青年少女よ、春を貪れ。のネタバレ(漫画)!感想とあらすじも!

今回は「山田シロ彦」先生の『青年少女よ、春を貪れ。』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『青年少女よ、春を貪れ。』はこんな漫画(あらすじ)

まだ恋をしたことがない近藤勝之の通っている和歌山の中学校に、東京から百々瀬ハルという美少女が転校してきました。

周囲の男子は一瞬でハルに魅了されるのですが、勝之は異性を好きになる気持ちがまだ分かりません。

しかし偶然が重なり勝之はハルと少しずつ仲良くなっていきました。

距離を縮める2人は付き合い始めることになったのですが、ハルとの別れは突然訪れてしまいます。

勝之とハルの仲を引き裂いた衝撃的な真実とは・・・!?

失った初恋の疑念を解き明かそうとする主人公の苦悩を表現していく『青年少女よ、春を貪れ。』

今回は過去と現在がリンクしていくサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

初恋の少女に起きてしまった出来事の真相に迫ってみてください。

 

『青年少女よ、春を貪れ。』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

中学校の授業で勝之が島崎藤村の初恋という詩を朗読しています。

近藤勝之
「やさしく白き手をのべて林檎をわれにあたへしは、薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめなり」

朗読している勝之は恋をしたことがありません。

そのため詩の意味を理解していないようです。

続いて先生が百々瀬ハルに朗読した詩の意味を訳させました。

百々瀬ハル
「あなたは優しく白い手をのばして私にりんごをくれました、薄紅色のりんごを見て私は初めて人を好きになったのです」

授業が終わり友人と帰っていると、ハルが詩を訳した姿にドキッとしたと言われます。

特にハルが関西弁ではなく標準語なのでイントネーションにドキッとしていました。

ハルは雰囲気が大人っぽく東京から転校してきた時、ほとんどの男子を魅了した美少女です。

今までこんなに可愛い女の子はこの中学校にはいませんでした。

またハルは可愛いだけでなく優しくて話しやすいので、一日にして彼女にしたい女子ランキング1位に上り詰めたのです。

しかし勝之はハルのことよりも島崎藤村の詩が気になっていました。

林檎をくれたから好きになるという意味が理解できません。

すると友人が林檎を貰ったから好きになったのではなく、林檎が決定打になったと説明してくれます。

つまり詩の語り手は昔から少女に惹かれていて、世界中でたった一人の少女から林檎を貰ったことが嬉しかったのだと解釈しました。

友人は経験豊富なので想像を膨らませることで詩の意味を理解することができます。

しかし勝之は想像を膨らませることができません。

近藤勝之
「おれは未だ恋をしたことがない、全く興味がないわけやないけど、どう興味持てばええか分からへん、百々瀬のことは可愛いと思う、けどふたりみたいな気持ちにはなれんくて」

恋心がどんなものかまだ分かっていないようです。

そんなことを話しなが帰っていると、弁当箱を学校に忘れたことを思い出しました。

勝之は友人と別れ学校へ戻ることにします。

慌てて教室に戻るとハルが窓の縁に座っていました。

近藤勝之
「あかん!はよ戻って!危ないからっ!」
百々瀬ハル
「えっ、なになに!?」

窓から飛び降りると思った勝之は慌ててハルの身体を掴もうとします。

しかしハルは飛び降りようとしていた訳ではありません。

近藤勝之
「・・・え、飛び降りようとしてたんちゃうん?」
百々瀬ハル
「海見てただけ、教室からこんなに綺麗な海が見える学校なんてなかなかないよ」

ハルは海を眺めながら潮風を浴びていました。

そのまま足をブラブラさせることが気持ち良かったそうです。

近藤勝之
「きっ・・・気持ちええとかでやってええことちゃうて、ここ3階やで、落ちたらただじゃ済まへえんし・・・」
百々瀬ハル
「落ちないよ」
近藤勝之
「でも万が一のことが」
百々瀬ハル
「ないよ、絶対」

この瞬間、勝之は今まで感じたことのない違和感に包まれました。

しかしこの違和感がどういったものなのかは分かりません。

近藤勝之
「・・・じゃあまた明日」
百々瀬ハル
「そうだ!いま時間ある!?ちょっと手伝って欲しいんだけど」

インスタグラムに投稿する写真の撮影をお願いされます。

勝之はスマホのカメラアプリを使ったことがありません。

それでもハルが有名なインスタグラマーだということは知っているので、アプリで写真を撮影してあげることにします。

近藤勝之
「フォロワーは2万人近くてかなり凄いんやとか、そんなアカウントに載せる写真とかおれに撮れるんやろか・・・?」

不安を抱えながら様々なシチュエーションのハルを撮影していきました。

撮影を終えると写真をチェックしてもらいます。

百々瀬ハル
「けっこう上手いじゃん?」
近藤勝之
「・・・ほんまにええと思ってる?なんとなくやけど・・・なんか・・・嘘っぽい気がして・・・いや忘れてくれ」
百々瀬ハル
「じゃあ君はどういう写真がいいと思う?」

勝之は正直な気持ちを伝えただけでした。

しかしこの行動が2人の距離を縮めるきっかけになったのです。

 

 

恋をしたことがないピュアな男子中学生の心情を丁寧に描写していると思いました。

ふとしたことをきっかけにハルと仲良くなっていく様子も感情移入しやすいですね。

純愛とサスペンスをミックスした『青年少女よ、春を貪れ。』

思春期の難しい恋愛感情と真っ直ぐ向き合った物語になっています。

少しずつハルに恋をしていく勝之の変化にご注目ください。

後編

勝之が写真を撮影した翌日、ハルのインスタグラムが学校中で話題になっていました。

特にアップした写真が良かったと褒められています。

百々瀬ハル
「ねえ見て、こんなのはじめて!一日でフォロワー3倍に増えたんだよ、素の笑顔が良かったのかも!ありがとね!」

写真は自撮り棒を使って窓辺に座るハルを撮影したものでした。

危険だからと焦っている勝之の姿を見て、ハルは自然体の笑顔で撮影されています。

近藤勝之
「・・・別におれは何も・・・百々瀬やっぱ凄いわ」
百々瀬ハル
「ううん・・・かっちゃんのおかげ、それとハルでいいよ!」

勝之とハルが話すようになったのはこの日からでした。

勉強をするため休み時間に恋愛小説を読んでいるとハルが声をかけてきます。

普通に話しているだけなのですが、ハルと話していると男子の視線を浴びるようになっていました。

近藤勝之
「ハルも読んだことあるん?」
百々瀬ハル
「一年くらい前にね、途中でうるってきちゃった、主人公の男の人が不器用に恋人を愛す姿が切なくてさ」

勝之には主人公がアホな男にしか思えません。

それでもハルと勝之は一緒に勉強したり帰ったりしながら距離を縮めていきます。

しかしまだ勝之はハルのことを好きになった訳ではありません。

勝之の恋心が芽生え始めたのはハルが男子から告白されたことを知った時のことでした。

近藤勝之
「・・・さっき告白してきたやつ、どー思った?」
百々瀬ハル
「んー・・・ちょっとチャラかったけど普通にいい感じの子だったかな?ま、本気じゃないだろうけどさ、今はもう次の子のこと考えてると思うな!」

ハルの想像は的中しています。

それよりも勝之は簡単に告白できることが信じられません。

近藤勝之
「好きってそういう感じでええんやろか、好きってその人のことしか考えられなくなるとか、ずっと大事にしたいとかそーいう感情なんとちゃうんかな」
百々瀬ハル
「ドラマや漫画じゃよくあるよね、けど中学生の恋なんて大したことないよ!みんな漠然と付き合って恋愛をしてる自分に酔いたいだけだもん」

恋愛感情について自分の考えを言うと、ハルに真面目だと言われました。

そんな話をしていると急に現れた男性が、ラインの返事がない理由をハルに迫ってきます。

勝之が間に入ったことでハルは男性から逃げることができました。

近藤勝之
「さっきのストーカー・・・?」
百々瀬ハル
「・・・元カレ、インスタでDMくれた社会人でさ、2週間付き合ったけど振っちゃった」
近藤勝之
「・・・ほ、ほんまに・・・?」

勝之は知らなかったのですがハルはこれまで数多くの男性と付き合ってきたそうです。

その中には40歳の男性や学校の先生も含まれていました。

百々瀬ハル
「別に本気じゃないよ、言ったでしょ?中学生の恋愛なんてただのごっこだって、かっちゃんも一緒に遊んでみる?」
近藤勝之
「・・・嫌だ」
百々瀬ハル
「かっちゃんにはもっと真面目な女の子が似合うよ・・・ばいばい」

結局この日の2人はここで別れてしまいます。

数日後、大雪が降りしきる中、勝之がハルを屋上に呼び出しました。

近藤勝之
「この間ごめん!ハルのこと嫌やって言ってしもて!その上何も言わんと別れてもたし最低や!」
百々瀬ハル
「仕方ないよ、普通は引いちゃうもん、私こそごめんね」
近藤勝之
「引いたんとちゃう、あれはおれの問題や、ハルに昔付き合ったひとがおるんやと思ったら、そんだけのことやのにそいつら皆に腹立って眠れんくて全部嫌になって!それだけや、こないだほんまにごめん」

素直に謝るのですがハルは何も言ってくれません。

気になった勝之が頭を上げるとハルは顔を真っ赤にしていました。

百々瀬ハル
「あのさそれって・・・告白ってこと?」
近藤勝之
「えっ、あれっ、ええっ・・・?」

ここで初めて勝之は自分がハルを好きだということに気付いたのです。

動揺しているとハルが次の展開へ話を進めてくれました。

百々瀬ハル
「・・・ほんとに付き合ってみよっか?遊びじゃなくてさ・・・本気で」

こうして勝之とハルは唐突に付き合うこととなったのです。

しかし勝之は自分の気持ちが本当に恋なのか分かっていません。

時間をかけて自分の気持ちと向き合おうと考えていました。

近藤勝之
「こん時のおれは自分のことばっかりでハルがほんまは何を考えてたんか、どんな想いで生きてたかなんて想像もできんかったんや、ハルが亡くなったのはそれから三週間後のことやった」

どんな想いを抱えていたのかを知ることはできなかったのです。

しかし10年後、ハルの死に疑念が生じたことで勝之の時間の針が動き始めることになりました。

初めて恋をした少女の身にいったい何が起きていたのでしょうか!?

 

『青年少女よ、春を貪れ。』はこんな人にオススメ

読み応えのあるサスペンス漫画を探している人にオススメです。

ラブストーリーからミステリアスな展開に移行していく先の読めないストーリーにドキドキが止まらなくなりますよ。

過去の呪縛から解放されようとする主人公の葛藤を描写した『青年少女よ、春を貪れ。』

キレイな絵と読者を飽きさせない秀逸な物語になっています。

青春時代の儚い恋模様と、初恋の人が死んだ理由を探る謎解きをお楽しみください。

 

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