今回は「安達智」先生の『あおのたつき』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『あおのたつき』はこんな漫画(あらすじ)
三浦屋の遊女だった濃紫は吉原に存在する浮世と冥土の境に近い鎮守の社に、幼かった頃のあおと呼ばれていた姿で迷い込んでしまいます。
鎮守の社で出会った宮司の楽丸から霊験のご利益を求める死者が集まることを教えられたあおは、嫉妬心によって心が醜くなった遊女の魂を救ってあげました。
どうしてもお金を稼ぎたいあおは、楽丸の勧めで亡くなった遊女の魂を祓うことにします。
しかし楽丸はまだあおが鎮守の社へ姿を現した理由に見当がついていません。
辛い過去を背負っていることで死者と向き合うあおが背負う哀しみとは・・・!?
遊女が抱える哀しみを題材にした『あおのたつき』!
今回は遊郭を舞台にした切ない物語の第2話についてネタバレを含みながら面白さをご紹介していきます。
第2話であおはどんな魂と出会うのでしょうか?
『あおのたつき』の魅力紹介(ネタバレ含む)
第2話前編
鎮守の社でお世話になることを決めたあおが夢を見ています。
母親に空腹で死にそうだと伝えたら、あおが背負っている赤ん坊をこっちへよこせと言われました。
赤ん坊が生まれつき足が悪いので先がありません。
先がない人に食べ物を与えても仕方ないので、母親は赤ん坊を食べてしまおうと考えているようです。
しかしあおは可愛い赤ん坊を食べることなどできません。
女衒とは若い女を買い付けて遊廓に売り払う人買いのことです。
赤ん坊を守るためなら女衒に売られても構いません。
辛い夢を見ていたあおが重さを感じて目を覚まします。
あおが振り払ったのは白い狐のような動物で、鎮守の社に祀られている御祭神の命婦薄神という名前の鎮守神です。
楽丸が薄神の尊さを教えてもあおには一切伝わっていません。
それよりもあおは厠が外にあることや、布団がぺらぺらなことに苛立っています。
奉公初日に偉そうな態度のあおを見ているうちに、楽丸はとんでもない人物を招き入れたと後悔していました。
偉そうなだけでなくお金に強い執着を見せるので楽丸は唖然としてしまいます。
このようなじゃじゃ馬は扱いきれないので薄神に対処法を耳打ちしました。
奉公の心得を説明していると薄神が楽丸の着物を引っ張ります。
そのまま薄神が外へ出て行きました。
薄神についていくと鎮守の社を3人の童女が訪ねてきています。
童女たちは吉原まで行きたいということでした。
それぞれ壱、弐、参という頭巾を被った童女たちは吉原に行けばご飯をたくさん食べられると思っているようです。
もしかしたら吉原のことを誤解しているのかもしれません。
三つ子の童女は生まれた村で奇しき子と呼ばれ、毎日のようになぶられていたそうです。
忌まわしい三つ子が生まれたことで村は不作になり、死んだ母親は乳が三つあったというデマも広められました。
そこで父親はこの村にいるよりも娘たちを花街へ売り払うことにしたのです。
吉原に行けば本当に童女たちは幸せになれるのでしょうか!?
態度の悪いあおに振り回されてしまう楽丸が気の毒でした。
ドタバタしている鎮守の社を訪れたのは、頭巾を被って何かを見ないようにしている童女たちでしたね。
苦悩を抱える魂を救っていく『あおのたつき』!
第2話であおはどのように童女たちの心に寄り添っていくのでしょうか?
三つ子として生まれたために悲しい運命を背負ってしまった苦しみが描かれていきますよ。
第2話後編
童女たちの言う通り江戸では子殺しを防ぐため、多胎児には祝い金が贈られていました。
しかし人間とは勝手なものでその年の吉凶によって三つ子を神の子と呼んだり、あるいは鬼の子と呼んだりするものです。
参の頭巾を被った童女が思い出そうとしていると、後ろの壱と弐が思い出すことを止めさせようとしました。
壱と弐の身体から包帯のようなものが伸びてきて、倒れた参の身体を包み込んでいきます。
助けようとするあおの身体にも包帯が巻きついてきました。
苦しんでいると薄神が吠えました。
続いて楽丸が童女の前に立ちはだかります。
壱と弐は参に辛い過去を思い出させたくないのかもしれません。
妹を攻撃しているのではなく守ろうとしていたのです。
そんな気持ちを理解したあおは2人の姿が幼い頃の自分と重なりました。
道を塞いだ男は荷車を運んでいた父親に命か荷物のどちらを選ぶか脅します。
父親は逃げ出してしまったので童女は取り残されてしまいました。
男は荷車に金が積んでいると思ったのですが、3人の童女だけで金品は積んでいません。
怒った男は女郎屋に売られるなら先に味見してやると言い出します。
姉を庇った妹が男の餌食になってしまいました。
男はそのまま3人を斧で殺害したのです。
壱と弐は参に怖かった記憶を思い出してほしくありませんでした。
殺されても三つ子の絆は繋がっていたのです。
楽丸によって童女の穢れが祓われました。
さらに冥土で母親と会えるように祈禱してあげることにします。
あおは照れくさそうにしながら布団を敷きに行きました。
とんでもない奉公人ですがあおにしかできない方法で童女の魂を浄化してあげたのです。
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『あおのたつき』はこんな人にオススメ
ファンタジー漫画とヒューマンドラマが好きな人にオススメの作品です。
江戸時代だからこその悲しい人情噺が見所の感動的な物語になっていますよ。
鎮守の社に迷い込んだ遊女が霊の心を救っていく『あおのたつき』!
遊廓という人の情念が渦巻く場所を舞台にした読み応え抜群の漫画です。
切ないエピソードの数々に胸を打たれました。
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