今回は「富士屋カツヒト」先生の『19番目のカルテ 徳重晃の問診』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『19番目のカルテ 徳重晃の問診』はこんな漫画(あらすじ)
小さい頃に医者はどんな病気でも治せると思っていた滝野は、女性整形外科医として働き始めました。
しかし3年が経った現在、そんな医者は存在しないことを実感しています。
その理由は高度に発展した現代日本の医療が18の専門分野で患者を診察するようになっていたためでした。
滝野も専門医として患者を診察する中で、19番目の分野となる総合診療科が新設されます。
自分の抱いていた理想と現実に悩まされていた滝野は、ここで総合診療医の徳重晃と出会ったことで大きく運命を変えることになりました。
症状ではなく人生を診ることで患者を救う医者が活躍していく『19番目のカルテ 徳重晃の問診』!
今回は医療の本質を表現したシリアスな漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
徳重晃に出会ったことで成長していく滝野の姿にもご注目ください。
『19番目のカルテ 徳重晃の問診』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
整形外科医になった滝野は総合病院で働き始めて3年になりました。
現在の滝野は自分がどんな医者になりたいと思っていたのかよく覚えていません。
そんな中で日々の業務をこなしています。
この日は風邪をこじらせた患者を担当しているのですが、喉の痛みを抑える薬が効かないと文句を言われてしまいました。
専門医に診断してもらうことを勧めるのですが、患者は担当医が変わることに納得してくれません。
仕方なく滝野は患者に総合病院の実情を簡単に説明していきます。
まず整形外科医の滝野には喉の症状に関する経験が豊富ではありません。
半日という言葉で患者は担当医を変えることに納得してくれました。
滝野はずるい言い方をしたと自覚しています。
しかしこのような言い方で対応しなければ埒があきません。
このような経緯で滝野は75歳男性で左の上腕骨近位部骨折のプレート手術中の患者を耳鼻咽喉科にコンサルトしました。
医師が担当する専門性は細分化されるようになり、他科の医師ではカルテを読むことができないケースもあります。
そのため効率よく間違いのない診断をするために専門以外の症例は他科へ回すコンサルトで対応することが通例となっていました。
ただし安易なコンサルトは一歩間違えばたらい回しになってしまいます。
そこで日本専門医機構は特定の臓器を専門としない19番目の専門医として総合診療科を設置しました。
来月になると滝野が働いている総合病院にも総合診療科が開設される予定になっています。
現実を知った滝野は子供じみた理想を諦めるようになっていました。
カルテを片付けて帰ろうとする滝野に面識のない男性が声を掛けてきます。
身長の高い男性が滝野の顔を凝視してきました。
思わず滝野は固まってしまいます。
失礼なことを言われた怒りと、独り言を聞かれた恥ずかしさから滝野はこの場を立ち去りました。
明朝になると新たに開設される総合診療科の医師が紹介されます。
こうして滝野は総合診療科の徳重と出会いました。
滝野の運命はこの出会いによって大きく変わっていくのです。
滝野が子供のころに抱いていた理想のように、考えてみれば普通の人は医者ならどんな病気でも治せると思っているかもしれませんね。
しかし大きな病院になればなるほど様々な専門医に分かれているのが現状です。
現代医療の真実を伝えてくれる『19番目のカルテ 徳重晃の問診』!
患者と真正面から向き合う素敵な医師が主人公の物語です。
医療の素晴らしさをこの漫画から教わってみてください。
後編
徳重が紹介されると朝の申し送りが始まりました。
その中で滝野が診察した患者について喉の痛みが変わらないという状態が報告されます。
転倒した理由が分からないことを知った徳重は、カルテに載っている既往歴を読み始めました。
しかし他の医師は細かい所まで気にしないので、初日から徳重は変わり者という烙印を押されてしまいます。
こうして朝の申し送りが終了しました。
変わり者と言われてしまった徳重はすぐに患者の元へ向かいます。
徳重のおかげで申し送りが長引いたので、滝野は急いで病棟へ案内することにしました。
それでも徳重は呑気に笑顔を浮かべています。
滝野は徳重に呆れながら喉の痛みを訴える患者の元へ向かいます。
すると昨日よりも顔色が悪くなっていました。
冷や汗の量も多いためすぐに耳鼻咽喉科へのコンサルトを決断します。
挨拶を終えるとバイタルと心電図の測定を始めました。
そして検査しながら患者の日常生活について質問していきます。
この患者は居酒屋を40年経営していてこれまで大きな病気をしたことがありません。
ですが商売柄、お酒はたくさん飲んでいるそうです。
滝野には徳重が何をしようとしているのかが分かりません。
それでも徳重は患者との対話を続けていきます。
患者は喉の痛みを訴えているので徳重の質問の意味を理解できません。
ただし階段から転んだのは手すりを掴む手に力が入らなくなったためだそうです。
特に今回は左の肩が締め付けられるような感覚がありました。
症状に気が付いた滝野はすぐに循環器の医師を呼びに行きます。
徳重は来てくれた循環器の医師に心筋梗塞の疑いがあると説明しました。
この診断に同意した医師はすぐに患者を心臓カテーテル室へ搬送します。
のちに分かったことですが患者には喫煙習慣があり、血液検査では高尿酸血症が認められました。
こうしたことから心筋梗塞を引き起こすリスクは十分に持っていたのです。
2週間後、心臓カテーテル手術で一命を取り留めた患者が退院していきました。
患者は滝野にお礼を言ってくれたのですが、滝野にはお礼を言われる筋合いはありません。
落ち込む滝野は総合診療科へ足を運びます。
患者を耳鼻咽喉医へコンサルトしようとしていたことを正直に打ち明けました。
滝野は専門外ということを言い訳にして患者を見殺しにするところだったのです。
病気は結果だけを見て判断するものではなく、徳重はその人が生きてきた過程を除かなければ診断などできないと語りました。
現在の医療情勢が専門を細分化していて、そのおかげで医療が発展したことを徳重はよく理解しています。
しかし細分化のせいで見過ごされる患者が出てしまえば本末転倒なので、徳重は臓器を専門にするのではなく人間そのものを専門にする総合診療医になりました。
ここからなんでも治せる総合診療医を目指す滝野の挑戦が幕を開けるのです。
果たして滝野は徳重のような医師になれるのでしょうか!?
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『19番目のカルテ 徳重晃の問診』を読んだ感想
病気の結果ではなく患者が生きてきた過程を覗くという徳重のセリフに感動しました。
徳重の姿に理想の医師を重ね合わせた滝野の素直で真っ直ぐな性格も素敵ですね。
人間が専門の理想的な医師の活躍を描いた『19番目のカルテ 徳重晃の問診』!
こんな医師に出会いたいと思わせてくれる物語になっています。
医療情勢の真実を学びながら徳重と滝野の努力に感動を覚えてみてください。
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