十角館の殺人のネタバレ(漫画)!登場人物の関係性は?

今回は「原作 綾辻行人 漫画 清原紘」先生の『十角館の殺人』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『十角館の殺人』はこんな漫画(あらすじ)

角島という孤島に建設された十角館で半年前に4人の死体で発見されました。

亡くなったのは十角館を建設した中村青司と妻の和枝、そして使用人夫婦の計4人で死体からは睡眠薬が検出されましたが犯人はまだ見つかっていません。

この奇妙な十角館に大学のミステリー研究会に所属する7人の男女が訪ねてきました。

不可解な殺人事件の謎を解明しようとする7人なのですが、すでに彼らは凄惨な殺人事件に巻き込まれていたのです。

誰にも予想できない連続殺人事件の犯人とは・・・!?

本格派ミステリーをコミカライズした『十角館の殺人』

今回は登場人物が全員怪しく見えてしまうサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

それぞれが著名な推理小説作家のニックネームで呼び合う男女の推理戦を読みながらハラハラドキドキしてみてください。

 

『十角館の殺人』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

哀しい出来事によって殺意を抱くようになった人物が殺人の計画を完成させました。

あとは彼らが罠に捕らえられるのを待つだけです。

その罠は十角形の館に仕掛けられました。

エラリイ
「もはやカビの生えた議論になってしまったけれどもあえて云おう、僕にとって推理小説とはあくまで知的な遊びの一つなんだ、小説という形式を使った読者対作者の刺激的な論理の遊び、それ以上でも以下でもない」

推理小説を遊びだと語っているのは法学部に通っている大学3年生のエラリイです。

エラリイは過去に日本でもてはやされた社会派リアリズムを毛嫌いしていました。

OLが殺された事件をベテラン刑事が捜査したり、政界の汚職にまつわる悲劇なども願い下げです。

ミステリーに相応しいのは名探偵の登場で、どんな絵空事であっても不可能犯罪や破天荒なトリックを楽しめれば構いません。

カー
「どうも鼻につくな、オレは好きじゃないねエラリイ、お前のその知的知的って台詞は、選民思想だな、読者の皆様全部がお前みたいに知的にできていらっしゃるわけじゃない」
エラリイ
「心外だねそれは、僕の云う知的とは遊びに対する態度の問題さ、要は遊びを知的に行う、その精神的なゆとりが持てるかどうかってこと、まあうちの研究会でさえそのゆとりが持てないようなやまいだれ付きの奴もいるようだけど」
カー
「喧嘩売ってんのかテメェ!」

挑発に乗ってしまったカーがエラリイの胸ぐらを掴みます。

喧嘩になりそうな2人を文学部2年生のルルウが止めに入りました。

ルルウ
「エラリイさん!カーさん!二人とも落ちついて!せっかくの合宿なんですから!ね」

ルルウのおかげで言い争いは収まります。

その様子を見ていた船長が変な名前で呼び合うエラリイたちを変わった学生たちだと言ってきました。

ポウ
「ああ・・・あれは僕ら推理小説研究会のメンバーのニックネームみたいなものでして・・・」

説明したのは医学部4年生のポウです。

推理小説研究会はエラリイ・クイーン、ジョン・ディクスン・カー、ガストン・ルルウ、エドガー・アラン・ポウなどの有名なミステリー作家の名前を代々襲名するようにしていました。

そんな話をしているうちに目的地の角島が見えてきます。

崖の上には十角館が建っていて、島には殺された中村青司の幽霊が出ると噂されていました。

船長によると雨の日に島のそばを通ると崖の上に白い人影が見えたり、誰もいないはずの離れに明かりが点いたところを目撃した人がいるそうです。

アガサ
「すごいすごーい!ねぇオルツィ聞いた?幽霊ですって」
オルツイ
「私はそういうのはちょっと・・・」
アガサ
「でも幽霊くらい出てもいいわよね、何しろあんな事件のあった場所だもの」

薬学部3年生のアガサは幽霊を面白がっていますが、文学部2年生のオルツィは興味を持っていません。

角島に到着した推理小説研究会のメンバーは次の火曜まで誰とも連絡を取ることができません。

この島はスマホもWi-Fiも使うことができないのです。

状況を確認したメンバーたちが森の中を歩いていくと十角館に辿り着きました。

十角館は殺人事件が起きたとは思えない素敵な雰囲気を漂わせています。

ヴァン
「やあみんな、ちょっと待ってて、いま行くから、悪いね、出迎えにいかなくって」

館でメンバーを待っていたのは理学部3年生のヴァンで、風邪気味のため迎えに行くことができませんでした。

それでもメンバーを十角館の中へ案内してくれます。

エラリイ
「これは・・・十角形の建物に・・・十角形のホールか・・・」

十角館は火事の時に電線と電話線が切れたので電気は使えません。

玄関の真正面に厨房があり左隣りがトイレと浴室になっています。

水道は使えてプロパンガスを繋げたのでコンロでの調理も可能になっていました。

食料は冷蔵庫に入れてあるし、レトルトや缶詰も厨房に保管してあります。

ヴァン
「残りの七室が客室だからみんな自分の部屋を選んで、鍵は鍵穴に差し込んであるから、僕はお先にそこの部屋を使わせてもらってる」
アガサ
「なかなかいい部屋じゃないヴァン、これでオートロックなら文句ないのに・・・」
ヴァン
「リゾートホテルじゃないんだ、無人島なんだからね」

これから起こる凄惨な出来事をメンバーたちはまだ知る由もありません。

呑気に旅行気分を味わっている推理小説研究会が巻き込まれる事件とは・・・!?

 

 

7人それぞれがミステリー作家の名前で呼び合う設定に遊び心を感じますね。

連絡が取れない孤島という舞台もスリリングな内容に適していると思いました。

様々な伏線が張り巡らされた『十角館の殺人』

角島で起こった殺人事件の詳細も明らかにされます。

推理小説研究会のメンバーは殺人事件の謎を解明できるのかも注目ポイントになっていますよ。

後編

十角館に荷物を置くとエラリイはルルウとヴァンを連れて島の探検に向かいました。

エラリイ
「全焼か・・・見事に焼けてしまったもんだな」
ルルウ
「誰かの死体でも埋まってたら嬉しいんじゃないですか?」
エラリイ
「そいつはお前のほうだろ・・・」
ルルウ
「にしても信じられますか、エラリイさん、つい半年前この場所であの凄絶な事件があっただなんて・・・」

凄絶な事件とは角島青屋敷で起こった謎の四重殺人事件です。

9月20日未明、角島の中村青司邸、通称青屋敷が全焼しました。

焼け跡から中村青司と妻の和枝、住み込みで働いていた使用人夫婦の計4人が発見され、死体からはいずれも相当量の睡眠薬が検出されたそうです。

しかし4人の死因は一様ではありません。

使用人夫婦は自室で2人ともロープで縛られ斧で頭を叩き割られていました。

当主の青司は全身に灯油をかけられていて明らかな焼死です。

同じ部屋で発見された和枝は紐状の凶器で首を絞められて窒息死したことが判明しました。

また和枝の死体は左手首から先を切断されていて、その手首は焼け跡のどこからも発見されていません。

犯人は行方不明になっている庭師が有力視されています。

事件の数日前から泊まりで仕事に来てたのですが、庭師の姿はどこにも見当たらずそれっきり消息を絶ってしまいました。

エラリイ
「これについては二つの見解がある、一つはこの庭師が事件の犯人でそれゆえに姿をくらました、もう一つは犯人は別にいて庭師は犯人に襲われて島を逃げまわるうちに誤って崖から落ちて潮に流された」

現場が酷い有り様だということと島に生存者がいなかったことから、警察は庭師が犯人だと有力視しているのです。

エラリイたちが事件について話していた頃、ポウとカーは島の北側に来ていました。

ポウ
「あれが猫島か、島っていうよりは岩礁と云っていい大きさだな、ありゃあ」
カー
「・・・こんな島になんぞ来るんじゃなかったぜ、これから毎日一週間もあいつの顔を見なきゃいけないなんてな」

幼馴染ですがカーはエラリイのことが気に入りません。

また無人島に女性を連れて来たことも納得していませんでした。

ポウ
「アガサに告ったんだってな?自分をフッた相手と同じ屋根の下ってのは面白くないよなぁ」
カー
「ったく、あんたと話してると調子がくるう、であんたはどうしたんだよ、こんなところに一人で・・・」
ポウ
「何となく・・・な、海を見てるとつい思い出しちまうんだ」
カー
「・・・あんた、まだあのことを気にしてるのかい」

2人とも気にしていないと言いながら表情が曇ります。

陽が落ちてくると全員が屋敷へ戻ってきました。

ルルウ
「食事の前に改めて少しご挨拶をば・・・まずはこの十角館に招待してくださったヴァンさん、どうもありがとうございました」
ヴァン
「別に招待したわけじゃないよ、僕の伯父さんが最近ここを手に入れたって聞いて、行く気があるなら伯父さんに頼んでもいいって云っただけだし」
ルルウ
「で、ここからが本題です、今日から一週間この無人島で暮らすわけです、時間を無駄にする手はありませんよね、皆さん来月発行の会誌死人島に一作ずつよろしく!テーマは孤島の連続殺人」

会誌の編集長を担当しているルルウは角島に大量の原稿用紙を持参しています。

作品を書かされることになったメンバーたちは頭を抱えてしまいました。

その後、食事を終えるとアガサとオルツィが食器を洗っていきます。

アガサ
「あらオルツィ素敵な指輪ね、今までそんなの嵌めてたっけ?誰かいい人に貰ったのかなー?」
オルツイ
「そんな・・・そんなんじゃないわ」
アガサ
「相変わらずねオルツィ、いつもそうやって自分の内側に閉じこもってる、会誌に載ったオルツィの作品はあんなに生き生きとしてて明るくって、なのに・・・」
オルツイ
「・・・夢の中だから、わたし現実は苦手なの、現実の自分が嫌だから好きじゃないの」

左手の中指に嵌めた指輪を見つめながらオルツィは自分を否定しました。

しかしアガサはオルツィの魅力に気付いています。

アガサ
「もっと自信持たなきゃ駄目、あなたって可愛いのよ、自分で分かってないだけなんだから、そんなに俯いてないで堂々としてなさい」
オルツイ
「いい人なんだ、アガサ」

洗い物を終えるとそれぞれが部屋に戻っていきました。

そんな中、ホールでエラリイがトランプをいじっています。

するとアガサがエラリイに声をかけてきました。

エラリイ
「アガサか、丁度いいところにきてくれた、最近ねマジックに凝ってるんだ、さてここに赤と青の裏の色が違う二組のカードがある、好きなほうを選んでくれ」
アガサ
「青にするわ」
エラリイ
「まず何の仕掛けもないことを検めてから好きなだけそれを切り混ぜて僕はこっちの赤裏のカードをよく混ぜるからね、ここで一度デックを交換しようか」

次にその中から好きなカードを1枚抜いて覚えた後にデックの一番上に戻します。

そして上半分と下半分を入れ替えながらカットしたデックを交換して、お互いに覚えたカードをデックから探し出してから裏返しの状態で机の上に置きました。

ここでエラリイがアガサにカードを表返しさせます。

アガサ
「えっ、本当にぃ?」
エラリイ
「初歩的なトリックさ、問題は演出、それと視線誘導、マジックっていう映画の中でもこれとほぼ同じトリックが使われている、マジシャンが昔の恋人相手に見せるくだりでね」

マジシャンはお互いの心が通じ合っていればカードが一致すると断言します。

その言葉通りマジックでカードは一致しました。

エラリイもマジックでアガサとカードを一致させたのです。

アガサ
「ふぅん・・・で、エラリイは同じようにして私を口説くつもり?」
エラリイ
「まさか、残念ながら女王様を口説くような度胸はいまのところ僕にはないよ」
アガサ
「・・・微妙な云いまわしね」

マジックの説明を受けたアガサは寝ることにしました。

翌日、エラリイが部屋から出てくるとホールでメンバーが騒いでいます。

エラリイ
「おはようルルウ、何の騒ぎだい?」
ルルウ
「あ・・・エラリイさん実は・・・朝起きてきてみたらこんなものがテーブルに」

テーブルには第一の被害者と書かれたプレートが置かれていました。

他にも第二、第三、第四、第五の被害者や殺人犯、探偵というプレートも置かれていたので緊張感が漂います。

エラリイ
「とある小説のヒロインの台詞を思い出したよ、気をつけて・・・もう始まってるかもしれない、もしこのプレートが部屋にかかるような事態になるなら僕らはいったい何人生き残れるのやら・・・」

まだこの時点でプレートに書かれた言葉を誰も信じていません。

しかしプレートが暗示するような残酷な事件が発生してしまうのです。

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『十角館の殺人』を読んだ感想

角島青屋敷で起こった謎の四重殺人事件だけでなく、カーとポウが話をしていた過去の出来事など気になる点が満載ですね。

オルツィの指輪やエラリイのマジックなど絶対に伏線となるようなシーンも気になりました。

最初の犠牲者が誰なのか気になってしまう『十角館の殺人』

全てのシーンがラストへの伏線になっているので何度も読み返したくなりますよ。

メンバーたちの名前の由来になったミステリー作家の情報も掲載されているので参考にしてみてください。

 

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