今回は「田素弘」先生の『紛争でしたら八田まで』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『紛争でしたら八田まで』はこんな漫画(あらすじ)
セントポールズアシスタンスという企業で地政学リスクコンサルタントをしている八田百合は、類まれな知性と荒業を駆使して世界中で巻き起こっている様々な事件を解決させています。
歴史、宗教、政治、経済、軍事などの知識を頭に詰め込み、ありとあらゆる問題を解決することを任された八田百合。
イギリスに滞在していた百合へミャンマーで工場を操業する日本企業からの依頼が舞い込みます。
地元住民のデモに苦しむ日本企業の問題を解決させる百合の策略とは・・・！？
高度な頭脳戦を仕掛けるヒロインが世界各国で巻き起こる様々なトラブルを解決していく『紛争でしたら八田まで』！
今回は異質な職業にスポットを当てた漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
風変わりなヒロインが大活躍する様子を目に焼き付けてください。
『紛争でしたら八田まで』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
イギリスに滞在している八田百合がビールの製造過程で増殖してできた酵母に野菜エキスとセロリ益す、そしてスパイスを淹れて瓶詰めにしたマーマイトを美味しそうに食べています。
大好きな味に癒されているのですが通行人に邪魔だと叱られてしまいました。
苛立つ通行人が象徴するように主要産業が金融業のイギリスは失業率が高くなっています。
数少ない肉体労働も移民と競合しているため、イギリスは厳しい現状に苦しんでいました。
この現状を目の当たりにして喉が渇いた八田百合はパブでお酒を飲むことにします。
通りかかったパブに入るとバーテンダーを務めるのは幼い子供でした。
末期だと馬鹿にされたバーテンダーは父親の代わりに店番をしていると反論します。
するとパブにガラの悪い男性客が来店します。
男性客はアイリッシュビールを注文するのですが、このおアブにはブリティッシュビールしか置いてありません。
北アイルランド出身の男性はそのことに憤慨して拳銃でバーテンダーを脅し始めます。
その様子を見かねた八田百合がバーテンダーに助け船を出しました。
イギリス原産ではありますが中身はアイリッシュのウイスキーをお勧めします。
大人同士の穏便な交渉を求めるのですが男性客は納得してくれません。
北アイルランドがイギリスのものではないと男性客が怒り始めました。
このままでは交渉が進まないと感じた八田百合は男性客の首を両足で絞め始めます。
首を絞められた男性客はウイスキーを飲み干すと帰っていきました。
このようにイングリッシュとアイリッシュは隣接しているため永遠に揉める運命を共有しているのです。
揉める状況が日常的ではないと思うバーテンダーに、これから紛争が増加することを八田百合は危惧していました。
イングランドとアイルランドが抱える現状を説明した八田百合がパブを出ると、勤め先のセントポールズアシスタンスから仕事の依頼が舞い込みます。
今回の任務地はミャンマーで、会社からすぐに出発してほしいと命じられました。
しかしミャンマー語が離せない八田百合は1週間だけ待ってほしいと伝えます。
そしてロンドン自治区へ向かった八田百合は賭場でギャンブルを楽しむミャンマー人に声をかけました。
ギャンブルに勝利した八田百合はミャンマー人から国の状況と言葉を教わります。
このように八田百合が手掛ける仕事には現地の言葉と文化を知ることが欠かせません。
現在の世界情勢には中国人民軍の海洋進出や、イランとの核合意から離脱したアメリカなど問題が山積しています。
混迷する国際状況の中で働く八田百合には世界の全てを知っておく必要がありました。
必要な知識を頭に詰め込んで準備万端な八田百合にミャンマーで待ち受けている任務はどのようなものなのでしょうか！？
豊富な情報を頭に入れながら、知識だけでは上手くいかない場合に荒行を行使するヒロインの姿がカッコイイと思いました。
任務を遂行するためどんな場所でも恐れずに入り込んでいく勇気にも脱帽しました。
可愛い見た目と勇気のある行動力にギャップがあるヒロインが魅力的な『紛争でしたら八田まで』！
漫画を読みながら世界情勢について学べる物語になっています。
日本の常識が通用しない世界で奮闘する素敵なヒロインに魅了されてみてください。
後編
ロンドンのヒースロー空港で飛行機に乗り込んだ八田百合がミャンマーのモンヤン村に到着しました。
ミャンマー連邦共和国は2015年の選挙によって軍出身者の統治が終結した多民族国家です。
到着したばかりの八田百合は小腹が空いたため食事をすることにしました。
珍しい食事に舌鼓を打っているとクライアントである月野精工の社長が出迎えに現れます。
社長は到着から2時間が経っても八田百合が工場に姿を見せないことで怒っていました。
怒り心頭の社長は八田百合を太もも丸出しの娼婦だと愚弄してきます。
月野精工の工場では地域住民がデモを起こしていました。
しかし八田百合に渡された事前資料には工場と地域の関係は良好だと記されています。
そのことを指摘するのですが、八田百合の目の前で従業員とが住民トラックで轢こうとしていました。
どうやら従業員全員がデモに苛立っているようです。
このままデモが長引けば工場内でも問題が発生してしまうかもしれません。
対照的にデモ隊は規律が守られているため冷静な態度をキープしています。
デモ隊のリーダーはサイホムという青年で、元々は月野精工で働いていました。
真面目で勤勉なサイホムはデモを起こすような人物ではありません。
しかし社長が交渉しようとしても、問い詰めると現地の言葉でしか話さなくなってしまいます。
ミャンマー語を変形した地元の言葉を八田百合は理解できました。
そんな八田百合に社長はデモの解決を求めます。
ですが住民と社長の主張は大きく食い違っていました。
月野精工は毎年行われる環境基準値をクリアしています。
そのため工場の撤退を考える気などありません。
事前資料によると周辺工場と比べ月野精工は高賃金を支払っています。
また業績も順調で2年で黒字化を成し遂げました。
続いて現地での販路開拓を計画していたのですが、その矢先に座り込みのデモが行われるようになったのです。
デモに参加しているのは大半が元従業員で、賃金や環境面に問題が無いことを知らないはずがありません。
夜になるとサイホムから直接話を聞いてみることにします。
サイホムからはデモが族長たちの判断なので自分に言われても困ると言われました。
すると2人の間に従業員が割って入ります。
従業員たちはデモを辞めないサイホムに暴行を加え始めました。
興奮している従業員は八田百合にも暴力を振るおうとします。
八田百合は従業員を返り討ちにすると拳銃を出しました。
拳銃を出したため従業員たちが引き下がります。
助けたことでサイホムが心を開いてくれました。
サイホムによると暴行を加えた従業員たちは山岳民のカレン族で、サイホムたちが暮らすシャン族中心の村で生活し始めたそうです。
しかし八田百合は険しい山を降りてシャン族の村にやって来たカレン族の真意を掴めません。
移動や縄張りのことを考えるとミャンマーよりも中国寄りの工場へ行くのが自然なのです。
サイホムにそのことを話すと、山の中で銃を作っているという噂があるためカレン族は中国から追い出されたということでした。
民族の違いで揉めていることをサイホムは何度も社長に説明したのですが、理解してもらうことはできません。
日本は多民族国家ではないため、民族の違いに疎い人が多いのです。
事情を理解した八田百合は2つの問題を解決すればデモを収束できることに気が付きました。
地政学リスクコンサルタントの八田百合はミャンマーで勃発したデモをどのように解決するのでしょうか！？
知的なヒロインが企業の紛争を見事に解決する様子は実際に漫画を読んでお確かめください。
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『紛争でしたら八田まで』はこんな人にオススメ
頭の回転が速くてアクロバティックなヒロインが大活躍する物語です。
そのため魅力的なヒロインが登場するインパクト抜群の漫画を読みたい人にオススメの作品になってますよ。
ありとあらゆる方法で世界中の社会問題を解決していく『紛争でしたら八田まで』！
国際情勢を学べる社会派漫画です。
異国で行われる高度な心理戦をじっくりとお楽しみください。
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