ジーンブライドのネタバレ(漫画)!高野ひと深作品の魅力は?

今回は「高野ひと深」先生の『ジーンブライド』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『ジーンブライド』はこんな漫画(あらすじ)

30歳の諫早依知は仕事相手からのセクハラや、変質者の出現に絶望しながら日常生活を送っています。

毎日をクソみたいだと思いながら生きている依知の前に、元同級生の正木蒔人が現れました。

学生時代のお礼を伝えたい蒔人なのですが、依知は彼のことを全く覚えていません。

それでも独特な雰囲気の蒔人は依知の生活を少しずつ変化させていきました。

女性であるが故の生きづらさをテーマにした『ジーンブライド』

今回はリアルな女性の人生を表現したヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

高野ひと深先生の話題作をじっくりとお楽しみください。

 

『ジーンブライド』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

諫早依知が映画監督に最新作の取材をしています。

諫早依知
「そして貝原監督最新作エウレーカ!特に印象に残るふたりの逃走シーンについてですが・・・」

作品について質問するのですが、依知がいつからこの会社で仕事を始めたのか逆に質問されてしまいました。

仕事を始めてから結構経っていることを伝えると、今度は容姿が綺麗だと褒められます。

諫早依知
「えーとそれでは話を戻して劇中でふたりがプールサイドを疾走するシーンは、映画春のゆりかごを想起させるような」

話を戻したことで取材は滞りなく進んでいきました。

しかし最後に貴重な話を聞けたことについてお礼を言うと、そんなに褒めると男性は勘違いするから気をつけた方が良いと指摘されます。

最後まで綺麗な女性という印象しか与えられなかったことに依知は納得できません。

諫早依知
「はァー、うんこたれがよ」

この日もクソみたいな日常を過ごしてしまいました。

依知の周りを取り巻く気持ち悪い環境はセクハラだけではありません。

朝のライフワークであるジョギングをしていると、依知の姿を凝視する変質者が現れます。

この変質者が現れたのは今回が初めてではありません。

会社の上司に変質者のことを相談すると、警察へパトロールの強化を頼んでくれました。

諫早依知
「まーたランニングコース潰されたよ・・・やっぱジムしか無いんかなー」

毎日のように絶望する日々に依知は少しだけ飽きてきています。

そんなことを考えていると会社に打合せをするため2人のお客がやって来ました。

上司の代わりに依知が出迎えると、部下と思われる男性が変なことを言い出します。

正木蒔人
「諫早依知、思い出したか、僕は正木蒔人、きみの運命の相手だった男だ」

正木と名乗る男性がいきなりチョコレートを渡してきました。

しかし依知は正木という男性に見覚えがありません。

諫早依知
「通報・・・」

依知は正木のことも変質者だと判断しました。

すると打ち合わせに来た上司が正木のことをアシスタントだと説明します。

上司から注意される正木なのですが、彼は変質者扱いされたことに納得がいってません。

正木蒔人
「違う!僕が言ってるのはあくまでもジーンブライドでの話であって」

ジーンブライドというワードを聞いても、依知は正木のことを思い出すことができませんでした。

それでも何か事情がありそうなので詳しい話を聞いてみることにします。

諫早依知
「同級生・・・覚えとらんな・・・」

中学生時代の学生証を見せてもらうのですが全く覚えていません。

正木も自分のことを覚えていないことを予想していたようです。

正木蒔人
「ですよね・・・ジーンブライドってウチの学園以外で聞いたことないですもん」

覚えていなかったことを当然のことだと語りながら、依知に自分が持っているカード類を見せてきます。

ですが依知には正木の行動が何を意味しているのか理解できません。

諫早依知
「・・・で、先程からあたしは何を見せられてるんですか?」
正木蒔人
「身元不明の男が突然現れて運命の相手だなんて相当ホラーだろ」

カードで身元を証明されても、依知にはそもそも正木に関する記憶が無いため困ってしまいます。

自分がホラーっぽいと分かっているのならやめてほしいと思いながら、仕方なく正木の話を聞くことにしました。

諫早依知
「それで正木さんは一体なんの御用でここへ?」
正木蒔人
「チョコだ、チョコレート、ジーンブライド、正木蒔人、これでどうだ!思い出したろ!」
諫早依知
「全く意味がわからないんですけど」

ここまで話を聞いてみても依知は正木のことを思い出すことができません。

しかし正木という男性の存在が依知のクソったれな人生を変えていくことになるのです。

 

 

女性が生きづらい世の中を丁寧に描いていますね。

何気ない言葉がセクハラに繋がっていることを理解していない男性を表現したシーンにはリアリティーを感じました。

現実社会を生き抜こうとする女性への応援メッセージが込められている『ジーンブライド』

息苦しい社会に風穴を開ける素敵な物語になっています。

性別に関わらず自分が身を置く環境と比較しながら物語の世界観をご堪能ください。

後編

自分のことを全く思い出してくれない依知に対して、正木は疑念を抱き始めました。

正木蒔人
「・・・念の為聞くがきみは諫早依知なんだよな?何ひとつ見た目が変わっていないから勝手に確信して話を進めてしまったが・・・」

様々なキーワードを提示しても自分のことを思い出してくれないことが信じられません。

そんな正木に対して依知が名刺を差し出します。

諫早依知
「はぁ・・・諫早依知で間違いないですよ、あの、あなたの事覚えてなくて申し訳ないんですけど、もう何年も前の事だし・・・」

丁寧にお詫びするのですが名刺を見つめる正木は話を聞いていません。

そして意外なことを言い出しました。

正木蒔人
「・・・かわいい」
諫早依知
「は?えっ何!?怖っ、やっぱ返してください」
正木蒔人
「何をする、体に触れたら大きな声を出すぞ!これはもうすでに僕のカードコレクションに加わったんだ!さわるんじゃない!」

どうやら正木はお気に入りのカードをコレクションしているようです。

その様子から依知は関わってはいけない人物だと判断しました。

諫早依知
「あたしに用事あるんなら業務時間ですしさっさと済ませたいんですけど」
正木蒔人
「そんなの僕だってさっさと済ませて家に帰りたいさ、そもそもきみが僕を覚えてさえいればお礼を言ってそれで終わりだってのに」

どんな理由なのかは分かりませんが正木はお礼を伝えに来たそうです。

しかしここで仕事の時間になってしまいました。

正木は日を改めてお礼するため連絡先を渡してきます。

ですが名刺には住所しか記載されていません。

そのままプレゼントするため持参したチョコレートを持ち帰ってしまいました。

仕事が終わり帰宅した依知はベッドの上でジーンブライドとチョコについて思いを巡らせます。

何かを思い出せそうだったのですが、結局この日は記憶を蘇らせることはできませんでした。

後日、依知が貝原監督最新作のエウレーカを観に行くと、偶然にも正木と鉢合わせします。

仕方なく2人で映画を観た依知は貝原監督に挨拶をすることにしました。

しかし監督は依知に対してスカートが女の子らしくて可愛かったという印象しか持っていません。

そして映画の感想を伝える正木との話が盛り上がっていきます。

諫早依知
「どうしてあたしはそのお顔を引き出せなかったんでしょう、どうしてあなたはあたしのスカートの事しか覚えてないんでしょう」

依知とは対照的に正木は監督の楽しそうな顔を引き出していました。

その後、映画館からタクシーで帰っていると、正木が依知の記憶から消えてしまったジーンブライドについて語り始めます。

正木蒔人
「あの時ジーンブライドに際して僕ら全員遺伝子の相性をチェックしたろ」
諫早依知
「あー、唾液を綿棒かなんかで拭って提出・・・だっけ」

当時、採取の1時間前は飲食を禁止されたのですが、案内を知らされなかった正木はチョコレートを食べてしまいました。

そして飲食をしていないか先生の確認が始まったので正木は焦り始めたそうです。

名乗り出ないことも考えたのですが嘘をつきたくありません。

パニックになる中、急に依知がチョコレートを食べたと名乗り出ました。

正木蒔人
「今だ・・・!」
諫早依知
「姑息・・・えっ待って、あたしに感謝してますエピソードってまさかそれ?それだけ?」

当時の正木は依知に注目が集まっているうちに自分も名乗り出たのです。

あまりにもしょうもないエピソードに依知は頭を抱えてしまいました。

しかし当時の正木にとってはしょうもないことではなかったのです。

正木蒔人
「僕は昔、意図から叱られたり大勢から注目を浴びるとパニックになる事があってね、あの日窓から飛び降りていても何もおかしくはなかった」

同級生たちは正木がパニックになる事を期待して、飲食禁止の案内を伝えませんでした。

正木にとって依知は教室に引き止めてくれた唯一の人間だったのです。

諫早依知
「・・・思い出した、結局チョコ食べたあたしとあなたで強制的に1日カップルやらされて・・・あたし達、全然運命の相手じゃないじゃない」
正木蒔人
「そうだが?話は以上だ、しかし今日は思いの外有意義だったな、きみへの礼も果たしたし、いい映画も観れて監督と話してパンフレットももらえた」

1人だけ有意義な正木に腹が立ってきた依知はタクシーを降りることにしました。

翌日、自宅に戻った依知はスカートを処分するか悩み始めます。

その中でしょうもないことでお礼を言いに来た正木の事が気になっていました。

友人と連絡を取ってみると、正木がお礼を言って回っていることが分かります。

もしかしたら亡くなる前に思い残したことを済ませているかもしれないと考えた依知は、慌てて正木の元へ向かいました。

しかし正木に死ぬつもりなどありません。

ただ純粋にお礼を言って回っていただけなのです。

諫早依知
「今週末は散々だった、けれども思いがけずお気に入りのスカートの処分が見送られる事となったのだ」

仕事相手からなめられるし、正木に関しては盛大な早とちりをしてしまいました。

それでも自分が気に入っているスカートを一時的な感情で処分せずに済んだのです。

少しだけクソみたいな日常から脱却することもできました。

ここからも依知はクソみたいな毎日の中でもがき続ける事になるのです。

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2019.11.11

 

『ジーンブライド』を読んだ感想

ヒロインの憤りには多くの女性が共感できると思いました。

また差別を受けたり、人生が思い通りに進まず苛立っている男性にも読んでもらいたい作品ですね。

些細な出来事が人生を明るくするというメッセージが込められた『ジーンブライド』

読み終えると前を向いて生きていこうと思える素敵な物語になっています。

もがき苦しみながら前に進んでいくヒロインから勇気を貰ってください。

 

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