今回は「漫画 八川キュウ 原作 二宮敦人」先生の『最後の医者は桜を見上げて君を想う』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』はこんな漫画(あらすじ)
武蔵野七十字病院ではタイプが正反対の医者が対立しています。
1人は患者に余命宣告することから死神と呼ばれている桐子修司で、彼は死を受け入れて残りの日々を大切に生きることも患者のためだと考えていました。
一方で副院長の福原雅和は奇跡を信じて最後まで患者の命を諦めません。
人間の最期について考え方の異なる2人が挑む戦いの行方とは・・・!?
どのような死を望むのか考えさせられる『最後の医者は桜を見上げて君を想う』!
今回は大人気小説をコミック化した医療系漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
それぞれの考え方で患者の余命と向き合う医師の姿から大きな感動を味わってください。
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
武蔵野七十字病院の一室で医師が癌患者の家族に病状を説明しています。
専門医として協力することを約束しました。
しかし患者の息子夫婦は桐子という医師の発言に納得することができません。
その理由は抗ガン剤治療を行っていて主治医から少しずつ良くなっていると言われたためでした。
率直に本質を語った桐子に対して家族が怒り出します。
家族はこの病院がどんな難病でも相談に乗ってくれると聞いたので患者を連れて来ました。
それなのに余命宣告をした桐子が許せないのです。
怒った家族は部屋を出て行ってしまいました。
それでも怒りが収まらない家族は別の病院へ連れて行くと怒鳴り散らします。
すると騒ぎを聞いた副院長の福原が駆け付けました。
副院長の立場上、病棟に入院している患者のことは頭の中に入っています。
また福原は数多くの難病患者を救ってきた奇跡の手と呼ばれていました。
そんな福原に家族が何度も死ぬと言われれば治るものも治らないと訴えてきます。
迷惑をかけたと謝罪した福原は改めて主治医と面談することを勧めました。
これまで奇跡的に命が救われたケースを何度も見てきた福原は患者を励まそうとします。
すると先程まで余命宣告していた桐子が面談室から出てきました。
再び怒りが込み上げてきた家族が桐子が何者なのか福原に尋ねます。
この質問に対して福原が厳しい表情に変わりました。
問題人物と言われた桐子は態度を変えることなく去っていきます。
そのまま皮膚科の第二医局へ戻っていきました。
第二医局といっても最近まで倉庫だった場所です。
まだ物が置きっぱなしの第二医局に神経内科医の音山晴夫がやって来ました。
大量の荷物があるためドアが途中までしか開きません。
太っている音山は何とか第二医局へ入ることができました。
中へ入ると荷物が片付いていない状態で桐子が仕事をしています。
倉庫で仕事をしている状態を桐子は全く気にしていません。
そんな桐子に音山は呆れてしまいます。
桐子が皮膚科へ異動させられたことに音山は納得していません。
そもそも桐子は内科系への異動を希望していました。
普通であればこのような人事異動はあり得ないのです。
呑気な様子に音山はますます呆れてしまいました。
音山によるとこの人事異動は桐子にとってラストチャンスなのだそうです。
ここでも問題を起こした場合、福原は桐子を病院から追い出そうと考えていました。
同期として音山は最後のチャンスであることを忠告しに来てくれたのです。
桐子は忠告を聞いても関心がありません。
自分のことよりもカルテを読み込む時間が大切なのです。
顔色を変えず余命宣告する桐子がピックアップしているカルテとは・・・!?
どのような最期を迎えるかについては人それぞれ考え方があると思います。
この作品では両極端な考え方の医師が対立する様子から、読者に最期と向き合うきっかけを与えてくれる内容になっていますね。
質の高い原作を漫画化した『最後の医者は桜を見上げて君を想う』!
自分がどんな死に方を望むのかは重要な問題です。
希望が叶うかは分かりませんが死に方を想像しながら作品の世界観をご堪能ください。
後編
桐子がカルテをチェックし始めた数日後、福原は担当する子供が入院している病室を訪れていました。
子供は学校の友達から貰った千羽鶴に味噌汁をこぼしたことに悩んでいます。
そこで福原に折り鶴の作り方を質問してきました。
患者の命を救いたい福原は千羽鶴を代わりに折ってあげることにします。
この患者の手術を担当する福原は一緒に頑張ろうと子供を励ましてあげました。
絶対に諦めないことが福原の信念なのです。
誰にでも誠実な態度で接する福原は武蔵野七十字病院の院長内定が確実視されていました。
そのこともあり本人は自分の信念に沿った治療を続けています。
熱心な診療で患者から信頼されている福原は音山にも鶴を折ってほしいとお願いしました。
福原が子供の手術に意気込んでいる頃、武蔵野七十字病院に1人のサラリーマンが検査をお願いしにやって来ます。
仕事が忙しいサラリーマンはこれまであまり病院に来たことがありません。
そのため緊張していると血液内科医から検査の結果が伝えられました。
サラリーマンに伝えられたのは血液のガンと呼ばれる白血病です。
あまりにも重い病状を伝えられたサラリーマンは意識が飛んでしまいました。
言葉を失ったサラリーマンに医師はすぐに入院することを勧めます。
ですが仕事が山積みのサラリーマンは会社を休む訳にはいきません。
今日だけでも帰してほしいとお願いするのですが、医師からは無理に仕事すると本日中に死んでしまうかもしれないことを宣告されてしまいます。
このような事態が起こっている中、音山が再び桐子がいる第二医局を訪ねようとしていました。
2人が第二医局へ入ると音山が折り紙で鶴を折り始めます。
音山は桐子にも鶴を折ってほしいとお願いしました。
事情を説明するのですが桐子には千羽鶴を折る理由が分かりません。
現実主義者の桐子は千羽鶴に何の意味がないと思っているのです。
桐子にとって千羽鶴には病気を完治させる効果などありません。
音山も千羽鶴が病気を治すとは思っていませんが、患者を少しでも勇気づけられるものだと考えています。
対照的に桐子は患者に何かをしたいのであれば現金を渡して医療費の足しにするのがベストだと思っていました。
このように桐子と福原、そして音山は同じ医師でありながら三者三様の考え方を持っています。
音山は現実主義者の桐子を否定するつもりはありません。
それでも正論だけでは患者と向き合えないことを主張します。
正論を掲げた結果、桐子が島流しされたことを説明していると桐子が患者のカルテを検索していることに気付きました。
桐子が読み込んでいたのは白血病を宣告された患者のカルテです。
このように桐子がピックアップするのは死の匂いが濃くなっているカルテばかりでした。
桐子の習性を知っている音山は患者との面談をしないよう忠告します。
異動させられたばかりの桐子が患者の面談を行うと福原の怒りを買ってしまうかもしれません。
しかし桐子は音山の忠告を無視してしまいます。
死神と呼ばれている桐子は白血病の患者に対してどのような最期を用意するのでしょうか!?
完結編『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』に関する記事はこちらです↓↓↓
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』を読んだ感想
コミカルな要素を所々に織り交ぜながら大切な問題を問いかける素敵な物語になっていると思いました。
桐子と福原のどちらに共感できるか考えながら読んでいくと作品が伝えたいメッセージを感じ取れますよ。
人間の死と尊厳に向き合っていく『最後の医者は桜を見上げて君を想う』!
この作品は映画化が決定したことでも話題を集めています。
映画のキャストや公開日はまだ発表されていませんが、大ヒット小説の映画版にも期待しましょう。
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