『花寿司の幸』のネタバレ(漫画)!寿司職人の厳しさとは?

今回は「村上茂雄」先生の『花寿司の幸』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『花寿司の幸』はこんな漫画(あらすじ)

日本有数の港がある宮城県気仙沼市に一軒の寿司店があります。

天下一品の腕を誇る主人が握る寿司は絶品で、お客様を大満足させてきました。

そんなみなと鮨の看板娘として働いているは寿司職人になりたいという夢を抱いています。

しかし父親は大事な一人娘に過酷な修業の道を進んでもらいたくありません。

それでも幸の熱意に打たれた父親は娘を自らの弟子にしてくれました。

ただここから寿司職人としての過酷な修業の道が待っていたのです。

旬の味を紹介していく『花寿司の幸』

今回は本格派寿司漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

幸が一歩ずつ寿司職人として成長していく姿をお楽しみください。

 

『花寿司の幸』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

気仙沼にやって来た2人の男性がみなと鮨を訪れました。

店に入るといきなり女性の店員に手を握られます。

「いらっしゃいませーッ!お待ちしてたんですよ!今日はいいネタいっぱい入ってるんですから!さあすわって、すわって」

愛想の良い幸に手を握られた男性客は自分に気があるかもしれないと勘違いしてしまいました。

しかし幸はお客に好意を寄せているわけではありません。

お客の冷えた手を温めてお寿司を美味しく食べてもらいたいと思っているのです。

本人は手を握られた男性がドキドキしてしまうことを分かっていません。

「お待たせしましたー」

幸がお店に出るようになってからは雰囲気が明るくなりました。

実際に幸を目当てでやって来るお客も増えています。

常連客は幸が若い板前と結婚すればみなと鮨も安泰だと思うようになっていました。

そんな中、あるお客が寿司は東京に限ると話し始めます。

10年食べ歩いて来たお客は、田舎の寿司屋では繊細な味を出せないと結論付けていました。

「お客さん三陸の寿司だって東京に負けてませんよ」
父親
「幸ッ」
「松さんこちらに握ってさしあげて・・・」

怒鳴る父親を無視して板前の松に寿司を握ってもらいます。

握ってもらったのは三陸の旬の具材を使った寿司で、まずはカキを食べてもらうことにしました。

カキは広島産が有名ですが生食なら三陸も負けていません。

すだちとあさつき、紅葉おろしが乗ったカキの寿司は、食べると口の中に磯の香りが広がります。

カキの寿司は満足してもらえましたが、もう1つのメカジキにはお客が不満を言ってきました。

メカジキは脂が少なく味はカジキ類の中でも最低ランクになっていて、それをネタに使う寿司屋は二流店だとバカにされます。

「そうおっしゃらずに・・・召し上がってみてください」

酢味噌が乗ったメカジキの寿司を食べたお客は前言を撤回しました。

メカジキの旨味と酢味噌の爽やかなコクが絶妙に調和していたのです。

気仙沼で水揚げされるメカジキは脂も乗っているのでみなと鮨でも評判が高くなっていました。

「この寿司のメカジキの身の表面は軽く火であぶってあるんです・・・それを酢みそで食べる、これはマグロを食べ飽きた漁師さんたちが好む食べ方なんですよ」

寿司に満足したお客は自分が気仙沼の出身だと打ち明けます。

東京に出てから20年になり、田舎者扱いされてきたお客は東京にコンプレックスを持つようになっていました。

しかし郷土のみなと鮨は東京の寿司屋に負けていません。

おかげで誇りを取り戻せました。

三陸は新鮮な海の幸が豊富で、しかも宮城県は米どころです。

そのため気仙沼の寿司が東京や京都の一流店にも負けることはありません。

またみなと鮨の大将である幸の父親は天下一品の寿司職人です。

これだけ美味しい寿司を握る職人は東京でもなかなかお目にかかることはできません。

みなと鮨を訪れるお客は父親が握る寿司に大満足しているのです。

父親
「このバカヤローッ!幸さっきの客への態度はなんだッ、あれじゃ客にケンカ売ってるようなもんじゃねーか」
「私はただお父さんの寿司をもっと知ってもらおうと思って・・・」
父親
「それが余計なことなんだよ!あのお客さんが優しい人だったからよかったものの・・・そうでなけりゃ気を悪くされたかもしれねえんだぞ、そんなこともわからねえようじゃ寿司屋の女将は務まらねえぞ」

閉店後、幸と父親が揉めだしました。

確かに父親の言う通り幸の行動は余計なお世話だったかもしれません。

「わ、私は女将になんかなりたいわけじゃない・・・お父さんッやっぱり私、寿司職人になりたい!私の握った寿司でお客さんの喜ぶ顔が見たいの!」
父親
「ダメだ、ダメだーッ!何度も言わすんじゃねえ!女に寿司は向いてねえんだ!」
「そんなのウソよ、今は女の人だって・・・ごめんなさい・・・出過ぎたマネでした・・・お父さん跡継ぎ欲しかったんでしょ・・・私・・・男の子に生まれてくればよかったのよね・・・」

幸はこのまま夢を叶えられないのでしょうか・・・!?

 

 

幸の寿司に対する情熱が感じられますね。

寿司職人の世界が閉鎖的な男性社会だということは残念でした。

夢を叶えるため厳しい修行の道を歩んでいく『花寿司の幸』

父親に認めてもらうため幸が奮闘していきます。

努力する幸の頑張りを見守ってください。

後編

幸はまだ寿司職人になることを諦めたわけではありません。

「お父さん・・・どうして私じゃダメなの・・・寿司の魅力を教えたのは自分じゃない・・・」

気仙沼港で海を眺めていると、運転免許を取ったばかりの茜がやって来ました。

茜の運転で幸はみなと鮨へ戻ることにします。

幸は父親の跡を継いでマグロの仲卸をしている茜を羨ましいと感じていました。

本人は不安を感じていますが男勝りの茜なら仲卸でもやっていけそうです。

父親の跡を継いだ茜は幸の父親を古過ぎると指摘しました。

茜は幸が小さい時からおからで握りの練習していたことを知っています。

このまま寿司職人になれないのはもったいないから東京での修行を勧めてきました。

「そんなことできないよ、お母さんが死んでから二人だけの家族だもん・・・お父さんの反対押し切ってまで自分の道を進もうとは思ってないよ」

もしかしたら幸はファザコンなのかもしれません。

ここでお店が休憩中なので幸が茜のために寿司を握ることにしました。

マグロ仲卸の茜は素人と玄人の違いが分かります。

そんな茜の目から見ても幸の握りは上達していました。

「やっぱりいいな・・・私の握った寿司で喜んでくれる顔を目の前で見れるなんて・・・やっぱりいいな」

幸の握った寿司を美味しいと感じた茜は、板前の松に協力を求めます。

一方その頃、幸の父親は妻の遺影に幸が寿司職人を諦めていないことを報告していました。

父親が幸を寿司職人にしたくない理由は修業時代が関係しています。

寿司屋で働いていた幸の母親は、修行中に幸を身籠ってしまいました。

出産のため夢を諦めた母親のような思いを幸には味わわせたくありません。

父親
「松、今月の握りのチェックだ、一人前作れ」

腕前が上達しているかを確認するため、父親が松の握った寿司を試食します。

ヒラメやヤリイカは問題なく上手に握られていました。

しかし中トロを食べた父親の衝撃を受けます。

実は茜のお願いでチェックの時に幸が握った寿司を混ぜていました。

父親
「松ちょっと来い!この中トロ・・・お前が握ったんじゃねえな、これはまるっきり別人が握った寿司だ、いい機会だ・・・お前にもわかりやすいように味の違いを目で見せてやる、幸ッ!お前も来い!」

父親は2人の前に中トロの握りと松が握ったシャリを並べます。

そしてシャリの米粒を2人に数えさせました。

米粒の数に大きな違いなどないと思っている松は面倒くさいと思いながら数え始めます。

すると中トロではない松の握ったシャリは402粒でした。

「あれ・・・数え間違いかしら・・・おかしいな、何度数えても・・・」

幸が握った中トロのシャリは米粒が243粒しかありません。

大きな差はないと思っていたのに松と幸のシャリは150粒以上違っていました。

父親は米粒の違いを指摘すると何も言わずリビングへ戻っていきます。

そして再び亡き妻の遺影に今日の出来事を報告しました。

父親
「和子・・・今日初めて幸の握った寿司を食った・・・あいつの握った寿司・・・アイスクリームだったよ」

アイスクリームが口の中でふんわりととろけていくのは中に空気が入っているためです。

寿司もアイスクリームと一緒で中に空気が入っていないとシャリはふんわりとほどけてくれません。

つまり幸が握ったシャリの少ない寿司は、松が握った寿司よりも美味しかったのです。

ただしネタの切り方はまだまだなので一人前とは言えません。

父親
「だがな和子、あいつの寿司・・・どこかお前の寿司に似ていい寿司だったよ」

男の子に生まれてくればよかったと言った幸ですが、父親は幸が生まれた時に大喜びしました。

幼い頃から父親の跡を継ぐと意気込んでいた幸ですが、父親は年頃になれば寿司のことなど忘れると思っていたのです。

幸の握った寿司はずっと思い続けてきた時間を感じさせる年季の入ったものでした。

寿司を食べた父親は幸に自分達と同じ寿司職人の血が流れていることを実感します。

翌朝、幸が店に出てきました。

父親
「幸・・・奥にクリーニング届いてるぞ」
「クリーニングって・・・あッ!」

茶の間に行くと机の上に板前の法被が置かれています。

頑固だった父親がようやく修行を認めてくれました。

父親
「着物じゃ修行にならねえ、それに着替えて来い」
「お父さんそれじゃあ・・・」
父親
「お父さんじゃねえ、親方だ!俺の気が変わらねえうちに早くしろよ!」

幸は父親のような優秀な寿司職人になれるのでしょうか!?

 

『花寿司の幸』を読んだ感想

寿司に対する幸の思いが父親の心を動かしましたね。

反対されても握りの練習を続けてきた幸の根性に胸を打たれました。

情熱的なヒロインの奮闘を描写していく『花寿司の幸』

奥深い寿司の世界を丁寧に表現しています。

幸と一緒に寿司の基本を学んでみてください。

 

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