煉獄に笑うのネタバレ(漫画)!人気シリーズの魅力は?

今回は「唐々煙」先生の『煉獄に笑う』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『煉獄に笑う』はこんな漫画(あらすじ)

明治初期を舞台にした“曇天に笑う”より300年以上前の日本は戦国時代の真っただ中でした。

近江の国に生まれた石田佐吉は主である羽柴秀吉から極秘任務を命じられます。

主の役に立つため近江南部の曇神社へ向かった佐吉は、忌み子として恐れられる男女の双子と出会いました。

極秘任務である髑髏鬼灯を曇芭恋(くもうばれん)曇阿国(くもうおくに)という双子から譲り受けたいのですが何者かに奪われてしまいます。

髑髏鬼灯が何を意味するのか分からないまま佐吉は奪還の旅へ向かうことになりました。

関ヶ原で天下分け目の戦に挑んだ石田三成の若かりし頃を描いていく『煉獄に笑う』

今回は壮大なスケールの歴史時代劇についてネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。

大人気となった『曇天に笑う』とは異なる面白さを味わってみてください。

 

『煉獄に笑う』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

1600年9月15日、現在の岐阜県不破郡関ケ原町が雨上がりの霧に包まれながら朝を迎えました。

朝になると徳川家康が率いる東軍7万4千の軍勢と、石田三成率いる西軍8万4千の軍勢が対峙していきます。

政権を奪取したい家康と豊臣家への恩顧から戦に望んだ三成との天下分け目の合戦が始まりました。

世にいう関ヶ原の戦が始まる20数年前、琵琶湖のほとりを石田佐吉という少年が歩いています。

佐吉が向かっているのは近江南部にある曇神社という場所で、この神社は男女の双子が当主だということで忌み嫌われていました。

当時の日本では双子というだけで周囲から忌み子と恐れられていたのです。

その上、男女の双子は心中者の生まれ変わりだとさらに嫌われていました。

佐吉がこの曇神社を目指している理由は極秘の任務を任されたためです。

佐吉
「俺はこの近江の北、石田村で育った姓を石田、名を佐吉、主である羽柴秀吉様より石田三成の名を貰い受けた者である、せっかく秀吉様に頼って頂けたのだ、しかも内密の任務!何としてもこの使いは果たさねば」

改めて気合を入れ直した佐吉が曇神社に向かって歩き始めました。

主に頼られた任務は必ず遂行しなければなりません。

阿国
「お侍さんかしらねぇ」
芭恋
「どっかの小姓さんでしょ」

神社に到着した佐吉を木の上から曇の双子が見つめています。

しかし佐吉は見られていることに気付いていません。

阿国
「何をしに来たのかしら」
芭恋
「さてねぇ、曇神社に用と云うのは確かみたいだ、どれ一つ歓迎してやろうか」

何も知らない佐吉がそのまま鳥居をくぐっていきます。

神社の境内はかなり寂れていて人が住んでいるとは思えません。

佐吉
「誰か、誰か居ないのか?」

歩き回ってみるのですが人の姿は見当たらず、境内には動物の死骸が落ちています。

ますます人が住んでいることを信じられなくなっていると、急に地面の枯れ葉が浮かび始めました。

幻術をかけられたのか状況が分からず戸惑っていると、佐吉はそのまま何者かに頭を殴打されてしまいます。

芭恋
「おや、やっと起きたのかい」

意識を取り戻すと腕を縄で拘束され、顔は麻袋で覆われていました。

そして若い男女の声が聞こえてきます。

佐吉
「此処は何処か?何だか臭いぞ!?お前は・・・曇神社の当主殿とその血縁者の方とお見受けする」
芭恋
「で、あんたは誰だい?」
佐吉
「やはり・・・ちょうど良かった、俺は佐吉、ある方の命により髑髏鬼灯を頂きに参った」

髑髏鬼灯という言葉を発すると周囲の空気が止まりました。

麻袋に覆われていても緊張感が漂ったことが分かります。

芭恋
「ほう、髑髏鬼灯が此処にあると、成程それが目的か、必死だねぇ、髑髏鬼灯が何かも知らぬくせに」

確かに佐吉は髑髏鬼灯が何かを知りません。

それでも髑髏鬼灯を譲ってもらうために謝礼を用意していました。

主のため必死にお願いをしていると、自然に腕を拘束していた縄が解かれていきます。

不思議に思いながら麻袋を取ってみると佐吉の周囲に人の姿はありません。

それだけなく神社にいると思っていたのに佐吉が意識を取り戻した場所は肥溜めの中でした。

宿場に戻った佐吉が身体を拭いていると、他の客が双子にからかわれたんだと言ってきます。

自分たちの好き放題に行動している双子は近所の住民から煉獄者という呼び名で嫌われていました。

煉獄とは極楽と地獄の間にある罪を償うために苦しみを与えられる場所です。

忌み子である双子は生まれながらにして罪人だと思われているので煉獄者と呼ばれていました。

双子の評判が悪いことを知った佐吉なのですが、このままでは秀吉からの極秘任務を遂行することができません。

困り果てていると宿場の客たちが曇神社へ向かいました。

気になった佐吉が後を追うと、客たちが神社に石を投げ始めます。

佐吉のために仕返しをしていると言うのですが頼んだ覚えはありません。

腕っぷしに自信がある佐吉はすぐに客たちを神社から追い出しました。

佐吉
「曇神社か、此処はどうもおかしい、町の者達もだ、互いに話し合う必要があるな、聞いているのか、お前にも云っているのだぞ、口からこの様なもの吐きおって、妖術か?からくりか?」

神社の狛犬に向かって話し始めた佐吉が中を覗こうとします。

すると狛犬の口から狸が顔を出しました。

狸に続いて驚く佐吉の前に曇の双子が姿を現します。

芭恋
「初めまして佐吉殿?どうもクソ真面目で生きにくそうだ」
阿国
「それにとんだへいくわい者ね」

この出会いが後の石田三成となる佐吉の運命を大きく変えていくのでした。

 

 

前作では曇3兄弟の活躍を描いていましたが、今作は双子の曇と石田三成の冒険記になっていますね。

琵琶湖を舞台にした重厚なストーリーとワクワクする面白さは前作と変わっていません。

歴史上の人物が次々とカッコイイ姿で登場する『煉獄に笑う』

いよいよ髑髏鬼灯について少しずつ明らかになっていきます。

主君からの任務を全力で遂行しようとする姿から勇気を貰ってください。

後編

佐吉だけでなく極秘任務を命じた羽柴秀吉にも髑髏鬼灯が何なのか分かっていません。

しかし謎の伝承を確かめるためには髑髏鬼灯が必要なのです。

伝承には古代より生まれし大蛇は三百年に一度蘇り全てを滅ぼすと書かれていました。

大蛇は地上を焼き払い海の水を干上がらせると言われているのですが、天災なのか人災なのかもはっきりしていません。

この大蛇について羽柴秀吉は謎を解き明かす鍵が髑髏鬼灯だと考えているのです。

1577年9月19日午後10時頃、西の空に巨大な彗星が曇天を切り裂いて姿を現しました。

人々が災いの前兆を恐れ慄いたこの彗星を佐吉は曇の双子と眺めています。

佐吉
「な、何だ今のは、一瞬空が光らなかったか・・・?まさかこれもお前達の所為などと云うのではないだろうな」
芭恋
「まさか、呪いだの何だの騒いでるのは周りだけだ、俺達はただ生きてるだけだ、望まれずして生まれ忌み嫌われ生きるだけ、だからこそ誰よりも自由だ」
阿国
「存分に教えてやろうじゃないか、この乱世に、笑ってやろう、煉獄とやらに」

芭恋と阿国は髑髏鬼灯が欲しいのなら奪ってみろと自信満々の様子で去って行きました。

佐吉には髑髏鬼灯を奪い取るつもりなどありません。

主のため芭恋と阿国から許可を得てから貰い受けるつもりなのです。

もちろん現段階では双子に髑髏鬼灯を譲るつもりなど無いので、佐吉は曇神社に居座る覚悟を決めました。

しかし翌朝、お世話になるため佐吉が朝食の準備をしていると芭恋に注意されてしまいます。

芭恋
「寝呆けた事云ってんじゃねーぞ、帰れ」
佐吉
「云っただろう、髑髏鬼灯を頂きに参ったと、主の命だ、遂行できずに帰れるか」
芭恋
「知るかよ、勝手に入ってんじゃねーよ」

昨晩は遅くまで粘られたのですが、芭恋は佐吉が帰ったと思っていたのです。

言い争っていると眠たそうな顔をした阿国がやって来ました。

阿国
「おはよう、おや?へいくわい者、帰ったんじゃないの?」
芭恋
「うちに居座る気だぞ、あいつ」

芭恋と同じように阿国も佐吉に居座ってもらいたくありません。

そこで双子は協力して佐吉を追い出そうとします。

ですが佐吉の作った朝食を見ると気分が変わりました。

佐吉
「さぁ出来たぞ、食料が少なく簡単なものしか出来なかったが許せ」

簡単なものと謙遜するのですが、焼き魚や漬物など佐吉の作った食事は双子のお腹を鳴らすほど立派なものだったのです。

食事をしながら改めて佐吉は髑髏鬼灯とは何かを質問してみることにしました。

主も見たことがないと聞いているので髑髏鬼灯が物なのか人なのかも見当がついていません。

芭恋
「そういやあんた秀吉んとこの使いだっけ?」
佐吉
「知っていたのか!?」
芭恋
「隠したいなら偽名を使うべきだったな」

芭恋は伊賀の忍を使って佐吉の素性を調べていました。

そのことから芭恋と阿国が甲賀など近江の人間を嫌っていることが分かります。

佐吉
「このままずっと啀み合っていくつもりか、理解し合える事もあるだろう、今からでも」
芭恋
「黙れよ、俺達はずっと二人で生きてきた、誰も俺達を理解しなくていいし、してほしくもない」

話をしていると外から銃声が聞こえてきました。

慌てて外に出てみるといつの間にか表に出ていた阿国が倒れています。

佐吉と芭恋が駆け寄るのですが周囲に人の姿はありません。

阿国
「髑髏鬼灯を盗られた・・・っ、ごめんなさい・・・また国友の奴等が襲ってきて・・・」

国友とは鉄砲鍛冶を生業にしている集団です。

芭恋と阿国の話を聞いているうちに国友が何度も髑髏鬼灯を狙いに来ていたことが分かりました。

状況を理解した佐吉が無言のまま立ち上がります。

芭恋
「何処へ行く」
佐吉
「国友衆は近江の北にいたな」
芭恋
「俺も行く」

佐吉についていこうとする芭恋を阿国が呼び止めました。

どうやら1人になることが不安のようです。

佐吉
「早く医者へ連れて行ってやれ、俺一人でも取り返してきてやろう」
芭恋
「返してくれるのか?あんたも欲しがっていたもんだろう」
佐吉
「持ち主の許可を得て貰い受けなければ意味がない」

国友のように髑髏鬼灯を強奪するような気はありません。

ここで佐吉の誠意が芭恋の心を揺れ動かしました。

芭恋
「髑髏鬼灯とは銃だ、鍛冶屋なら誰もが手に入れたくなる短筒、国友に盗まれたのならおそらく宝物庫にあるだろう、取り返してくれたなら教えてやる、髑髏鬼灯の秘密を・・・」
佐吉
「その言葉忘れるなよ」

伊賀の忍に道案内をしてもらいながら佐吉は髑髏鬼灯を取り戻しに向かいます。

無事に髑髏鬼灯を取り戻して秘密を知ることができるのでしょうか!?

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2021.05.08

 

『煉獄に笑う』はこんな人にオススメ

戦国時代の歴史や武将が好きな人と、ファンタジー漫画が好きな人にオススメしたい作品ですね。

教科書で習った歴史の中で複雑に交錯する人間模様が表現されていく読み応えのある物語になっていますよ。

大蛇という伝承を巡って巻き起こる壮絶な冒険劇が題材の『煉獄に笑う』

男性読者は佐吉と曇の双子が躍動する様子に胸を熱くさせてみてください。

女性読者は綺麗なタッチで描かれる物語に魅了されましょう。

 

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