『パナケイアの手』のネタバレ！本格医療漫画の魅力とは？

今回は「松本救助」先生の『パナケイアの手』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

『パナケイアの手』はこんな漫画(あらすじ)

パナケイアとは全てを癒すと称される医療の女神です。

アメリカにはそんなパナケイアの手を持つと呼ばれる天才女医が存在していました。

天才女医の名前は生野いくみといい、まだ15歳の女子高生だったのです。

医療業界から注目を集めるいくみだったのですが、彼女は1年前に突然姿を消してしまいました。

天才外科医と呼ばれたいくみの行方とは・・・！？

現役女子高生が難解なオペを成功させていく様子を描いた『パナケイアの手』！

今回は本格医療漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。

患者の心と身体に寄り添う女子高生外科医の姿に魅了されてみてください。

『パナケイアの手』の魅力紹介（ネタバレ含む）

前編

アメリカで全てを癒すとされる医療の女神“パナケイアの手”を持つと絶賛された日本人の女医が存在します。

彼女は11歳で名門大学に入学し、3年後には世界最年少の臨床医になりました。

実はギフテッドと呼ばれる先天的に高い知能を持つ希少な人材だったのです。

しかし困難な手術を次々と成功させた彼女は1年前に突然アメリカから姿を消してしまいました。

物語はここから現在の日本へ移っていきます。

啓陽大学病院で田宮聖司という研修医が手術室で吐いていました。

「吐ききって腹ん中空っぽ・・・腹減った・・・」

聖司は大阪の高校から一浪で東京の三流大に進学して研修医になることができたのですが、手術中に見る内臓には慣れていません。

さらに研修医の安月給と激務で死ぬような思いをしています。

「ああ・・・年収2000万越えの腕利き名医になって平日は毎日バリバリ仕事して、35歳でかわいい嫁さんもろて休日は毎朝ベッドでイチャイチャしながら嫁の入れてくれたおいしいコーヒーとパンで朝食・・・」

お金持ちになるという人生設計をしていたのですが、現状では理想通りにはいきそうもありません。

聖司が現状に絶望しながら道端で倒れていると、女性の声が聞こえてきます。

「大丈夫ですか？私の声聞こえますか？聞こえたら返事をしてください」

女性の声があまりにも可愛かったため、聖司はおかしな妄想をしてしまいました。

「かわいい声・・・ああ・・・オレの嫁さんか・・・」

「きゃあっ」

妄想の中で女性をお嫁さんだと思った聖司は思わず抱きついてしまいます。

すると女性に殴られてしまいました。

「すんません、ホンマすいません」

「私こそ思わず殴っちゃってごめんなさい」

「いや、そのおかげでこんなおいしいパンもらってしもうて、パン代・・・」

パン代を払おうとするのですが財布の中がからっぽです。

バッグの中を探してもお金はありません。

「いいですよ、それ私が作ったパンなんです、試作パンがおうちにあり余ってて消化するの大変だったんで助かります」

「マジで！これ自分作ってんの！？」

「私パン屋さんになるのが夢で・・・」

話をしていると聖司の携帯からアラームが聞こえてきます。

アラームは会議室を開ける時間を知らせるものでした。

「うまいパンごっそさん！えぇっと名前・・・」

「いくみ、西住高校1年の生野いくみです」

「啓陽大学病院勤務医の田宮聖司です」

ここで初めてお互いの名前と職業が分かります。

「お医者さんならしっかり食べなきゃですよ！」

「せやなー、でも買う暇もないっつーか？」

「でもまた倒れちゃいますよ・・・私のパンでよかったら差し入れますよ！私は試作パンが消化できてもっと練習で作れますし、田宮さんは食糧の確保ができますよね！？」

「ええんか？そんなん」

2人は持ちつ持たれつの関係のため断る理由はありません。

そのためお互いの携帯番号を交換して、いくみが定期的にパンを届けることになりました。

「気が合いますね、ドクター」

「確かにはじめて会うたとは思えへんくらいやわ、ほなな、命の恩人」

「はい、お仕事頑張ってください」

まだ研修医なのに勤務医と名乗ってしまった聖司はいくみと別れた後、大きな罪悪感を覚えてしまいます。

倒れただけで医者失格と言われても仕方ないため、急いで職場へ戻って勉強することにしました。

果たして聖司は一人前の医者になることができるのでしょうか！？

生野いくみが医者を辞めた時から物語が始まっていきましたね。

現在のいくみはパン屋を目指しているのですが、医者を辞めた理由はまだ明かされていません。

天才女医の苦悩と葛藤を表現していく『パナケイアの手』！

ここから少しずついくみのパーソナルな部分が解明されていきます。

彼女が医者に戻るかどうかドキドキしながら続きをご覧ください。

後編

いくみと別れ大学病院へ戻った聖司はやる気に満ち溢れていました。

しかし呼吸器外科の医師から外科医に向いていないと叱責されてしまいます。

その理由は手術中に聖司が頻繁に倒れてしまうためでした。

たとえ研修医でも医師免許を持った日から患者にとっては立派な医師なのです。

手術になれていない聖司は落ちこみながら別の仕事を取り組むことにしました。

「診察予約をドタキャンした人に電話って医者の仕事なんか・・・？医者・・・やろか、オレ・・・」

医師でなくてもできる仕事をやってしまいますます落ち込んでいきます。

そんな聖司のところにいくみがパンを持ってきてくれました。

「あんぱんってあんこがぎっしりが理想なんですけど空洞できちゃって・・・水分の問題らしいんですけどなかなか難しくて・・・でも食べれるものですよ！？」

現在のいくみにはこれがベストのあんぱんです。

「確かに膨らみ欠けとるけど精一杯の心がこもってるからうまいわ、そういや昔、主治医はん達もオレにいつも最善を尽くしてくれとった」

病弱だった少年時代、聖司は入退院を繰り返していました。

その時に主治医が精一杯治療してくれたことが医者を目指すきっかけになったのです。

いくみのパンを食べて初心を思い出した聖司。

あんぱんの残りは明日食べると言っていくみからパンを全て受け取りました。

「じゃあ明日またあんぱんリベンジします」

いくみが帰った夜、宿直室で手術の自主練に取り組みます。

すると交通事故に遭った30代の女性が救急搬送されてきました。

女性は右前腕を車によって轢断されている状態です。

「腕の再接着手術なんて研修医じゃできへん！」

当直の責任医師に連絡を取るのですが渋滞に巻き込まれているためすぐには来られません。

この場には医師が聖司しかいないため、聖司が再接着手術を行うことになりました。

経験がない聖司が混乱しているといくみがパンを持った病院にやってきました。

「田宮さん・・・？」

「あ・・・パンか・・・ごめんな、今から緊急オペやねん、あともういっこごめん、オレ実は医者っつっても全然何もできへん研修医で・・・」

正直に再接着手術ができない未熟者だと明かすのですが、もう手術室に向かわなければいけません。

弱弱しい聖司の姿を見たいくみが医師としての表情を見せ始めます。

「バイタルサインは？四肢完全断絶ならショックや感染症の恐れもあります、ゴールデンタイム内に終わらせましょう」

ゴールデンタイムを超えてしまうと切断された四肢を再接着することはできません。

医師の顔に戻ったいくみは聖司と一緒に手術を始めました。

「今何が起こってんのや、さっきまでどこにでもいるフツーの女子高生やったのに・・・」

女子高生のいくみが手術をしている姿が現実とは思えません。

しかし天才女医のいくみは目の前で完璧な手術を続けていきます。

「田宮先生、ちゃんと患者さんを見てください、何か怖いものを切ってるんじゃないです、私たちは人に触れているんです」

先程までは焦燥した状況だったのですが、いくみの声を聞いているうちに聖司の心が安らいでいきました。

「小さい彼女の手が無駄なく細かい動きで丁寧に紡いでいく姿を大学で見ていたんだ、この子があの”パナケイアの手”だ・・・」

手術が無事に終了するといくみは隠れるように手術室を出て行きます。

「ふぅ・・・やめるってきめたのに・・・もう・・・絶対やらない」

後日、聖司は患者の経過を伝えるためいくみの元を訪ねました。

「いやー、いくみさんがあのパナケイアの手の先生やなんて、1年前の報道の時と苗字が違っとったから気づかなかったわ・・・なんで日本なんかにおるん？」

「バレたくないので母方の性を名乗ってました、私実は日本では手術できないんですよ」

「そんないい腕持ってんのに、オレなんかよりずっとー」

「私の手は、とあるオペで人を殺しました、もともと医者になりたかったわけじゃありません、進められるがまま進んでいった結果なんです」

いくみは幼い頃からパン屋さんになりたいという夢を持っていたのです。

人を殺めてしまう可能性がある手よりも、喜んでもらえるパン屋の手をいくみは選びました。

「それでも救ったやろ、本当にもう医学界を離れたいなら病院に差し入れでこないだろ！？」

「・・・それは」

「オレ・・・今回初めてオペ中に倒れんかってん、ちゃんと日々医学と共に成長しとるから、だから君が医者に戻った時にオレが折れへんように助けたる」

「考えておきます」

いくみがパナケイアの手と称賛される医師に戻るかどうかは、聖司がどのように成長していくのかにかかっているのです。

近い将来、天才女医が復活する日はやって来るのでしょうかやって来るのでしょうか！？

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『パナケイアの手』を読んだ感想

シリアスな部分とコミカルな部分が見事に融合した物語になっていますね。

特にいくみが聖司と患者を救うため手術を決意したシーンが印象的でした。

天才女医の活躍と研修医の成長を描いていく『パナケイアの手』！

本格的な医療漫画を読みたい人にオススメの作品です。

患者の病と心を治療していく医師の姿を読んで大きな感動を味わってください。

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