『後宮の結び人』のネタバレ(漫画)!感想とあらすじも!

今回は「原作 小早川真寛 作画 鰍ヨウ」先生の『後宮の結び人』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『後宮の結び人』はこんな漫画(あらすじ)

本屋で働く18歳の李小鈴(リシャオリン)は、後宮純恋譚という恋愛小説に夢中です。

続編を読みたくて本屋で働き始めたのですが、念願だった出版部への異動を命じられました。

異動した小鈴は後宮純恋譚の作者である丕天佑(ヒテンユウ)の担当を任されます。

小説家が暮らす後宮に足を運ぶと待っていたのは創造していた女性作家ではなく皇太子の隆鳳(リュウホウ)でした。

執筆が思うように進まない隆鳳のため、身の回りの問題ごとを解決することになった小鈴。

事件の謎を解き明かすヒロインの活躍を描いた『後宮の結び人』

今回は異国情緒漂うサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

本が結ぶ人々と事件の真相に迫ってみてください。

 

『後宮の結び人』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

李小鈴がお気に入りの後宮純恋譚を読んでいると、何度も読み返しているので先輩から呆れられてしまいます。

後宮純恋譚はリアルな人物描写が人気を集め、小鈴のように魅了されている読者は少なくありません。

ただし小鈴は一つの作品に思い入れが強いため、写本係から異動する希望が叶っていませんでした。

小鈴が働いている本屋には販売、印刷や製本、作家とのやり取りという三つの業務があり、現在の小鈴は写本を担当しています。

李小鈴
「後宮純恋譚の続編をいち早く読みたくて本屋を選んだこともあり、出版部への異動を希望し続けてかれこれ四年、未だその夢は叶えられず依然として諦めきれていない」

出版部に異動できれば後宮純恋譚の作者を担当できるかもしれません。

そんな小鈴に出版部の上役から呼び出しがかかります。

淡い期待を胸に抱えながら出版部へ向かうと、上役から丕先生の原稿を頂いてくるよう命じられました。

李小鈴
「丕先生って・・・後宮純恋譚の!?」

丕先生は後宮に住んでいて、これまで色々な人間が担当してきたそうです。

しかし丕先生の筆が進まず原稿が遅れていました。

そのため三ヶ月で原稿を貰えなかったら印刷部門に戻すという条件が付けられます。

李小鈴
「これが後宮・・・本当に来ちゃった・・・すごい、すごいっ、私ほんとに後宮に来たんだ・・・丕先生に会えるんだ・・・写本係に戻る運命だとしても悔いはないわ」

後宮は皇帝に仕える妃をはじめ、侍女や雑務をこなす女官が暮らす場所で安易に見学できる場所ではありません。

また基本的に男子禁制で皇子ですら皇太子以外は成人すると追い出されてしまいます。

この場所で丕先生は執筆していることを隠しているため、小鈴は本屋ではなく女官として働くことになりました。

李小鈴
「でもまさか身近な女官にまで隠すほどとは・・・鮮やかな朱色の髪飾り・・・」

近くを通った下級妃の侍女が朱色の髪飾りを付けていることが気になります。

その理由は以前に読んだことがある本に、朱色の染料が貴重だと書かれていたためでした。

侍女たちの実家が裕福だろうと想像しているうちに、御付きの女官が丕先生の部屋まで案内してくれます。

しかし御付きの女官ですら入室は許されておらず、部屋の中には小鈴が1人で入らなければいけません。

念願だった丕先生に会えると思うと緊張してきました。

李小鈴
「この扉の先に丕天佑がいる、本の魅力を教えてくれた後宮純恋譚、何度も何度も読み返した、物語の世界観の素晴らしさ、登場人物の涙なしには語れない恋愛、全てに魅了されていた」

その作品を生み出した丕天佑は小鈴にとって神様なのです。

まだ会ったことのない丕天佑のことを小鈴は性格の良い絶世の美女だと想像していました。

ドキドキしながら扉を開けると部屋の中は空気がこもっていて、床には大量の紙が散乱しています。

部屋の中をゆっくり歩いていくと奥から男性の声が聞こえてきました。

隆鳳
「本屋の人間か?すまない、仮眠していた、そちが新しい担当か?私が皇太子の隆鳳だ」

薄汚い格好の男性が自らを皇太子と名乗ります。

小鈴はその場に跪きました。

李小鈴
「皇太子?丕先生の部屋になぜ皇太子が?何かの間違いよ!先生はとても繊細で優しくて美人で良い匂いがして・・・」
隆鳳
「本屋の人間には丕天佑の方がいいのか・・・」

頭の中で小鈴の想像が音を立てながら崩壊していきます。

それでも自分の役目を果たすことにしました。

李小鈴
「シャ、小鈴と申します・・・原稿をいただきに参りました」
隆鳳
「顔を上げて、あと・・・毎回跪礼されるのは面倒だからここではやらないで、で原稿だけど・・・まだできていないんだ」

隆鳳はとても疲れた様子です。

ですが小鈴も手ぶらで引き返す訳にはいきません。

李小鈴
「な、なぜ書けなくなられたんですか?」

執筆していることが母親の皇后にバレてしまい公務と雑務が激増したそうです。

皇后は恋愛小説の執筆を皇太子の仕事だと認めていません。

隆鳳
「まぁ仕方ないっちゃ仕方ないけどね、恋愛小説なんて成人男子が必死に書くもんじゃないし」
李小鈴
「そんなことありません!後宮純恋譚は素晴らしい作品ですっ、涙が出たり笑顔になったり主人公の幸せを願ったり・・・こんな作品滅多にありませんよ!」
隆鳳
「母上が君の様だったらいいんだけど・・・だがその雑務が厄介でね、後宮内の問題を解決することなんだがどれも難問ばかりだ、しかも三日に一度解決しろと急かす女官までいる」

隆鳳は今回の問題に関して1ヵ月が経過しても解決できていないそうです。

そのため執筆している時間がありません。

李小鈴
「もしその問題を私が解決したら書いていただけますか?」
隆鳳
「解決できればな・・・まあついて来るといい・・・」

一体どんな問題が待ち受けているのでしょうか!?

 

 

恋愛小説に魅了されている小鈴がチャーミングですね。

作者が皇太子であることを知った時の表情も可愛らしかったです。

大好きな小説の続きを読みたいため謎解きに挑んでいく『後宮の結び人』

ここから小鈴が意外な能力を発揮していきます。

皇太子が抱える問題に小鈴が立ち向かう姿をお楽しみください。

後編

御付きの女官が身なりを整えると隆鳳が皇太子として謁見に向かいます。

この日謁見にきたのは絹織女官の可謦でした。

隆鳳
「待たせたな、面を上げよ、して今日は何用だ?」
可謦
「ここ何度も申し上げていることでございます、一刻もはやく麻織の宇辰を罷免してくださいませ」

謁見に同席した小鈴は可謦が隆鳳の言っていた急かす女官だと察します。

この日も急かしてきていますが隆鳳は罷免には応じません。

隆鳳
「そなたが歴史ある絹織の一族の出であるように宇辰もまた有力な麻織の一族の出だ、確固たる理由がなければ罷免になぞできぬ」
可謦
「仕事が遅すぎるのです、私が二反織っている間にあの者は半反も織れません」
隆鳳
「だが納期は守っているそうだぞ」

納期を守るのは技師として当たり前のことです。

可謦が問題視しているのは特別に後宮入りしている伝統技師のレベルではないということでした。

李小鈴
「・・・この女官・・・うなじは透き通るほど白いのに手の甲が日に焼けてる・・・不思議・・・」

小鈴が様子を観察していると、隆鳳が宇辰を直接確認することで謁見が終わります。

宇辰の部屋に向かいながら小鈴は御付きの女官に、麻織一族と絹織一族が対立している事情について話を聞く事にしました。

小さな村の中で対立している両族の中で宇辰は常に村の中心にいる存在で、将来的には対立を解消させ村の束ね役になることを期待されていたそうです。

しかし現在は後宮の中で部屋から出ることも許されず、機織りする日々を過ごすようになっていました。

村に留まれば麻織一族の統領を任されたはずなのに、どうして後宮での仕事を選んだのか小鈴には理解できません。

一同が宇辰の部屋に到着すると中から咳をする音が聞こえてきます。

小鈴は咳の音よりも部屋の前に置かれた紙袋が気になっていました。

李小鈴
「この独特な臭い・・・薬だ、大量の薬包と小瓶・・・まずは薬包・・・これ・・・高麗人参だわ!続いて小瓶・・・ん?これは桉樹?」

紙袋の中には高麗人参とユーカリが入っています。

そのことを確認していると部屋の中から宇辰が出てきました。

隆鳳が本人に仕事が遅い理由を尋ねます。

宇辰
「材料の納品が遅れたせいでございますよ、お陰でこちらの作業が押されてしまって」

いつも宇辰は調査をこのような理由で言い逃れしてきました。

しかし小鈴は宇辰が隠そうとしていることを見抜いています。

李小鈴
「宇辰さん体調を崩されておりますよね?」
宇辰
「たしかに今寝不足だけど、それは遅れた作業を取り返そうと・・・」
李小鈴
「作業の遅れは病気が原因なのでは?」

激しく咳をしていたのに体調が悪いことを認めようとしません。

体調を崩していないことを証明するため、宇辰が作業を始めました。

確かに作業に問題はありませんが、途中で激しく咳込んでしまいます。

宇辰
「はは、根を詰めすぎたかな・・・そういえばちょっと熱っぽいかも、でもこのくらい寝ていれば治りますよ」

意地でも病気であることを認めようとしません。

そこで小鈴は一時的な静養を勧めてみます。

しかし宇辰は死ぬまで後宮の中で働きたいといい始めました。

あくまでも体調不良で押し通す宇辰に小鈴は扉の前に置いてあった紙袋を見せることにします。

その前に紙袋に朱い爪痕が付いていることに気付きました。

ここで小鈴の脳裏に後宮で体験した出来事の数々が浮かび上がります。

李小鈴
「この謎結び解けました、可謦さんのおっしゃる通りです、宇辰さんは後宮を去るべきです、先程からの咳、宇辰さんは喘息なのではないですか?でしたら一刻も早く休養が必要です」
隆鳳
「そなた医療の心得があるのか?」

小鈴に医療の専門的な知識はありません。

ですが扉の前に置いてあった紙袋の中身から宇辰が喘息を患っていることを察知したのです。

普通の風邪に高麗ニンジンを服用する人はあまりいません。

またユーカリには喘息の発作に効果的だと言われていました。

李小鈴
「根本的な治療をしなければ発作で窒息死することもあります、十分ご存知ですよね?」

分かっているからこそ宇辰は死ぬまで後宮にいたいと話したのです。

こうして小鈴の観察眼によって問題が解決したと思われました。

隆鳳
「それでは病気を隠していたをいうことで罷免にできるな!」
李小鈴
「あ・・・今回罷免になるのは宇辰さんだけじゃありません、可謦さん貴女も後宮を出るべきです」

小鈴は朱色の髪飾りを可謦が侍女たちに私的な目的で販売していたことを指摘します。

可謦の手が日に焼けていたことで本来は屋内作業が多い絹織職人が、屋外で髪飾りを朱色に染め上げたことを見抜きました。

隆鳳
「だが解せん、伝統技師の可謦は高給をもらっているのになぜ小金を稼ぐ?」
李小鈴
「それは宇辰さんの薬を購入するためです」

同じ村で育った可謦は宇辰に想いを寄せていたのです。

宇辰も可謦と同じ場所にいたいため後宮での仕事を選びました。

2人はお互いのことを想い合った結果、すれ違いが生じてしまっていたのです。

隆鳳
「では改めて両名の処分を言い渡す、宇辰は病の隠蔽、可謦は後宮内での売買、両名共に罷免とする、即刻後宮から立ち去れ」

小鈴が真実を解明した結果、隆鳳は宇辰と可謦に最高の罷免をプレゼントすることができました。

問題が解決すると隆鳳が後宮純恋譚の続きを完成させてくれます。

そして正式に担当として小鈴を認めてくれました。

念願が叶った小鈴は次にどんな問題と向き合うのでしょうか!?

 

『後宮の結び人』を読んだ感想

恋愛小説に夢中なヒロインの意外な洞察力に驚きました。

理論的に相手を看破していく頭の良さにも感服しますね。

大好きな作品のため問題をヒロインが次々と解決していく『後宮の結び人』

サスペンスとラブコメディーがミックスされた見所満載の物語になっています。

小鈴が大活躍する傑作ストーリーを見逃さないでください。

 

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