スラップスティックのネタバレ(漫画)!タイトルの意味は?

今回は「青野春秋」先生の『スラップスティック』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

スラップスティック』はこんな漫画(あらすじ)

1988年の北関東、9歳の立花春人(はると)は母親と兄の3人でボロボロの詰め所で暮らしていました。

この頃の春人は自分が世界で最も不幸だと感じています。

不幸だと感じる理由は兄の秋介(しゅうすけ)がとんでもない問題児で、家族にいつも迷惑をかけていたためでした。

9歳の少年にとって兄の存在は邪魔でしかありません。

それでも幼い春人は兄と暮らしていかなければならないのです。

昭和の終わりに実在した家族の物語を綴っていく『スラップスティック』

今回は兄弟の絆を描いたヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

作者の自伝漫画をじっくりとお楽しみください。

 

スラップスティック』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

現在の立花春人(P.N青野春秋)が担当編集者と次回作について打ち合わせをしています。

新連載について春人はすでに構想を固めていました。

そのテーマは家族についてで、春人は自分の家族を漫画にしようと考えています。

春人
「その話は僕が9才の時から始まる・・・静男にいちゃんがいて・・・おじちゃんもいて・・・ハハがいて・・・そして兄がいた・・・」

当時の春人は母親と兄の3人でボロボロの詰め所で生活していました。

詰め所とは現場で働く人などが休憩したり待機したりする簡易施設です。

この詰め所から春人の実話がスタートしていきました。

9才の春人は自分のことをかなり不幸だと思っています。

春人
「すべてはあいつのせいだ、僕の兄”秋介”が悪いのだ」

春人には6歳上の兄がいるのですが、この秋介が当時の春人を苦しめていました。

秋介
「春人コーヒー、それ終わったらタバコ買ってこい、いつものヤツ・・・まちがえんなよ」
春人
「わかった・・・」

パシリのように扱われているのですが、こんなことは春人にとって大きな問題ではありません。

秋介は何の理由もなく暴力を振るってくるのが春人にとって最も嫌なことでした。

この意味のない暴力は春人にだけでなく家の外でも使われています。

中学生の秋介は喧嘩がとても強く挑戦してくる不良を次々と返り討ちにしていました。

秋介
「無敵だかんな」

自分でも語るように秋介に敵う人はなかなかいません。

春人
「でもでもしかしその強さは有効に使われるコトはなく、どんどん僕とハハをおいこんでゆくのだった・・・」

喧嘩が終わるといつも兄の学校から家に電話がかかってきます。

その度に母親が兄を叱る声が家の中に響き渡っていました。

しかし秋介は反省することはせず、母親に反抗してばかりいます。

秋介
「オメーが離婚なんかすっからだよ!おかげでこんな雨もりするボロ屋に住まなきゃなんねーしよ!風呂もねーし!文句言う前に普通の暮らしさせてみろよ!」

秋介の言う通り立花家はとても貧乏でした。

この環境を嫌っていた秋介は苛立ちを払拭するかのように暴力を振るっていたのです。

春人
「でも僕にとってはそんな気持ちはいい迷惑だった・・・」

食事の時も秋介はよく問題を起こしていました。

この日の夕食はカレーライスだったのですが、お米の硬さで問題が起きてしまいます。

秋介
「ちっとゴハン硬ーんじゃねーの?」

兄の発言にカレーライスを食べている春人の動きが止まりました。

春人
「そう、悲劇はかさなるものでゴハンの好みが僕とハハは硬め、兄はやわらかめだったりした」

問題はお米の硬さだけではありません。

秋介
「おいっ!なんでカレーにシュウマイが入ってんだよ?」

母親は朝の残り物を入れただけなのですが、秋介は分けて出せばいいと思っています。

しかし母親が秋介の意見を無視したため、ちゃぶ台をひっくり返してしまいました。

その勢いで母親の頭にカレーがかかってしまいます。

春人
「頭にカレー・・・」

春人がその様子を見て笑うと秋介は自分が笑われたと勘違いしました。

秋介
「何笑ってんだよ?」
春人
「ちがうよ!カレーが・・・」
秋介
「ちがわねー」

こうしてまたも能力を振るわれる春人だったのです。

立花家ではこのような揉め事が日常茶飯事になっていました。

春人
「いっつもこうだ・・・ああ不幸・・・」

果たして春人はこの不幸な日々から抜け出すことができるのでしょうか!?

 

 

兄から理不尽な暴力を受けていた春人の姿が不憫に感じました。

暴力だけでなく兄のせいで様々な迷惑を被る様子も悲惨ですね。

作者が自らの人生を自伝的な漫画で表現した『スラップスティック』

ここからも春人の不幸な人生が描写されていきます。

不幸の連鎖が止まらない展開を引き続きご覧ください。

後編

ある日、春人が学校から帰っていると中学生がドロボーの弟だと声をかけてきました。

この中学生は秋介のことを良く思っていないようです。

春人
「兄ちゃんはドロボーじゃないっ!」

兄の事を庇う春人なのですが、貧乏な生活をしているため同級生は秋介が給食費を盗んでいると疑っていました。

それだけでなくランドセルや教科書など、必要なものを全て盗んでいると疑われます。

帰宅した春人はこの出来事を秋介に伝えることにしました。

春人
「兄ちゃんドロボーしたの?・・・オマエの兄貴はドロボーだって言われた」
秋介
「誰に?」
春人
「兄ちゃんの中学のキンパツとソバカスの人、オマエの家はビンボーだからって・・・」

秋介はタバコを吸いながら真面目な表情を浮かべます。

秋介
「俺がそんなコトするか?」
春人
「しない!」
秋介
「当たり、してねーよ、そんなコト」
春人
「やっぱりな!」

兄を信じた春人は安心することができました。

しかし疑われた秋介の怒りは収まりません。

翌日になるとドロボー扱いしてきた同級生を殴りに行きます。

秋介
「誰ん家がビンボーだって?俺がいつドロボーしたんだ!?」

今回も圧倒的な強さで同級生をボコボコにするのですが、相手は椅子を使って反撃してきました。

そのため秋介も負傷してしまうのですが、それでも彼が負けることはありません。

秋介
「道具使ってんじゃねーよ!今度弟にチョッカイだしたら・・・殺すぞ」

しっかりと落とし前をつけた秋介だったのです。

この日の夜、仕事をクビになってしまった母親が秋介と春人に洋服を買ってきてくれました。

しかしデザインが気に入らない秋介は洋服を受け取ってくれません。

秋介
「いんねー、誰も着ねーぞこんな服、だいたいなんで春人と同じ服なんだよ、何?春人とペアルック?」
母親
「じゃあオマエは着なくていいっ!いいよ、おかあさんが着るからっ!もう二度とオマエに服は買ってこないからっ!」
秋介
「んー、無駄遣いしねーで俺に金ちょーだい、歯医者行くんだ」

椅子で殴られた秋介は歯がグラグラしています。

ですが生意気な態度の秋介に母親はお金を出す気がありません。

母親
「イタイならケンカなんてしなけりゃいいでしょ、そんなモノに1円もやらないよ」
秋介
「あーそうかよ、このウチは歯医者に行く金もねーのかよ」
母親
「そんなコト言ってないでしょ!」
秋介
「だいたいよぉ・・・仕事クビになったくせに何、服なんか買ってんの?そんなんだからいつまでたってもビンボーなんだよっ!」

秋介は文句を言いながら出かけてしまいました。

春人は母親と兄の喧嘩を黙って見つめています。

春人
「いつだったか兄が言っていた・・・」

親子喧嘩を眺めながら兄の言葉を思い出しました。

秋介
「俺は普通でいいんだよ、普通で!なんで俺らはこんなに不利なんだ?なんで日常生活に不利があんだよ・・・」

秋介の言う通り春人の家は不利な状況を抱えています。

もしも貧乏でなければ秋介は不良にならなかったかもしれません。

春人
「貧乏なのはしょうがない、父親なんていまさらいらない、ただもう少しだけ普通になりたかった・・・けれど僕ら兄弟にはたりないモノが多すぎたんだ・・・」

足りないものがありすぎる春人と秋介。

2人はこの状況を抜け出すことができるのでしょうか!?

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2020.02.23

 

スラップスティックタイトルの意味は?

スラップスティックにはドタバタ喜劇という意味があり、タイトルの意味通りこちらの作品は家族のドタバタ劇を描いています。

ただし喜劇というよりは悲喜劇という要素が強くなっているかもしれませんね。

作者が家族をテーマにしながら自身の体験を漫画にした『スラップスティック』

昭和という時代を感じさせるノスタルジックな物語になっています。

令和ではありえない家族の悲喜劇を目に焼きつけてください。

 

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