今回は「酒川郁子」先生の『お江戸まかない帖』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『お江戸まかない帖』はこんな漫画(あらすじ)
江戸時代の日本橋にある一膳飯屋に嫁いだ奈津は、上方で修行中の夫・源一郎の帰りを待ちながらお店を切り盛りしています。
近頃は源一郎からの便りは少なくなっているのですが、奈津は魚河岸に通う人々で賑わう”濱や”を必死に支えていました。
そんなある日、江戸屋敷の料理番が殿様にカツオ料理を振る舞うことが決まります。
しかし山育ちの料理番には魚の知識がありません。
困り果てた料理番は知識が豊富な奈津を頼ることにしました。
奈津は殿様を満足させることができるのでしょうか!?
江戸時代のグルメを紹介しながら古き良き日本の姿を描いていく『お江戸まかない帖』!
今回は歴史時代劇とグルメ漫画が融合した物語の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
美味しそうなレシピの数々を献立の参考にしてみてください。
『お江戸まかない帖』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
仕事前の奈津が神社でお参りをしています。
源一郎が早く帰ってくることをお参りしてから仕事へ向かいました。
奈津が嫁いだ“濱や”は魚河岸に通う人々で賑わう日本橋の一膳飯屋です。
この日も忙しくしていると旗本が若い侍を連れてきました。
旗本は新右衛門という名前の侍に魚を食べさせに来たのです。
新右衛門は江戸にやって来たばかりのため刺し身を食べたことがありません。
奈津はそんな新右衛門に日本橋で食べられる魚を教えてあげます。
他にも旗本からフグに毒があることを教わりました。
魚について語っている旗本と新右衛門の元に刺し身膳が届けられます。
すると下魚でもイワシは美味いと旗本は言い出しました。
それを聞いていたお客と奈津は大笑いしてしまいます。
旗本はアジをイワシだと勘違いしていました。
大笑いされて不愉快になった旗本は“濱や”を潰すと言い出します。
この場は板前の惣介が謝罪したため許してくれました。
惣介はお客の間違いを笑った奈津を嫁失格だと注意します。
嫁失格だと言われた奈津は面白くありません。
気分を変えるため買い物へ行くことにします。
日本橋は関東大震災で焼け落ちてしまうまで巨大な魚河岸がありました。
全国からありとあらゆる物品が集まり大きな活気を呈していたのです。
奈津が煮干しを買っていると、近くで新右衛門がキョロキョロと周囲を見回していました。
新右衛門は人通りの多さに戸惑っているようです。
また江戸に初めて来たので迷子になっていました。
魚河岸は夜明け前から開催されます。
そのため昼には売り切れ状態となることを知りませんでした。
翌日、奈津は魚河岸を案内してあげることにします。
魚河岸には夜明け前から多くの鮮魚を載せた船が横付けされ、仲買人を経て行商人などから届けられていました。
この日も大勢の人たちで賑わっています。
魚河岸には魚だけでなく様々な品物が売られていて大盛況となっていました。
その中でも新右衛門は新鮮な魚に目を奪われます。
新右衛門は奈津の案内によって魚河岸の雰囲気を味わうことができました。
この日はこれで別れた2人だったのですが、数日後には再び奈津が新右衛門に手を貸す事態が待っていたのです。
奈津は新右衛門を窮地から救うことができるのでしょうか!?
夫の帰りを待ちながら必死に働く奈津の姿が健気だと思いました。
さらに困っている新右衛門の力になってあげるところに彼女の優しさを感じますね。
江戸の食文化を中心に歴史を紹介していく『お江戸まかない帖』!
ここから本格的な江戸グルメが登場していきます。
現代とは少し違った料理法に注目してみてください。
後編
奈津と新右衛門が魚河岸を見学した数日後、江戸屋敷に殿様が来ることになりました。
旗本は新右衛門に対して殿様に極上のカツオ料理を振る舞うよう命じます。
命令を受け入れた新右衛門は魚河岸で鮮度の良いカツオを仕入れました。
そしてそのカツオを奈津に見てもらうことにします。
仕入れたカツオを見せたのですが奈津は険しい表情を浮かべました。
実は3両も払って新右衛門が購入したカツオは猫またぎと呼ばれる戻りガツオだったのです。
カツオには春の初ガツオと秋の戻りガツオがあり、成長した戻りガツオは脂っぽいため好まれていません。
魚について詳しくない新右衛門は季節外れの戻りガツオを大金で購入させられたのです。
この事実を知った奈津は新右衛門に魚を売ったお店に文句を言いに行くことにしました。
何も知らないお客に戻りガツオを高値で売ったお店は商人の風上にもおけません。
詐欺のような商売がまかり通ることは日本橋の魚河岸においてあってはならないことなのです。
奈津の怒りに魚河岸で手広く商売している行商人たちも賛同してくれました。
奈津の抗議によってお金は戻って来たのですが、購入した戻りガツオでは殿様満足させることができません。
困り果てていると近くの行商人が料亭に納める魚の準備をしていました。
その魚を奈津は料亭が支払う倍の金額で購入することにします。
奈津が仕入れたのはメジと呼ばれるクロマグロで今が旬の魚でした。
メジを入手した奈津は早速調理に取り掛かります。
江戸っ子は初ガツオの若々しく爽やかな味わいが好きなため、メジの若々しい身と微かな血の酸味を楽しんでもらうことにしました。
続いて腹側の身にお湯をかけて霜降りにしていきます。
この手法は銀色の身の美しさを強調するためでした。
さらにもう一品は背中の身を使います。
霜造りにしたことで皮の下にある脂が溶け出してきました。
この焼き霜造りは辛子酢味噌を添えて味わってもらうことにします。
新右衛門は焼き霜造りにも満足してくれました。
奈津はこの勢いのまま最後のメニューを作り始めます。
まずは大根をおろし始めました。
奈津の作った料理を気に入った新右衛門は殿様へ献上することにします。
すると殿様が大喜びしてくれました。
感激した殿様は頻繁に足を運ぶと言ってくれます。
こうして新右衛門は料理番としての役目を果たすことができました。
一方その頃、奈津が賄を作ろうとしています。
カツオのサクを熱湯にくぐらせ白くなったらバラバラにほぐし、調味料と炒めて水分が無くなったところに白ごまを混ぜ込むとカツオそぼろが完成しました。
少し濃いめの味付けをしたカツオそぼろのお味とは!?
『お江戸まかない帖』はこんな人にオススメ
江戸時代の人々が粋を競うため初ガツオを食べたことなど、レシピだけでなく知識も豊富に掲載されていて勉強になりました。
昔の料理を真似してきたくなるように調理シーンを丁寧に描いているところにも好感が持てますね。
グルメ漫画と歴史時代劇が好きな人にオススメしたい『お江戸まかない帖』!
前向きで活発なヒロインが雰囲気を明るくさせている作品です。
エネルギーを貰いながらレシピの再現に挑んでみてください。
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