今回は「大月悠祐子」先生の『ど根性ガエルの娘』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『ど根性ガエルの娘』はこんな漫画(あらすじ)
ど根性ガエルという作品は国民的ギャグ漫画として一世を風靡しました。
しかし物語の作者が家庭をぶち壊した最低の父親だったことをご存知でしょうか？
ギャンブルに狂い家族に暴力を振るったあげく、父親は突然の失踪を遂げてしまいます。
そんな父親に苦しめられた家族のエピソードを実の娘が再現していく『ど根性ガエルの娘』！
今回は波乱に満ちたヒューマンドラマの魅力について、ネタバレを含みながらご紹介していきます。
昭和と平成の日本を舞台にした衝撃的な家族の物語をじっくりとお楽しみください。
『ど根性ガエルの娘』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
平成11年、25歳の大月悠祐子は漫画家として働いていました。
そんな彼女の元に出版社の編集者から電話がかかってきます。
悠祐子は一旦執筆活動を中断して父の部屋へ向かいました。
しかしそこにいるはずの父の姿が見当たりません。
編集者にこの事実を伝えると原稿の締め切りが本日までだと言われてしまいます。
電話を切ると悠祐子はギャンブルが好きな父親が行きそうな場所をしらみつぶしに探すことにしました。
すると訪れた6軒目のパチンコ店で父親を発見します。
原稿が落ちるということは連載自体が消滅することを意味していました。
ですが娘の言葉を聞いても父親に動じる様子は見られません。
パチンコ台から離れようとしない父親を悠祐子が無理矢理外へ連れ出します。
すると店から出された父親の逆ギレが始まりました。
必死に説得する悠祐子なのですが、父親は聞く耳を持ってくれません。
トボトボとした足取りで娘の前から姿を消してしまいました。
このまま父親は失踪してしまい原稿を落としてしまったのです。
父親がど根性ガエルの連載を始めたのは20歳の頃でした。
当時まだ若かった父親は次々に原稿を完成させていきます。
その甲斐もあり単行本は爆発的なヒットを記録し、ど根性ガエルはアニメ化されることになりました。
アニメも大ヒットとなったど根性ガエルは日本中の子供たちを夢中にさせていきます。
そんな中で子宝にも恵まれた父親の人生は、幸せの絶頂で希望に満ち溢れていました。
ですがど根性ガエルの連載終了後、彼は極度のスランプに陥ってしまいます。
あれほど精力的に取り組んでいた執筆活動より、ギャンブルにのめり込んでしまいました。
その結果、父親は13本の原稿を落とすことになってしまいます。
父親はそのまま妻子を捨て失踪してしまいました。
いつものように目を覚ました悠祐子が台所に向かうと、キッチンからカレーの匂いがしています。
そして20分後、父親の作ったカレーを食べながら悠祐子がある宣言をすることにしました。
こうして悠祐子は波乱万丈な家族の物語を漫画にすることにしたのです。
果たして彼女たちの人生にはどのようなドラマが巻き起こっていくのでしょうか！？
日本人なら若者でも知らない人はいない名作漫画のど根性ガエル。
しかし作者と家族が壮絶な人生を送ってきたことはあまり知られていません。
その衝撃的な歴史を自叙伝的に描いていく『ど根性ガエルの娘』！
あまりにも信じられないストーリーが多くの漫画ファンから反響を呼びました。
ここから少しずつ再生と破綻を繰り返していく悠祐子たち。
引き続き波乱を繰り返していく物語をご覧ください。
後編
物語は再びど根性ガエルの連載が終了した昭和の時代までさかのぼります。
当時、32歳だった父親は家を出る時には仕事場へ向かう気持ちがありました。
しかし気がつくとビルの屋上で佇んでいたのです。
そのまま靴下を脱いでビルの屋上から放り投げる父親。
落下していく靴下を眺めながらよろめいてしまっています。
昭和の漫画業界では漫画家が原稿を落とすことは干されることを意味していました。
ビルの屋上で死にきれなかった父親は、ズボンのポケットに入っていた3万円を握りしめ夜の繁華街へ姿を消していきます。
残された母親はその後、必死に父親を捜し続けました。
そんなことになっているとは思ってもみない自分勝手な父親は、3万円を元手にギャンブルで生計を立てていたのです。
お金がなくなるまではギャンブルで生きていくと決めた父親だったのですが、運が良いのか悪いのか彼はギャンブルで勝ち続けてしまいました。
しかしそんな生活を過ごしているうちに父親の頭の中にある感情が芽生え始めます。
ど根性ガエルの連載終了後、父親の元には出版社の編集者から数えきれない催促の電話がかかってきました。
彼らは次から次へとど根性ガエルを超えるヒット作を父親に希望してきたのです。
その度に父親は悩んでいきアイディアが枯渇していきました。
ですがそんな状況を編集者たちは理解してくれることはありません。
全てを失ったことを思い出した父親は自宅に無言電話をかけることにします。
しかし彼の唯一の味方とも言える妻は全てを理解してくれていました。
何も言わず悠祐子の母親は失踪した夫を温かく受け入れたのです。
しかし父親が帰ってきたことは、彼らに巻き起こる壮絶な物語のプロローグに過ぎませんでした。
一旦は父親を笑顔で迎え入れた母親と悠祐子たち。
実はここからが本当の意味での波乱を迎えることになるのです。
夫が戻って来てからはスランプになった彼の代わりに妻が生計を立てていきました。
しかし父親はそんな妻の財布からお金を抜き取ってしまいます。
挙句の果てにはDVを繰り返すようになり家庭環境は崩壊していきました。
そんな家族のことを漫画にしようと思った悠祐子には一体どのような思いがあったのでしょうか！？
彼女の心境に注目しながら漫画を読んでみてください。
『ど根性ガエルの娘』を読んだ感想
昭和を代表するギャグマンガの作者が壮絶な人生を送ってきたことに驚きを隠せませんでした。
平成生まれの若者には信じられないかもしれませんが、この物語は実の娘が描いたノンフィクションです。
人気漫画家の裏側を忠実に再現した『ど根性ガエルの娘』！
ここから先の展開にはハッピーな出来事とアンハッピーな出来事が混在していきます。
もちろんDVなども描かれていくので幸せな気分だけを味わえる漫画ではありません。
しかしだからこそ作者が伝えたかった真実を感じ取れる物語になっています。
成功と失敗をリアルに表現した作品は、多くのものを学べる素敵なヒューマンドラマだと思いました。
是非この機会に人生にとって大切な何かを教わってみてください。
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