今回は「原作 青崎有吾 漫画 友山ハルカ」先生の『アンデッドガール・マーダーファルス』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『アンデッドガール・マーダーファルス』はこんな漫画(あらすじ)
19世紀末、革命後のフランスでは怪物淘汰のあゆみが進む中、生き残った少数の怪物に人間を捕食しないことを誓約させました。
ですが誓約に従ったのは一部の吸血鬼のみで、民衆も誓約を交わした怪物を快く思っていません。
その中で人類親和派吸血鬼ゴダール卿の妻が殺害されました。
警察はヴァンパイアハンターの犯行と見ていますが、本当は怪物の事件には関わりたくありません。
ゴダール卿は妻の殺害について真相を究明するため、鳥籠使いを名乗る東洋人の私立探偵を雇うことにしました。
鳥籠使いの輪堂鴉夜(りんどうあや)と真打津軽(しんうちつがる)は、吸血鬼殺人事件を解決できるのでしょうか!?
大人気ミステリー小説を漫画化した『アンデッドガール・マーダーファルス』!
今回は完成度の高いサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
様々な思惑が交錯する中、鳥籠使いの推理が冴えわたります。
『アンデッドガール・マーダーファルス』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
人類の文明化は怪物淘汰のあゆみを進めていき、革命によって自由と平等を手に入れたフランスは怪物と共存することを決めました。
まず生き残った少数の怪物に人間を捕食しないっことを誓約させ人権を与えます。
ですが誓約したのは一部の吸血鬼だけで、民衆も誓約を交わした吸血鬼を佳しとは思っていません。
1898年フランス東部ジーヴルという街で、政府が公認している人類親和派吸血鬼ゴダール卿の妻であるハンナ夫人が殺害されました。
夫人は吸血城の一室で襲われ、城の倉庫で保管されていた純銀製の杭で胸を貫かれたうえ体中に聖水を撒かれていたそうです。
警察はヴァンパイアハンターの仕業と見ていますが、真相を究明する前に捜査を打ち切りました。
そこでゴダール卿は鳥籠使いの私立探偵を雇って真相を究明することにします。
もうすぐ到着するので我慢してほしいと言われてしまいました。
それでもゆっくり急いでほしいと真打津軽が無茶なお願いをします。
笑い話をしているうちに目的地へ到着しました。
馬車を降りると御者が2人分で3フランの乗り賃を請求してきます。
三人乗っているので3フランまけてほしいと言うのですがどう見ても二人しかいません。
それなのに三人いると言われてしまい御者は訳が分からなくなってきます。
御者には大きなカバンを持った女性が話しているように見えるのですが、女性の口は全く動いていません。
それでも御者は生活していくため3フランを頂かなければ困ります。
御者は妻のことを彼らに話してはいません。
不思議に思っていると津軽と呼ばれている青年がクルクル回りながら移動します。
ゴダール卿のご子息を交えて推理ショーを披露することにしました。
師匠の輪堂鴉夜は乗り気ではありませんが、御者の苦労が分かれば津軽も乗り賃を払う気になるのでどうして御者の奥さんについて推理できたか説明していきます。
鴉夜は御者が酒場通いを奥さんに叱られて一週間ほど禁酒していることを見抜いていました。
服の状態から仕事終わりにそのまま酒場へ行っていることが推測できます。
その服を酔っぱらって帰る御者にこすり洗いする暇はありません。
つまりこすり洗いしてくれる几帳面な奥さんがいるはずなのです。
ベストの他の部分を見てみると新しい染みはないので、御者はここ一週間お酒を飲んでいないことが想像できました。
見たところ御者は健康そうなので体に気を遣っているとは思えません。
そうなると酔っ払った夫が汚した服を洗い続けている几帳面な奥さんがお酒をやめるように叱ったことが想像できました。
続いて津軽がゴダール卿のご子息を見抜いた推理を披露していきます。
人間の子供が昼夜逆転している状況で暗い森の中に一人でいる事は考えられません。
縄張りを意識する吸血鬼が余所者を歩き回らせるわけがないので、津軽はラウールのことをゴダール卿のご子息だと見抜いたのです。
見事な推理で御者とラウールの素性を言い当てた輪堂鴉夜と真打津軽は、吸血鬼殺人事件の真相を究明できるのでしょうか!?
序盤から鴉夜と津軽の名推理が披露されたので、あっという間に物語の世界観に引き込まれました。
細かな点を見逃さない圧倒的な推理力はシャーロックホームズに似ていますね。
死者が笑劇を終わらせるため奮闘していく『アンデッドガール・マーダーファルス』!
類まれな洞察力で鴉夜と津軽が殺人事件の真相に迫っていきます。
鴉夜の意外な正体にも驚かされるはずですよ。
後編
ゴダール卿のお城に招かれた津軽が自己紹介をします。
自己紹介されたのですがゴダール卿は戸惑っていました。
その理由は津軽の隣に立っている女性が口を動かしていないためです。
津軽が持っている鳥籠から自分が輪堂鴉夜という声が聞こえてきました。
しかし誰も鳥籠が探偵などということを信じるわけがありません。
笑っていると静句に頭を思いきり殴られました。
静句は鴉夜に忠実なので軽口を叩く津軽が許せません。
こうして本格的な捜査が始まりました。
津軽がこの城に住んでいる人のことを尋ねると、家族は亡くなった妻を覗いて4人、それに使用人が2人いるそうです。
吸血城で働きたいと思う人間は少ないのかもしれません。
血を吸われたら吸血鬼になると思っている人が多いかもしれませんが、実際は吸血鬼の血を体内に混ぜられると人間は吸血鬼になってしまいます。
津軽は人間が吸血鬼になる仕組みを理解していました。
話をしながらゴダール卿に亡くなった夫人の部屋に案内してもらうと、鳥籠の中の鴉夜が津軽に部屋の中を見せろと指示してきます。
とても面白い事件だと感じた鴉夜と津軽は、ゴダール卿に事件当時の写真を見せてもらうことにしました。
写真から杭を刺された出血部分と聖水による火傷の酷さが分かります。
そもそも吸血鬼は純銀や聖水に触れると火傷をしてしまいますが、怪物の王と呼ばれる存在なので純銀と聖水、そして日光以外には弱点がありません。
通常の怪我も一瞬で治るため怪物と恐れられていました。
もしも生きている時に聖水をかけられると、吸血鬼のハンナ夫人は激痛で目を覚ましてもがき苦しんだはずです。
ただ写真のハンナ夫人は穏やかな格好をしていました。
ですが火傷を負っています。
凶器の杭はこの城に保管されていました。
ハンナ夫人が殺される4日前、ゴダール卿は1人のヴァンパイアハンターを買えりうちにして殺害したそうです。
ハンターは銀の杭をゴダール卿に向け襲いかかってきたため、正当防衛が認められ殺人罪にはなりませんでした。
そのときに押収した銀の杭がハンナ夫人殺害事件の凶器になってしまったのです。
ゴダール卿はハンター仲間が報復でハンナ夫人を殺害したと考えていました。
怪物を殺すにしたって念いり過ぎる気がします。
話していると末娘のシャルロッテが夫人の部屋にやって来ました。
シャルロッテが鳥籠に掛けておいた布をめくってしまいます。
鳥籠の中を見たゴダール卿がそれはなんですかと津軽に尋ねました。
津軽の代わりに鴉夜が質問に答えます。
輪堂鴉夜は鳥籠に入れられた生首の状態で推理をしていました。
ここから怪物の事件を怪物の探偵が解き明かしていくことになるのです。
『アンデッドガール・マーダーファルス』を読んだ感想
とても読み応えのあるミステリー漫画だと感じました。
個性的な登場人物たちの中でも輪堂鴉夜と真打津軽のインパクトが圧倒的ですね。
私立探偵が様々な難事件を解明していく『アンデッドガール・マーダーファルス』!
吸血鬼を殺害した犯人はいったい誰なのでしょうか!?
鴉夜と津軽の推理ショーは驚きの展開を迎えていきますよ。
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