今回は「原作 カミュ 漫画 車戸亮太」先生の『ペスト』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『ペスト』はこんな漫画(あらすじ)
アルジェリア北西部の港町オランで人類の命が奪われる奇異な事件が起こったのは194X年4月のことでした。
最初に事件の兆候に気付いたのはベルナール・リウーという医師で、彼は自身が体験した事実を文書に記すことにします。
4月16日の朝、リウーは1匹の死んだ鼠に足を取られてしまいました。
この時は気付かなかったのですが鼠の死骸を発見したことが全ての始まりだったのです。
鼠の氾濫、広まるリンパ疾患、情報が錯綜する港町で起こった流行病の正体とは・・・!?
忍び寄る恐怖に脅かされる人々の姿を描写した『ペスト』!
今回はノーベル賞受賞作家の代表作をコミック化したサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
流行病に立ち向かう医師の姿を目に焼き付けてください。
『ペスト』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
1人の医師が自身の体験した奇異な事件を書類にまとめようとしています。
事件はアルジェリア北西部の港町オランで194X年4月に発生しました。
オランはアルジェリア海岸におけるフランスの一県庁所在地以上の何者でもない平凡な町です。
そんなどこにでもある平凡な町ではこれまで人々が混乱するような事態は起きていません。
しかし194X年4月、奇異な事件の兆候が表れてしまったのです。
194X年4月16日の朝、医師を生業としているベルナール・リウーが玄関前で1匹の死んだ鼠につまずきました。
診療所の前にどうして鼠の死骸が落ちているのか分かりません。
往診へ向かう前、門番に鼠の死骸が落ちていることを報告します。
しかし管理をしている門番からは診療所が入っている建物には鼠などいないと言われました。
門番は誰かが鼠の死骸をイタズラで置いていったのだろうと憤慨します。
リウーも門番の言う通りイタズラだと思うことにしました。
ですが翌日も鼠の死骸が出現してしまいます。
今朝は3匹の死骸があったため、ある不安がリウーの頭から離れなくなってしまいました。
心配を抱えながら往診を開始すると、外郭地区の患者から鼠が出てきた理由は飢饉が起こる前兆だと言われます。
飢饉も恐ろしい災厄なのですが、リウーの頭にある不安が現実となってしまえば恐ろしさは比べ物になりません。
自分に言い聞かせながら往診を終了させました。
往診後、リウーは妻のことを見送るため駅に向かいます。
妻は療養所に行くことが決まっていたのですが、リウーは仕事があるため一緒に行くことはできません。
リウーは妻を見送ると往診を再開させることにします。
すると帰り道で出会った知り合いの判事から鼠について質問されました。
他にも新聞記者が鼠について取材するため診療所を訪ねてきます。
新聞記者は伝染病を疑っているようなのですが、リウーは医師として無責任な発言をする訳にはいきません。
全面的に確証のある証言しか認めることはできないのです。
もしもリウーが新聞記者に軽はずみな発言をしてしまうと世間が大騒ぎになるかもしれません。
平凡な町を混乱させたくないと思うリウーだったのですが、世間は鼠について少しずつ騒ぎ始めていたのです。
まず海沿いの工場で100匹近い数の死骸が出てしまいました。
さらに町では4月20日から死骸の処理数が発表されることになります。
死骸の数は200匹から右肩上がりに増えていき、8日後には8000匹を超えてしまいました。
それでも4月29日には16匹という喜ばしい処理数が報告されることになります。
当局はこの数字によって事態が終息したと判断しました。
リウーも異常な事態が終息したと思うことにします。
しかし奇異な事件の前兆は始まったばかりなのでした。
医師としてリウーは奇異な事件から町の住人たちを救うことができるのでしょうか!?
まだまだ医療が発達していない時代だからこその恐怖感が丁寧に表現されていますね。
リウーが抱える不安が少しずつ大きくなっていく展開にもスリルを感じることができました。
伝染病の恐怖を題材にした『ペスト』!
ここからリウーの周囲で次々と異変が起こり始めます。
緊迫感のあるストーリーを手に汗握りながらお楽しみください。
後編
まずリウーの周囲で起こった異変は診療所の門番が体調を崩したことでした。
首にしこりができた門番の治療をリウーが開始します。
門番の病名に思い当たるものはありますが、この時点で判断することはしません。
とりあえず門番の容態に集中しながら他の医師から情報を集めることにします。
ですが深夜になると熱が40度まで上がってしまいました。
熱が下がらないため腫瘍を少し切って溜まった膿を出すことにします。
朝になると熱が38度まで下がってくれました。
衰弱はしていますが腫れも少し引いています。
このまま治まることを願うのですが、正午になると門番の容態が急変しました。
すでに診療所の設備では太刀打ちすることができません。
電話をかけに行こうと席を立った次の瞬間、門番は力尽きてしまいました。
こうして1人目の犠牲者が出てしまったのです。
5月1日朝、リウーが落ち込んでいると母親が妻から送られてきた手紙を渡してくれました。
妻が頑張っていることを思い出したリウーは再び往診を開始することにします。
しかしオランの町には恐ろしい運命がすぐそこまで忍び寄っていました。
リウーがそのことに気が付いたのは初めて鼠を見つけてから約半月が経過した時のことです。
深夜に老医師のカステルが訪ねてきました。
カステルはこの町で起こっている伝染病の被害について事実確認をするつもりなのです。
実はカステルの患者にも門番と同じような症状で亡くなった患者がいました。
リウーも伝染病の可能性を考えていたので、門番の遺体は分析に回しています。
ただしリウーとカステルの患者2人だけでは伝染病だと断定することはできません。
もちろんカステルもそのことは分かっています。
そのためカステルは町に存在している知り合いの医師全員と連絡を取っていました。
まだ症例が少ないと思っていたのですが、予想以上の死者が出てしまっていたのです。
この事実を伝えるためカステルはリウーの元を訪ねていました。
世界の歴史上、同じ症状で死者が大量に発生した非常事態が約30回発生しています。
そして累計1億人の命が奪われました。
消滅したことを確認した者は存在していません。
それでもリウーは確信が持てるまで判断したくない考えです。
しかしこのまま確信を待ったいる間に港町オランは死に絶えるかもしれません。
2人は同じ医師に対してこの症例を相談していたのです。
その上でカステルもリウーもお互いが自分の考えを否定してほしいと考えていました。
しかしここまで症例が揃ってしまうと最早否定することなどできません。
こうして最も出したくなかった結論が出されました。
ペストであることを認めたのはリウーが一匹の鼠につまずいてから約半月後のことだったのです。
14世紀に世界を脅威に陥れたペストだと判断したリウーたちは、ここからどうやって人々の命を守っていくのでしょうか!?
『ペスト』はこんな人にオススメ
ミステリー漫画と歴史時代劇が好きな人を満足させられる物語です。
ペストという有名な伝染病を題材にしているので多くの人が読み入りやすい内容に仕上がっていますよ。
伝染病に立ち向かう医師の奮闘劇になっている『ペスト』!
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