今回は「茂木清香」先生の『青の母』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『青の母』はこんな漫画
七瀬絲子（ななせいとこ）は7歳の頃、母親に殺されかけるという悪夢を経験しました。
この体験により絲子から笑顔が失われてしまいます。
施設で心を閉ざす彼女を救ってくれたのは、生方冬弥（うぶかたとうや）という少年でした。
月日が経ち19歳になった絲子は冬弥との結婚を目前に控えています。
しかし彼の生まれ故郷である水籠村（みごもりむら）には、ある忌まわしき因習が残されていました。
その悪しき伝統によって再び悪夢の世界へ導かれてしまう絲子。
悲しい運命に巻き込まれていくヒロインの姿を描いた『青の母』！
今回はこのダークファンタジー漫画の魅力を、ネタバレを含みながらご紹介していきます。
不気味な人形がインパクト抜群の物語に衝撃を受けてください。
『青の母』フクロウが絲子にもたらす悲劇とは？
前編
幼い頃の絲子が施設でおもちゃのピアノを弾いています。
絲子は7歳の誕生日に、母親の無理心中によって命を落としかけました。
なぜ母親が自殺をしたのかは今となっては分かりません。
とっさに逃げ出した絲子は足に大怪我を負ってしまいましたが、命に別条はありませんでした。
これが母親に殺されかけた時に絲子が聞いた、人が死ぬ時の音だったのです。
さらに絲子はこの時に母親の死に顔を見ていました。
この日を境に笑顔が怖いと感じるようになった絲子は、何が起きても笑うことができなくなったのです。
そんな彼女を周囲の人間は人形のようだと思っていました。
母親の自殺の理由が分からず、なぜ死を前にして笑っていたのかも理解できません。
こうして絲子はどんどんと心を閉ざしていってしまいます。
しかし彼女の固まった心を解きほぐしてくれる少年が現れました。
少年の名前は生方冬弥といい、絲子がいる施設に頻繁に遊びに来ていました。
最初は冬弥が差し伸べる手を振り払ってしまっていた絲子。
しかし何度振り払っても冬弥は手を差し伸べることをやめなかったのです。
二人はこのまま成長していくにつれ、次第にお互いを求め合うようになっていきました。
そして絲子が19歳になると、二人は結婚の約束をすることになります。
結婚式は冬弥の生まれ故郷である水籠村で行われることになりました。
水籠村に到着した日の夜、実家の中を絲子が冬弥を探して歩き回っています。
どこにも冬弥の姿が見当たらないため困り果てていました。
すると実家の一室がふと目に留まります。
そのため襖を開けてみることにしました。
窓から月明かりが漏れ出すその部屋の中には、絲子にそっくりな人形が置かれています。
今にも動き出しそうなほど人形は精巧にできていました。
絲子がこの人形に触ろうとするとどこからか声が聞こえてきます。
一瞬ですが絲子にはこの人形が喋ったように感じました。
しかしすぐに人形の後ろに冬弥が隠れていることに気がつきます。
こうして二人はめでたく結婚式当日を迎えることになりました。
ですが村に残されている悪しき因習は、人形を奉納するだけではなかったのです。
想像を絶するほどの悪夢を巻き起こす水籠村の伝統行事とはどういったものなのでしょうか！？
過去のトラウマによって一時は心を完全に閉ざしてしまった絲子。
しかし冬弥が彼女を絶望の淵から救ってくれました。
そんな二人が結婚するまでを描いたここまでの物語はとても感動的ですね。
ですがこの作品はここから衝撃的なストーリー展開を繰り広げていきます。
一気にダークファンタジー漫画の要素を強めていく『青の母』！
ホラーとサスペンスの面白さも見事に融合させていると思います。
それでは大迫力の恐怖を引き続きお楽しみください。
後編
ついに厳かな雰囲気の中、絲子と冬弥の結婚式が始まりました。
結婚式が始まると村の若い女性が祝いの舞を披露していきます。
その舞を絲子は羨ましいと思いながら眺めていました。
実は母親に殺されかけたことで両足を悪くした絲子は、未だに後遺症を抱えていたのです。
彼女の不自由な足では、今見ている舞のような動きをすることはできません。
そのため華麗に舞を踊る女性に見惚れていたのです。
倒れた絲子を冬弥は優しく抱きかかえてくれました。
どこまでも優しい彼の腕に包み込まれた絲子は、心の底から冬弥の妻になれて良かったと思ったのです。
その後、結婚式は順調に進んでいき人形供養の儀が始まろうとしていました。
式場には欠席者の代わりに本人とよく似た水籠人形が置いてあります。
人形を見た絲子が不気味に思っている中、人形供養の儀が始まりました。
まず絲子と冬弥が炎の中に人形を入れていきます。
炎に焼かれる人形を見ながら絲子があることに気がつきました。
次の瞬間、人形が絲子の方へ顔を向けます。
その様子を奇妙だと思っていると、急に人形が爆発しました。
爆発が起きる直前、人形が言葉を発したような気がする絲子。
このことを冬弥に伝えようとすると、頭の中に歌が流れ始めてきました。
すると人形たちが一斉に「青の母コドクの中で子を孕む」と歌い始めます。
人形が歌い始めたことで式場がパニックになる中、異形の姿をした化け物が壁を突き破って乱入してきました。
村人たちはこの化け物のことを“ドブメ”と呼びながら恐れおののいています。
ドブメは式場に集まっていた村人を次々に殺害していきました。
状況が全く理解できない絲子は、その様子を呆然としながら眺めています。
混乱する絲子を冬弥が落ち着かせようとするのですが、ドブメの背後に謎の人物が立っていることに気がつきました。
その時、絲子は自分を守ってくれるように抱きしめてくれる冬弥の腕の中で、幸せになれるはずだった未来の姿を思い浮かべています。
走馬灯のように未来の姿が頭の中をよぎった次の瞬間、冬弥が頭から血を流し倒れてしまいました。
彼が倒れる姿を見ている絲子の耳には、人が死ぬ音が聞こえています。
悲鳴を上げる絲子の前に、ドブメの背後にいたフクロウのお面を被った謎の人物が立ちはだかりました。
フクロウ男はドブメを連れてそのまま立ち去って行きます。
絲子はこの騒動のショックで意識を失ってしまいました。
しかし彼女を待ち受ける悲劇的な運命はまだ始まったばかりだったのです。
水籠村に伝わる不気味な因習と、フクロウ男とドブメによって最悪な事態に巻き込まれていく絲子。
ここから先のスリリングな展開は、実際にご自身の目で漫画を読んで確かめてみてください。
『青の母』を読んだ感想
結婚式場に不気味な人形が置かれていたあたりから、ダークファンタジー漫画らしい緊迫感のある展開が始まりましたね。
ここからのテンポの速さと恐怖感がたまらなく面白かったです。
多くの読者がのめり込んでしまう魅力を持った『青の母』！
ミステリー漫画のような謎解きの楽しさと、ホラー漫画のような恐ろしさも兼ね備えている作品です。
そのため多くの読者を夢中にさせることができると思いました。
男女を問わず漫画ファンなら読んでおくべき作品ですよ。
是非この機会に圧倒的な臨場感を味わってみてください。
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