今回は「原作 君塚力 作画 日丘円」先生の『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』という漫画を読んだので、ご紹介していきたいと思います。
『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』はこんな漫画(あらすじ)
相沢優一は中学校の頃に壮絶なイジメに遭っていました。
35歳になった現在、中学校の同窓会に参加することにします。
イジメられていた相沢が出席するとは思っていなかった同級生たちが混乱する中、イジメの主犯だった鈴木という男性と再会しました。
そこで“いじめられる側にも原因ってあるんだよ”と言い放った鈴木に対して、相沢は彼が変わっていなくて良かったと安堵します。
自分がこれからも勝者の立場でいられることを確信する鈴木なのですが、暴力でねじ伏せてきた相沢が最愛の娘が通う中学校の教師をしていることを知りません。
20年間の時を超えて加害者に復讐するイジメ被害者を描写した『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』
今回はイジメの本質に迫っていくサスペンス漫画の魅力についてネタバレを含みながらご紹介していきます。
イジメの加害者と被害者のどちらに問題があるのか考えながら衝撃作を読んでみてください。
『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』の魅力紹介（ネタバレ含む）
前編
中学生だった相沢優一はクラスメイトからイジメられていました。
卒業までの暇潰しという理由でイジメを主導したのは鈴木というクラスメイトの男子です。
3学期の途中で相沢が不登校になるまで凄惨なイジメが終わることはありませんでした。
20年後の2021年5月下旬、相沢たちが通っていた中学校の同窓会が行われています。
各々が成長した姿を久しぶりに見れたことを喜んでいると、イジメの主犯だった鈴木が遅れて登場しました。
クラスの中心メンバーだった鈴木は同窓会の進行を任されています。
鈴木が進行の準備をしていると、女性たちが彼の噂話を始めました。
女性たちによると現在のスズキはエリート銀行員で、年収は1000万円を超えているそうです。
それぞれが談笑しているといよいよ鈴木の進行で同窓会が始まりました。
鈴木のジョークによって会場の雰囲気が和んでいきます。
しかしこの和んだ雰囲気を乱す人物が会場に現れました。
数人がその人物の登場に気が付くのですが鈴木はまだ気が付いていません。
それでもザワザワした雰囲気でようやく鈴木が登場した人物の存在に気付きます。
登場した人物のネームプレートには相沢優一と書かれていました。
誰もが相沢の登場に固まってしまう中、鈴木は平常心を保とうとします。
乾杯が済んでも同窓会の雰囲気が落ち着くことはありません。
その理由は壮絶なイジメに遭っていた相沢が同窓会に参加するはずがないと思っていたためです。
誰もが不思議に感じている中、1人の女性が相沢に当時のことを謝罪しました。
現在は結婚して子供もいる女性は相沢から恨まれているのではないかと心配していたのです。
相沢の笑顔を見た他の人たちもイジメの傍観者だったことを謝罪しました。
大人になったクラスメイト達はずっとイジメについて後悔していたのです。
しかし主犯だった鈴木は少しも後悔していません。
まるでイジメなど無かったかのような態度で接してきます。
クラスメイト達は鈴木の態度を信じられない表情で見つめていました。
何故なら鈴木は卒業までのマンネリを解消するという下らない理由でイジメを発案したのです。
緊張感が走るクラスメイト達なのですが、ここで相沢が意外な態度で鈴木と接しました。
どういう意味があるのかは分かりませんがイジメの加害者と被害者が握手を交わします。
この光景を見て安心したクラスメイト達は記念写真を撮影することにしました。
しかし鈴木だけは相沢の存在を受け入れていません。
何も答えない相沢に鈴木はそういうところが気に入らなかったと伝えます。
鈴木の言う通り相沢はどんなに酷いイジメに遭っても抵抗することはありませんでした。
少しも反省していない鈴木の言葉を聞いた相沢は何故か笑みを浮かべます。
大人になった今でも過去のイジメについて全く反省していない加害者へ相沢はどのような報復を加えるのでしょうか！？
イジメの被害に遭っていた主人公が同窓会に参加した時にクラスメイト達が衝撃を受けるシーンがインパクト抜群でした。
加害者だけでなくイジメの傍観者たちも主人公に謝罪したいと思っていたことも印象的ですね。
その中でイジメの主犯だけには謝罪の意思がありません。
最低な加害者が何も変わっていなかったことで復讐を決意した主人公の姿からイジメの実態について問いかけていく『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』
イジメの問題について議論される度、被害者にも原因があると言う論客がいますが、被害者に原因があるはずなどありません。
加害者の醜悪な愚かさを実感しながら続きをご覧ください。
後編
同窓会が終わると鈴木が妻と娘のまつ自宅へ戻ります。
イジメの加害者だったことなど知る由もない妻と娘は鈴木のことを笑顔で出迎えてくれました。
みすぼらしい服装だった相沢を見れたことで鈴木は自分が人生の勝者であることを確信します。
翌日、気分が良くなった鈴木が仕事に出かけると、娘の詩織も中学校へ向かいました。
しかし下駄箱を開けた詩織の顔が真っ青になります。
下駄箱には死ねと書かれたメモが入れられていました。
このようなイジメは今に始まった訳ではありません。
何度も死ねと書かれたメモやキモイと書かれたメモが入れられているのです。
それでも気にしないようにしながら教室へ向かっていると先生が声をかけてきました。
鈴木には知る由もありませんが声をかけてきたのは詩織が通う中学校で教師をしている相沢です。
もちろん詩織も相沢が父親と同級生だったことは知りません。
相沢は詩織がイジメに遭っていることを気付いてくれていました。
しかし詩織はイジメられていることを認めたくありません。
心配してくれる相沢に対して笑顔でイジメを否定します。
一応納得してくれた相沢なのですがイジメを放っておくと大変なことになることを教えることにしました。
シャツの袖をまくった相沢の左腕には無数の傷があります。
詩織はその傷に愕然とした表情を浮かべました。
相沢は何か起こった時は全力で守ることを約束しながら鈴木の言葉を思い返します。
“いじめられる側にも原因ってあるんだよ”
ここから相沢の復讐劇がゆっくりとスタートしていくことになりました。
イジメの加害者だった鈴木とイジメの被害者にされそうな詩織。
相沢はこの親子をどのように利用していくのでしょうか！？
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『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』を読んだ感想
過去のイジメに多くの同級生が申し訳なさを感じている中、変わらない鈴木の悪態に嫌な気分を覚えました。
しかし鈴木が悪者でいてくれたから相沢も復讐を決心することができたのかもしれませんね。
学生時代のトラウマを復讐で解消しようとする主人公の生き様を表現した『いじめるアイツが悪いのか、いじめられた僕が悪いのか？』
イジメは誰のことも幸せにしないことを伝えてくれています。
この作品を読んでいつまでも無くならないイジメという社会問題と向き合ってみてください。
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