『青の微熱』のネタバレと感想!翔の歪んだ愛情にマナの運命は?

今回は「椎名チカ」先生の『青の微熱』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『青の微熱』はこんな漫画(あらすじ)

両親を事故で亡くしてしまい天涯孤独になったマナは、幼い時に仲里家の養女となりました。

そこでマナに待ち受けていた運命は、義理の兄である翔からの強制的な近親相姦だったのです。

この禁断の関係を受け入れざるを得ないマナ。

誰にも救いを求めることができず心を閉ざしてしまいます。

そんな彼女の運命を変えてくれたのは東京から転校してきた中野明弘という男の子でした。

二人の淡い初恋と義理の兄妹の愛憎劇を描いた『青の微熱』

今回は切なくて美しいこのラブストーリーの魅力を、ネタバレを含みながらご紹介していきます。

歪んだ三角関係を夢中になって読んでいってください。

 

『青の微熱』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

マナに悲劇が起こったのは13歳の冬の日のことでした。

「マナ・・・!!なんでオレを受け入れてくれないんだよ・・・本当に好きなんだ・・・!」
マナ
「翔くん・・・!!やめて・・・放して・・・っだって・・・無理だよ・・・翔くんは・・・やだ・・・っ、やだぁ・・・!!お兄ちゃん・・・!!」
「マナ・・・嫌がらないで・・・問題おこして困るのはマナのほうなんだから・・・」

義理の兄に当たる翔に犯されてしまったマナ。

悪夢のような出来事が起こってから2年が経ち、マナは15歳になっていました。

しかし今でも彼女は悲劇が起きた日のことが、夢に出てくるほど悩まされています。

そんなマナが海辺で一人水遊びをしていると、見知らぬ男の子が声をかけてきました。

明弘
「あの・・・っ、あーやっと同い年くらいの子に会ったー、こんにちは」
マナ
「誰・・・!?この辺じゃ見ない人・・・」

戸惑うマナに対して自己紹介をしようとする男の子。

ですがそんな彼とマナの間にいきなり翔が割って入ります。

「マナ」
マナ
「翔くん・・・」
「こんにちは、マナの兄の翔です」

笑顔で挨拶をする翔なのですが、どこか迫力がある表情だったため男の子は逃げ出すように立ち去って行きました。

男の子がいなくなると他の男と二人きりになるなと言い、マナを森の奥へ連れて行きます。

その道中、近所の人に対して笑顔で接っしていく翔。

マナ
「翔くんはパッと見、人当たりがとてもいい、みんな知らない、この人の本当の顔を、兄があたしを妹として扱ってくれないこと、こんなことが2年も続いていることを」

この日も森の奥でマナを犯す翔だったのでした。

マナは誰にも助けを求めることが出来ず、この状況に苦しみ続けているのです。

今後も周囲の人たちには仲の良い兄妹の姿を見せなければならないと思うマナ。

しかし翌日、翔の歪んだ愛情からマナを助け出してくれる救世主が現れます。

その救世主はマナのクラスに東京からやって来た転校生でした。

明弘
「よろしくお願いします、あっ、君きのうの!同い年だったんだ!きのうは驚かしてごめんね!やっと同い年くらいの子見つけて嬉しくて」

転校性の中野明弘は、海辺で声をかけてきた男の子だったのです。

気さくに話しかける明弘に対して、マナは上手く言葉を返すことが出来ません。

マナはいつもこのように自分からほとんど声を発しないため、クラスメイトから浮いた存在となっています。

転校性の明弘にクラスメイト達がそのことを伝えるのですが、彼はそんなことは気にせず積極的にマナへ声をかけ続けました。

明弘
「そんなことよりさみんなの名前教えてよ、まだこのクラス、マナしか知らないよー」

マナの名前を呼び捨てにし、いきなり手を握ってきます。

そんな彼の明るい態度に背中を押されたマナ。

マナ
「今までごめんね・・・あたし・・・」

少しだけクラスメイトに声をかけることが出来たマナだったのです。

放課後になりマナが明弘のことを不思議な存在だと思いながら学校から帰っていると、背後から翔が声をかけてきました。

「マナ、一緒に帰ろう」
マナ
「うん・・・」

外では仲の良い兄妹を演じなければならないため、マナは翔の申し出を断る訳にはいきません。

「そういえばマナのクラスに転校生来たんだってね、どっち?男と女」
マナ
「お・・・女の子・・・」

翔の表情にドス黒いものを感じ取ったマナは、とっさに嘘をついてしまいます。

「ふーん、そっかー」
マナ
「ごめんね翔くん、学校に忘れ物したから取ってくる」

二人きりの空間に耐えられなくなったマナは、逃げるように学校へ戻っていきました。

彼女がクラスメイトと話せなくなった理由は、些細なことでも翔の耳に入ることを怖がっていたためだったのです。

翔は友人さえもマナに近寄ることを嫌がる程、とても嫉妬心が強いためどんどん束縛されていくマナ。

マナ
「歪んだ愛情、誰かこの歪んだ世界からあたしを連れ出して」

マナが翔の屈折した愛情から解放されることはあるのでしょうか!?

 

 

冒頭のシーンからマナに降りかかる残酷な出来事を描いているため、とてもインパクトがありました。

義理の兄に犯されるマナは、家族や友人に悩みを相談することさえ出来ません。

それを逆手に取るような翔は、かなり歪んだ性格の持ち主だと言えますね。

彼の歪んだ愛に束縛されるマナの苦しみを表現した『青の微熱』

ここから物語は明弘の明るさと、漆黒のように暗い翔を対照的に描いていきます。

光と影のような二人に挟まれたマナの表情に注目しながら続きをご覧になってください。

後編

翔の元を逃げるようにして離れたマナ。

どこにも行き場がなかったため、学校ではなく海辺へ走っていきました。

するとそこに明弘の姿があります。

マナ
「あの人・・・あれ?なんだかあんなに笑ってた人が少しさみしそう・・・」

彼が意外な表情をしていることに驚いていると、明弘がマナの存在に気がつきました。

明弘
「あっマナ、よかった、ここマナと初めて会った場所だから来ると・・・」
マナ
「どうしたの?」

話を遮るようにして寂しそうにしている理由を尋ねます。

明弘
「東京の友達に電話したんだけど・・・そしたらあいつら今日はこれから原宿行くとかカラオケ行くとか、うしろで前のクラスメイトの声が聞こえて・・・」

そのため少し寂しい感情が沸き上がっていました。

マナ
「・・・あなたまで・・・そんな顔しないで・・・」

ボソッと小声で呟くと、マナが制服のまま海に入って行きます。

明弘
「マナ・・・!制服のままで・・・!?」

いつも制服のまま海に入ってしまうマナ。

海に入りながら明弘の存在をさらに不思議だと思っています。

翔の影に怯え普段は人と話すことが怖いマナなのですが、明弘と話すことには恐怖を感じません。

マナ
「あたしね、嫌なこととか哀しいことがあると海に入るの、大丈夫、あなたの哀しみも海が流してくれるわ、だからあなたは笑って」

マナの微笑に導かれるように明弘も海の中へ制服のまま入って行きます。

そしてそのままマナの頬に手を当てました。

明弘
「マナ、オレとつきあって」

突然の告白に驚くマナだったのですが、彼女の頭の中に翔の存在が急に浮かび上がります。

マナ
「あ・・・あたし・・・」

まるで翔から呪縛さを受けているようなマナ。

恐怖のあまり明弘の前から逃げようとするのですが、彼が必死に追いかけてきました。

明弘
「マナ・・・!!マナ・・・!!オレのこと・・・嫌い・・・?」
マナ
「わからない・・・でも人を好きになるのが・・・とても怖い・・・それにあたしはとても汚い・・・だから・・・」
明弘
「そんなことない、マナはきれいだよ、初めて会った時からマナはきれいだよ」

明弘が素直な想いをストレートにぶつけてくれたため、マナの目から大粒の涙がこぼれ落ちます。

歪んだ愛情ではなく真っ直ぐな愛情を伝えてくれた明弘の態度を、マナは信じられないほど嬉しく感じていました。

マナ
「あたしなんかでいいの・・・?」
明弘
「マナがいい」
マナ
「あたしのそばにいると・・・嫌な思いするかも・・・」
明弘
「マナがそばにいてくれるなら嫌なことなんてひとつもないよ」

マナは温かく包み込んでくれる明弘の胸に飛び込むことにします。

彼ならきっと自分を別世界に連れて行ってくれると感じていました。

マナ
「この歪んだ世界からどうかあたしを連れ去って、手を放さないであたしにその力を、勇気を、愛を・・・」

彼と熱い口づけを交わしながら、歪んだ世界から抜け出せると思い始めたマナ。

しかしそんな二人の姿を、木の陰から翔が見つめていました。

屈折した愛情と歪んだ性格の翔は、ここから意外な態度でマナと明弘に接し始めます。

数日後、明弘とマナが急速にお互いの存在を大切に思い始める中、二人が路地でキスをしていました。

「家の前で何やってんの?マナ」
マナ
「・・・翔くん・・・」
「こんなところでしてるとご近所さんに見られちゃうよ?君、明弘くんだっけ?もしよかったら冷たいものでもどうぞ」

二重人格のような翔は、ここから陰湿な方法で明弘とマナの関係を壊そうとしていきます。

彼の陰険なやり口に二人の関係はどうなってしまうのでしょうか!?

 

『青の微熱』を読んだ感想

ホラー漫画を読んでいるような感覚に陥るラブストーリーですね。

翔の圧倒的な存在感が物語に絶大なインパクトを与えています。

そんな彼とは真逆のキャラクターとなっているため、明弘の好感度がより高く感じられました。

対照的な男性の間に立たされたヒロインが苦悩する姿を描いた『青の微熱』

哲学的な要素が強い物語になっています。

ゆっくりと時間をかけながら、作者が伝えたい真意をとらえていってください。

 

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