今回は「さいとうちほ」先生の『VSルパン』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『VSルパン』はこんな漫画(あらすじ)
貴族の母親とフェンシング教師で詐欺師だった父親に育てられた少年は12歳で孤児になりました。
孤児となった少年は2つの言葉に導かれながら世界的に有名な人物へと成長していきます。
ならず者という意味のアルスイユと、オオカミの名を冠する荒野の花という意味のルピナスが少年の呼び名を決定づけました。
2つの言葉が導いた名前はアルセーヌ・ルパン！
20世紀初頭のパリで大活躍した世界的に有名な大泥棒の恋と冒険を描いていく『VSルパン』！
今回は怪盗紳士の華麗なる冒険劇を新たな視点で表現したサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
誰もがその名前を知っている大泥棒の華麗なる物語をじっくりとお楽しみください。
『VSルパン』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
1903年のパリ、サルゾー＝ヴァンドーム公爵に奇妙な手書きが送られてきました。
神出鬼没の怪盗として名を馳せるアルセーヌ・ルパンから娘を頂くと宣言されたのです。
もちろん公爵は泥棒に娘を嫁がせるつもりなどありません。
怒りに震えていると召使がルパンと令嬢の婚約を掲載した新聞を持ってきました。
新聞には公爵の友人に送ったルパンの挨拶文まで掲載されています。
公爵が慌てふためく中、渦中の人物であるアンジェリックは大好きな本を読んでいました。
物語の中に入り込んだアンジェリックは登場人物たちが自分を愛してくれることに感動しています。
この幸せな時間を邪魔してきたのはルパンの手紙に怒りを覚えた父親の公爵でした。
怒り狂う公爵は新聞の記事を見せてくるのですが、アンジェリックは神出鬼没の怪盗と自分の結婚など世間が信じる訳がないと思います。
しかし公爵が怒っている理由は結婚を記事にされたことではありません。
公爵は新聞を読んだ世間がヴァンドーム家を笑いものにしていることなのです。
そんな公爵に電話がかかってきました。
ルパンは近いうちにお詫びとご挨拶に伺うと言って電話を切ります。
この電話が公爵の怒りを増幅させました。
ですが当事者のアンジェリックは他人事のように事態を面白がっています。
翌日になると新聞社が公爵に取材を申し込んできました。
公爵の怒りがどんどん膨らんでいく中、ルパンを取材した新聞社の記事が掲載されます。
ルパンは記事の中で手紙の流出を取材していました。
その上で改めて結婚することが事実であることを認めます。
まるで本当に結婚するかのような文言が記事に掲載されていました。
この新聞記事を読んだ大衆はルパンとアンジェリックの結婚を信じるようになっていきます。
世間では結婚式の日取りまで決まったと思われるようになっていました。
そんな中、公爵の怒りを嘲笑うかのようにルパンからアンジェリックに花束が送られてきます。
花束は青いルピナスでルパンの花と覚えてほしいという手紙が添えられていました。
この状況に焦りを感じ始めた公爵は、ルパンが奪う前にアンジェリックを結婚させることにします。
結婚相手の候補に選ばれたのは3人の貴族でした。
しかしアンジェリックは3人との結婚を望んでいません。
その理由は全員が母親の遺した持参金を目当てに結婚を希望しているためでした。
身勝手だと分かっているのですがアンジェリックはオールドミスとして夢見る生活を送ることを希望しています。
不美人で社交性が無いことを自覚しているアンジェリックのことを本当にルパンは迎えに来るのでしょうか！？
ユニークな怪盗として描かれることが多いルパンを紳士的な姿で表現していますね。
娘を頂くと宣言しながら公爵に手紙を送るシーンにルパンの神髄を感じた気がしました。
原作を斬新な視点で切り取っていく『VSルパン』！
サスペンス漫画が好きな人にはたまらない面白さが満載の物語です。
世界的に有名な大泥棒の活躍を目に焼き付けてください。
後編
大手新聞社がルパンとアンジェリックの結婚式が行われるという記事を掲載しました。
この記事を見た公爵はアンジェリックとパリを離れることにします。
ブルターニュの領地に身を隠すことにした公爵は結婚相手の候補に選んだ3人の貴族に移動の手伝いを頼むことにしました。
深夜、貴族のダンポワーズが迎えに来る時刻が近づいてきます。
アンジェリックが自室で待っていると鍵の開く音が聞こえてきます。
部屋に入ってきたのはダンポワーズではありません。
正体不明の人物はアンジェリックに近付くとハンカチで口を塞ぎました。
そのままアンジェリックは意識を失ってしまいます。
意識が遠のくアンジェリックなのですが若くて優しい声に心が救われるような気がしていました。
そして優しい声の持ち主がルパンであることを確信します。
ルパンはこの状況の中でアンジェリックの薬指に指輪をはめました。
アンジェリックに婚約指輪をはめたルパンはパリに残ることをお願いしてきます。
そして自分を信じてほしいと言い残し立ち去っていきました。
ルパンが去った後、公爵の屋敷で宝石や財布などが盗まれてしまいます。
この事件をきっかけにルパンと対立した公爵はパリの屋敷から古城に身を移すことにしました。
対立に疲れ果てた公爵はアンジェリックを結婚させることで終止符を打つことにします。
父親の意思に従うことにしたアンジェリックはダンポワーズと結婚することになりました。
しかし結婚式を挙げた直後、ダンポワーズが偽物であることが発覚します。
本物のダンポワーズは15年前から海外で生活をしていて、4年前に伯爵に扮したルパンと出会いました。
ルパンは4年前からダンポワーズに成りすまして公爵とアンジェリックの財産を奪う計画を立てていたのです。
ダンポワーズは船に監禁されていたのですが、船窓の格子を破壊して脱出することができました。
そして脱出する際にルパンから手下に送られてきた手紙を見つけ、計画の全容を知ったそうなのです。
公爵に計画の全容を伝えた本物のダンポワーズはルパンを猟銃で撃ち殺すことにしました。
結婚披露宴が終わり油断しているルパンを襲撃するというのです。
ダンポワーズの狙い通りルパンは油断していたのですが、全てを見抜いたアンジェリックが助け船を出してくれました。
披露宴に現れたダンポワーズと父親の会話を聞いてしまったアンジェリックはルパンを逃がしてあげることにします。
ですがルパンは計画を知ってしまったアンジェリックにこれ以上の迷惑をかけたくありません。
そのため本当の姿に戻ってから公爵たちと対峙することにしました。
しかし外では猟銃を持ったダンポワーズたちが待ち構えています。
ルパンの身を案じたアンジェリックは秘密の通路を教えてくれました。
アンジェリックは自分の夫だから助けるのは当然だと答えます。
ですがルパンはダンポワーズに変装していたため結婚は正式なものではありません。
このままだとルパンはアンジェリックの人生に不名誉な傷を残してしまいます。
美しくて聡明なアンジェリックの言葉に何も言い返すことができません。
それどころか怪盗でありながらルパンはアンジェリックと一緒に逃げようと考えるようになっていました。
しかしアンジェリックを連れて逃げる訳にはいきません。
こうしてルパンとアンジェリックは別々の人生を歩むことになりました。
後日、ルパンからアンジェリックに向けた手紙が送られてきます。
ルパンは自分の名前を書かずに心の伴侶からの贈り物だと綴りました。
人知れず恋に落ちた2人の物語はこうして終了したのです。
ここから先も冒険を続けるルパンの活躍は実際に漫画を読んでお確かめください。
『VSルパン』を読んだ感想
漫画やアニメのルパン三世が好きな人は大満足できる内容だと思いました。
エッチでコミカルなルパンではなく、紳士的で大人のルパンは新鮮味を感じられるはずですよ。
知らない人はいない大泥棒の冒険劇が楽しめる『VSルパン』！
20世紀初頭の美しい風景も見所となっています。
現代では味わえないノスタルジックな空気感を満喫してみてください。
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