『報復刑』のネタバレ(漫画)!胸を打つヒューマンドラマです!

今回は「トータス杉村」先生の『報復刑』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。

※記事の中にはネタバレ部分がありますので、お先に立ち読みをお勧めします!

 

『報復刑』はこんな漫画

凶悪犯罪の加害者に対して死刑制度が廃止された日本。

その代わりに新たな法案として成立したのが、「報復刑」だったのです。

この新制度により加害者に怒りと悲しみを込めて報復する被害者家族たち。

彼らが報復を選んだ裏側には、当事者にしか理解できない悲痛な心境が潜んでいました。

かたき討ちという行動の是非を問う、衝撃的な社会派ヒューマンドラマとなっている『報復刑』

今回はこの漫画の魅力をネタバレを含みながらご紹介していきます。

こんな時代だからこそ避けては通れないストーリーを目に焼き付けてみてください。

 

『報復刑』の魅力紹介(ネタバレ含む)

前編

1989年、国際連盟で死刑廃止に関する議定書が採択されます。

この採択により世界各国は死刑廃止への道を進み始めました。

2014年になると、先進国の中で死刑制度を存続させているのは日本とアメリカの1部の州だけになっています。

そんな中でも日本の国民は85%以上が死刑を容認していました。

ですが20XX年、ついに日本も死刑を廃止すること法案をを国会が決定することになります。

その代わりに法整備されることになったのが「報復刑」でした。

この法案は国の管理下で、被害者遺族が殺人罪で有罪判決を受けた加害者に報復ができるというものです。

愛する者を殺害された遺族が自らの手で加害者を裁くことができる、そんな法案が近未来の日本では合法化されていました。

ここから物語は「報復刑」を巡り、悲しい運命を背負うことになったある家族の姿を描いていきます。

沙織
「よしっ、今日の面接は手ごたえあったぞ、上京して3ヵ月、ようやく私にも春が来るかも」

美容師を目指して上京した沙織。

この日は面接に手ごたえを感じていました、

すると母親から電話がかかってきます。

娘を心配する父親に代わって、母親が近況を聞いてきました。

沙織
「心配しなくても大丈夫だよ、今日も面接上手くいったし」

アルバイトの時間が迫っているため、沙織は電話を切ってしまいます。

そんな娘のことを思いながら、父親はアルバムを眺めていました。

父親
「初めて沙織をこの腕に抱いた時思ったんだ、この子は俺が命にかえても守るんだって」

妻から親バカぶりを笑われてしまいます。

22歳の娘のことが可愛くて仕方ない父親。

とても幸せそうな家族に悲劇が起こったのは、この日の夜のことでした。

脱法ハーブ中毒の若者2人が、お金目当てのためたまたま目についた沙織を襲ってしまったのです。

背後からいきなり刃物で刺されたしまった沙織。

彼女はこのまま帰らぬ人となってしまいます。

沙織を殺害した若者2人は、罪の意識を感じることなく逃げ回っていました。

そんな中、沙織の実家に警察から連絡が入ります。

父親
「母さん、沙織か?」

娘の声を聞きたいと思う父親。

しかし彼に伝えられたのは沙織の訃報だったのです。

病院の霊安室で娘の遺体と向き合った父親は、この日以来眠れない日々を過ごすことになりました。

ふとテレビを見てみると「報復刑」のことを語るジャーナリストの姿が映し出されます。

江戸時代の仇討ちみたいで野蛮だと語るジャーナリスト。

被害者遺族の気持ちを理解していない発言に、父親は怒りを覚えます。

実はこの頃、彼の妻は精神が不安定になり入院していました。

娘を殺害されたことにより、家庭を崩壊されてしまった父親。

彼はある決意を胸に沙織の墓参りに向かうのでした。

 

 

凶悪犯罪者の被害者になってしまった人の心に浮かんでしまう報復という感情。

その気持ちは誰にも否定することはできないと思います。

しかし現在の日本では報復は許されていません。

そんな社会的な問題と真っ直ぐに向き合っていく『報復刑』

ここから物語は被害者遺族と加害者が向き合う展開を迎えていきます。

あなたなら報復という制裁方法をどのように考えますか?

この漫画を読むと被害者遺族の感情と真剣に向き合うことができますよ。

それでは父親が導き出した結論を見守ってあげてください。

後編

沙織を殺害した2人は無期懲役の判決を受けていました。

しかし2人の現在の状況は正反対だったのです。

まるで反省をせず判決に不服を訴える青年と、罪を反省して遺族に謝罪の手紙を送る青年。

両極端な2人なのですが、反省する青年は罪の意識から自殺未遂を繰り返していました。

一方、娘の墓参りに来ている被害者遺族となった父親。

家族で行った花見の思い出を娘の墓前で語っていました。

父親
「沙織に初めて晩酌してもらって・・・幸せだったなあ」

そして父親は娘の仇を討つことを墓前に誓います。

父親
「沙織の仇は父さんが討ってやるからな!」

こうして彼は加害者と直接対面することになりました。

父親は2人の様子をじっくりと観察していきます。

すると手紙を送ってきていた青年が土下座をしてきました。

本当に罪の意識を感じているこの青年。

その姿を見たもう1人の青年は反省する気持ちなどないのですが、報復されることを恐れ謝罪する芝居を始めました。

罪を一生背負って償っていくと嘘泣きをしていきます。

彼の姿を見た父親は黙って包丁を差し出しました。

父親
「反省しているなら、その包丁で自分の腹を刺して死んでくれ」

この言葉に本性を出した青年は激しく抵抗し始めます。

暴れながら許しを請う青年。

しかし父親が彼を許すことはありませんでした。

父親
「謝って済むわけがないだろ、このクズがっ!!」

青年の背中に包丁を突き刺します。

娘の無念を晴らした父親は、続いて本当に反省している青年に包丁を渡しました。

父親
「自分で死ぬか、俺に殺されるか選べ」

すると罪の意識にさいなまれる青年は自殺することを選択しようとします。

彼が自殺することによって罪を償おうとすると、父親が止めに入りました。

父親
「自分勝手に人を殺して、自分勝手に死ぬだと、そんなことは俺が許さん、お前は生きろ」

彼を許した訳ではないのですが、罪の意識を背負って生きていくことを選択させたのです。

娘を殺害したことをずっと後悔し続けてほしいと願う父親。

彼に子供ができた時に初めて自分の気持ちが理解できるだろうと思っていたのです。

こうして加害者にそれぞれ報復と懺悔することを求めた父親は、改めて娘の墓参りに向かいました。

父親
「終わったよ、沙織・・・ごめんな、沙織は優しいから報復刑なんて望んでいなかっただろ」

娘のいない世界で少しずつ前を向いて生きることを誓う父親だったのでした。

 

『報復刑』はこんな人にオススメ

真面目なヒューマンドラマを読みたいと思っている人にオススメの作品です。

感情移入していくとこの物語の奥の深さがより理解できると思いますよ。

胸が痛くなる切ない現実をテーマにした『報復刑』

物語の設定には賛否両論があると思いますが、絶対に読んでおくべき素晴らしい漫画になっています。

色々と考え込んでしまうほどの奥深いストーリーを体感してみてくださいね。

 

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