今回は「和田依子」先生の『仇討ち遊郭』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『仇討ち遊郭』はこんな漫画(あらすじ)
江戸時代の吉原は華やかに見える半面で、働く女性たちにとっては地獄のような状況でした。
それでも借金を背負った女郎たちは地獄のような世界を生き抜かなければなりません。
この地獄で生きていくことを決めた牡丹は、必死に気を張りながら女郎の役目を果たしています。
自分を育ててくれた女郎へ恩を返すため、吉原を抜け出すことを決意した牡丹。
しかし目的を果たすためには様々な困難を乗り越えなければならなかったのです。
華やかな遊郭で気を張り続ける女郎の半生を描いた『仇討ち遊郭』！
今回は江戸時代を舞台にしたヒューマンドラマの魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
現代の日本では考えられない時代背景を目に焼き付けてください。
『仇討ち遊郭』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
牡丹が遊郭のご主人様に抱かれています。
ご主人様は牡丹の色っぽい反応に興奮していました。
恥ずかしそうにしながら快感を得ている牡丹の姿がご主人様にはたまりません。
売れっ子の牡丹を気持ち良くさせていると思うご主人様も最高の快楽を得ていました。
しかし牡丹は本当に感じていたわけではありません。
行為が終わると後輩たちに愚痴をこぼします。
吉原ではこのような生活が日常茶飯事となっていました。
愚痴を言っていると新入りの松葉が声をかけてきます。
まだ右も左も分からない松葉に自分の呼び方を注意してあげました。
牡丹たちが働く三巴屋は、天下に名立たる吉原の遊郭にお店を構えています。
吉原では独特なルールを守らなければいけません。
借金ため生活に困ったり、騙されて吉原に売られた娘たちは厳しいルールの下で生活しています。
膨れ上がる借金を返済するためには身を売り続けなければなりません。
牡丹や松葉は明るく振る舞っているのですが、娘たちにとって吉原は地獄のような環境なのです。
さらに厄介事はこのような環境だけではありません。
この日は牡丹のお客だった扇屋の若旦那が胡蝶という花魁に寝取られてしまいました。
胡蝶は楼主に媚びを売って上客を次々と自分のものにしています。
松葉はそんな胡蝶のやり方が許せません。
憤慨する松葉のことを牡丹がなだめます。
それでも松葉は納得することができません。
散り菊姉さんは牡丹を吉原に受け入れてくれた恩人です。
吉原に売られた時、牡丹は14歳でした。
楼主は14歳という年齢が仕込みにくいということで、牡丹のことを受け入れようとしません。
そんな牡丹の面倒を引き受けてくれたのが散り菊姉さんだったのです。
必死に生きていかなければならない牡丹には過去を振り返っている暇などありません。
前を向いて生きる牡丹なのですが、ここから彼女には様々な試練が待ち受けていたのです。
身売りされた吉原でポジティブに生きている牡丹の姿が印象的でした。
卑怯な方法でお客を取らず、正攻法で働く姿勢も素晴らしですね。
常に前を向いている素敵な女性がヒロインの『仇討ち遊郭』！
どんな苦境に立たされても牡丹は下を向きません。
そんな彼女の姿からエネルギーを貰ってください。
後編
牡丹がいつものように朝を迎えると松葉の姿が見当たりません。
気になったので他の花魁に話を聞いてみると、松葉が昨夜のお座敷でヘマをやらかしてしまい楼主から折檻されていることが分かりました。
すぐに牡丹が駆けつけると松葉が木に吊るされています。
松葉の躾を任されているため、楼主から牡丹も叩かれ始めました。
いきなりの出来事に驚いた松葉はお客に刃向かってしまったそうです。
しかし松葉だけが悪い訳ではありません。
松葉は吉原遊郭の決まりごとに従っただけなのです。
それでも楼主は松葉のことを許してくれません。
楼主は吉原にいる女性を黙って股を開いていればいい存在だと決めつけているのです。
横暴な楼主に対しても牡丹が取り乱すことはありません。
松葉を助けるため牡丹が楼主にある提案をします。
楼主はこの提案を受け入れました。
その理由はこのお客が色々な遊郭で毛嫌いされている厄介者だからです。
散り菊姉さんや牡丹が気に入らない楼主は、お客の前で無様な姿をさらせばいいと思っていました。
木から降ろされた松葉が牡丹に謝罪します。
すると牡丹が松葉の頬に噛み付きました。
この状況から抜け出すためには身請けしてくれる人を見つけるしかありません。
しかし松葉は自分の見栄えに自信がなく、仕事を覚えるスピードも人より劣っています。
それでも暗い顔している子よりも、笑いながら踏ん張っている子の方が身請けされやすいことは明らかでした。
この場所で生きられぬ身ならここでどう生きるかを考えなければいけません。
泣いてる暇など無いことを知っている牡丹が厄介なお客の元へ向かいました。
お客は聞いていた通り厄介者で、お金を払えば女性に何をしてもいいという考えの持ち主です。
そんなお客に牡丹はお金がないと誰も相手にされないと指摘しました。
指摘を受けたお客が怒り出します。
しかしこれも全て牡丹の策略通りでした。
ここから牡丹は股を開かずにお客の性欲を満足させていきます。
結局この日、厄介者のお客が牡丹を抱くことはありませんでした。
それでもお客はお金を貯めて再び牡丹に接客してもらいたいと言ってくれます。
お客を満足させたのですが生意気な口をきいた牡丹は楼主から折檻されてしまいました。
松葉は牡丹が折檻されることに納得がいきません。
しかし牡丹はプライドを持ってお客に接したことを誇りに感じています。
牡丹が遊郭に売られたばかりの頃、お客の前で粗相をしてしまった時に散り菊姉さんが庇ってくれました。
それでも散り菊姉さんが白けた場の雰囲気を明るくしてくれます。
木に吊るされても牡丹の目は輝きを失っていません。
ここから牡丹はどのようにして吉原を抜け出していくのでしょうか！？
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『仇討ち遊郭』を読んだ感想
自分を助けてくれた花魁の教えを忠実に守っている牡丹の強い信念に感動しました。
新造を守るために身を犠牲にする姿も美しいですね。
吉原の実情をリアルに表現していく『仇討ち遊郭』！
男尊女卑に立ち向かう花魁の気丈な様子を描いた感動作です。
歴史時代劇やヒューマンドラマが好きな人はこの作品を見逃さないでください。
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