山羊座の友人のネタバレ!人気小説を漫画化した作品の魅力は?

今回は「原作 乙一 漫画 ミヨカワ将」先生の『山羊座の友人』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

山羊座の友人』はこんな漫画(あらすじ)

高校生の松田ユウヤは平凡な日常を過ごすため、学校内で行われているイジメに見て見ぬふりをしています。

特別な能力や秘密道具を持たないユウヤにとって、見て見ぬふりが凄惨なイジメと関わらない唯一の手段でした。

しかしある日の夜、イジメの被害者である同級生の若槻ナオトが加害者を殺害した現場を目撃してしまいます。

自首はせず逃避行という道を選んだナオトを見ているうちに、ユウヤの胸に罪悪感が沸き上がってきました。

衝撃の現場を目撃したユウヤはどのような選択肢をチョイスするのでしょうか!?

社会問題となっているイジメに斬新な発想でメスを入れた『山羊座の友人』

今回は予測不可能なサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

2人の少年に巻き起こる切ない結末を見逃さないでください。

 

山羊座の友人』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

この物語は作品のテーマであるイジメについて説明するため、まずは過去に起こった事件を紹介していきます。

1986年2月1日、岩手県のショッピングセンターで男子生徒が自ら命を絶ってしまいます。

トイレで首をつっていた男子中学生の足元には遺書が残されていました。

2006年11月14日、新潟県の中学2年生の男子生徒が女子生徒の前で同級生たちによってズボンとパンツを脱がされてしまいます。

担任教師には大丈夫と答えたのですが、夕食後行方不明となった男子生徒の遺体が午後9時半に発見されました。

このように凄惨なイジメによって自殺する人たちの数は減少することがありません。

松田ユウヤが通う高校でも凄惨なイジメが横行していました。

9月25日、いつものようにユウヤが友達と昼食を買いに行こうとしていると、トイレでイジメが行われています。

イジメの被害者は同級生の若槻ナオトで、加害者の金城アキラが便器の中に捨てた弁当を無理矢理食べさせられそうになっていました。

しかしユウヤがナオトのことを助けることはありません。

松田ユウヤ
「不良もいじめも僕たちには関わりのない世界だ、そんなものに立ち向かう超能力も秘密道具も持っていないのだから」

ささやかな高校生活を守るためにはイジメと関わってはいけないのです。

これが普通の高校生であることを自覚しているユウヤが選択した行動でした。

ハンバーガーを買ってきたユウヤが教室に戻ると、後ろの席に座っている本庄ノゾミが話しかけてきます。

本庄ノゾミ
「松田くんまた外に買いに行ったの?校外に出るのは校則違反だって言ってるでしょ?」
松田ユウヤ
「今さらそんなの気にしてるの本庄さんだけだよ、それにこれこの店でしか買えないよね」

本庄さんも学校には売っていない牛乳を飲んでいました。

ですが本庄さんは校則を違反している訳ではありません。

本庄ノゾミ
「・・・私は朝買ってから来てんの、私この牛乳が好きなんだもん、パッケージがかわいいでしょ」

本城さんは学校に来る途中、お店に寄って牛乳を買っているのです。

ユウヤはその執念に感心してしまいました。

松田ユウヤ
「フウ・・・」
本庄ノゾミ
「なんか元気ないね、何かあったの?」
松田ユウヤ
「え?いやべつに」
本庄ノゾミ
「じゃあ何か面白いことは?ほら例のベランダで何か変なモノ拾ったとか」

ユウヤの家は見晴らしの良い高台に建っています。

そのため町の中が無風でも二階部分に強い風が吹きつけることがよくありました。

まるで見えない風の道に頭を突っ込んでいるような状態なのです。

松田ユウヤ
「そのせいで僕の部屋のベランダには毎朝大量の落ち葉がひっかかっている、落ち葉にまぎれてそれ以外のものも」

ベランダには洗濯物や古雑誌、さらに人形や卒業アルバムが風で運ばれてくることがありました。

空から流れ着く漂着物のことでユウヤは本庄さんの助けを借りたことがあります。

だから本庄さんはユウヤのベランダを気にかけていました。

本庄ノゾミ
「何か面白い・・・じゃなかった、困ったことがあったら言ってよね」

どうやら本庄さんはユウヤのベランダをエンターテインメント発生装置だと思っているようです。

そんなベランダには今日も変わった漂着物が流れ着きました。

松田ユウヤ
「新聞の切れ端、発行日は今年の十月二日、今は九月だ、新聞にはある殺人事件にまつわる記事が書かれていた、もし本当に今年の九月からやってきた新聞だとしたら未来に起こる殺人事件ということになる」

ユウヤは新聞の切れ端について本庄さんには話さず、話題を夜から雷雨になるというものに変えていきます。

別に新聞の切れ端が流れ着いたことはユウヤにとって困ったことではありませんでした。

いったい未来で起こる殺人事件とユウヤにはどのような関連があるのでしょうか!?

 

 

イジメには被害者と加害者だけでなく傍観者という立場も存在していることを思い知らされました。

多くの人がユウヤのようにイジメを見て見ぬふりしているのかもしれませんね。

自殺ではなく復讐という解決法を見出していく少年の苦悩を表現した『山羊座の友人』

誰もが感情移入しやすい身近な問題をテーマにしています。

作品を読んでいきながら社会問題と向き合ってみてください。

後編

昼休みが終わると体育の授業が始まりました。

この日はサッカーの授業だったのですが、ユウヤはすぐに疲れてしまいます。

本庄ノゾミ
「大丈夫?」

サッカーを見学していた本庄さんが心配してくれました。

ユウヤは休憩するため本庄さんの隣でサッカーを見学することにします。

松田ユウヤ
「本庄さんはコンタクトにしないの?」
本庄ノゾミ
「え?なんで?」
松田ユウヤ
「いや運動とかするときさあ、やりづらくない?」

何気ない質問に本庄さんが動きを止めました。

そして俯きながら質問を返してきます。

本庄ノゾミ
「松田くんはメガネじゃない方が好き?」
松田ユウヤ
「なんで僕の趣味が問われるわけ?」
本庄ノゾミ
「・・・そうだね」

もしかすると本庄さんはユウヤのことを好きなのかもしれません。

しかし鈍感なユウヤは気づいていないようです。

その後、2人が授業を見学しているとグラウンドの脇から大きな音が聞こえてきました。

音がした方向を見てみると若槻ナオトが金城アキラに蹴られています。

金城はそのまま授業をサボって保健室へ向かいました。

松田ユウヤ
「僕たち平凡な生徒にとって金城アキラは怪物だった、彼にまつわる気分の悪いうわさがいくつかある、たとえば教育実習にやってきた女子大生がある日突然来なくなったのは彼のせいだという」

他にも金城アキラのせいで隣町の女子中学生が自殺したという噂もあります。

そんな金城は高校生になると若槻ナオトに目を付けました。

凄惨なイジメを受けることになった若槻ナオトは不運としか言いようがありません。

ユウヤだけでなく多くの生徒がイジメを見て見ぬふりする傍観者となっていました。

松田ユウヤ
「僕たちはただこの怪物の次のターゲットにならないように息を殺し頭を低くして生活するしかなかった、高校時代というのは僕が思っていたほどはなやかでも楽しいものでもなかった」

金城という存在が生徒たちの高校生活に悪影響を及ぼしているのです。

しかしこの日の夜、生徒たちの運命を変える出来事が起こりました。

コンビニで雑誌を買ったユウヤが自転車で帰っているとパトカーのサイレンが聞こえてきます。

近くで事件があったのか心配していると、暗がりから自分を呼ぶ声が聞こえてきました。

若槻ナオト
「・・・松田くん?ねぇ松田くんだよね?」

声がする方向を見ても暗いため誰なのか分かりません。

するとここで車のライトが暗がりの中を照らします。

松田ユウヤ
「若槻くん・・・?こんなとこで何してるの?」
若槻ナオト
「散歩・・・かな・・・松田くんは?」
松田ユウヤ
「コンビニ行ってきたんだ」

すぐに車が通り過ぎるため若槻の全身が見えません。

しかし若槻がゆっくりと近付いてきたため、次第に彼の全身が見えるようになっていきます。

若槻ナオト
「明日発売だから、そっかもう店に並んでるんだね」
松田ユウヤ
「若槻くんも読んでるんだ」

自分も読んでいると答えた若槻の右手には金属バットが握られていました。

ボコボコになったバットには大量の血液が付着しています。

若槻ナオト
「これ読んでる人少ないよね」
松田ユウヤ
「ジャンプとかみたいにメジャーじゃないからね」
若槻ナオト
「でももう読めないかもな」

ここで物語は1984年に起こった事件を紹介していきます。

当時、2人の男子高校生が少年Aから凄惨なイジメ被害に遭っていました。

2人は少年Aに暴行され、最終的に女性教師の前で下半身を露出されます。

11月1日、公園の遊歩道で被害者の1人が自転車に乗っていたAの頭部を金づちで殴りつけました。

そのまま2人は約十分間、倒れたAを殴り続けます。

11月2日、公園から50メートル離れた川からAの水死体が発見されました。

松田ユウヤ
「聞いていいのかどうかわかんないけど」
若槻ナオト
「これ?金城くんの血」

2人の高校生と同様に若槻ナオトは自殺をしない代わりに加害者を殺害するという方法を選択したのです。

自分が生き残るために相手を殺害した若槻ナオトは逃亡する決意を固めていました。

松田ユウヤ
「自首する気はないんだ」
若槻ナオト
「そのうちするけどね、じゃあ僕はもう行く、松田くんに迷惑かけるといけないから」
松田ユウヤ
「ああ、うん、がんばってな」

何を頑張れば良いのかは分からないのですが、とりあえずユウヤは若槻ナオトを励まします。

しかし今まで見て見ぬふりをしてきた罪悪感からユウヤは若槻ナオトと行動を共にすることにしました。

少年2人の逃避行の果てにはどのような結末が待っているのでしょうか!?

ミヨカワ将先生の他の漫画に関する記事はこちらです↓↓↓

屍人荘の殺人のネタバレ(漫画)!映画化された人気作の魅力は?

2020.10.05

 

山羊座の友人を読んだ感想

壮絶なイジメをテーマにしているため、読んでいくうちに胸が痛くなりました。

また加害者を殺害しても一切動揺していない若槻ナオトの姿が印象に残りますね。

加害者と被害者、そして傍観者の立場からイジメについて問題提起する『山羊座の友人』

結末を知ると切なさで胸が一杯になるはずですよ。

衝撃的なラストに驚いてみてください。

 

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