昭和元禄落語心中のネタバレ(漫画)!小夏が抱える因縁とは?

今回は「雲田はるこ」先生の『昭和元禄落語心中』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『昭和元禄落語心中』はこんな漫画(あらすじ)

刑務所の模範囚だった青年は慰問会で聞いた落語の世界に魅了されます。

出所した青年はすぐに落語を披露してくれた名人の八雲に弟子入りをお願いしに行きました。

しかし昭和最後の名人と称される八雲は弟子を取らないことで有名な噺家だったのです。

それでも諦めきれず必死に弟子入りを希望する青年は、与太郎と名付けられ弟子入りを認めてもらえました。

ここから始まる与太郎の噺家人生を描いていく『昭和元禄落語心中』

今回はアニメとドラマになった傑作コミックについて、ネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。

落語の世界を表現した人情話で感動を味わってみてください。

 

『昭和元禄落語心中』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

模範囚だったのですが引取人がいなかったため、与太郎は仮釈放を認めてもらえませんでした。

しかしようやく出所が決まったため、笑顔で看守にこれから行く場所を伝えています。

与太郎
「寄席へ行くんだ、大先生ンとこへな!なんもねェからあすこに行くんだ、寄席なんてのはそういうトコだべ」

看守に行き先を伝えた与太郎は、散髪をしてスーツを購入してから寄席へ向かって行きました。

しかし身なりを整えるため有り金を使い果たしてしまい、寄席の切符を購入することができません。

困り果てる与太郎だったのですが、寄席の前にお目当ての大先生が乗っているであろう高級車を見つけました。

運転手に対して大先生と会わせてほしいと頼み込むのですが、なかなか快諾してくれません。

その理由は大先生が弟子を一切取らないためでした。

諦めきれない与太郎が運転手に激しく詰め寄っていると、大先生が姿を現します。

八雲
「ウチの者がなにか失礼を?そちらさんカタギのお方じゃあないようですけれど、なんならアタクシ代わりに出るトコ出させてもらいましょ?」

八雲という大先生は与太郎がカタギではないことを見抜いていました。

ですが与太郎はそんなことは気にせず大先生に抱きつきます。

与太郎
「大先生、オイラはアンタに一目惚れしたんだ、覚えてるかい?1年まえの刑務所落語慰問会、アンタはあのとき死神ってハナシを演ったんだ」

死神という演目はろくでもない男性が死神に唆されてお金を儲けるのですが、最終的にズルをしてしまい命を取られてしまうという内容でした。

与太郎は刑務所でわざわざこの演目を披露した大先生に感動していたのです。

八雲
「ホウ、するってぇとお前さん監獄帰りかぇ?」
与太郎
「おうッ、そうだよ!本日出たてだいッ」
八雲
「それにしちゃあ随分楽しげだね、呆れた男だよ」
与太郎
「出てきたらいままでに見たいちばん偉ぇ人に付いていこうって決めてたんだ、それがアンタなんだよ、オイラ落語だって大好きなんだ、もう弟子んなるしか道がねぇだろ」

普段は大先生の八雲は弟子を取ることはありません。

しかしこの日の八雲はどういう訳か与太郎を車に乗せて帰って行きました。

2人が八雲の家に到着すると、そこには若い女性の姿があります。

八雲
「小夏ッ、居るんだろう?お客サン、というよりも今日からウチで面倒見るから、いろいろ教えてやっとくれ」

ラジオを聞きながらタバコを吸っていた小夏は、八雲が弟子を連れてきたことに驚いていました。

小夏
「な・・・おっさんいったいどういう料簡だい」
八雲
「弟子ィ取ったんだよ、一番弟子になるのかねェ」
小夏
「弟子ィ・・・?今更なんだい・・・一生取らねえってたじゃないかい、エ?」
八雲
「気が変わったんだよ、アタシの家さ、どうしようと構わねぇだろ、なにするンにしても男手がありゃ便利だろ?この与太郎可笑しい子なんだよ」

何やら険悪な雰囲気の八雲と小夏。

いったい2人の間にはどんなわだかまりがあるのでしょうか!?

 

 

刑務所で聞いた落語に魅了された主人公が、大先生に弟子入りするシーンが印象的ですね。

ここから小夏を含めた登場人物の人間関係が複雑に絡み合っていきます。

アニメとドラマにもなり大注目されている『昭和元禄落語心中』

落語に興味がある人にとってはたまらない物語です。

それでは小夏が抱える因縁に注目しながら続きをご覧ください。

後編

八雲に弟子入りした与太郎は、運転手から小夏の父親について教わっています。

小夏の父親は有楽亭助六という落語家で、20年ほど前に天才と称賛された名人でした。

昭和30年代、黄金期と呼ばれていた落語界を引っ張っていた先代の八雲師匠の元、助六と現在の八雲は若手のホープとして活躍していたのです。

しかしこれから2人の時代が訪れると期待された矢先、助六は奥さんと一緒に鬼籍へ入ってしまいました。

その頃の小夏はまだ小さかったため、当代の八雲が身元を引き受けることにしたのです。

小夏と八雲の間には他人が入り込めない複雑な事情があることを知った与太郎。

するとここで小夏が与太郎に声をかけてきます。

小夏
「おいっ与太郎ッ、ちょいと顔かしなッ、どうもあたしは合点がいかねえんだ、サシで話つけようじゃねぇかい」

迫力ある表情で迫ってきた小夏は与太郎を自分の部屋へ連れて行きました。

そこで小夏は弟子入りを諦めるよう勧めてきます。

与太郎
「えーっ姉御ぉー、いまさらそりゃねぇですよ」
小夏
「そのアネゴってのよしとくれ、あたしまでヤクザんなった気になンだろ」
与太郎
「おいらヤクザじゃねぇですよ」

自分が刑務所に入った与太郎のことを小夏は呆れた顔で見つめていました。

小夏はここで八雲に弟子を取る気がないことを改めて説明していきます。

小夏
「アイツは自分の芸を残そうなんざ全然考えちゃいない、言ってたんだよ、落語と心中するんだって」

この時代はテレビで漫才ブームが起こっていたため、落語界に未来はないと言われていました。

しかしそれでも弟子を取らない八雲のことを、小夏は自分のことしか考えていないと思い嫌っていたのです。

小夏の言葉を黙って聞いていた与太郎だったのですが、彼には難しい話はよく分かりません。

それでも小夏が落語界の将来を憂いていることが与太郎には嬉しい事実でした。

与太郎
「オイラ父ちゃんが落語好きだったからよく聞いてたけど同年代じゃあそんなやついねぇし、そんなに言うんならアネさんも落語大好きなんだろ?いろいろ教えておくれよ」
小夏
「好きで演ってる訳じゃないよ、女真打ちなんか一人もいないんだ、できたってどうにもなんないの」
与太郎
「アネさん、しゃべるほもできんのかい、スゲーなっ、とにかくいろいろやっかい者だけどよろしくなァ」
小夏
「めげないね、どうなったって知らないよ、好きにおし」

こうして与太郎はひとまず小夏から弟子入りを認められたのです。

その後、与太郎は八雲の付き人となりながら彼のお世話をするようになっていきました。

寄席のすぐ近くでお目当ての死神を聴くことができ、大満足する与太郎。

しかし八雲は小夏の言う通り、与太郎に落語を教える気はありませんでした。

それでも与太郎は大好きな死神の演目を練習していきます。

すると見かねた小夏がアドバイスを与えてくれました。

小夏
「アンタの死神はなんだかコントみたいだねぇ、あの嫌味っぽい死神はオッサンが演るから意味があンの、うちの父ちゃんはもっと親分みたいに演ってたよ」
与太郎
「へぇ、自分で演り方変えてもいいのか」
小夏
「ウン、どうとでもね、あたし父ちゃんの死神大好き、威勢が良すぎて全然こわかないんだけど、それがオカシくって」

与太郎はここで小夏に死神を披露して欲しいと頼みます。

このお願いを快く引き受けた小夏は、流暢に死神を演じてくれました。

与太郎
「ウンいい落語だな、アネさんは声がいい、凛としてよく通る・・・」

小夏は与太郎の言葉で亡き父に褒められたことを思い出します。

小夏
「偉そーに、ナマ言ってんじゃないよッ」

恥ずかしさのあまり小夏は与太郎を叩いてしまいました。

与太郎は小夏の美しい落語を聞くと、改めて八雲に落語を教わりたいと申し出ることにします。

しかし相変わらず八雲に落語を教える気はありません。

そんな八雲に対しても与太郎が諦めることはありませんでした。

与太郎
「ウンって言わせるまでどこまでも付いて行きまさァ、おっとそれともうひとつ、アネさんも弟子入りしたいんだそうです」

小夏は一言も弟子入りしたいと言った覚えはないため、強い拒否感を見せ始めます。

与太郎はそんな小夏を無視するように、彼女が亡き父親のネタをまとめたノートを八雲に見せました。

ですが八雲はそのノートをゴミのように投げ捨ててしまいます。

小夏
「アイツ殺してやるッ、仇討ちだよッ、父ちゃんは、有楽亭助六は・・・おまえが殺したんだッ・・・」

有楽亭助六は事故で亡くなったはずなのですが、小夏は八雲に殺されたと思っていました。

果たして小夏が父を八雲に殺されたと思う理由はいったいどのようなものなのでしょうか!?

その真相は実際に漫画をご自身の目でご覧になってお確かめください。

 

『昭和元禄落語心中』はこんな人にオススメ

奥の深いヒューマンドラマを探している人にオススメの漫画です。

落語家という職業を題材にしながら、複雑に交錯する人間関係が魅力的な作品になっていますよ。

読んでみるとアニメとドラマになった理由が一目瞭然の『昭和元禄落語心中』

明るくポジティブな与太郎が、小夏と八雲の関係を修復できるかが見所の物語です。

心温まる素敵な人情話の虜になってみてください。

 

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