『永遠の陽射しの屍』のネタバレ(漫画)!サイコホラーの魅力は?

今回は「森田将文」先生の『永遠の陽射しの屍』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『永遠の陽射しの屍』はこんな漫画(あらすじ)

恵比須町にゾンビが発生してから半年が経過しました。

街中に屍が溢れる中、生存者の三倉は自ら決めたルールを守りながら滅びた街の中で生き延びています。

食糧を探し求めて民家に侵入した三倉は、母親がゾンビになってしまった少女のゆゆと出会いました。

ゆゆを救うため柄にもなくゾンビに立ち向かう三倉の運命とは・・・!?

絶望に抗う人間の奮闘を描いた『永遠の陽射しの屍』

今回はゾンビが溢れる世界で必死に生きようとする人間を表現したホラー漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

ゾクゾクする緊張感と希望を捨てない人間の勇気ある行動から感動を味わってみてください。

 

『永遠の陽射しの屍』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

ゾンビが発生した恵比須町の神社で生存者の三倉がレトルト食品を食べようとしています。

数多くの人間がゾンビの犠牲になる中、三倉は運良く生き延びることができました。

三倉
「俺には確固たる自分ルールがある」

三倉は主に4つのルールを守っているため数少ない生存者となっているのです。

まず決めたルールの1つ目は健康を維持することでした。

食事と睡眠、そして適度な運動をすることでゾンビから逃げる体力をキープしています。

2つ目のルールは他人とつるまないことでした。

他人と関わるのは良い面もあるのですが悪い面の方が大きいため単独行動を続けています。

3つ目に決めたことは耳が良いゾンビに気付かれないため騒がないようにすることでした。

この日も車で逃走しようとした若者がエンジン音を聞きつけたゾンビに襲われています。

そして4つ目のルールが最も重要なものとなっていました。

三倉
「ルール④喰われるな・・・咬まれたり引っ掻かれると奴らの仲間入り、あっという間に街は滅びた、俺は大丈夫・・・ルールを守るのは得意なんだ・・・」

三倉は騒音を立てないよう自転車で移動しています。

このようにかくれんぼのような状態でゾンビから逃げ隠れするようになってから半年が経過しました。

避難していった人たちがどうなったのかは良く分かりません。

また恵比須町に安全な場所が残されているのかも確認できていませんでした。

三倉
「知ったこっちゃないか、それよりメシだ、今日こそ食糧を見つけないとゾンビの前にミイラだぜ」

壊滅状態の街では食糧を確保することが容易ではありません。

コンビニやスーパーの食糧はすでに残されていませんでした。

仕方なく三倉は民家に侵入して食糧を探すことにします。

すると民家の中から物音が聞こえてきました。

三倉
「クソッ!逃げ場が・・・やらかしたぜ!人間か?それとも・・・」

クローゼットの中に身を隠してこの場を凌ぐことにします。

やり過ごそうとしたのですがクローゼットを開けられてしまいました。

ゆゆ
「もうっ!ママーッ!」

クローゼットを開けたのは少女だったのですが子供のゾンビかもしれません。

しかし念のため確認すると人間の少女でした。

すぐに三倉は少女の口を塞いで大きな音を出させないようにします。

三倉
「なあ・・・俺三倉って言うんだけど・・・お母さんは?なんでよその町に避難しなかったの?」

少女は黙ったまま質問に答えようとしません。

つるまないことを2つ目のルールに掲げている三倉はこの家を出ることにしました。

すると少女が腕を掴んできます。

ゆゆ
「ママを助けて、ママ・・・変なの、ご病気なの、怪我をしてかえってきてからね、寝ないで歩き回るの」

少女の言葉を聞いた三倉は母親がゾンビになっていると判断しました。

近くにゾンビがいるかもしれないため慌てて少女の手を振り払います。

三倉
「まさか・・・今この家にはいないよな?お母さん・・・」
ゆゆ
「え・・・そりゃいるけど、どこだろー?」

少女は気付いていませんが母親が後ろのガラス越しに姿を現しました。

いきなり大ピンチに陥った三倉はすぐにこの場を離れます。

三倉
「ばかーっ!なんつー環境で暮らしてんだ!なんで今まで無事だったんだ!」

急いで民家から出ようとするのですがゾンビとなった母親にコートのフードを掴まれてしまいました。

そのまま壁に放り投げられてしまいます。

身動きが取れない状況の中、ゾンビが一歩ずつこちらへ近づいてきました。

この状況で三倉は殺されることを覚悟します。

ゆゆ
「だめママ!」

少女が大声を出したことでゾンビは三倉ではなく少女に襲い掛かりました。

その隙をついて三倉が逃げ出します。

三倉
「ルール③騒ぐな!ルール④喰われるな!逃げられる!今なら!あの子が喰われてる隙に・・・」

少女を犠牲にすることを思いついた三倉は窮地から脱することができました。

しかし少女のことが頭から離れなくなってしまいます。

三倉はこのまま少女のことを見殺しにしてしまうのでしょうか!?

 

 

ゾンビが蔓延するようになった世界でしぶとく生き延びている三倉の姿が印象的でした。

己に課したルールを守ることで生存している様子はサバイバルの教訓になるかもしれませんね。

絶望の中で出会った少女の命を守ろうとする青年の奮闘劇になっている『永遠の陽射しの屍』

ホラー漫画でありながら感動できる名作です。

壊滅した街の中で希望を忘れない人達の姿からエネルギーを貰ってみてください。

後編

ゾンビに襲われそうになりながら逃げ延びることができた三倉が桟橋の下で俯いています。

三倉
「今まであんなのいくらでも見てきた、だが今回はさすがにへこむ・・・助けを求める子に逆に助けられた」

母親がいつ頃ゾンビになったのか考えても分かるはずがありません。

それよりもゾンビと暮らしていた少女がどうして今まで無事だったのか気になってしまいます。

色々なことを考えているうちに自分の身体が致命的な損傷を負ったことに気が付きました。

三倉
「ちぇっ、ルールを守るのは・・・得意になったとおもってたのになー」

損傷を負ってしまった三倉は覚悟を決め、少女の元へ舞い戻ることにします。

誰かに戻った理由を聞かれても分かるように説明することはできません。

ただ三倉の手には少女に握られた温もりが残っていました。

覚悟を決めた三倉は鉄パイプを拾い少女の元へ向かいます。

三倉
「出てこいゾンビ!娘と仲良く眠らせてやんよ!俺が・・・俺が!俺が終わらせてやる!」

すぐに襲い掛かってきたゾンビに鉄パイプで応戦するのですが、2人の間に少女が割って入りました。

三倉は少女がまだ生きていたことに驚いてしまいます。

ゆゆ
「ママをいじめるなら・・・出てってぇ!ゆゆたちは大丈夫なの・・・!」

ゆゆは鉄パイプで殴られている母親を放っておけません。

しかし母親はゾンビになっているためこのままでは娘が殺されてしまいます。

三倉
「離れろ静かに・・・早くっ!ゾンビだぞ!ゾンビなんだよ!」
ゆゆ
「お外があんなになって・・・ママもこんなになった・・・でも!いつもゆゆがお願いしたらママはママにもどるもん!」

ゆゆは母親がゾンビになったことを理解していました。

その上で母親のそばを離れようとしていないのです。

しかしここで母親がゆゆの首を絞め始めました。

三倉
「今度こそ喰われる・・・よっよせェェ!」

再び三倉が母親とゆゆを引き離そうとします。

次の瞬間、母親は喰うのではなくゆゆを抱きしめました。

ゆゆ
「ママ・・・よかった・・・ママはずっとゆゆと一緒よね、ずっと・・・」

母親としての理性が少しだけ残されているようです。

ですがゾンビの凶暴性が再び顔を出し始めました。

ゆゆを放り投げると奇声を上げながら三倉が持ってきた鉄パイプを拾います。

三倉
「母親はその化け物の力で自分自身を貫く」
ゆゆ
「なんでェェェ・・・!やだァァァァ」

母親は必死に理性を保ちながら自分の胸を貫きました。

全ては娘を傷つけたくないためなのです。

三倉
「ああ・・・なんてことだ・・・確かに理性が残ってた・・・ゾンビなのに!耐えて・・・戦って・・・そして自分で終わらせようとした・・・娘を傷つけないように・・・」
ゆゆ
「ママ・・・ママ!」

自分で命を絶とうとしたのですがゾンビは死ぬことができません。

残酷なのですが母親は蘇ってしまいます。

三倉
「い・・・行かなきゃ・・・行こう・・・」
ゆゆ
「いや・・・ママ・・・今まで頑張ってきたでしょ、大丈夫よねぇ?ずっとふたりだったもんねぇ・・・パパがいなくても・・・ゆゆ平気よ?」

これからもずっと一緒にいたいことを訴えかけるのですが、母親が理性を保つことは限界を迎えていました。

限界に気付いた三倉がゆゆを母親から引きはがします。

そしてゆゆを抱えたまま家の外に出ようとするのですが、最後に母親の方を振り返りました。

三倉
「最期・・・彼女は残りを全部使って母親の顔をしていた、ボロボロで血みどろで惨めだった、惨めで・・・綺麗すぎた」

これから母親がどのようになっていくのかは分かりません。

家の中を彷徨い続けるかもしれないし、他のゾンビと同じように人間を求めて壊滅した街の中を歩き続けるかもしれないのです。

そんなことを考えながら歩いていると、三倉はいつの間にかゆゆと手を繋いでいました。

話を聞いてみるとゆゆの母親は1ヵ月間あの状態をキープしていたそうです。

普通は数時間でゾンビになってしまうため考えられません。

さらに疑問はまだ残っていました。

実は三倉も母親に首を引っ掻かれたのですが症状はまだ出ていません。

どうせゾンビになってしまうのならと思い、三倉はゆゆを助けに行ったのです。

もしかしたら自分もゆゆの母親と同じように少しずつ心が壊れていくのかもしれません。

三倉
「この子はどうなる・・・?このままではその内襲うことになる・・・ゆゆを死なせるな・・・これが俺の新ルールだ」

空を支えていた街の光が消滅した中で、三倉は新たな決意を胸に刻みました。

4つのルールを破ってしまったためゾンビになってしまうかもしれない三倉はゆゆのことを守り切ることができるのでしょうか!?

 

『永遠の陽射しの屍』を読んだ感想

自分のためではなく少女のために命を懸けた三倉がとてもかっこよかったです。

最初はヤケクソだったのかもしれませんが、母親と娘の絆に心を動かされたのかもしれませんね。

またゆゆの母親と三倉だけゾンビ化の進行が遅い点も謎めいていて興味をそそられました。

荒廃した街の中でゾンビになってしまったとしても少女を守ろうとする主人公が魅力的な『永遠の陽射しの屍』

ホラー漫画のスリルと人情噺の感動が融合した読み応えのある内容になっています。

読み始めると続きが読みたくなる傑作漫画を見逃さないでください。

 

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