『ピアノのムシ』のネタバレ！調律師を描いた漫画の魅力とは？

今回は「荒川三喜夫」先生の『ピアノのムシ』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

『ピアノのムシ』はこんな漫画(あらすじ)

蛭田敦士は巽ピアノ調律所に勤める超一流の調律師です。

しかし天才的な調律の技術を持っているのですが、性格に問題があるためお客とのトラブルが絶えません。

そんな蛭田がひとたびピアノの調律を始めると、楽器は美しい音色を奏でることができるのです。

天才調律師が楽器に再び命を吹き込んでいく姿を描いた『ピアノのムシ』！

今回は調律師という職業にスポットを当てたヒューマンドラマの魅力について、ネタバレを含みながらご紹介していきます。

あまりお目にかかることのない調律師の世界をじっくりと楽しんでみてください。

『ピアノのムシ』の魅力紹介（ネタバレ含む）

前編

沙織という女性客がピアノ流通センターという直売所で接客を受けています。

店員は彼女にドイツの材料を使った中国製のピアノをおすすめしていました。

そこに現れたのが蛭田敦士だったのです。

「確かに製造は中国だな、こまやかなタッチを反映しない、そもそもこのドイツメーカーは確かに一流だが96年にメーカーをたたんでいる」

店員がおすすめしていたピアノは中国の企業が勝手にドイツメーカーの名を使っているまがい物でした。

蛭田の指摘に動揺する店員が反論しようとするのですが、直売所の社長に止められてしまいます。

実はこの日、蛭田はここの社長に呼ばれていました。

社長が蛭田を呼んだ理由は再生ピアノを彼に依頼するためです。

しかしこの依頼を蛭田はすぐに断ってしまいました。

「わかってねーな、ピアノの音を決めるのは技術だけじゃない、材質だ、その品質いかんでピアノのポテンシャルが決まる、俺の技術はそれを最大限に引き出す音作りだ」

蛭田に依頼された再生ピアノは外装が立派なだけで、中身は低品質の材料を使っていたのです。

こうして依頼を断った蛭田が直売所を出ようとすると、先ほど出会った沙織という女性が声をかけてきました。

「あなたに仕事を依頼したいんです、うちのピアノの調律をお願いできませんか？」

「あいにく個人ピアノの調律は請け負ってないんだ」

「でもさっき社長さんから依頼されてた」

沙織はつい盗み聞きしていたことを話してしまいます。

「あんな詐欺まがいな話を盗み聞きしてなお俺に頼むってことは、余程頭のおかしい奴か余程ピアノが面倒なことになってるかだ！どちらにしても関わりたくなーい！」

「そんな言い方、こっちの事情も知らないくせに」

蛭田はこれ以上の話を聞くことなく勤務先へ戻っていきました。

諦めきれない沙織は蛭田の勤務先に直接電話をかけることにします。

この電話を受けたのが社長だったため、蛭田は依頼を断ることができません。

「もしもし、条件がある」

車での送迎を条件に出した蛭田は、仕方なく沙織の依頼を引き受けることにしました。

「個人ピアノの仕事もするしコンサート専門でもない、どうして嘘ついたんですか？」

「接客が嫌いでね」

「嫌い・・・って子供みたいなことを・・・調律師は接客も含めて仕事じゃないんですか？」

「マジで！？知らなかった！じゃあ俺調律師じゃないわ」

軽口を叩く蛭田に沙織は呆れてしまいます。

しかし彼女にはどうしても蛭田に調律をお願いしたい事情がありました。

いったい沙織はどのような依頼を持ち込んだのでしょうか！？

ぶっきらぼうな態度の蛭田ですが調律の技術と知識は超一流のものを持っています。

お世辞にも接客に向く性格とは言えませんが、唯一無二の存在として業界内で一目置かれる存在の主人公が印象的でした。

出会ったピアノを次々と蘇らせていく調律師の仕事ぶりを表現していく『ピアノのムシ』！

ここから沙織が抱える特殊な事情が明らかになっていきます。

蛭田が沙織の依頼を見事に解決する姿に注目しながら続きをご覧ください。

後編

蛭田が沙織の家で出会ったピアノはショパンが愛したフランスの名器と呼ばれるプレイエルでした。

しかし蛭田がプレイエルに触れた瞬間、沙織の母親が現れ調律は必要ないと言い出します。

「俺もこんなガラクタになり下がったプレイエルの調律なんてごめんだ！」

プレイエルに触れただけで蛭田はこのピアノがずさんな調律をされていることに気が付いていました。

ここで帰ろうとする蛭田を沙織が引き留めます。

「調律師はピアノのお医者様のようなものと思ってました、ピアノはその性能、音を維持するために定期的なメンテナンスが要る、そのために調律師を呼んでます」

沙織と母親はプレイエルの調律を専門の調律師に任せていました。

ですが新しく変わった調律師になってからピアノの音色がつまらない印象に変わってしまったのです。

この調律に納得ができない沙織たちは別の調律師に依頼したのですが音が元通りになる事はありませんでした。

そこで沙織が目を付けたのが直売所でまがい物のピアノを見抜いた蛭田だったのです。

「い・や・だ」

「なんなんですか、子供みたいにっ、これは仕事ですよ！」

「ピアノは直せる、だがあんたらが嘘ついてるから直したくない！」

「私たちが嘘をついてるからピアノを直したくない・・・って！？」

沙織と母親が話したことに嘘はありません。

しかしある秘密を明かしていないことも事実でした。

実はこのプレイエルはピアノの弦を叩くハンマーが何者かによって交換されていたのです。

「誰がやった？俺はピアノのためにそれを知りたい、なぜならそいつは世間知らずのド素人でアホでマヌケなピアノを害するクソヤローだからだ！」

蛭田には隠していたのですが、このピアノは調律師ではない沙織の弟が修理をしていました。

「どうして別の人間の手が入ってるとわかったんですか？」

「言っただろ、ピアノは嘘つかないとな、まず鍵盤の弾き心地が悪い、パーツの取り付けがド素人だとわかる、なによりこの音の雑味だ」

音の雑味からハンマーが交換されていたことを見抜いていたのです。

ここから蛭田はピアノの調律を開始することにしました。

まず彼はハンマーの交換に取り掛かります。

交換中、蛭田は沙織の母親が話した言葉を思い出していました。

彼女がこのピアノを購入したのは30年前に新婚旅行で訪れたフランスです。

それ以来大切にしてきたプレイエルだったのですが、5年前に夫が亡くなってしまいました。

母親はプレイエルが夫の後を追うように華やかさが失われてしまうことを恐れていたのです。

そのため蛭田が調律することを快諾しました。

蛭田はその想いに応えるよう必死で調律を行っていきます。

懸命な作業は夜を通して無事に終了しました。

「よし！徹夜明けに優しいショパンでもリクエストしたいね」

母親が恐る恐るピアノを奏でると、プレイエルは昔の輝きを取り戻していきます。

「ありがとう、ありがとう」

こうして蛭田は1台のピアノと、この音色に思い入れがある家族の望みを見事に叶えることができました。

口は悪いのですがお客の心を救う調律師として見事な仕事を成し遂げた蛭田。

彼はここからも様々な事情を抱えるピアノと向き合っていくのでした。

『ピアノのムシ』はこんな人にオススメ

感動的で奥の深いヒューマンドラマを探している人にオススメの漫画になっています。

態度は良くありませんが凄腕の調律師が活躍する姿は見所が満載ですよ。

音楽に詳しくない人でも心から楽しむことができる『ピアノのムシ』！

ピアノに関する知識が充実している作品です。

この漫画を読んで楽器を修理する裏方の職業について考えるきっかけにしてください。

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