『異世界薬局』のネタバレ(漫画)!あらすじと感想も!

今回は「高野聖 原作 高山理図」先生の『異世界薬局』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『異世界薬局』はこんな漫画(あらすじ)

20XX年の日本で薬谷完治(やくたにかんじ)は国立大学の薬学研究科の准教授として多忙な日々を過ごしていました。

悲しい過去を背負っている薬谷は副作用のない新薬を開発するため寝る間を惜しんで研究に打ち込んでいます。

しかし31歳の若さで過労死で亡くなってしまいました。

志半ばで人生を終えた薬谷だったのですが、意識を取り戻すと異世界の貴族として新たな人生をリスタートさせることになります。

日本人としての記憶を持ちながら異世界を生き抜く主人公の運命とは・・・!?

新薬の開発に命を懸けていた青年の数奇な運命を描いていく『異世界薬局』

今回は人気SFファンタジー漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

現実とかけ離れた不思議な世界観をご堪能ください。

 

『異世界薬局』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

幼い頃の薬谷完治は仲の良い妹といつも一緒に遊んでいました。

しかし可愛かった妹は脳腫瘍で亡くなってしまいます。

薬の副作用で亡くなった妹のために、薬谷は新薬を開発する医学者を目指すことにしました。

20XX年、薬谷は国立大学薬学研究科の准教授として新薬の開発に取り組んでいます。

この日も多忙な業務をこなしていると秘書が体調を心配してくれました。

薬谷
「うん・・・でも仕方ないよ、今ちょうど新薬のテスト中だしね、この新薬を待っている人たちのためにも一刻も無駄にしたくないんだ」

多忙を極めているのですが新薬の開発を遅れさせたくありません。

薬谷は会議と講義、学会や共同研究、そして論文を作成しながら重要な実験を全て自分が担当しています。

秘書はこの状況を薬谷の身体がいくつあっても足りないと心配していました。

それでも薬谷は亡くなった妹のために実験を続けています。

薬谷
「もうこんな時間か・・・ようやく自分の実験の時間だ・・・」

深夜になってようやく自分の実験に集中する時間がやって来ました。

しかし徹夜が続いているため倒れそうになってしまいます。

体調を回復させるため軽食を取りながら、机に飾ってある妹の写真を眺めました。

妹の脳腫瘍は当時の医学では取り切れない部分んできていたので、薬での治療で回復を期待したのですが期待通りの結果は得られません。

そのため周囲は妹の回復を諦めてしまいます。

薬谷
「諦める?運がなかった?冗談じゃない!あのとき飲むだけで効く薬があればよかったんだ!」

大切な妹を失った薬谷は自分と同じ思いを他人に味わわせたくありません。

自分が副作用の少ない薬を開発できれば、大切な人を失う悲しみを誰にも味わわせずに済むと考えています。

しかし現在の日本には副作用が少ない薬は開発されていません。

まだこの世界に夢のような薬がないのであれば自分が作ろうと思い、薬谷は日々努力を重ねているのです。

それでも薬谷の胸には小さな迷いが存在していました。

薬谷
「患者さんのためか、俺は本当に患者さんのためを思ってこうしているのかな・・・」

最近の薬谷は患者ではなく薬品や研究装置と向き合ってばかりいます。

もちろん新薬の開発にはこのような作業が欠かせません。

このような日々を過ごしている中、薬谷は自分が患者と向かい合って話した日のことを思い出せなくなっていました。

薬谷
「よし!3時42分終了、次は4時42分か・・・と!メモ用紙が・・・とりあえず手でいいか」

記録した時間を腕にマジックで記入すると仮眠することにします。

秘書が心配しているようにこのまま過酷な労働を続けていると身体を壊してしまうかもしれません。

しかし今は他の人間に研究の続きを任せる訳にはいかないのです。

そんなことを考えているうちに薬谷は眠りについていきました。

ただ薬谷が次の研究記録をメモする時間に目覚めることはなかったのです。

8時過ぎ、いつものように出勤してきた秘書が薬谷の異変に気が付きました。

31歳の薬谷完治は過労による急性心筋梗塞で命を落としてしまったのです。

常に患者のことを思いながら患者に寄り添うことができなかった医師の人生はこうして幕を閉じてしまいました。

ただし優秀な研究者の一生はまだ終わった訳ではありません。

ここから薬谷の新たな人生が幕を開けることになったのです。

 

 

妹の死という悲しい過去を背負った薬谷が寝る間を惜しんで働く姿に切なさを感じました。

もしかすると魅力だった過去を払拭するため必死に努力していたのかもしれませんね。

新薬の開発に命を懸けた医師の情熱を表現した『異世界薬局』

ここから薬谷が第二の人生をスタートさせていきます。

異世界でも情熱を持って働き始める薬谷のカッコ良さを目の当たりにしてみてください。

後編

過労で亡くなったはずの薬谷が目を覚ましました。

すると彼の前に見覚えのない女性が立っています。

シャルロッテ
「ファルマ様・・・お目覚めになられました?きゃ!あっ、いけませんファルマ様!ファルマ様は雷に当たってしまわれたのです!思い出せます・・・?」

薬谷は立ち上がろうとするのですが、少女に身体を抑えられました。

しかし少女が何者なのか、そして研究室にいたはずの自分が雷に打たれたということに全く心当たりがありません。

ファルマ
「そう・・・だ、研究・・・実験の途中だったんだ、大学に戻らないと・・・」

再び立ち上がろうとするのですが、自分の手がいつもと違っています。

まるで子供のような手をしているので驚きを隠せません。

シャルロッテ
「・・・あらぁもしかしてファルマ様、記憶が混乱しておられます?」
ファルマ
「ちょっと待って!さっきからファルマ、ファルマって!それってもしかして俺のこと?」
シャルロッテ
「はい!いま鏡をお持ちいたしますね!ファルマ様はファルマ・ド・メディシス様でございます!」

鏡に映った薬谷の姿は子供で、さらに日本人でもありませんでした。

混乱しながら窓を開けてみると、外には見知らぬ世界が広がっています。

事情を理解できないファルマに少女がこの世界がサン・フルーヴ帝国だと教えてくれました。

ファルマ
「あの・・・さ、今って西暦何年・・・?」
シャルロッテ
「1145年です、セーレキというのはなんです?もしかしてまだ記憶が混乱してます?ではではあらためまして自己紹介いたしますね!召使いのシャルロットです、いつものようにロッテとお呼びください」

シャルロッテに自己紹介してもらったことで、薬谷の記憶が前世のものであることに気が付きます。

また自分が死んだ理由も過労死だと理解しました。

急に状況を理解し始めたファルマは立ち眩みを起こします。

ファルマ
「えと・・・ロッテ?この包帯とってもいいかな?なんか軟骨がヒリヒリするよ・・・」

シャルロッテに桶を用意してもらってから、胸と肩回りに巻かれた包帯を取ることにしました。

すると両肩に紋章のような痕が刻まれています。

シャルロッテ
「ファルマ様それ・・・すごいすごい!薬神様の聖紋みたいです!」
ファルマ
「いや!これはリヒテンベルク図形といって落雷が皮膚を這ったときの火傷・・・ちょっ・・・なに拝んでるの!?」

肩の痕は落雷によってできたものなのですが、異世界の住人であるシャルロッテには特別なものでした。

シャルロッテにとっては、痕は薬神様が落雷からファルマ様を守ってくれた印なのです。

もちろん薬谷の記憶を持ったままのファルマは薬神様という迷信を信じることはありません。

また落雷を受けた者には神秘的な紋様が残るケースもあるので誤解を正したいのですが、この世界では無粋だと判断しました。

異世界に召喚されたことを受け入れ始めたファルマはシャルロッテとおやつを食べることにします。

常に笑顔のシャルロッテを見ているうちにファルマは元気が出てきました。

シャルロッテ
「あ!そうだファルマ様、喉渇きませんか?私もファルマ様の生成したお水をいただきたいのですが・・・神術は元通り使えますよね?ファルマ様のお水はとーっても美味しくて私・・・」
ファルマ
「え・・・水?神術?俺の水ってなんの話?」

神術という言葉など聞いたことがありません。

正直にそのことを話すとシャルロッテが大声を上げました。

シャルロッテ
「えー!!ファルマ様、まさか神術をお忘れですか!?あんなにお得意でしたのに!」

シャルロッテによると神術を扱えることが貴族階級の証で、ファルマは水の神術を得意としていたそうです。

もしもこのまま神術を使えないと貴族階級を剝奪されてしまうかもしれません。

そうなるとファルマは屋敷を追い出されてしまいます。

子供の身体で追い出されると生きていくことはできません。

ファルマ
「思い出してみるよ、しばらくひとりにして」

一人になったファルマは水分子を頭の中にイメージします。

すると最初は上手くいかなかったのですが、体内から水が湧いてきました。

水が大量に湧きだしたため外にいたシャルロッテを濡らしてしまいます。

それでもシャルロッテは神術を思い出したことを喜んでくれました。

しかしまだ重要な問題が残されていたのです。

シャルロッテ
「も、もしかしてファルマ様ぁ・・・今までの薬学知識もすっかり忘れてしまいました?」

日本の薬学知識は頭に入っているのですが、この世界の薬学には精通していません。

この事実はファルマにどのような影響を及ぼすのでしょうか!?

 

『異世界薬局』を読んだ感想

妹のような患者を出さないため、過労死するまで研究に没頭した主人公の姿に心を打たれました。

心優しい青年だからこそ異世界でも幸せになってほしいと思えますね。

不思議な能力を手に入れた主人公が奮闘する様子を描いていく『異世界薬局』

読み応えのあるファンタジー漫画に仕上がっています。

数奇な運命を背負った主人公が活躍する姿から勇気を貰ってみてください。

 

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