今回は「原案 福田ますみ 漫画 田近康平」先生の『でっちあげ』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『でっちあげ』はこんな漫画(あらすじ)
平成17年、小さな街で起こった体罰事件が全国的に知られることとなりました。
事件の内容は教師から体罰を加えられた小学4年生が飛び降り自殺したというものです。
外国人の血が混じっているという理由で男児は教師から執拗な体罰を加えられ続けました。
センセーショナルな体罰の内容から殺人教師と呼ばれた青年に下される正義の鉄槌とは・・・！？
教師から生徒への体罰という社会問題をテーマにした『でっちあげ』！
今回は衝撃的な内容のサスペンス漫画についてネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。
身近で巻き起こるかもしれないショッキングな物語を見逃さないでください。
『でっちあげ』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
平成17年10月6日、週刊誌に掲載されたローカルニュースが全国的に注目を集めました。
記事のタイトルは“小4男児に自殺を強要、史上最悪の殺人教師”というセンセーショナルなものです。
教師から刑罰と称した体罰を加えられた男児は自殺へと追い込まれました。
体罰が始まるきっかけとなったのは平成17年5月12日に行われた家庭訪問です。
沢渡秀二という男児の家に担任の杉谷が訪ねてきました。
秀二は不在のため母親が杉谷と話をします。
すると杉谷の口から信じられない言葉が飛び出しました。
杉谷の言う通り秀二は地毛が赤みががっています。
母親がそのことを認めると誰が外国人なのか尋ねられました。
実は母親の祖父がアメリカ人とのハーフで、母親はワンエイスなのです。
秀二はほとんど日本人なのですが、幼い頃からハーフなのか質問されることが頻繁にありました。
ここで沢渡家の事情を伺った杉谷の態度が豹変します。
母親には杉谷が何を言っているのか理解できません。
すると机を叩きながら太平洋戦争について語り始めます。
米軍は太平洋戦争で木造家屋が多い日本の住宅密集地を爆撃しました。
その結果、10万人の一般市民が亡くなったため、杉谷はアメリカを無差別で虐殺する最低な国家だと決めつけています。
原爆が投下されたことは事実なのですが、現在もアメリカが日本に対して残虐な行為をしている訳ではありません。
しかし偏った歴史観の持ち主である杉谷はアメリカを毛嫌いしているのです。
当然のことですが母親は杉谷の差別を批判しました。
それでも杉谷の主張は覆りません。
母親の批判によって罵詈雑言がエスカレートしていきます。
教師としてあるまじき発言に母親は固まってしまいました。
ここでサッカーをしていた秀二が家に帰ってきます。
何を話しているか分からない秀二は杉谷の言葉を立ち聞きしてしまいました。
自分の血が穢れているという言葉を耳にした秀二は大きなショックを受けます。
この差別発言が秀二にとって地獄の始まりとなってしまいました。
小学4年生の男児に待ち受ける残酷な運命とは・・・！？
平成という時代に杉谷のような差別主義者が存在していたことに驚きました。
差別主義者の中でもアメリカ人を毛嫌いしているのは珍しいかもしれませんね。
歪んだ価値観で男児を傷つける非道な教育者を主人公にした『でっちあげ』！
こんな教師が実在したら安心して生活することができないと思います。
最低な教師に怒りを覚えながら物語をご覧ください。
後編
家庭訪問の翌日、秀二が落ち込みながら帰ってきます。
様子がおかしいと感じた母親が理由を尋ねると秀二が泣き出しました。
杉谷の言葉を立ち聞きした秀二は辞書で“けがれた”という言葉を調べたのです。
言葉の意味を知ったため泣き出してしまいました。
心配になった母親は夫に相談することにします。
しかし杉谷は秀二に対して直接穢れたと言った訳ではありません。
また手を出された訳でもないため両親はひとまず黙認することにします。
この判断が悲劇を招いてしまったのかもしれません。
翌日、秀二が教室で片付けをさせられています。
天狗を選んだ秀二の鼻を杉谷が力いっぱいつまみ上げました。
杉谷の力は凄まじく秀二は大量の鼻血を出してしまいます。
“天狗さん”は鼻をつまみ上げ振り回す刑罰で、“うさぎさん”は耳を掴んで体を持ち上げる刑罰で、杉谷は日常的に秀二へ刑罰を行っていました。
秀二は杉谷が怖いため両親に体罰を打ち明けることができません。
しかし体罰によってできた傷に母親が気付いてくれました。
秀二の耳はちぎれそうになっていて、歯も欠けた状態になっていたのです。
体罰を知った両親はすぐに学校へ抗議しに行きました。
校長先生に杉谷を担任から外して欲しいことを求めます。
しかし校長先生は体罰をすぐには信じてくれません。
また学期が始まったばかりだったこともあり生徒を混乱させたくないと言われます。
仕方なく母親は杉谷に監視役をつけてほしいとお願いしました。
監視が付いたことで教室での体罰は無くなります。
ですが問題の本質は解決していませんでした。
体育倉庫に用具を取りに行った秀二の後を杉谷が追いかけます。
暴行しようとする杉谷だったのですが、監視役の先生が止めに入りました。
こうして体罰が明るみに出たため杉谷は担任を外されることになったのです。
学校から報告を受けた両親はこれで安心することができました。
ですが数日後、学校から帰っていた秀二の前に杉谷が現れます。
杉谷はこれまで以上に狂った表情を浮かべていました。
偏った歴史観と差別主義が招いた結果を杉谷は秀二に責任を転嫁したのです。
追い詰められた秀二はビルから飛び降りてしまいました。
息子を守れなかった母親と父親は杉谷を断罪することができるのでしょうか！？
二転三転する衝撃的なストーリーは実際に漫画を読んでお確かめください。
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『でっちあげ』を読んだ感想
体罰が発覚したことによって秀二がさらに杉谷から追い詰められてしまった結果に理不尽さを感じました。
人それぞれ様々な主義があると思いますが、歪んだ価値観によって差別を正当化することは許されません。
差別がいかに愚かなことか実感させてくれる『でっちあげ』！
社会問題と真正面から向き合う社会派漫画です。
この世から差別が無くなることを祈りながら作品のメッセージを受け取ってください。
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