、対局が開始します。
江戸の町を彷徨い歩いている時、月山は道端で将棋を指している町人と出会いました。
ルールを教わった月山は暇つぶしのつもりで将棋を学んでみることにします。
すぐに町人たちが相手にならないほどの実力を身に付けたのですが、街へ出ると月山を負かす人間が大勢いました。
月山は将棋の才能に恵まれたわけではありません。
ただし将棋の魅力にとりつかれひたすら指し続けました。
将棋と出会ってから300年、月山は無数の戦い方と出会ってきたのです。
そして人が経験できない莫大な敗北を乗り越え、研鑽を重ねてきた月山の棋力は常人の限界をはるかに超えた領域へ達しました。
ここで岩本六段が投了したことによってGENの勝利が確定します。
月山はもっと強いプロと指してみたくなりました。
現代の最強棋士は新堂竜王です。
新堂竜王と指すためには竜王戦に出場しなければなりません。
月山はみんなが楽しそうに将棋を指す和島将棋教室が好きだと告白します。
300年場所を変えながら指してきたのに、ここだけは10年も居着いてしまいました。
だからこの場所をつぶさせたくありません。
これまでの月山は吸血鬼であることを隠すため、目立つことや人と関わることは避けてきました。
10年居続けたこの場所にこれ以上の長居はできません。
どのみち雲隠れすることになるのなら多少目立っても問題ないので覚悟を決めました。
月山は新堂竜王への挑戦権を獲得できるのでしょうか!?
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『バンオウ-盤王-』を読んだ感想
将棋教室が自分にとって大切な場所だと気付いた月山のセリフに感激しました。
吸血鬼でありながら賞金で教室を守ろうとするシーンにも誠実さを感じますね。
将棋界のトップになり上がろうとする『バンオウ-盤王-』
数多くの敗北を経験したからこそ圧倒的な棋力を手にした月山の戦いを見ているうちに胸が熱くなってきますよ。
正体を隠した凡才の下剋上ストーリーに魅了されてください。
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