今回は「NICOMICHIHIRO」先生の『そのモガリは熱を知らない』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『そのモガリは熱を知らない』はこんな漫画(あらすじ)
多摩医科大学で研修医をしている南陽人は、配属先が決まらず途方に暮れています。
そんな中、教授から検死に立ち会うことを命じられました。
経験がない南は警察に流されるまま死因を特定してしまいます。
するとそこに医師免許を持つ風変わりな女刑事の狩結ランが現れました。
彼女が驚異的な解剖テクニックで特定する遺体の死因とは・・・!?
死を診られる医師の活躍を描いていく『そのモガリは熱を知らない』!
今回はインパクト抜群の法医学ミステリーについてネタバレを含みながら魅力をご紹介していきます。
蓋をされた死因を開けていくカッコ良さを目に焼き付けてください。
『そのモガリは熱を知らない』の魅力紹介(ネタバレ含む)
前編
多摩医科大学付属病院で研修医たちが配属先について会話しています。
研修医の多くが配属先を決めているのに、南陽人だけはまだ配属先を決められていません。
このままでは研修期間を終了できない可能性が出てきました。
焦っていると教授が懸案に立ち会うことを命じてきます。
しかし南には経験がありません。
それでも教授から警察の指示に従って適当に終わらせろと言われます。
仕方なく現場に向かうことにしました。
到着すると警察官が遺体を見せてくれます。
亡くなっていたのは工場でアルバイトをしている48歳の男性でした。
男性は6時半頃に発作を起こして倒れたようです。
苦しそうにしていた男性に警察官が声を掛けたそうなのですが、そのまま亡くなってしまいました。
刑事たちに流されるまま南は遺体を診ることにします。
生きた人間を診るのが医師だと思っている南は遺体を診察したことなど経験がありません。
それでも診察を続けていると、遺体に不審な点があることに気付きます。
しかし具体的に何が不審なのか分かりません。
とりあえず違和感をスルーして検死を続けます。
ポケットの中には服用薬が入っていました。
警察から男性が不整脈を持っていると聞いていたのでその薬だと思われます。
これ以上の診察をできないため、男性の通院先か担当医に病状を確認してもらいたいと提案しました。
ですがただの発作だと決めつけている警察は、南に病死の判断を求めてきます。
南には経験が無いのですが検案を研修医が担当するのは珍しくありません。
もしも現場が病院なら投薬状況やバイタル記録を確認できます。
何も確認できない南に対して刑事は死因の特定を求めてきました。
流されるまま病死と判断してしまいます。
すると刑事が検案書への記入をお願いしてきました。
たとえ研修医でもこの検案書に死因を記入してもらえば手続きは完了するのです。
南が検案書の死因を記入する欄に心不全と書こうとした次の瞬間、現場を覆うテントの外から女性の声が聞こえてきました。
女性の不自然という言葉で南は違和感の正体に気が付きます。
男性の死亡を確認したのは6時半頃でした。
死後硬直は平均すると死後5~6時間でゆるやかに始まっていき、12時間程度で最強の状態になります。
そこから徐々に硬直が解けていき30時間が経過すると緩解するものなのです。
南が違和感の正体に気づいたところで女性が現場に近付いてきました。
制止する警察官に対して女性が警察手帳を提示します。
ここから警察でありながら医師免許を持っているランの死因究明が幕を開けることになりました。
大都市以外では検死があまり行われないことは知っていましたが、研修医でも検案書にサインできることは知りませんでした。
この漫画を読んでいくと日本が検死の後退国と言われている理由が良く分かりますね。
本格派の医療系サスペンス漫画として完成度が高い『そのモガリは熱を知らない』!
特に注目してもらいたいのは狩結ランの天才的な解剖テクニックです。
ランと出会ったことで一変する南の人生も見所の1つになっていますよ。
後編
男性の遺体が発見された多摩市は法医解剖の制度範囲外です。
そのため刑事は解剖に難色を示しました。
不審死体を一律で解剖する監察医制度は東京23区、名古屋市、大阪市、神戸市でしか行われていません。
これらの場所以外で発見された不審死体は素人の医者が検案のような真似事をして終わらされてしまうのが実態なのです。
ランは警察に近くの法医学教室まで遺体を運ばせることにしました。
しかし遺体を運搬した法医学教室は担当の教授が不在で執刀する医師がいません。
周囲が騒然とする中、ランの法医解剖が始まりました。
まず解剖する前に遺体の状態を目視していきます。
遺体の死斑は赤紫色で胸部の広範囲に強く色が出ていました。
眼球には溢血点があり直腸の温度は32℃になっています。
ATPは運動時も減少することが医学の進歩で解明されました。
歴史時代劇で有名な弁慶の立ち往生も戦闘中の急死が原因と言われています。
つまり運動中の急死体や筋肉量の多い人間は通常よりも死後硬直が早く進むのです。
いよいよランが遺体にメスを入れ始めました。
南はランの技術に見惚れてしまいます。
胸を切り開いていくと第3、4肋骨が骨折していました。
そして左心室が肥大していることと、多量の血腫があることから心タンポナーデだと判断します。
状態は病死なのですがランは死因を全体像で捉えていました。
解剖を見ていた南も死因に気付き始めます。
男性の死因は警官が制圧するため圧迫したことによるものでした。
最初は心配して声を掛けたのですが、男性に強くはねのけられたので警察官はカッとなったそうです。
法医学がその蓋を開けられる存在だと知った南は、配属先を法医学に決めました。
南の進む道の先にはどのような人間ドラマが待ち受けているのでしょうか!?
『そのモガリは熱を知らない』はこんな人にオススメ
サスペンス漫画と医療系漫画が好きな人にオススメの作品です。
遺体の死因を究明していく法医学者の優秀さを丁寧に描いた物語になっていますよ。
古代の日本で行われた葬儀儀礼をテーマにした『そのモガリは熱を知らない』!
亡くなった人間の声を聞く仕事の重要性を感じることができる作品です。
是非この機会に法医学者の存在意義を学んでみてください。
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