『うちのちいさな女中さん』のネタバレ(漫画)!感想も!

今回は「長田佳奈」先生の『うちのちいさな女中さん』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『うちのちいさな女中さん』はこんな漫画(あらすじ)

かつての日本では多くの女性が女中という職業に就いていました。

女中は屋敷や商家に住み込みで雇用され、接客や炊事を任せられる重要な職業です。

現在の日本ではあまり見られませんが、明治や昭和の日本ではどこにでも女中が存在していました。

昭和初期、14歳の野中ハナは翻訳家の蓮見令子の元で働き始めます。

まだ幼さが残るハナはどのような女中として令子を支えていくのでしょうか!?

昭和の働き方をテーマにした『うちのちいさな女中さん』

今回は古き良き日本を舞台にした歴史時代劇の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

現代では味わえない雰囲気をご堪能ください。

 

『うちのちいさな女中さん』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

女中はかつての日本で女性の一大職業となっていて、日常の中に女中の姿が存在していました。

当時の日本ではさほど裕福ではない家庭でも女中を雇うことは珍しくありません。

それほどまで女中は身近な存在だったのです。

昭和初期、翻訳家の蓮見令子も女中を雇おうとしていました。

蓮見令子
「よし!あともう少しだわ、原稿をとりに来るのが午後三時半・・・うん、ぎりぎり間に合うわね」

時計を見てみるともうすぐ三時になります。

このまま作業を続ければ何も問題はありません。

急な依頼だったのですが間に合いそうなので一安心します。

蓮見令子
「それから今日は・・・夕方頃に到着予定だったわね、新しく来てくれる女中さん」

頼んでいたおじからは22歳の佐竹フヨという女中を紹介してもらうことになっていました。

新たな女中がどんな人か想像するとワクワクしてきます。

楽しみにしながら執筆をつづけていると玄関をノックする音が聞こえてきました。

しかし出版社の人が訪ねてくるまでまだ時間があります。

仕方なく時間まで家の中で待ってもらうことにしました。

蓮見令子
「はいはい、すいません、お待たせしちゃって・・・」

玄関を開けたのですがノックしたのは出版社の人間ではありません。

外には見知らぬ少女が立っていました。

野中ハナ
「ごめんください、こちら蓮見様のご自宅でしょうか?蓮見令子様でいらっしゃいますか?」
蓮見令子
「そうですけど・・・えっと・・・お嬢ちゃんどなた?」

少女が自分の名前を知っていたので驚いてしまいます。

しかしよく見ても少女に見覚えはありません。

野中ハナ
「申し遅れました、わたくし野中ハナと申します、本日より女中としてお世話になります、不束者ではございますがどうかよろしくお願いします」
蓮見令子
「え?」

紹介状に書かれていた女中ではないので戸惑ってしまいます。

ですが対照的にハナは落ち着いていました。

野中ハナ
「予定より早く到着してしまい申し訳ありません」
蓮見令子
「えっと・・・野中・・・さん?紹介の女中さんは佐竹フヨさんて方だったわよね・・・?」

先程まで紹介状を読んでいたので間違えるわけがありません。

ハナは事情を聞いていなかった令子に説明を始めます。

野中ハナ
「わけあって私が伺うことに相成りました、それについては改めて紹介状が届いているはずなのですが・・・」

慌てて郵便受けを探してみると、中には多くの手紙が届けられていました。

その中から紹介状を見つけます。

蓮見令子
「・・・確かにおじ様からの紹介状だわ、えっと・・・野中ハナさん、歳は・・・十四歳!?」
野中ハナ
「左様です」

ずいぶんと若い女中を紹介されたことに驚きを隠せません。

年齢の希望は出さなかったのですが14歳は想定外です。

どのように対応するか悩んでいると掛け時計が鳴りました。

三時になってしまったのでもうすぐ出版の人が来てしまいます。

時計とハナを見比べながら対応を考えるのですがあまり時間はありません。

蓮見令子
「とりあえず入って!今ちょっと急ぎの仕事があって・・・悪いけど三十分ばかり待ってて貰えるかしら、駅からけっこう歩くし疲れたでしょう?」

とりあえず別室で待っててもらうことにしました。

予定外ではありましたが、ここから令子とハナの生活が幕を開けるのです。

 

 

現代人には馴染みの少ない女中という職業にスポットを当てた点に面白味を感じました。

家政婦を雇う人はリッチだと思っていたので、昭和の日本で女中を雇うことが当たり前だということにも驚きますね。

昭和初期の当たり前だった日常を切り取っていく『うちのちいさな女中さん』

女中という職業が一般家庭にどのような影響を及ぼしていたのか勉強できる物語です。

まだ幼いハナが真面目に働こうとする様子から感動を味わってください。

後編

令子の仕事が終わるまでハナは部屋で休ませてもらうことになりました。

野中ハナ
「板敷きの床に西洋の家具・・・洋間・・・」

女中としての経験はありますがまだ洋間には入ったことがありません。

そのため洋室の隅で待たせてもらうことにします。

大人しく待っている間に令子の仕事が終わりました。

蓮見令子
「どうも野中さん、お待たせしちゃって・・・あら?」

急いで洋室にやって来たのですがハナの姿が見当たりません。

不思議に思いながら部屋の中を見回すと、隅っこにハナが座っていました。

ハナを椅子に座らせてから改めて挨拶を交わします。

野中ハナ
「失礼しました、洋間は初めてで勝手が分からず・・・」
蓮見令子
「いえいえ、こちらこそお茶も出さずにごめんなさいね、それでええっと・・・改めてご挨拶ね、私は蓮見令子、翻訳家をしているわ」

紹介状にはおじの家でハナが女中をしていたと書かれていました。

まず令子はハナがどのくらいの期間、おじの家で働いていたのか質問してみます。

野中ハナ
「十の頃からでしたので三年ほどです」
蓮見令子
「まあ十歳から・・・えっとご家族は・・・?」
野中ハナ
「身内という身内は居りません、両親は物心つく前に亡くなったので、十になるまでは遠縁のお宅でお世話に」

少し話を聞いただけでハナの苦労が理解できました。

しかしハナは自分の身の上話を聞かれることに抵抗はありません。

蓮見令子
「野中さんはどうかしら?何か聞いておきたいことは?遠慮せずにどうぞ、お給金は銀行に預けてほしいとかなんでも」
野中ハナ
「・・・あの私のような子どもが女中ではご心配でしょうか?」

ハナはこちらを伺った時に見せた令子の困ったような表情が気になっていました。

そのため元々こちらで働く予定だった女中の方が適任だったかもしれないと感じています。

蓮見令子
「そんなことないわ、あなたのことはその・・・突然で慌てちゃっただけなのよ、それにそもそも私がちゃんと紹介状を確認してなかったのがいけないんだし、あなたにはなんの非も無いわ」

気にしないでほしいと言われたのでひとまず安心することができました。

その後、令子はハナのことを和室へ案内します。

とりあえずこの日は和室で休んでもらおうと考えていました。

しかしハナは休もうとしてくれません。

野中ハナ
「あのお夕食の支度をしてもよろしいですか?」
蓮見令子
「夜は何か買ってくるから大丈夫よ、あなたも疲れてるでしょうし・・・」
野中ハナ
「いいえ、すこぶる元気ですので、他にも掃除などございましたら・・・」
蓮見令子
「来たそばからそんなに色々しなくていいのよ、どうぞゆっくりして、仕事は明日から頼むから、ね」

仕事をしてもらうのは明日からでも構わないと思っています。

ですがハナは納得してくれませんでした。

野中ハナ
「お待ちください」
蓮見令子
「野中さん・・・!?どうしたの?」

部屋を出ようとした令子に向かってハナが土下座をします。

ハナには土下座をしてまでも伝えたい思いがありました。

野中ハナ
「自分が未熟で至らないことは重々承知しております、ですが精一杯勤めますのでどうか長い目で見て頂きたく・・・」

どうやらハナはまだ子供が女中だということを気にしているようです。

よく考えてみれば初めてやって来た家で家主に戸惑ってしまわれたら気にするのは仕方ないかもしれません。

令子は自分の態度がハナを不安にさせていることに気付きました。

蓮見令子
「頭をあげて頂戴、野中さん、今日は本当にごめんなさいね、きちんとお迎えできなくて、それに私あなたじゃ駄目なんてちっとも思ってないわ、確かにずいぶんお若いのには驚いたんだけど、本当よ」
野中ハナ
「・・・はい」
蓮見令子
「それにここ最近家事は手つかずだったからあなたの仕事は山のようにあるのよね、いらっしゃい、よく来てくれたわね、うちをよろしく頼むわね、ハナちゃん」
野中ハナ
「・・・はい!お任せください、先生」

昭和9年、こうして小さな女中さんのお仕事がスタートすることになったのです。

 

『うちのちいさな女中さん』を読んだ感想

後書きのコラムで昭和初期の家庭が西洋文化の浸透によって、家事がとても大変だったことを学ばせてもらいました。

こういった環境だったから女中という職業が重宝されたのですね。

多くの家庭で求められていた職業を題材にした『うちのちいさな女中さん』!

ハナの丁寧な態度は嫁入り前の礼儀作法を学ぶ女中の側面に関係しているそうです。

仕事に励みながら成長していくハナの姿にもご注目ください。

 

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