今回は「友野ヒロ」先生の『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』はこんな漫画(あらすじ)
近未来の日本では平均寿命が95歳に達していました。
人口の40%以上が65歳となった超高齢化社会ではGDPの下落が止まりません。
さらに年金の受給年齢は80歳まで引き上げられ、消費税は40%まで増税されてしまいます。
これらの問題によって自殺する老人が増え続けたため、日本政府は20歳の頃に戻れる若返り薬を開発しました。
さらに薬の治験者をある島に集め、再雇用の試験運用をスタートさせます。
このニュースを知った80歳の八武崎瀧郎はある目的を果たすためこのプロジェクトに参加する事を決めました。
若返った主人公が50年に及ぶ恨みを晴らそうとする様子を描いていく『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』！
今回は斬新な設定と謎解きが魅力的なサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
主人公の数奇な運命をお見逃しなく！
『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
政府がある目的のために造った島を八武崎瀧郎が訪れました。
島の様子を見て回っていると、建物の中で大勢の男性と女性が乱れるようにセックスをしています。
異様な光景を目撃した八武崎はその場から逃げ出しました。
ここから物語は50年前まで遡っていきます。
当時、30歳だった八武崎は愛する妻子のため懸命に働いていました。
定時を迎え八武崎が帰ろうとしていると、大口の取引先から問い合わせが入ります。
問い合わせに対応したため、この日も定時に帰ることはできませんでした。
最寄駅から自宅まで走って帰ることにします。
息を切らしながら玄関の鍵を開けるとドアがものすごい勢いで開きました。
ドアが頭部を直撃しながらも、八武崎は自宅から飛び出した男性を目撃します。
逃げて行った男性はフードを被っていたのですが、尖った耳が特徴的だったため記憶に残りました。
しかし今は男性のことを気にしている場合ではありません。
妻子のことが心配になった八武崎は慌てて家の中に入ります。
大声で妻と息子の名前を呼ぶのですが何も反応はありません。
そのままリビングまで行ってみると、妻と息子が血まみれで倒れています。
妻が夫の声に反応することはありません。
それでも声をかけ続ける八武崎は妻の傍に落ちている包丁を見つけました。
動揺しているためか包丁を手に取ってしまいます。
すぐに119番へ通報しました。
しかし救急車で搬送された2人は病院で死亡が確認されてしまいます。
突然不幸のどん底に落とされた八武崎は周囲の目を気にせず、悲鳴を上げながら大泣きしました。
すると悲しみに暮れる八武崎のところに警察官がやって来ます。
訳も分からず取調室に連れて行かれた八武崎は自分が容疑者扱いされていることに気付きました。
警察には耳の尖った男性のことを説明しています。
しかし目撃情報が全く出ておらず、さらに部屋からは男性の指紋や痕跡が一切発見されていません。
また凶器の包丁を八武崎が手に取ってしまったことも彼を容疑者だと疑っている理由なのです。
それだけでなく八武崎の衣類には被害者の血が大量に付着していました。
妻と息子の死亡推定時刻も八武崎の帰宅時間と一致しています。
これらのことから八武崎の証言を警察は妄想だと判断し、彼を容疑者として逮捕することにしました。
もちろん八武崎は妻と息子を殺してなどいません。
ですが警察は最初から八武崎が犯人であると決めつけている様子です。
そして警察の思惑通り容疑者として八武崎が起訴されてしまいました。
裁判でも彼の主張が認められることはありません。
殺人犯として服役することになった八武崎は弁護士に再審請求をお願いします。
しかし度重なる再審請求は棄却され続けました。
それでも八武崎は諦めることなどできません。
事件発生から50年後、80歳になった八武崎瀧郎が出所しました。
冤罪で奪われた50年という時間をここからどのように取り戻していくのでしょうか！？
まずは主人公が冤罪に苦しめられる様子を描いた序盤になっていますね。
ここから物語のテーマである若返りと冤罪が大きく結びついていきます。
妻子を殺された男性の復讐劇を斬新な設定で表現していく『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』！
超高齢化社会の光と闇をあぶり出していく衝撃作です。
科学が進歩することの恐ろしさを感じながら続きをご覧ください。
後編
80歳になった八武崎は出所できたことに喜びなど感じていませんでした。
今は1日でも早く死んで天国の妻子と会えることだけを願っています。
そんな状況の中、街中を歩いているとオーロラビジョンから日本政府がスタートさせた新制度のニュースが流れてきました。
ニュースでは20歳前後だと思われる女性たちのインタビューを紹介しています。
しかし彼女たちは20歳前後の年齢ではありません。
全員が80歳以上の高齢者なのです。
日本では1970年代から高齢化が進んできました。
そして現在は国民の40%が65歳以上という超高齢化社会に突入しています。
深刻な少子高齢化によってGDPは過去最低を記録、年金の受給年齢は80歳へ引き上げられ、消費税は40%まで増税されました。
この状況によって高齢者の自殺と犯罪が増加してしまいます。
医療介護費も膨大に膨れ上がっていき国家財政を圧迫していました。
深刻な状況を危惧した政府は莫大な国家予算を使って80歳以上の人間が若返る医療技術を開発したのです。
政府は手術と投薬によって若返った80歳以上の男女に職業訓練を受けてもらい、労働力として再雇用するための準備期間を過ごしてもらうための島を造りました。
制度が導入されてから3ヵ月が経過しましたが島内では何も問題が起こっていません。
このエイジングプロジェクトに残されたのは、若返った高齢者たちが労働力として起用可能なのかを実証するだけなのです。
八武崎が驚きながらニュースを見ていると、島内のカフェがオーロラビジョンに映し出されました。
そこには八武崎の運命を大きく変えた人物の横顔が映っています。
エイジングプロジェクトの実証実験を行っている島に妻子を殺した人物が存在していました。
殺人犯は罪に問われることもなく、若返った姿で現在も生きていたのです。
その姿を見た八武崎の胸に復讐心が沸き上がりました。
しかし殺人犯に近付く方法が見当たりません。
困惑しているとニュース番組がエイジングプロジェクトの二期生募集を伝えました。
この情報によって80歳以上であれば誰でも応募する資格があり、案内状が郵送されていることを知ります。
ニュースを見ていた八武崎は慌てて家に帰ることにしました。
するとポストに政府からの通知書が届けられていました。
若返って島に行けば妻子を殺した犯人に復讐できるかもしれません。
人生の希望を見失った八武崎はエイジングプロジェクトへの参加を決意します。
自分の数奇な運命を受け入れることにしました。
八武崎は愛する者の無念を晴らすことができるのでしょうか！？
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『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』を読んだ感想
不幸のどん底に突き落とされた主人公なのですが、エイジングプロジェクトという新制度が救いの光となるかもしれませんね。
冒頭のシーンで描かれた欲望まみれの島でどのような復讐劇が行われるかについても興味をそそられました。
超高齢化社会に警鐘を鳴らしていく『エイジング-80歳以上の若者が暮らす島-』！
若返ることで人間が幸せになれるのかという哲学的な一面も持ち合わせています。
復讐劇を読んでいきながら人間の尊厳についても考えてみてください。
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