『ツツジモリ 遺品整理始末録』のネタバレと感想(漫画)！

今回は「naked ape」先生の『ツツジモリ 遺品整理始末録』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

『ツツジモリ 遺品整理始末録』はこんな漫画(あらすじ)

森村風介は親友に裏切られ多額の借金を抱えてしまいます。

自力では借金を返すことができなくなった風介は自殺することを決意しました。

そんな彼の前に躑躅森花壱(つつじもりはないち)という不思議な男が現れます。

花壱に救われた風介は遺品整理と死者の残留思念を葬る仕事をしている躑躅森一族のお手伝いをすることになりました。

人間の命と死を扱う仕事をする中で風介は何を学んでいくのでしょうか！？

死者の魂と触れ合いながら成長していく主人公の姿を描いた『ツツジモリ 遺品整理始末録』！

今回は人情味あふれるファンタジー漫画について、ネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。

感動的なストーリーをゆっくりとお楽しみください。

『ツツジモリ 遺品整理始末録』の魅力紹介（ネタバレ含む）

前編

借金を返済できず困り果てている森村風介の家に人が訪ねてきます。

しかし何度ドアを叩かれても風介は応答しません。

「怖い怖い！もう耐えられない、そうだ！死んでしまえばこのドアを開けなくてすむ、なんでそんなことに気がつかなかったんだろう？」

風介が首を吊ろうとした次の瞬間、ドアをこじ開けた躑躅森花壱が部屋の中に入ってきました。

花壱はそのまま風介の首にかかったロープを切ると、呼吸を確かめながら声をかけていきます。

「も、森村さん！？・・・もりむら・・・森村風介・・・？」

その声は薄れゆく意識の中で苦しむ風介の耳に届きました。

「・・・はい」

風介が声に応えると花壱が心臓マッサージを開始します。

ここでようやく風介が目を覚ましたのですが、部屋の状況を見た花壱はまた自殺を図るだろうと感じました。

部屋の中には多数の督促状が積み重なっていて、花壱はすぐに借金を苦にした自殺未遂だと理解したのです。

風介は同じ施設で育った友人から借金を頼まれました。

友人はそのまま風介の家で世話になりながら借金を返済すると言ってくれます。

しかし友人は遊んでばかりで仕事を探そうとしません。

さらに風介から預かった家賃をパチンコに使ってしまいます。

それだけでなく勝手に風介を保証人にして借金を倍増させてしまい、挙句の果てに夜逃げしました。

こうして風介は友人のせいで借金まみれになったのです。

まだ意識が戻らない風介が借金取りに追われる夢を見ていると、自分を呼ぶ声が聞こえてきました。

「森村さーん？」

目を覚ますと見知らぬ少女が自分の顔を見つめています。

「だっだだだ・・・誰！？こ、ここは・・・？」

「ここはウチ！丸一日寝っぱなしだったから心配してたんだよ」

「あ、あの・・・」

状況が理解できずにいると、奥の部屋から花壱が姿を現しました。

「お、やっとお目覚めか、俺は躑躅森花壱、こっちは娘の紅胡だ、首つったの憶えてるか？森村風介くん」

花壱は風介が住むアパートの大家と友人で、連絡がつかないことを心配した大家に頼まれ家を訪ねたのです。

細かく花壱が状況を説明するのですが、風介は大家という言葉に怯えていました。

「す、すみません！まだ家賃は準備出来てなくて・・・新しい仕事がなかなか決まらなくて・・・本当にすみません・・・」

ガタガタ震えている風介を見た花壱は、状況が深刻だと思い彼を食卓へ連れて行きます。

「さぁ食った、食った」

「あ・・・あの・・・」

「いただきまーす！」

唖然とする風介を前に花壱と紅胡は食事を始めました。

いったい彼らはどんな目的で風介を家に連れ帰ってきたのでしょうか！？

自分のせいではなく友人の作った借金で苦しむ風介が不憫に思えました。

そんな彼の命を救った躑躅森家の人々はミステリアスでインパクト抜群ですね。

人間の命という重たいテーマを丁寧に表現していく『ツツジモリ 遺品整理始末録』！

ここから躑躅森家の謎が明らかになっていきます。

彼らがどのような想いで風介のお世話をすることになったかも注目ポイントになっていますよ。

後編

花壱と紅胡が朝食をとる姿を風介が唖然としながら見ていると、食卓に別の男性が現れました。

「おかえり、奏雅、今日の現場はどうなってる？」

「先に除菌してもらってるから入れるのは2時間後」

「わかった」

ここで奏雅が自分を見つめる風介を睨みつけます。

「なんだ？この目が死んでる奴」

「拾った、風介くん、こっちは息子の奏雅だ」

「飼うつもりか？」

「しばらくうちで働かせようと思って、仕事困ってんだろ？」

花壱は風介に自分の仕事を手伝ってもらおうと考えていました。

しかしそのことを伝えていなかったため風介は戸惑っています。

「あの、そのお仕事って・・・僕なんかでお役に立てるんでしょうか・・・」

質問に答える前に奏雅が冷めないうちに朝ごはんを食べるよう勧めてきました。

お言葉に甘えてごはんを食べると、温かみのある手料理に感動を覚えます。

感動した風介は自然と涙をこぼしていました。

「あっはっは！しっかり寝て飯食って出すもん出せりゃあ上等、上等！」

食事が終わると仕事へ向かうため着替えることにします。

「これに着替えろ」

渡されたのは作業着でした。

「さぁ今日も働くかねぇ」

花壱の作業着には花の家紋が縫製されています。

「花の家紋？そういえば苗字が躑躅森って・・・つつじの花のことなのかな・・・」

作業着を渡されたため躑躅森家の仕事が肉体労働だと予想する風介。

非力な時分が役立てるか心配になってしまいます。

奏雅も不安になっているのですが花壱は全く気にしていません。

能天気な花壱はそのまま風介を仕事現場へ連れて行きました。

仕事場は1週間前に遺体が見つかったアパートの1室です。

遺体は発見が遅れたため部屋の中はとんでもない異臭が漂っていました。

「この様子じゃあしばらく引きこもってたんだな」

部屋の中は足の踏み場がないほど散らかっています。

「あの・・・花壱さん達の仕事って・・・」

「俺達の仕事はここを片付けること・・・遺品整理さ」

遺品整理は資格が必要な専門職で、花壱と奏雅は遺族からの依頼を受けて遺品を仕分ける仕事をしていました。

通常であれば遺族が立ち会うのですが、今回は唯一の遺族である母親がショックで入院したため来られません。

しかしアパートは賃貸のため期日までにリフォーム業者に引き渡す必要があるのです。

風介には遺品の仕分けを手伝ってもらうことにしました。

「こ、この部屋で亡くなった方ってもしかして・・・」

「自死されたそうだ、こういう時は特殊清掃と言って先に除菌や脱臭して部屋に入れる状態にするんだがまだ完全じゃない」

とんでもない所に来てしまったと思いながら風介は作業の段取りを教わっていきます。

まず遺品整理では遺族へ渡す物と処分する物を選別しなければなりません。

今回の遺族は貴重品以外は全て処分してほしいと依頼してきました。

遺品は他人から見ればゴミのように見えても貴重品である可能性があります。

そのため1つ1つ丁寧に選別していく必要がありました。

ゴミの中を丁寧に整理していく中、風介が飛行機の模型と写真を発見します。

「飛行機の模型だ・・・こんなに沢山・・・作りかけのもある・・・あ・・・こんな所に写真を保管してたんだ」

「その写真と模型はこっちに入れてくれ」

「で、でも貴重品以外は全処分じゃ・・・」

「大事な人を突然亡くした遺族はその事実を受け入れられなくて全処分を頼むことが多い、だが気持ちの整理がつくと遺品を処分したことを後悔する」

そのため躑躅森家では数カ月間、遺品を倉庫で保管することにしていました。

風介も花壱の考え方に賛同します。

このまま部屋の片付けが進む中で自殺した人の通帳が見つかりました。

「毎月・・・決まった日に3万円ずつ送ってたんですね」

どうやら家族へ仕送りをしていたようなのですが、半年前に残高は0になっています。

残高が無くなってからは借金をしてまで仕送りを続けていました。

自分と同じような状況だったことを知った風介は、何かに憑りつかれたように再び自殺を図ろうとします。

「往生際の悪い奴だねぇ、本体とっくに逝っちまってるってのに、お前さんにこの部屋に居座られちゃあ商売あがったりなんだよ」

実は躑躅森家の仕事は遺品整理だけでなく、死者が最期に遺した残留思念である“遺魂”を取り払う作業も行っていました。

この残留思念によって風介は再び自殺する気になってしまったのです。

いったい花壱はどのような方法で“遺魂”を始末して、死者の残留思念を断ち切るのでしょうか！？

その方法と様々な”遺魂”に向き合っていく彼らの姿は、実際に漫画を読んでお確かめください。

『ツツジモリ 遺品整理始末録』を読んだ感想

とてもシリアスなストーリーになっているため、じっくりと読みふけることができました。

遺品の整理と残留思念を断ち切ることで、生命の大切さを風介が学んでいく様子に感動できますね。

死者の魂を断ち切るファンタジー漫画の要素と、命の重みを問いかけるヒューマンドラマの要素がミックスされた『ツツジモリ 遺品整理始末録』！

哲学的な1面を持った素敵な作品になっています。

風介が少しずつ成長していくところに共感しながら読んでみてください。

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