アルテ(漫画)のネタバレ!ルネサンスをテーマにした傑作です!

今回は「大久保圭」先生の『アルテ』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『アルテ』はこんな漫画(あらすじ)

16世紀初頭、ルネサンス文化が発祥したイタリアのフィレンツェでは、芸術活動が盛んにおこなわれていました。

そんな時代にアルテという女の子が貴族の子として生を受けます。

成長した彼女は芸術に興味を持ち始めるのですが、母親はアルテの希望を叶えようとしてはくれません。

それは女性が自立して生きることなど認められていなかった時代だったためです。

しかし夢を諦められないアルテは画家工房への弟子入りを決意しました。

女性に対して閉鎖的な時代に画家を目指したヒロインの半生を描いた『アルテ』

今回は歴史と芸術を題材にしたヒューマンドラマの魅力について、ネタバレを含みながらご紹介していきます。

2016年の次にくる漫画大賞選定作品にノミネートされた傑作を見逃さないでください。

 

『アルテ』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

16世紀初頭のフィレンツェにスパレッティ邸という貴族の屋敷がありました。

ある日の朝、召使が屋敷の娘であるアルテの部屋に着替えを届けに行きます。

するとアルテは生足を露わにしながら野鳥の絵を描いていました。

召使がはしたないと注意するのですが、アルテは絵を描くことをやめようとしません。

彼女は子供の頃から異常とも思えるほど、絵にのめり込んでいました。

アルテ
「そんあたしに母は良い顔をしなかったが、父は応援してくれ絵を描く環境を整えてくれた、しかし先月その父が急逝した」

父親が亡くなってしまったことによって、スパレッティ邸はある問題を抱えてしまっています。

そのことを考えながら絵を描いていると、中庭で母親が何かを燃やそうとしていることに気がつきました。

アルテ
「お母さま!何をしてるの!?やめて!それは私が描いた絵よ!」

抵抗するアルテを無視するように母親は絵を燃やしてしまいます。

母親は絵にのめり込み過ぎている娘の結婚を心配していました。

アルテ
「我が家の目下の問題は私の結婚問題」

当時のフィレンツェでは嫁ぐ娘に親が持参金を持たせる風習があったのですが、父親が亡くなってしまったためアルテには大した持参金を用意できないのです。

そのため母親は絵のことを忘れて男性に気にいられ、まともな人生を送ることを娘に望んでいました。

ですがアルテには母親の想いが理解できません。

アルテ
「お母様の言うまともな生活って・・・好きな事もできず男の下で媚を売る自由のない生活のことですか?」

このようにアルテと母親の考え方には大きな溝があったのです。

16世紀初頭、貴族の娘に対する教育は男性と比べ圧倒的な差がありました。

女性の活動は家庭内に限られていたため、高い教育を受けている女性はほとんどいなかったのです。

家の中で夫の言うことを忠実に聞きながら、子供を産んで育てることが女性の仕事だと考えられていました。

まさにアルテが言う通り女性は自由のない籠の鳥だったのです。

アルテ
「まだ燃え残ってたんだ・・・」

焼かれずに燃え残った絵を眺めながら、アルテは大きな決意を胸に抱いていました。

ルネサンスが発祥したフィレンツェでは、街の中に大小様々な工房が軒を連ねています。

この工房から数多くの芸術作品が次々と生み出されていました。

工房の作業は分業制になっていて、職人を目指すためには工房に弟子入りをして師匠の仕事を手伝いながら覚えるしか方法がないのです。

そのためアルテは工房に弟子入りすることを決心しました。

しかし強い決意を胸に抱くアルテにはここから様々な困難が待ち受けていたのです。

果たして女性が冷遇されていたこの時代に、アルテを弟子入りさせてくれる工房などあるのでしょうか!?

 

 

中性のヨーロッパを舞台にした芸術と歴史的な背景を学ぶことができる作品ですね。

当時の女性としては珍しい考え方のヒロインが印象的でした。

強い決意を胸に秘めたヒロインが夢を叶えようとする姿を描いた『アルテ』

絵もキレイで読みやすく、ストーリーも完成度が高いものになっています。

それではアルテが必死に困難と立ち向かう様子を引き続きご覧ください。

後編

街に出たアルテは片っ端から工房に弟子入りを志願していきます。

まず自分の描いた絵を見てもらおうとするのですが、女性という理由だけで見向きもしてもらえません。

アルテ
「画家工房への弟子入り願い、17軒連続失敗、あと1軒かぁ・・・まだ1軒ある!自分の道は自分で切り拓かないと!」

母親の言い分に納得できないアルテはまだ諦めていませんでした。

しかし最後に訪れた画家工房でも絵を見るまでもないと言われてしまいます。

アルテ
「何故、私では駄目なんですか!?」

理由は思っていた通り女性だからということでした。

この答えに怒りを感じたアルテは、近くにあったナイフを手にします。

アルテ
「女、女って・・・うるさいわね、そんなに言うなら・・・もう女捨ててやるわよ!」

静まる大衆を前に納得ができないアルテは髪の毛を切った後で、胸も切ってしまうと言い始めました。

すると1人の男性がアルテの前に現れます。

レオ
「やめろって!何やってんだ、あんた!」

男性の名前はレオといい彼も画家工房を持っているため、周囲からアルテを弟子にしてやってくれと言われ始めました。

アルテ
「え?あ・・・あなた工房を持ってるの?」

とりあえず騒ぎを収めるため、レオは自分の工房へアルテを連れて帰ることにします。

レオ
「そうか、お前が最近噂の・・・全く面倒事に巻き込まれちまった、こんな変な女押しつけられて」

変な女と呼ばれたアルテは戸惑いながら工房の中を眺めていました。

レオの工房はとても小さいのですが、道具の1つ1つがキレイに整理されています。

アルテ
「あ・・・あの・・・お弟子さんをとってないとか・・・」

アルテの言葉に対してレオは無言のまま睨みつけてきました。

その表情を見たアルテは恐怖のあまり言葉を失ってしまいます。

レオ
「何だ・・・用があるんじゃないのか、用がないならとっとと帰れ」

怖がるアルテだったのですが、残された工房はここしかありません。

アルテ
「私・・・職人になるために工房に入って学びたいんです・・・この絵を見て下さい!お願いします」

これまで絵を見てもらうことすらできなかったのですが、レオは初めてアルテの絵を見てくれました。

無言でアルテの絵を見たレオはある質問をしてきます。

レオ
「お前・・・どうして画家なんぞになりたい?」

少し悩んだ後でアルテがレオの質問に答えました。

アルテ
「そうですね、えーと・・・私が画家になりたいのは・・・絵を描くのが好き・・・だからですかね」

絵を描いている時が幸せだと答えるのですが、レオは不満そうな表情を浮かべています。

レオ
「そうか・・・分かった・・・あんたをウチの弟子にしてやるよ」
アルテ
「ほっ、本当ですか!?」
レオ
「ああ、ただし条件がある」

レオはアルテの目の前に大量の画板を置きました。

アルテ
「すごい数の画板ですね、これからこれに絵を?」
レオ
「ああ・・・あんたテンペラ画の板の地塗りはしたことあるか?」
アルテ
「あっはい、一度だけ家庭教師に教えてもらって」

テンペラ画とは卵と顔料を混ぜた絵の具で描く画法で、画板は入念に下準備をしなければいけません。

地塗りとは板の表面をキレイに磨くことを指しています。

レオ
「明日までにこれ全部にヤスリがけして下地塗りをしろ、それが出来たら弟子にしてやる」

途方もない時間がかかる作業なのですが、弟子になるチャンスを与えられたアルテはこの条件を呑むことにしました。

実はレオがこの条件を出したのは、絶対に無理だと決めつけていたためだったのです。

しかしそんなこととは知らないアルテは必死にこの作業を続けていきました。

そのなかでアルテは画家を目指した本当の理由に気がつき始めます。

アルテ
「本当は気づいてる・・・絵が好きだなんて・・・そんなキレイな気持ちだけでここまで来たんじゃない、私をつき動かしたのはそんな気持ちじゃなかった」

アルテをここまで突き動かしたのは、差別されることに対しての怒りでした。

この怒りを糧にしながらアルテはレオの条件をクリアしたのです。

レオはアルテを弟子にするつもりはなかったのですが、彼女の熱意に考えを変えることにしました。

レオ
「いいよ約束どおりあんたをうちの弟子にしてやるよ」
アルテ
「よろしくお願いします!親方!!」

こうして画家としての第1歩を踏み出し始めたアルテだったのです。

女性が不遇な扱いを受けるこの時代で、彼女は画家になる夢を叶えることができるのでしょうか!?

 

『アルテ』を読んだ感想

ヒロインの熱意に心を打たれる物語になっていますね。

自分が置かれている環境に怒りを感じているシーンにとても共感することができました。

1歩ずつ着実に夢を叶えようとするヒロインが美しく見える『アルテ』

現代人が忘れてはいけない多くのことを教えてくれる作品になっています。

胸が熱くなる感動を覚えながら漫画の世界観を夢中になってお楽しみください。

 

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